INTERVIEW
2025.10.29
2023年春、活動休止を宣言していたCHiCO with HoneyWorksが、CHiCOのソロアーティスト活動を経て約2年半ぶりに再始動!現在放送中のTVアニメ『キミと越えて恋になる』OPテーマ「くすぐったい。」と、TVアニメ『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』OPテーマ「戦場の華」が、10月29日に同時リリースされる。ファン待望の再始動に向けたCHiCOの想いと、2枚のシングルの制作エピソードをたっぷりと語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――まずは、CHiCO with HoneyWorks約2年半ぶりの再始動、おめでとうございます!
CHiCO ありがとうございます!
――今年8月6日にYouTubeでサプライズ公開されたスタジオライブ(CHiCO with HoneyWorks 再始動! – Premium Studio Live –/現在はトークパートのAfter Talk Sessionと4曲のライブ映像アーカイブが、YouTube「CHiCO / CHiCO with HoneyWorks」チャンネルで公開中)映像で再始動が発表されましたが、バンドメンバーもCHiCOさんも、あまり久々感がないと言っていたのが印象的でしたね。
CHiCO 元々チコハニバンドのみんなとは、ツアーやライブがあるときに集まる感じですし、私のソロ活動中もよくメンバーがライブを観に来てくれて話をする機会もあったし、メンバーがサポートをしているアーティストさんのライブを私が観に行かせてもらって顔を見ることもありました。
――ソロCHiCO中は、CHiCOさんも新しい経験に注力していたと思うので、逆に、活動休止からもう2年半も経つの?みたいな感覚もあったのかも?
CHiCO そうなんですよね。だから、「わー、ものすごく懐かしい!」みたいなこともなくて(笑)。ただ、メンバーとの対面はいつも通りでしたけど、チコハニバンドの演奏でチコハニソングを歌うのは、本当に久しぶり。ソロでもチコハニ曲は歌っていましたけど、バンドが違うとやっぱり全然違うんですよね。チコハニバンドだと、ここのリズムは絶対に欠かせない部分だな!とか、ここはこういうフレーズが来るんだよね!とか、演奏ですごく懐かしさを感じました。
――再会を音楽で感じる。アーティストだからこそ出てくる感想ですよね。気持ちとしてはどうでした? “いよいよ感”はありました?
CHiCO 私としては、再始動するタイミングというのも見据えたうえでのソロ活動だったんですね。なので、それに向けて、ソロでもちゃんといろんなものを吸収しなきゃ!という思いがあったから、来る時が来た!という感覚ではありました。私がCHiCO with HoneyWorksとして「世界は恋に落ちている」でデビューさせてもらったのが2014年8月6日なんですね。ソロCHiCOでもデビュー10周年は祝っていただきましたけど、ファンの方にとっても私にとっても、この“10”という数字はとても意味のあるもの。10周年イヤーが終わり、また新しい区切りが始まる2025年8月6日という記念のタイミングで、スタジオライブから再始動をみんなにお届けできて、すごく良かったです。
――リアルライブではなく、スタジオライブの配信という形も良かったですよね。全国の方にもれなくお届けできて。
CHiCO そう思います。CHiCO with HoneyWorksを応援してくださっている方だけでなく、名前は知ってるけどライブはまだ観たことがないという方にも、観てもらえたと思うので。
――チコハニバンドと一緒に演ってみて、演奏で感じた懐かしさ、ソロCHiCOのバンドとの違いを感じたそうですが、具体的には?
CHiCO なんて言うんですかね……ソロでももちろん原曲通りに演奏はしていただいているんですけど、毎公演、ミュージシャンごとにソロパートでは自由な演奏も交ざってきますし、やっぱり人それぞれの“らしさ”というのがあるんですよね。チコハニバンドも“ならでは”の演奏があって、ギターがピロピロキュイーン♪ときたら、あ、Ojiの音だなと思うし、中西さんにも“節”がある。それはキーボードの圭ちゃん(宇都圭輝)もベースのHiroki169さんもそうなんですね。ドラムのあっちゃん(AtsuyuK!)は、そんなにクセは強くないけど、叩く音の強さがほかの方とは違ったり、演奏する人によって音の聴こえ方が全然変わるんだ!っていうのは、ソロを経てはっきり感じた部分だったんです。そういう意味での、昔から慣れ親しんだ音の心地良さみたいなものは、細かいところで「これこれ!」と感じることがすごく多かったです。
――スタジオライブとしては、デビュー曲の「世界は恋に落ちている」はもちろん「color」「プライド革命」「乙女どもよ。」などの代表曲から最新曲の「くすぐったい。」まで全5曲を披露。再始動としてどの曲をお届けするか、悩みどころでしたよね?
CHiCO 最初は「color」から始めたかったというのは、すごくありました。やっぱり久しぶりにみんなが揃うなら、“HELLO”って挨拶したかった。「世界は恋に落ちている」はチコハニにとって外せない曲だし、「プライド革命」はロックなチコハニという武器を増やしてくれた曲。再始動をしっかり感じてもらえる新曲も絶対にお届けしたかったですね。実は配信当日のプレミア公開は、スタッフのみんなと会議室に集まってドキドキしながら一緒に観たんですよ。ファンの方からはもちろん、私のリアルな友達からもたくさんメッセージやコメントをいただけて、ほんとにワクワクドキドキの1日でした。
――CHiCO with HoneyWorksを再始動するにあたっては、CHiCOさんがソロ活動で吸収したもの、得たものを持ち帰るというのが大きなテーマとしてあったと思います。実際、何を持ち帰ることができました?
CHiCO 一番は“自信”だと思います。ちょっと話は遡りますが、以前のチコハニ活動でも、同業者の人たちや違う業種の人たちと話していくなかで、自分ってまだまだ子供だなって感じる瞬間がすごくあったんですね。でもCHiCOという自分自身には、こういうこともやってみたいという気持ちも芽生えてきていて……そういう自我と、チコハニにおけるCHiCOがやるべきことを、どう整理整頓すれば上手くいくかに悩むことも多かったんです。じゃあ、チコハニを続けていくうえで、今自分がやりたいことや未熟な部分をはっきりさせたくて、一度、チコハニ以外の世界に飛び出してみたい、勉強したいと思って始めたのがソロ活動でした。
――それが先ほどの「再始動するタイミングというのも見据えたうえでのソロ活動」という言葉ですね。
CHiCO はい。私の中で、CHiCO with HoneyWorksというのは、絶対的なみんなのヒーローでありたいと思っているんです。恋愛ソングも「決戦スピリット」のような曲を歌うことで、みんなの背中を押す存在でなくちゃいけない。チコハニのCHiCOと私自身がイコールではないからこそ、チコハニのCHiCOであるためには私自身も強くなきゃいけない。だから一度、その違いに対する気持ちの整理をつけたくて、CHiCOのソロ活動では、“等身大の自分”をテーマにした曲を歌わせてもらったんです。それで今の自分自身を見つめ直すことができました。ソロCHiCOとチコハニのCHiCOの在り方も、自分の中でスッキリ整理することができたし、そこからやるべきことも見えました。もちろん歌唱力とかパフォーマンスのスキルアップもありますが、一番大きかったのは、そういう気持ちの切り替えだったり、“覚悟”だったと思います。
――では音楽的なスキルアップで、ソロ活動を経て具体的に自覚したことは何でしたか?
CHiCO それまではHoneyWorksさん以外の曲を歌ったことがなかったので、いろんな方から楽曲提供いただいて、今まで歌ったことのないジャンルだったり、リズムに触れられたのは大きかったですね。オシャレな曲や大人っぽい曲もたくさん歌わせてもらって……すごく苦労しましたけど!(笑)。HoneyWorksさんの曲でニュアンスの込め方や感情表現をすごく筋トレをさせてもらっていたので、歌唱自体はそこからさらに違う筋トレをさせてもらった感じです。だからシンガーとしての引き出しはすごく増えました。スタジオライブのときも、Ojiやほかのメンバーから「歌が上手くなったね」と言ってもらえて、すごく嬉しかったです!
――そして「くすぐったい。」と「戦場の華」の2枚のシングルが、現在放送中の人気漫画原作アニメタイアップシングルとして同時リリースされます。「くすぐったい。」は軽やかなラブソングで、「戦場の華」はロック。CHiCO with HoneyWorksお得意の楽曲としての2面性が同時に届くのも、ファンには嬉しかったと思います。
CHiCO そうなんです。チコハニの再始動を見ていただくには、ぴったりな2枚がどちらもOPテーマ。めちゃめちゃ贅沢させていただきました。しかもこの2枚のシングルのCHiCO with HoneyWorks盤は、ジャケットにも工夫があって、並べてみると2つのイラストが繋がるように、ヤマコさんが描いてくれたんです。2曲のイメージに合ったCHiCOが2人並ぶので、ぜひ一緒に飾ってもらえたら嬉しいですね。
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