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INTERVIEW

2025.10.08

【連載】ReoNa 3rdアルバム『HEART』リリース記念「リスアニ!’s Heart」第2回:アルバム『HEART』ReoNaロングインタビュー

【連載】ReoNa 3rdアルバム『HEART』リリース記念「リスアニ!’s Heart」第2回:アルバム『HEART』ReoNaロングインタビュー

“オルタナティブ”な存在だからこそ委ねられる想いとお歌

――アルバムの2曲目は、先ほど話題に上がった堀江さん提供の「命という病」。エモコア的なサウンドメイクと壮大なコーラスパートに、“これが私という罰”といったインパクトの強い言葉が乗った鮮烈な1曲です。

ReoNa 先ほどお話した「BIRTHDAY」の時は、私が過去に思ってきたことを堀江さんに託して、お歌として出力くださった感じだったのが、今回は逆に堀江さんのハートや絶望を、ReoNaを通して出力してもらったような印象があって。ちゃんと両方に重なるものができたように思います。私としては、歌詞を受け取った時に走馬灯みたいだなと感じて。言葉1つ1つに対して突き詰めて感情を捉えるよりは、1つの文章ごと、ブロックごと、メロディと合わせた言葉ごとの場面や景色の連続みたいなお歌だなと思いました。

――ダイナミックに展開していく曲調に反して、ReoNaさんの歌声が感情を込めるというよりも訥々と述べるような印象があるのは、走馬灯的なイメージからきているのでしょうか。

ReoNa そうかもしれないです。ちなみにこの曲は、堀江さんもバッキングボーカルという形で初めて声を重ねてくださっていて。それも堀江さん自身が「自分の声を入れたい」と言ってくださったんです。他にも、堀江さんは今までご一緒した楽曲では、ReoNaに歌を委ねてくださって、私が打ち出したものに対して具体的なディレクションをすることはなかったのですが、この曲では“それでいいよね”の部分だけ、「この一瞬だけは優しい響きが欲しいです」とリクエストしてくださって。私も同じイメージを持っていたので、堀江さんと想いが重なった瞬間でした。たった一言かもしれないけど、ここでハッとしてくれる人が1人でもいたらいいなと思いながら歌いました。

――そして3曲目「オルタナティブ」はレフティさんが作詞・作曲・編曲を担当。以前に神崎エルザ starring ReoNa名義の楽曲「Girls Don’t Cry」でアレンジを手がけていましたが、楽曲提供で関わるのは今回が初です。

ReoNa なので、レフティさんとは楽曲の制作を始める前に、一度改めてお話する機会を設けさせていただいて。そこで、今回は単純に「ReoNaってこういう人だよね」という部分から楽曲を書いていただくのではなく、レフティさん自身のお話を聞いたうえで、ReoNaとレフティさんの共通項を探して、それを形にしてほしい、というお願いから制作がスタートしました。その中で音楽的に親和性があるものとして導き出された言葉が“オルタナティブ”で。

――ReoNaさんも本作収録の「GG」などで、グランジ~オルタナロックにも取り組んでいますものね。

ReoNa はい。レフティさん自身もオルタナティブバンドをやってらっしゃるので。でも、“オルタナティブ”って色んな意味に解釈できると思うんです。直訳すると“代替品”とか“代わり”という意味があるので、レフティさんは最初、音楽性の話として“オルタナティブ”という言葉を出してくださったんですけど、私はそれが生き方的な話にすごくリンクしてしまって。この曲の中に“たとえ 王道じゃ無くたって”という歌詞があるように、王道と言われる道を逸れて自分だけの道に進みたいけど、それが誰にも必要とされなかったら成り立たない。でも、みんなと同じ道を進むのは自分のやりたいことではないっていう、レフティさんの生き方自体にすごくシンパシーを感じて。その意味では、もしかしたらReoNaの音楽的な歩み自体も“オルタナティブ”だったということに、この曲を制作するなかで気づいたような気がします。

――なるほど。“絶望系アニソンシンガー”という看板自体、ある種、それまでのアニソンシンガー像のオルタナティブだったわけですものね。

ReoNa アニソンシンガー自体もオルタナティブな存在と言えるかもしれないですし、オルタナティブバンドは自分たちの楽曲に「オルタナティブ」とは付けないでしょうけど、ReoNaなら「オルタナティブ」という曲を歌えるよね、という話になって。なんだか“オルタナティブ”問答みたいになりましたけど(笑)。チームの間でも、「Let it Die」が出来た時に近い手応えを感じた、という話になりました。

――そして4曲目の「芥」は、傘村トータさんが書き下ろしたナンバー。FCイベント「ふあんくらぶ presents ReoNa Acoustic Concert Tour“ふあんぷらぐど2025”」で先んじて披露していましたが、音源版は島田昌典さんの編曲により宇宙を漂うような壮大さが加わっています。

ReoNa 実はこのお歌は、アルバムの話が始まる前からあったもので、絶対にこのアルバムに収録したいと思ってました。「芥」というのは、いわゆる塵芥(ちりあくた)のことで、すごくちっぽけで取るに足らないもの、という意味合いがあるんです。ReoNaはそういうゴミや塵のようなものにも向き合い続けてきた数年間だったと思うんです。ゴミって、つい数日前まで人の生活の中にあったものが、ゴミ袋に入った瞬間、ゴミに変わっていく。それって100%使う側の都合、人間の都合だと思うんです。

――なるほど、確かに。

ReoNa それが逆にすごく人間的なものだと思うし、生きていくうえでゴミを出さない人は絶対にいない。そんなゴミと言われるものに何かを重ねてしまったり、例えば「GG」では“ゴミのように 美しく”と表現したり、「Debris」ではゴミ屑みたいな命燃やしてくすぶったままでも生きていこうと歌ってきた。奇しくも、その果てで辿り着いたようなお歌だと思います。

――歌詞に“宇宙から見れば 人間も花も 僕も 星も芥”とあるように、宇宙規模で考えるとすべてがちっぽけで無意味かもしれないけど、そう感じた時に見えてくるものもある。“僕は独りだ”という言葉が刺さります。

ReoNa それこそ傘村トータ氏が書いてくださった「Someday」の先にあると思いますし、神崎エルザの「ALONE」で「僕たちはみんな1人なんだから、それってすごく自由じゃない?」と歌ってきたのに対して、この曲も孤独への寄り添いとう意味で通じる部分があると思います。このお歌、短いフレーズだけを切り取ると、苦しい瞬間や絶望が息づいているように思うのですが、それがなぜだか、自分や誰かを責めたりする形になっていないんですよね。武器でもないし、盾でもない。本当に傘のようなお歌だと思います。

――“塵のように 芥のように いつか僕等もきらきら光れ”という歌詞も、願いのようでもあるし、不思議な距離感がありますよね。

ReoNa そうなんです。己を吐露しているわけでも、誰かを励ましているわけでもなく。きっと、傘村トータ氏自身が、ふっと、そんな瞬間があったのかなと思っていて。多分その時の気持ちを模写するように書いたから、こもった魔力なのかなって、思います。

――島田さんのアレンジにはどんな印象をお持ちですか?

ReoNa 最初に傘村トータ氏が作ってくれた音源から、光に当てられて砂がキラキラしてるみたいな、まばたくような音色になっていて、私の歌い方もアコースティックライブの時とは違っていると思います。実はこの曲のレコーディングの時、私は喉の調子が100%ではなかったのですが、島田さんがお歌を録ってくださって、いざ歌ってみたら、ちゃんと歌うことができたんです。島田さんはどのテイクを使うか時間をかけて丁寧に選んでくださって、傘村トータ氏も「こんな声で歌ってもらえるとは思ってなかった。ありがとう」と言ってくれて。自分としてはブースに入るまで悔しい気持ちもありましたけど、このアルバムの中で一番自分の手を離れたお歌を歌うことができたので、島田さんと傘村トータ氏と一緒に描けた「芥」だったなと思います。

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