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INTERVIEW

2025.08.23

【連載】アニソン野外フェス「ナガノアニエラフェスタ2025」開催近づく!出演アーティストに本番への意気込みを聞く!! 第7回目:コバヤシリョウ(アニエラ代表)×馬嶋 亮(リスアニ!編集長)

【連載】アニソン野外フェス「ナガノアニエラフェスタ2025」開催近づく!出演アーティストに本番への意気込みを聞く!! 第7回目:コバヤシリョウ(アニエラ代表)×馬嶋 亮(リスアニ!編集長)

2025年9月13、14日の2日間にわたって開催される長野発のアニソン野外イベント“ナガノアニエラフェスタ2025”。“アニエラ”の出演者にインタビューをしていく本連載最終回は、“アニエラ”を主催する株式会社アニエラ代表取締役のコバヤシリョウと“リスアニ!LIVE”を主催する本メディア編集長の馬嶋 亮の対談をお届けしよう。同じフェス主催者の視点から見る“アニエラ”の魅力をうかがいながら、気になる今年の内容についても詳しく話を聞いた。

INTERVEIW & TEXT BY 澄川龍一

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【連載】アニソン野外フェス「ナガノアニエラフェスタ2025」開催近づく!出演アーティストに本番への意気込みを聞く!!

来てくださった方はもちろん、スタッフ自身も楽しむことが‟アニエラ”で続けてきたこと

——まずはコバヤシさん、今年“アニエラ”の開催が決定して開催まで1ヵ月を切りました。今のお気持ちを聞かせてください。

コバヤシリョウ 開催に関しては毎年大変だなと思ってはいるんですけど、今年はたぶん過去一大変だったなと思います。去年が終わったあと1ヵ月ぐらいは、もう本当に辞めようかなくらいに思っていたんですけど、本当にいろんな方に背中を押してもらって、行政の方とかも温く後押ししてくださりました。そこから開催しようという気持ちを持ち返してから、ここまで動けたので、無事に開催できて本当によかったなって思います。あと地元の新聞社さんをはじめとしたメディアの皆さんも協力的で、すごく助けられました。最初は責められることも覚悟していたんですけど、メディアの皆さんも温かくて、改めていろんな人に助けられてなんとか開催にこぎつけられたので、そこはすごくありがたいと思うとともに、今年は本当に2日間大成功で完遂したいなという気持ちが強いですね。

——一方馬嶋さんは昨年は‟アニエラ“に現地参加されていましたが、今回の開催についてのお気持ちはいかがですか?

馬嶋 亮 ひとことで言えば「よかったな」というのが最初に出た気持ちですよね。そのあとに冷静にラインナップを見ていくと、同業他社として嫉妬に変わり(笑)。冷静になって見てもすごいラインナップだなと。でもやっぱり、本当におめでとうございますというところが一番の気持ちですね。

——やはり同じフェスを開催する身としては安堵もするし、やはりライバルとしての目線もありますよね。

馬嶋 だってまずロケーションが良すぎるじゃないですか。それに導線もよく考えられている。入口から入るとファントムステージがすぐにあって、それを観ながらメインのテンペストステージに向かっていけて、回遊性が非常に高い。あとこういう野外フェスは僕も好きでよく行くんですけど、やっぱり屋外のフェスって音楽好きによるああいうピースフルな空間じゃないですか。そこには音楽もそうだし、お酒も出ていたり、青空の下で様々な感情をシェアできるというのは、人間で嫌いな人いないと思うんですよ(笑)。あの中でフットワーク軽くいろんな場所をまわれるというのは、もう感服でした。

——フェスの特性やその魅力というのは昨年肌で感じられたと。

馬嶋 はい。“アニエラ”ならではのものとして、とにかくピースフルな空気だなというのはすごく感じました。これは出演者さんとお客さんを見ていてもそう感じるんですけど、やっぱりボランティアの方も含めたスタッフの皆さん、あとはキッチンカーなどの出店の方もそうですけど、みんなが同じ目線で「大きなお祭りを佐久市から盛り上げていくんだ」みたいな気概がすごくあって、これもいいなって思いました。本当に「フェスってこうだよな」と思うし、これだけの人数のお客さんたちを招き入れるためのホスピタリティーもすごかった。そういう意味で、みんなの目線が一致しているんだと感じますよね。同じ主催の人間としてその苦労は手に取るようにわかりますけど、何よりスタッフの皆さんも楽しんで、お客さんをもてなしていこうというのを肌で感じたイベントでした。

——そういったボランティアの方も含めたスタッフの意思統一というのはコバヤシさんの中で何か考えがあるのでしょうか?

コバヤシ これは意識していたというか、振り返ってみるとそうだったかもしれない、みたいなところではあるんですけど、これは“アニエラ”という会社自体もそうですし、自分のやりたいことやそのメッセージというものは初年度からずっと言い続けてきました。2017年の、まだスタッフ数もすごく少なかったときから、長野でこういうイベントをやりたくて、長野に来てくれた人に楽しんでもらいたい、長野の人たちにも「東京に行かなくてもアニメとかポップカルチャーに触れられる場所があるよ」ということを伝えたかったんです。これは会社のミッションでもあるんですけど、“人生をもっと楽しくする”という想いがあって、もうとにかくみんなで楽しもうという、もちろんそれはお客さんたちにとってもそうなんだけど、スタッフもみんな楽しい気持ちでやりましょう、みたいなことを毎年開催までの期間でひたすら言い続けています。たぶん最初にいたメンバーの人たちがその空気感を伝えてくれて、今もそれが根づいてくれているのかなって思います。そこは狙ってやったつもりはないんですけど、ずっと言い続けていたところであり、それが“アニエラ”にとっても変わらないところなのかなと思います。

——そうしたメッセージをスタッフにまで浸透させるというのは、馬嶋さんもまた“リスアニ!LIVE”で進めてきたことですよね。

馬嶋 そうですね。僕たちは、日々メディアをやっているわけですが、最近は大阪のFM802ともイベントを共催していて、そこでよく出るいい言葉だなと思ったのが、「イベントというのはメディアの答え合わせだ」ということ。

——答え合わせですか。

馬嶋 日々アーティストと向き合って、その活動をリスペクトしているわけですよね。彼ら彼女らが、またクリエイターがどういう思いのもとに表現をしているのか。その意図を汲み取って世の中に伝えることへの答え合わせとして、ライブやフェスがあるということを話していて。そのうえで我々が提案したいものとして、お客さんにこれってかっこいいよとか、これってすごいよとかを見せていきたいんですよね。そうした手前があって、スタッフに対しても精神性としてそれを伝えていっています。

コバヤシ 何を見せたいかというのはありますよね。だから僕ら、“リスアニ!”さんのラインナップとかめちゃくちゃ見ていますよ、「今年は誰を呼ぶんだろう」みたいな(笑)。だから長野というある種特殊な環境下ではあるんですけど、やっぱり参考にするのは王道のフェスで、本当にめちゃくちゃ意識していますね。それを噛み砕いて、僕らが長野でやるならどうかな、今年はどういうラインナップがいいかな、みたいなものは結構考えて、過去の“アニエラ”の文脈も大事にしつつ、そういった流れで今年はこの方にお願いしたいなというのを考えています。

——例年の流れでいうと“アニエラ”が終わったあとには“リスアニ!LIVE”の発表があって、そのあと“ANIMAX MUSIX”も開催されて、年が明けて“リスアニ!LIVE”が開催されたあとは“Animelo Summer Live”の開催発表がある。そうした動向はコバヤシさんも常にウォッチしているわけですよね。

コバヤシ そうなんですよね。さっきの馬嶋さんの答え合わせの話じゃないですけど、そうした都心の動向を見ていると、ラインナップの空気感とかトレンド感みたいなものがあるじゃないですか。それが“アニエラ”とも方向性が一緒だったときはちょっと安心します。でも逆にちょっと被りすぎちゃうと、「うわ、気まずい、申し訳ない」みたいな、結構複雑ではあるんですけど(笑)。

馬嶋 それは僕らもそうですよ(笑)。“リスアニ!”のブッキングも、もちろんみんなでも考えるけど、やっぱり表に立つのはプロデューサーじゃないですか。そうなると反響も他イベントとの親和性もブーメランとして自分に返ってくるわけですよ(笑)。そこに最終的には興業の収支も考えなくてはならない。だからいちファンの目線としてとかメディアの答え合わせとかも考えるんだけど、興行主でもあるところの視点も持っていなきゃいけない心労もあります。だから世のフェスのプロデューサーを見ていてやっぱりすごいなとも思うし、そういうときにアサインできるブッカーの関係値なりを持てているかがフェスのキモでもある。正直“アニサマ”さんの今年のラインナップを見て、“リスアニ!”のプロデューサーとしては一瞬「もうやってられん!」と思ったし(笑)。

コバヤシ あれはえぐいっす(笑)。

馬嶋 あれはアベンジャーズです(笑)。

コバヤシ いや、本当にすべてやった感がすごいですよね。

馬嶋 だから、そうしたなかで自分たちならではというものも考えなくてはいけない。それが今年では『学園アイドルマスター』だったり結束バンドであって。ああいうものが毎年必ずあるとは限らないし、それ以前に僕はとにかく直近の主要フェスのラインナップを穴が空くほど見ます。

コバヤシ 見ますよね! よかった、みんなそうなんだ(笑)。ラインナップもそうだし、出順にも意味を持たせたい。

馬嶋 わかる!(笑)。これは、時にはこっち側のエゴにもなるかもしれないけど、フェスはラインナップとシチュエーションがすべてだと思いつつ、そこにメッセージ性を乗せたくなってくる。それを思いついて多少勢いがあるときはいいんだけど、時々こんがらがってきて「……俺は何をしたいんだろう」ってなる(笑)。

——それがお客さんからのフェスへの信頼感にもなりますし、アーティストからの信頼感にもなりますよね。それこそ‟アニエラ”に出たいというアーティストからの声も年々多くなってきているのでは?

コバヤシ そうですね。本当にありがたいことに「出たいです」って言ってくださる方々が増えてきて嬉しいなと思うのと同時に、どうやっても2日間の中で転換も含めるとやっぱり枠が限られているので、悩ましいところですよね。毎年僕らは、制作チームに「(アーティスト数が)多すぎる」って責められるんですけど、どうしてもここでこの並びで観たいってわがままを言いながら、なんとか最終ラインナップに落ち着くんです。でも本当に毎年ありがたいことに「出たい」と言っていただける機会が増えていて嬉しいなと思いますし、そのぶん期待を裏切らないようないいイベントを作っていきたいなという気持ちがありますね。

馬嶋 僕も制作からはしょっちゅう怒られます(笑)。日本武道館は21時までに音止めしないといけないから、ディレクターから毎年「お前どうやって間に合わすんだよ!」って言われます。

コバヤシ 僕らもそうですね。駒場公園も近隣に配慮して20時には完全に音止めて撤収するというのがルールになっていますし、朝もそんなに早くから音を出せないので、リハしきれないものは前日に逃してとか、毎年パズルをしています。

馬嶋 そこは同じですよね。

コバヤシ なので毎回ガン詰めされて、最終的には「本当に申し訳ないけど頑張ってくれ」と言う(笑)。

馬嶋 すごくわかる。ひたすら言う(笑)。

コバヤシ 毎回ネタになっている会話があるんですけど、制作チームが「もう今年は何組までにしてくれ」って言うんです。例えば9組までにしてくれって言われたら、「じゃあ11組まで大丈夫ってことね」とラインナップを提出するわけです。

馬嶋 やばい、やっていることが同じだ(笑)。

コバヤシ それでガン詰めされて最終的に10組に落ち着くみたいな。社内でもそういう駆け引きがあります。

馬嶋 ちなみに余談ですけど、駒場公園はデシベル(音量)の規制はもちろんあるんですよね?

コバヤシ あります、あります。

馬嶋 そうですよね。市街地だし野外だと音流れちゃいますしね。

コバヤシ そうなんですよね。特にアーティストさんによってはこの音でいきたいというのはあって。

馬嶋 そうですよね。アーティストによってPAが乗り込みだとそういうのは特にありますよね。

コバヤシ そこは制作チームとアーティスト側のPAさんがやりとりしていますね。野外の環境もありますし、僕らのスピーカーの予算もあったりするので、そこは丁寧に対応しています。天候や、特に風向きによって音の流れも変わったりとかするから大変です。

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