――それでは“一番ファンからの反響を感じたMV”は?
水瀬 「僕らは今」と「アイオライト」ですね。特に「僕らは今」は、元々MVを制作する予定はなかったのですが、コロナ禍でライブができない状況になったことを受けて、“皆さんと一緒に今の状況を乗り越える”という想いのもと、制作に至った経緯があります。なので、ファンの方々にとっても予想外の、嬉しいMVになったと思いますし、この楽曲が皆さんの中でより大きな存在になったのは、コロナ禍があったからこそなのかなと感じています。
――MVの終盤には、ファンの方たちから寄せられたムービーがスクリーンいっぱいに映し出される演出もありました。
水瀬 本当にありがたいです。皆さんがライブを待ってくれていること、私たちの活動についてきてくれていることの証明にもなりました。改めて感じたのは、「僕らは今」はコロナ禍の前に制作していた楽曲なのに、偶然にも“今を頑張る”というテーマとリンクする部分がすごく多かったことで、この曲をライブで完成させることが当時のチーム内での目標になっていましたし、いつか声出しが解禁された時に、みんなでこの歌を歌うことを目指して諦めずに進んできたので、そういった過程で生まれた、とても大切な映像です。
――では次に、“一番身の回りの人たちからの評判が良かったMV”を教えていただけますでしょうか。例えばご家族からMVの感想をもらうことはありますか?
水瀬 はい。映像のチェックは、自分だけだと全部「これ大丈夫かな……」と気になってしまうので、一緒に母にも見てもらうことが多くて。そういえば「フラーグム」のMVを観た父が「お母さんに似てきたね」と言っていたんですけど、母は「私こんなにかわいくない」なんて言うので、私は「そうだね」とも「いやいや」とも言えないし、何て返せばいいんだろう?って独特の空気になったことがあって(笑)。父は最近、私の顔が母にそっくりだと、よく言うんです。それがなんだかほっこりして、家族の幸せな1コマだなって思います。
――素敵なお話しじゃないですか。
水瀬 「フラーグム」はまさにイチゴが弾けるような、笑顔で歌う明るいMVになっているので、両親も「たくさん笑っていてハッピーになるね」と言ってくれて。力強さというよりも爽やかな雰囲気なので、両親から見てもかわいらしく映ったようです。最新作のMVでそう言ってもらえたのは、年齢を重ねつつも、より元気いっぱいな表現が自然にできるようになったことも感じられて嬉しかったです。昔は少し引きつり笑顔だったけど、今はちゃんと引きつってないぞ、と(笑)。
――身近な友人からの反応が良かったMVはいかがですか?それこそ以前のインタビューで、水瀬さんと仲の良い声優の大西沙織さんは“影のプロデューサー”的なポジションとおっしゃっていましたが。
水瀬 そう、沙織は今やほぼチーム公認のような存在で。最初は少し隠していたのですが、最近はプロデューサーさんたちにも「沙織はこれが好きって言ってます」みたいに自然に話すことで、違和感をなくそうとしています(笑)。いつか私のライブにサックスを吹きながら登場してほしいですし、本人もそれを望んでいると思います(笑)。そんな彼女を含めた同性の友人たちからは、特に「アイオライト」の反響が大きかったです。日高里菜ちゃんもいつも車で私の曲をかけてくれているみたいで、くまさん(加隈亜衣)も色々チェックしてくれてるんですけど、その4人のLINEグループにも、「アイオライト」のジャケット写真が公開された時に「あんためっちゃかっこいいよ」というメッセージがたくさん来て、すごく好評なんだなと感じました。
――身近な友人にとっても、かなり新鮮なMVだったんですね。
水瀬 そうだと思います。ああいうかっこいい一面を見てもらえたのは嬉しかったですし、「あ、ちゃんとアーティストやってるんだ」という証明ができたような気もします(笑)。
――ありがとうございます。ここまで話題に上がっていないMVがいくつかありますが、その中から水瀬さん作詞曲「ココロソマリ」のお話もぜひお伺いしたいです。
水瀬 「ココロソマリ」は、ドラマパートがある映像作品になっていることを含めて、私はあくまでボーカルとしての表現者で、ストーリーの表現者は別の俳優さんがいる、という不思議な立ち位置で構成されていて、自分のMVでありながら、どこか私も出演者の1人のような感覚でした。その意味では唯一無二な存在感を放っているMVの1つだと思います。
――水瀬さんのカットは、夕暮れ時の海辺の桟橋というロケーションも相まって、ハッとなるような映像に仕上がっています。
水瀬 実は撮影時間がMV史上最も短かったんです。陽が落ちる短い時間帯だけを狙っての撮影だったので、「本当に撮りきれるのかな?」と少し不安になるくらいでした。私がリップシンクなどを撮っている間はドラマパートの撮影を止めて、終わったら監督がドラマパートに戻る、というかなり慌ただしい進行でした。
――ああ、俳優さんのドラマパートも同時に撮影されていたんですね。
水瀬 そうなんです。別日に撮った部分もあると思いますが、かなりせわしなく監督が行き来していて。自分がクランクアップしてもまだ完成しないMVというのは初めての経験でした。加えて自分が作詞した曲がMVになり、さらにドラマにもしていただいたので、“生みの親”のような感覚が強かったです。
――そのドラマパートの部分にあたる、「ココロソマリ」の世界観を発展させたショートフィルム作品『SHORT FILM「名前のない色」』も、今回のMV集にボーナス映像として収められています。改めて感想をお聞かせください。
水瀬 「ココロソマリ」は、私自身の両親への気持ちと、(タイアップ作品である)『ソマリと森の神様』への想いを重ねて歌詞を書いたもので、人からもらう愛や、種族が違っても通じ合える気持ち、言葉だけではない心の温かさ、染まっていく感情を表現したのですが、その歌詞から、こんなにも物語を広げてひとつの映像にしていただけたことに、すごく驚きました。撮影後にはお礼のお手紙を書いて、お返事もいただきましたし、自分の作詞した楽曲から、全く違う世界線で物語が進み、そこに劇中歌のように私の歌が寄り添う、という構成にもすごく感動して。単なるMVからの発展という以上の、特別な作品になりました。
――もう1つのボーナス映像として、本作には「Winter Wonder Wander」のアニメーションMVが収録されています。こちらは同楽曲を提供した栁舘周平さんが自らアニメーションを制作していることでも話題になりました。
水瀬 栁舘さんは作詞作曲だけでなく、絵を描くのも好きで、アニメーションも作れる本当に多彩な方で、普段から自分の気持ちや想いを色んな形にしてチームに共有してくれるのですが、このMVも彼の発案で制作してくださったもので、最初は私のファンクラブイベントで公開して、その後、YouTubeにもアップさせていただき、今回こうして映像集にも収録されることになりました。ただ、YD(栁舘)は、今回収録するにあたって少し描き直したい部分があったらしくて、「描き直すのはダメですよね?」と聞いて「ダメです」と言われているのを目撃しました(笑)。
――そうだったんですね(笑)。
水瀬 私個人としては、MVでもリリックビデオでもない“アニメーションMUSIC CLIP”という新しい形で、しかも作詞・作曲・編曲した本人が描く、というのが本当にすごいことだと思っていて。これであとはYDが歌ったら、全部1人でできてしまう。本当に天才だなと思います。この曲は私たちの“WWWシリーズ”(「Winter Wonder Wander」「Well Wishing Word」「While We Walk」)の始まりでもあるので、もしまだ知らない方がいたらぜひ観てほしいですし、願わくば、3部作すべて映像化してもらえたら嬉しいなと思っています。私だけにこっそり見せてくれるだけでもいいので。
――もし、実現したのであれば、ぜひ公開してほしいところですが(笑)。ご覧になった感想も聞いてみたいです。
水瀬 まず、登場するキャラクターたちが、バンドメンバーをイメージした森の楽隊になっているところに愛を感じました。「きっとこれはみっちー(島本道太郎)さんだな」とかがわかるように描かれていて。他にも“WWWシリーズ”に連なる伏線のようなものが散りばめられている気がしますし、くらり(水瀬考案の公式キャラクター)が出てきたりもして。一時停止しないと気づけないようなところに色々なヒントや可能性、余白を感じさせてくれる映像になっているので、今回こうして収録されることで、より多くの方に届いたら嬉しいです。
――本作に触れると、これまでも様々な映像表現にチャレンジしていることが伝わりますが、水瀬さんが今後MVでさらに挑戦してみたいことはありますか?
水瀬 他の方のMVを観てすごいなと思うのは、ワンカット撮影です。ミスが許されないので大変だろうなとも感じつつ、自分でもいつかやってみたいなと思っていて……でも、その反面、すでにあるものと同じようなことをしても面白くないので、例えば何か予想のできない展開になったりとか、ワンカットなのに着ている服の色が常に変わり続けるとか、魔法のような演出ができるといいかも、と思っています。
――確かに実現すると面白い映像になりそうですね。
水瀬 あとは、音と動きがシンクロする表現にもっと挑戦してみたいです。発想的には、ミュージカルや舞台に近いかもしれませんが、指を鳴らした瞬間に照明の色が変わるとか、MVならではの、ライブとは違う映像表現に挑戦してみたいです。
――他のアーティストのMVもよくご覧になるのですか?
水瀬 結構観ています。特にタイトルの出方を観るのが好きで、最近だとaikoさんの「skirt」のMVで、水風船が割れた瞬間にタイトルが大きく出るのが印象に残っています。aikoさんのMVは、ひとつひとつがお洒落で、すごく意味のある作品作りをしているなと感じていて。例えば「ねがう夜」のMVには、ベッドが宙からぶら下がっていて、その下でバンドが演奏しているカットがあるのですが、非現実と現実が融合しながらも、そこにaikoさんがいることで、間違いなくaikoさんのMVだとわかる。それがかっこいいなと思います。私もただそこに立って歌うだけでなく、何か乖離したものがひとつあって、それも曲のモチーフになっているような表現ができたらいいなと思います。
――お話を聞いていると、水瀬さんの中でかなり具体的なビジュアルイメージが膨らんでいるようですね。
水瀬 そうですね。私は「“違和感”をアートにする」ということに惹かれていて、想像がつきやすいものではなく、「なんでここにこれが?」というような意外な組み合わせから連想されるストーリーや余白に目を引かれるので、そういう表現もいつかやってみたいです。わからないですけど、例えば、草原に突然メリーゴーラウンドが現れるとか……本来ありえない組み合わせが生む違和感から曲が展開していくような、突飛なことにも挑戦してみたいです。
――最後に今後の活動予定についてお聞かせください。7月にはFCイベント“いのりまち町民集会2025 -ACOUSTIC LIVE シネマチックダイアリー-”、10月からはアーティストデビュー10周年を記念したライブツアーの開催が決定しています。
水瀬 今はFCイベントのアコースティックライブの準備中で、1stライブの頃からずっとご一緒している舞台演出さんと、10周年ツアーとは被らないことをテーマに色々と考えているので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。そして10周年ライブは、とにかく真っ直ぐ、王道の“記念ライブ”をやりたい、というのが私と舞台演出さんの共通認識です。これまでの私の10年間をしっかりと届ける演出とセットリストで、私の10年を100%形にするつもりですし、複数の公演に足を運んでくれる方にも楽しんでもらえる工夫もできればと考えています。できる限りたくさんの曲を歌える時間にしたいですね。みっちーさんは大変そうな顔をしていましたけど(笑)。
――そうなるとご自身も大変になりますが……。
水瀬 いえいえ、全然!私は自分の歌をたくさん歌えるなら何よりなので。毎回セットリストを選ぶたびに、入れられなかった曲の気持ちになってすごく悲しくなるんです(笑)。全曲クライマックスくらいの気持ちで歌うつもりですし、この10年分のプラスされた思いが乗った歌になると思うので、ぜひ聴きに来てほしいです。
●リリース情報
Blu-ray『Inori Minase MUSIC CLIP BOX 2』
2025年6月18日発売

価格:¥5,500(税込)
品番:KIXM-627
初回特典:特製BOX / 特製トレカ
<収録曲目>
■MUSIC CLIPS
01. ココロソマリ
02. 僕らは今
03. Starlight Museum
04. HELLO HORIZON
05. REAL-EYES
06. glow
07. アイオライト
08. スクラップアート
09. フラーグム
10. heart bookmark
■BONUS MOVIE
・Winter Wonder Wander(アニメーションMUSIC CLIP)
・SHORT FILM「名前のない色」
・メイキング映像8曲
・TV-CM集
●ライブ情報
「いのりまち町民集会2025 -ACOUSTIC LIVE シネマチックダイアリー-」開催決定!
イベント詳細はこちら
https://www.inorimachi.com/news/2025/0226183000.html
チケット代金:¥8,800(税込)
埼玉・ソニックシティ大ホール
2025年7月6日(日)
昼公演:13:00開場/14:00開演
夜公演:16:30開場/17:30開演
※埼玉公演のみ昼・夜2回公演を予定しております
大阪・箕面市立文化芸能劇場
2025年7月12日(土)
16:30開場/17:30開演
宮城・仙台サンプラザホール
2025年7月20日(日)
16:30開場/17:30開演
水瀬いのり アーティストデビュー10周年記念 LIVE TOUR 2025開催決定!!
詳細はこちら:https://www.inoriminase.com/news/?id=1522
10月12日(日)【兵庫】ワールド記念ホール
10月18日(土)【静岡】富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
10月25日(土)【福岡】福岡サンパレス ホテル&ホール
11月1日(土) 【岡山】倉敷市民会館
11月9日(日) 【北海道】カナモトホール(札幌市民ホール)
11月24日(月・祝)【愛知】刈谷市総合文化センター(大ホール)
11月29日(土)【神奈川】横浜アリーナ
11月30日(日)【神奈川】横浜アリーナ
アーティスト活動10周年に向けた記念企画として、過去ライブ音源を毎月デジタルリリース!
<配信中ライブ音源>
Inori Minase 1st LIVE Ready Steady Go!
http://inoriminase.lnk.to/readysteadygo-digital
Inori Minase LIVE TOUR 2018 BLUE COMPASS
http://inoriminase.lnk.to/bluecompass-digital
Inori Minase LIVE TOUR 2019 Catch the Rainbow!
https://inoriminase.lnk.to/catch_the_rainbow-digital
Inori Minase 5th ANNIVERSARY LIVE Starry Wishes
https://inoriminase.lnk.to/starry-wishes_digital
Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON
https://inoriminase.lnk.to/hello-horizon_digital
Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow
https://inoriminase.lnk.to/glow_digital
<今後の配信スケジュール>
2025年7月配信
Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART
2025年8月配信
Inori Minase LIVE TOUR 2024 heart bookmark
水瀬いのりオフィシャルサイト
https://www.inoriminase.com/
水瀬いのりオフィシャルX
https://twitter.com/inoriminase
水瀬いのりオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCYBwKaLwCGY7k3auR_FLanA/
SHARE