INTERVIEW
2025.06.11
作曲家・澤野弘之がトータルプロデュースする気鋭のシンガー・SennaRinから待望のニューシングル「KONTINUUM」が届けられた。bilibili×アニプレックスによる話題のアニメ『TO BE HERO X』のEDテーマとなる本楽曲は、ヒーローたちの光だけではなく影の部分が全面に投影された、ダークな風合いが強烈なインパクトを残す意欲的なナンバー。既存曲を今のSennaRinらしいスタイルで再解釈したカップリング曲を含め、2024年に発表された1stアルバム『ADRENA』の延長線上にありつつ、彼女の進化した姿を堪能できる1枚となっている。常に振り切った表現に挑戦する彼女の2025年のモードとは?
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――まずはアニメ『TO BE HERO X』についてお聞かせください。最初にタイアップのお話をいただいた際の印象はいかがでしたか?
SennaRin 作品の資料を拝見した時から、すごく面白そうだなと思いました。2Dと3Dのアニメーションを融合しているところも挑戦的でかっこいいですし、きっといち視聴者として出会っていたとしても、アニメを観ていたと思います。私、ヒーローもの作品が大好きなんですよ。小さい頃から、お姫様みたいなキラキラしたものよりも、スーパーヒーローに憧れているタイプでした。
――その頃の憧れのヒーローは?
SennaRin 王道ですが、『ドラゴンボール』の孫悟空です。かめはめ波や元気玉をやりたかったので(笑)。あとは、海外ドラマの「HEROES」も印象に残っています。色んな超能力を使える人が登場するドラマなんですけど、特に時を止める能力に憧れて、自分もできるようになりたいと思っていました。絶対に最強じゃないですか。実際、時を止めて誰かを救ったとしても、誰も気づかないかもしれないですけど、それもまたかっこいいですし。
――確かに。『TO BE HERO X』には、メインキャラクターとして10名のトップヒーローが登場しますが、どのヒーローに魅力を感じますか?
SennaRin まだ、1人1人の能力や背景までは把握できていないのですが、私はアニメを観ていると、大体は白髪のキャラクターのことを一番好きになるんです。例えば『呪術廻戦』の五条 悟とか、『東京喰種』の金木 研とか。白髪だと10割増しでかっこ良く見える気がして(笑)。なのでナイス(CV:花江夏樹)もかっこいいなと思いますね。あとはED映像を観てX(CV:宮野真守)にもノックアウトされてしまいました。でも、スタッフの方に聞いたところによると、日本では黙殺(CV:中村悠一)も注目されているらしくて。黙殺もよく見たら白髪なので、ちょっと気になってます。
――以前、澤野弘之さんに取材した際も、黙殺がかっこ良さそうとおっしゃっていました。
SennaRin クールですよね。喋らないくらいですし。でも、やっぱりヒーローは強いほうがかっこいいので、この先どんな展開になるのかはわからないのですが、アニメを最後まで観終わったら、多分Xが一番好きになるんじゃないかなと思います。Xはヒーローランキング1位ですし。それとナイスは中身の名前がリン・リンなので、同じ“リン”としては推していかなくてはいけないなと思って。
――さて、そんなヒーローたちの物語のエンディングを飾る今回の新曲「KONTINUUM」は、澤野弘之さんプロデュースによるナンバー。楽曲を受け取った時の印象はいかがでしたか?
SennaRin とにかく迫力があるなと思いました。澤野さんも「(SennaRinの楽曲の中では)一番壮大な曲になったね」とおっしゃっていて。それと『TO BE HERO X』がbilibiliさんとアニプレックスさんの完全オリジナルアニメーションということで、グローバルな視点から、歌詞が全部英語詞になっていて、なおかつインパクトのあるフレーズが揃っていたので、かっこ良く歌い上げたいなと思いました。壮大で強そうなところも作品にピッタリですし、オムニバス形式で1人1人のヒーローにフォーカスされますけど、そのすべてに合いそうな楽曲だと思いました。
――「KONTINUUM」というタイトルも意味深ですね。
SennaRin これは“to be continued”の“continue”と同じく“連続体”という意味の“Continuum”の頭文字を“K”に変えて、よりヒーローものに合うような特別感や神秘的を表現したと、(本楽曲の作詞を担当した)Benjaminさんに教えてもらいました。来週に続く、という意味でも、エンディングにぴったりなタイトルですよね。
――英語詞ということで、歌詞からイメージを膨らませるのは難しかったかもしれませんが、どのように受け止めて歌いましたか?
SennaRin 歌詞全体の意味というよりは、フレーズごとのパワーに気をつけて歌っていきました。疑問形の部分もあるので、そこは感情を動かすように表現して。あとはリズムにも合わせて感情を乗せていきました。特にサビ頭の“Kill this destiny”というフレーズはすごく強い言葉なので、そこは気をつけて歌いました。
――他にもレコーディングで意識したことがあれば教えてください。
SennaRin 普段、澤野さんからは「サビは強く」とよく言われるのですが、この曲はレコーディング前からサビは力強く歌うことに決めていたので、流れで全体を録るのではなく、サビは別録りにして、最後に勢い良く録ったのはこだわった部分です。私、声が枯れることはほとんどないんですが、この曲を歌い終わった後は結構かすれていたくらい、力強くレコーディングしたのを覚えています。それと全部英語詞なので、発音はBenjaminさんに1つ1つ確認してもらいながら進めました。
――歌は基本ダブルで、コーラスパートも含めるとかなりの声を重ねられていますよね。
SennaRin はい。この曲は平歌の部分でも声を重ねていて、しかも結構特徴的な声で重ねていったので、そこがより不穏な感じになっているかなと。歌のディレクションは澤野さんにしていただいたのですが、「次は魔女みたいに歌います」とか「がたいのいい大男みたいな感じでいきます」とか、テイクごとにかなりニュアンスを変えながら録りました。結果的に、ちょっと声を震わせたような怪しい魔女っぽいテイクが採用されたのかな?イヤホンで聴くと、右と左のチャンネルで違う感じの声が重なっている部分があって、そこがよりエキゾチックな感じになっているので、注目して聴いてもらえると嬉しいです
――その様々な表現が入り乱れた感じは、今回の『TO BE HERO X』のオムニバス形式、色んなヒーローが登場する作風ともマッチしている気がします。
SennaRin ある意味、多重人格的な楽曲というか(笑)。あまり良いイメージではない言い方をすると、情緒不安定な歌い方になっているんですけど、個人的にはそこが良いのかなと思っています。感情が表に出るフレーズも多いので耳に残るのかなと。基本的には叫んでいるようなところが多かったので、全力で出し切りました。ライブでもどうなるのか楽しみです。
――ヒーローものというと勇壮なイメージもありますが、この曲はかなりダークな雰囲気ですよね。
SennaRin そうですね。作品を見ていても、ヒーローのキラキラした部分というより、人気や信頼度によって能力が左右される影の部分が多く描かれていて。例えば、アニメ第3話に登場したスタンドというヒーローは、強力な能力の代償として、座れないし、横になることができない。他にも、ファンがたくさんいるからこそ抱えるヒーローの不安や恐怖と言った部分も歌った歌詞になっていて、それはSNSを通じてファンと応援の対象が繋がっている今の時代とも重なるし、誰もが共感できる歌詞になっていると思います。
――以前、1stアルバム『ADRENA』のインタビューで「ダークな作風が好き」というお話をしていましたが、今回の作品はご自身のやりたいこととマッチしている印象です。
SennaRin ダークヒーローさせていただきました(笑)。シングルのジャケット撮影の時も「私もヒーローになりたい」と、スタイリストさんにお伝えしたうえで衣装を決めてもらって。紐がいっぱいついている衣装なんですけど、確かそれを引きちぎって活動しているタイプのサイボーグヒーロー、みたいな裏設定があった気がします(笑)。
――ダークヒーローも好きなんですか?
SennaRin はい。ヒーローにはなりたいんですけど、万人受けするヒーローというよりも……なんていうか“この人にとってのヒーロー”みたいな感じのほうがかっこいいなと思うんですよね。どんなヒーローにも影はあると思うんです。光のあるところには影が生まれる。光が強ければ強いほど闇は濃くなる、みたいな。
――こうして話していると明るくて気さくですが、SennaRinさんも光の部分と影の部分を持ち合わせている?
SennaRin 性格的にですか?関係ない気もしますけど、結構独り言は多いタイプです。1人で映画とかご飯も何でも大丈夫なので、そういうところは明るいのかな? あと、表現したいことはダークですけど、積極的なので「こういう変なことがやりたい」というのはいっぱいあります。逆に「こういうことしかできない」というのはまったくなくて、次々と色んなことをやりたい意欲に溢れています。
――なるほど。ジャケット写真も、SennaRinさんが落下しているようにも、浮かんでいるようにも見えて、想像が膨らむアートワークですね。ヒーローには光と闇がある、という話にも繋がると言いますか。
SennaRin これは、アニメのED映像がすごくかっこ良くて衝撃を受けたので、それを参考にさせていただきました。Xが1つの動作で他のヒーローを支配しているみたいな映像で、私もXに遠隔操作されているのかな、と(笑)。落ちているのか浮かんでいるのかは、好きなように捉えていただければと思います。
――MVも、荒廃したような世界観とエフェクティブな演出が合わさって、かっこいい映像に仕上がっていますね。撮影はいかがでしたか?
SennaRin 以前に「melt」や「mЁЯR0r」でもご一緒した谷監督に、今回も楽曲の世界観に合わせてかっこ良く撮っていただきました。一番苦戦したのはワープしているような描写のシーンですね。光がパーッとなる部分で、そのシーンを撮るためにジャンプしたんですが、全然できなくて……澤野さんも見に来てくださっていて、「こうやってジャンプするんだよ」って教えてもらったんですが、後で映像を見たら、自分ではちゃんと飛んでるつもりだったのに、10cmも飛んでなかったかも。その時に履いていた厚底のせいにしています(笑)。
――あはは(笑)。ヒーローになりたいけどジャンプ力はない、と。飛べる能力が欲しいですね。
SennaRin 欲しいです。もしかしたら歌の代償でジャンプ力を失ってるのかもしれない(笑)。
――廃墟のようなロケーションも印象的でしたが、撮影場所はどこですか?渋谷の街並みも映っていましたが。
SennaRin 渋谷のど真ん中にあった、取り壊し中の建物で撮影させていただきました。今はもう取り壊されてしまいましたが、撮影ができる最後のタイミングだったらしくて。私、廃墟が大好きなので大興奮で、たくさん写真を撮りました(笑)。渋谷のど真ん中にそういう場所があるのが異様で。
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