INTERVIEW
2025.06.10
「(バンドとしての)道のりがなかったなら書けないですよね」とKOHSHI自身が語るFLOWの新たな1曲「Alright!!!」はTVアニメ『片田舎のおっさん、剣聖になる』(以下『おっさん剣聖』)のED主題歌だ。主人公の気持ちや境遇に共感を覚えたという彼らが、<FLOW WORLD TOUR “ANIME SHIBARI 2024-2025”>(以下、“ワールドツアー”)の最中に作った1曲が示すものとは。ボーカルのKEIGOとKOHSHIに聞く。
INTERVIEW & TEXT BYえびさわなち
――新曲「Alright!!!」について伺います。『おっさん剣聖』のED主題歌のお話が来た時はどんなことを感じましたか?
KOHSHI シンプルにこの作品自体がおっさんが主役の作品で、自分たちもデビューから20年を経てワールドツアーをやっている最中にいただいたお話だったので、ちょうどいいんじゃないかということでやらせていただいたのですが、とても書きやすかったです。原作も読ませていただいて自分たちと重なるところもありましたから。
――原作の印象はいかがでしたか?
KOHSHI 自分の蒔いた種たちが、時を経て自分を導いてくれる存在になってくる。それに対しての主人公の「責任」というキーワードがあって、そこがすごくグッときました。
KEIGO 今までのFLOWは少年の成長物語のために音楽を作ることが多かったんですよね。アニメ『NARUTO-ナルト-』シリーズもそうですし、アニメ『交響詩篇エウレカセブン』シリーズも同じ。アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズも言ってしまえば同じジャンルではあるので。だからタイトルに“片田舎のおっさん”とついている作品に対しての音楽というのは……。
KOHSHI 歩んできた道のりがなかったなら歌えないですよね。バンド活動1年目だったら書けないテーマではあったから。
KEIGO そういった意味で改めて“バンドの今”を感じました。
――ある種、“FLOWチルドレン”と言える存在も出てきた昨今ですし。
KEIGO そうですね。対バンとかしていると、そうした声をもらうことはあります。
KOHSHI それこそBURNOUT SYNDROMESが「ロックバンドだけどアニソンをやりたい」と考えたのは僕らの影響があったみたいなことを言ってくれたりするし。何かしらの足跡は残してこられたのかなと感じる場面もあります。
KEIGO 本当にそうですね。対バンしても、例えばASH DA HEROのASHもそういう話をしてくれるんです。「FLOWが胸はってアニソンをやってくれているから、なんの迷いもなく僕らもアニソンとロックをやりたいって言える」って言ってくれて。そういう言葉を聞いたりすると、自分たちのやってきたことを受け取って、自分の想いにしてくれる人がいるんだなって思います。
――今回はOP主題歌が西川貴教さん。そしてED主題歌がFLOWです。
KOHSHI おっさんとおっさんが剣聖になるおっさんの物語の主題歌を担当するというね。
――ロックバンドやロックミュージシャンが堂々とアニメと関わることができるようになるきっかけを作った2組だと思うのですが。
KOHSHI 確かにそうですね。でもうちらより西川さんのほうが先にそうした行動を取っていましたけど。
KEIGO 切り開いてきた人ですよね。
KOHSHI 海外のアニメのコンベンションに出演すると、第1回で出演しているのが西川さんということもよくあって。
――西川さんが歌うOP主題歌「HEROES」は自身が開催する“イナズマロック フェス”を見てバンドをやる決意をしたというNovelbrightの沖 聡次郎さんとコラボレーションというところでも物語との繋がりを感じました。
KOHSHI 『おっさん剣聖』の物語を地でいっている感はありますね。
――「Alright!!!」の作曲にあたって「こういう楽曲にしよう」というようなリクエストをお二人からすることはありましたか?また、上がってきた曲を聴いた際の感想もお聞きしたいです。
KOHSHI 何かあれば言うけど、基本はTAKEにお任せです。上がってきた曲を聴いた時はすごく歌詞を載せやすいメロディだなってところで、とっかかりとしても入りやすかったです。
――今回の「Alright!!!」。意外性を感じた箇所はありますか?
KOHSHI ED主題歌であるということがあったので、楽曲の方向性も音色についても「なるほどね」という感じはありました。
KEIGO OP主題歌だともっとスピード感があることが多いですが、今回は久々のED主題歌でしたから。
KOHSHI 前回ED主題歌をやったのが2021年の「United Sparrows」(TVアニメ『バック・アロウ』第2クールエンディングテーマ)だったのですが、バンドにとって変革の時期にあった当時の歌詞ともちょっと違ってくるし。その時々の自分たちが歌詞に反映されているのもありますが、今回の「Alright!!!」はまさに“ワールドツアー”を通して出来上がっていった感じがあります。“ワールドツアー”の日本凱旋公演中の映像をまとめたロードムービーのような映像(「日本凱旋 -WORLD TOUR ANIME SHIBARI- 名古屋/大阪/東京」)を作ったんですけど、そのラストで「Alright!!!」が流れた瞬間、「この楽曲は今回のツアーのための曲だな」ということを感じました。
KOHSHI 世界観もこれまでとは全然違う。俺らの世界観というよりもアニメの世界観になっていたから、これまでのFLOWにはない色の曲に仕上がったと思ってすごく新鮮でした。しかも、そうした新しい世界観でもちゃんと“FLOW印”みたいなものが細部に入れられていましたし。最近はライブでも「Alright!!!」を披露し始めたのですが、ライブでのパフォーマンスの仕方については“ワールドツアー”を通して成り立たせられた気がして、その過程で曲をしっかり噛み砕くことができたと思います。
KEIGO ライブで「Alright!!!」を披露する前のMCでも“ワールドツアー”を回った時の思いを話したりしていますし、そのメッセージがハマる曲なんですよね。楽曲が景色を持っているというか。もちろん『おっさん剣聖』があったからこそ出来た曲ですけど、ちゃんとツアーの中で生まれた曲でもあるんだなと感じます。
――KOHSHIさんの描く歌詞からどんなものを感じましたか?
KEIGO 自分たちの今現在、“ワールドツアー”をやって、また新たな挑戦をしていることを含めた部分が色濃く出ているなって思いました。
――“ワールドツアー”で歌い続けていると、先ほどもおっしゃっていたロードムービーのようにそれぞれのライブ会場が浮かびそうですよね。
KOHSHI それはあります。それに「Alright!!!」は確実に、これからライブのへそになっていく曲だなとも思います。
――実際に歌ってみての感想はいかがですか?
KEIGO まだこれから伸びる曲なのかなと思っています。ワールドツアーで世界中を巡ってきましたが、FLOWの曲ってどこに行っても、どの曲であろうとも、お客さんが一緒に歌ってくれるんですね。この曲もこれからみんなの中に浸透して、皆さんが歌詞を噛み砕いていき、一緒に歌える曲になるのだろうと思っています。
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