INTERVIEW
2025.06.07
ST☆RISHのライブを描いた『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』に続く『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪』の最新作『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』が2025年5月9日から公開。怪盗、や王子といった物語仕立ての演出を通してQUARTET NIGHTのライブパフォーマンスを魅せる作品だ。そんなQUARTET NIGHTから美風 藍役の蒼井翔太、カミュ役の前野智昭に作品の魅力を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY 江藤はんな
※森久保祥太郎(寿 嶺二役)×鈴木達央(黒崎蘭丸役)の対談はこちら
https://www.lisani.jp/0000284378/
――ついにQUARTET NIGHTのライブが開催となりましたが、まずはQUARTET NIGHTの皆さんも会場で観ていたST☆RISHの『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』という劇場公開のライブの感想をお聞かせください。
前野智昭 彼ららしい、王道なアイドルの素晴らしいライブを見せてもらったなと思いました。それと普段見られない彼らを見ることによって、こんなにも心が掻き立てられるのか!と思いました。カミュも純粋に刺激を受けたと思いますし、エンディングでも「ほう」という表情でQUARTET NIGHTのメンバーが見ている描写もありましたしね。ST☆RISHが素晴らしいパフォーマンスで道を作ってくれたからこそ、QUARTET NIGHTも彼らに負けずに自分たちの出来るものを各々で模索しようという気持ちになったと思います。
蒼井翔太 2022年の上映から3年が経った今でも目を閉じればST☆RISHのライブの映像が浮かぶくらい、1人1人がファンの皆さんに対しての想いを楽曲やパフォーマンスに込めた演出があったなと思いました。自分としてもST☆RISHの仮歌をやらせてもらっていた時期もあって、藍を演じる前からST☆RISHの皆さんを見ていたという経緯もあるので、ファンの皆さんと同じような目線でドキドキしながら拝見しました。
――そんななか『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』の制作が決まりました。お話を聞いた時はどうのような感情を抱かれましたか?
前野 純粋に嬉しかったです。まず4人が集まって何かをしている姿を見るのが、僕はすごく好きなので、またその4人でQUARTET NIGHTとして活動して、躍動する姿が見られると純粋に嬉しく感じたのを覚えています。もちろんそこでカミュたちがどういった成長をして、どういったパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみでもありましたが、純粋に1人のファンとして4人が集まって何かをしている姿を見られることがとにかく嬉しかったですね。
蒼井 ST☆RISHから「次はQUARTET NIGHT」と、作品がどんどん繋がる、バトンを受け継いでいる感覚で、QUARTET NIGHTとしての『うたの☆プリンスさまっ♪』の世界を、そして「ファンの皆さんへの想いや感謝をしっかりと全力で込めたいなという決意が強かったです。
――そんな今回のライブは物語仕立ての構成です。怪盗、宝石に纏わる物語、王国のプリンスというコンセプトや設定を聞いた時の印象をお聞かせください。
前野 劇中劇のようなシーンはアプリや他の様々な作品でやらせていただいたことがあったので、QUARTET NIGHTが何かに扮して何かをすること自体にそれほど驚きはなかったのですが、「怪盗」はこれまでやっていなかったなという印象はあったので、どういった感じになるのかが楽しみでした。出来上がった映像を観るととても彼ららしい斬新なパフォーマンスになっていましたし、なるほどと思わせる仕上がりでした。
蒼井 まず、このライブに込められた意図は何だろうと考えました。台本をいただいて、4人でアフレコをして思ったのは、彼ら4人の出会いから今までの絆が生まれるまでのストーリーが込められていることでした。QUARTET NIGHTの1つの大きなテーマとして“絆”があると思っていて、その“絆”が生まれるまでのストーリーが込められているんじゃないかなと思い至って、胸が熱くなりまし
た。
――そのライブのオープニングは「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX メドレーアイドルソング」。「Jewelful XXXX」とタイトルがつけられたメドレーであり、怪盗としてのステージで魅せる序盤で、藍が歌う「Wandering in a maze」。こちらの曲の印象をお聞かせください。
蒼井 藍は4人の中でハッキングといったデジタルに強い怪盗でステージも挑発や警告をするような印象がありました。楽曲的にも歌詞に“退屈は猛毒でしょ”というフレーズがあるのですが、1つのルートだけではなく「色んなルートがあるよ、まだまだ楽しませるよ、覚悟はいい?」というイメージを持っていたので、奇麗に歌うことを意識しながらも「これから盗みにいきますよ」という怪盗らしい勢いも出せるようにしました。シンセサイザーが得意楽器ということもあって、シンセの音でスリリングな感じを増していて、サウンド的にも怪盗らしさが滲み出ているなと感じました。
――カミュは「Do you know who I’m」です。いかがでしたか?
前野 ラップ調な1曲だったので、すごく新鮮でした。レコーディングをさせていただくだいぶ前に音楽制作の皆さんとディスカッションする機会があって、「次の楽曲はラップ調の曲」とご提案を受けた、とカミュが言っていましたけど、僕的にはカミュがラップに取り組むような過程が見えるといいなという気持ちがあったんです。でもいざカミュがラップをする姿を見た時に、新たな挑戦をすることに理由なんて必要じゃなくて、純粋に彼らも挑戦をしていると感じました。新鮮でしたし、楽しく歌わせていただけましたね。演出面でも彼らしく怪しげな術を使って翻弄したり、絵画から出てきたり。変幻自在なカミュを見ることができて感無量でした。
――続くソロでのステージ。最初に登場したのはカミュです。「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX アイドルソング カミュ」収録の「氷道化師-Ice Pierrot-」という楽曲との出会いとそこから見えたカミュについてお聞かせください。
前野 曲自体もすごく難しかったのですが、悲しそうな表情で歌われるカミュを初めて拝見したので、それが斬新でした。僕はこういうふうなパフォーマンスをすることをレコーディングの時には知らなかったので、音楽のスタッフさんたちとディスカッションをしながら録らせていただいたのですが、自然とカミュの表情とリンクした歌声になっていました。しかもすごく面白い1曲になっているんですよね。カミュらしさが曲の途中から徐々に引き出されていましたし、新しいカミュの一面を見ることができた1曲だと思いました。
――蒼井さんはご覧になっていかがでしたか?
蒼井 涙の雫の形が宝石やメイクにも象徴されているのが印象的ですよね。ステージでも宝石を中心としてパフォーマンスしていくそのスタイルがカミュとしてはすごく新しいなと感じました。最初の頃にはステッキを持って踊ったり氷を使ったりしてかっこ良くも幻想的なパフォーマンスをされてきたカミュですが、1つの物に集中しているような姿が僕にとってはすごく新鮮で、静かな熱さを感じさせました。
――そんなソロステージのラストを飾ったのは藍でした。「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX アイドルソング 美風 藍」収録の「Am I a fairy or…?」によってどんな藍が見えたと感じましたか?
蒼井 QUARTET NIGHTの中の藍としての立ち位置で言うと、とても温かくて儚くて、というイメージが僕にはあるのですが、今回の新曲ではその藍自身の想い……皆さんに出会って色んなことを教えてもらって「守りたい」と思っていたけど実は「守られていたんだ」と芯の部分に気付いた想いが形になったと思います。Innocent Lilacという宝石にまつわる妖精として登場しますが、宝石って頑丈だけれども奇麗で儚く感じる存在。その強さや存在感がこの楽曲に反映されていると思いました。藍として歌っていて「ありがとう」という言葉が何度も思い浮かんだし、すごく温かさを感じます。
――その楽曲を歌っているシーンなどもご覧になって前野さんはどんなことを感じましたか?
前野 藍は美しく飛んでいましたね。藍ってちょっと切ない表情が似合うキャラクターでもありますが、切なさや藍の心情が歌詞の中にも散りばめられていましたし、聴き惚れてしまう1曲でした。とにかく美しかったです。実際に飛んでいる藍を観ながら「これ、翔太で見たいな」と思いました(笑)。
――「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXXデュエットアイドルソング」に収録されている、藍とカミュのデュエット曲「God Love警報発令」の印象や歌った際の思い出などお聞かせください。
蒼井 2人のデュエットは「月明かりのDEAREST」ぶり。なんですが、今回はかわいさやキュートに振り切った楽曲で、最初の衝撃は忘れられないです。(寿)嶺二とカミュのチャーミングな楽曲「KILLER KISS」もありましたが、それ以上にハートが飛んでいるような曲で、インパクトがすごくあって。個人的にはカミュの声帯をやられている前野さんとの歌声の相性はすごく気持ちが良いなと思っていたのでデュエットが楽しみではあったのですが、出来上がりの想像ができなくて。どこまでカミュがこのキュートをやってくれるのだろうかとワクワクしていました。
前野 カミュは「執事モード」と「伯爵モード」という2つの顔がある、可能性がすごく広いアイドルではあるのですが、「執事モード」の時であればそういったチャーミングな曲を歌うこともイメージできると思うんですけど、「愚民ども!」と発言する時の「伯爵モード」でこの曲を歌うことに対しては「どうなのかな」という戸惑いが最初はありました。でもよくよく考えてみると、「伯爵モード」でチャーミングに歌うことであっても彼はノリノリでやってくれるだろうし、そういったポテンシャルのあるアイドルだということには以前から気付いてもいたので、この曲もノリノリでやるのだろうとも思いましたし、むしろ歌わせていただくのも楽しかったです。出来上がりを観ても、やはり本人たちもノリノリでパフォーマンスをされている印象だったので、2人の可能性を拡げてくれた楽曲の1つだと思いました。
――「伯爵モード」で歌うことは最初から決まっていたのですか?
前野 1Aまでは「執事モード」でアプローチしつつ、徐々に「伯爵モード」になるようにグラデーションをつけましょうというようなディレクションがあったと記憶しています。そのなかで「伯爵モード」でチャーミングな歌詞を口にしても不自然に映らないところが彼の可能性やポテンシャルに因るところだと思いました。
――蒼井さんから「前野さんとの声の相性が好き」というお話がありましたが、前野さんはいかがですか?
前野 声の高低のラインが気持ち良いですし、藍、翔太と一緒なら安心して委ねられるので、本当に何も心配せずに自分のパートだけに集中して歌わせていただくことが出来たんじゃないかなと思います。
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