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INTERVIEW

2025.06.01

視聴者の皆さんが山梨に行って「本当に『mono』じゃん!」と思ってくれたら嬉しい――TVアニメ『mono』アニメーションプロデューサー藤田規聖、アニプレックスのプロデューサー田中 瑛対談

視聴者の皆さんが山梨に行って「本当に『mono』じゃん!」と思ってくれたら嬉しい――TVアニメ『mono』アニメーションプロデューサー藤田規聖、アニプレックスのプロデューサー田中 瑛対談

アニメ業界全体の事を考えて良い作品を作っていく

――ここまでのアニメの制作秘話を聞かせていただきたいと思っているのですが、何か印象に残っているエピソードはありますか?

田中 それでいうとオープニングとエンディングのアニメーションですかね。これは藤田さんがプロデューサーをしながら進行をやっていましたから(笑)。

藤田 現場の状況的にやれる人がいなかったというのと、オープニングとエンディングは何度も経験があったので制作進行をやらせていただきました。監督もOP/EDアニメーションは、クリエイターにお任せするとおっしゃってくださったので、自分がアテンドしようと思って。OPアニメーションのほうは『mono』#4で絵コンテ・演出・作画監督をお願いした貞元北斗さんに#4の作業で大変な中無理を言ってお願いをして快諾していただきました。。これは僕の考えなんですけど「OPアニメーションといえば、この人!」という定番の方にお願いするより「このクリエイターにOPで注目が集まって、ここからもっと飛躍してほしい」という方にお願いしたいという気持ちが強いです。この作品に関わってくれたスタッフ全員に対しても思っていることでして、『mono』をきっかけに注目されて、次のステップに進んでくれたら嬉しいなと。アニメのOP/EDアニメーションは特にそういう場所なのかなと思っているので、以前から注目していた貞元さんにお任せしました。実際に出来上がったOPアニメーションを見ても期待通りの完成度で、ちゃんとした日常系アニメのOPアニメーションに仕上げてくださったので良かったです。一方で、EDアニメーションに関してはベテランアニメーターの入江泰浩さんにお願いをしました。

――それはどういった経緯で?

藤田 入江さんと関係値のあった宮原さんからの提案をいただきまして、「お願いしたいです!」と。これに関しては僕が入江さんのファンだったので本当に光栄でした。しかもダメ元で絵コンテ・演出だけでなく、1人原画もお願いできないかと聞いてみたところ引き受けてくださって……。サビで360度カメラをぐるぐる動かしているところを作画してくださっていたので「これは今までに見たことがない!」と驚きました。ここまでやっていただいたからには、絶対に良いものにしなければならないと思い、他セクションにも良い映像を作れるスタッフを手配しました。

――それもあって、OP/EDアニメーションは素晴らしいものになっていたと思います。音楽も両方素晴らしかったです。

田中 今回は両曲とも割と具体的な発注をしているんです。愛敬監督含めてイメージを出しあい、OP・EDともに作曲者様に共有させていただきました。

――OPテーマである「メニメリ・メモリーズ!」はキャストによるMVや山梨を巡った動画も公開されており、宣伝も力を入れている印象があります。

田中 宣伝は弊社の宣伝プロデューサー・坂田結衣が1人でやっていて、彼女も今作が初めての宣伝プロデューサーになるのですが、乗ってるなと思いました(笑)。『mono』はいわゆる“きらら作品”なので、宣伝の大方針として「“きらら作品”をお預かりしている」ということを念頭に置いて宣伝をしてほしいというのは伝えているんです。僕がそもそも“きらら作品”が大好きなので、そういう作品が好きな人たちがちゃんと楽しめるものを宣伝でやっていこう、と。幸いキャストの皆さんも前のめりに作品に関わってくださっているので、そのお気持ちもお借りしています。『mono』は作中で(秋山)春乃が「実際にそこへ行きたくなるマンガ」を描いているというのがテーマとしてあるので、宣伝としても「山梨に行ってみたい」「カメラを実際に使ってみたい」と思わせるような宣伝にしたいなと思っていました。

――それはすごく感じられます。

田中 また、藤田さんの話にもありましたが、作品は先生はもちろんスタッフさんやクリエイターさんの成果物でもあるので、作業された方のお名前を出すようにというのは僕が宣伝をやっていた時に心がけていました。それを、本作でも意識してもらえるようお願いした点もありいます。というのも、版権イラストなどがあった時、「これは誰が描いたんだろう?」と僕は思うほうなので、クリエイターさんの名前は出す、といったところは引き継いでくれていて良かったです。

――OP/EDアニメーションをノンクレジットでYouTubeで流すのが主流になってきていますが、その概要欄に制作スタッフを書いていないのはノンクレジット過ぎると思っていたので、その辺り、『mono』は丁寧ですね。

田中 藤田さんも大事にされていると思いますが、クレジットを世に出すことは大事なことだと考えているんです。作品はクリエイターさんの名刺にもなると思いますし、我々もあの作品を担当していた、という名刺になります。その名刺がちゃんといい意味で受け取っていただけるようにしなくてはいけない、という責任感はあります。

藤田 我々制作サイドも、クリエイターが表に出ることは良いことだと思っているんです。昨今SNSもあって、そういう発信がしやすくなったのは追い風だと。それをきっかけに、アニメーターに仕事が行くことは良いことですから。

――ただ、制作サイドとしては、人材が取られてしまうことにもなりますよね?

藤田 それもあるんですけど、アニメ業界が盛り上がることのほうが大事だと思っているんです。同業者が良い作品を作っていれば、こちらのモチベーションも上がるので。

田中 もちろん収支のことは考えますけど、アニメーションを作るってそれだけではないんですよね。ソワネさんも「『mono』を作った会社」になるわけですし、愛敬監督も「『mono』の監督をしていた愛敬亮太さん」になる。そういう名刺ってその人の人生を左右するカードになると思うんです。、作った人たちがやって良かったと思えることも大事だと思うので、その環境を整えることも製作委員会やメーカーの仕事の1つかなと思っています。制作作業はまだ終わっていないのですが、終わった後で本作がちゃんとした名刺になれば良いなと思っています。

――今の話を聞いていて思ったのですが『mono』は各話の作画監督の個性が出ている作品だと思っているんです。これは意図していたことなのでしょうか?

藤田 それに関しては、ピンチをチャンスにではないのですが、どうしてもソワネという小さな会社では色々な制限があり、できることが限られているんです。なので愛敬さんや宮原さんに最初に提案したのは、「総作画監督のチェックするカットを絞らせていただき、各話の作画監督の個性が出ても良いでしょうか?」ということでした。それに対して「大きく逸脱しなければ問題ないですよ」と言っていただいたので、本編はその方針で進めさせていただいています。個人的な考えなのですが、演出の範囲内であれば各アニメーターの個性が出ることは面白いことだと感じているので、少しでもそのようなアニメーションが見れたらと思ってます。

――個人的には、そのほうが面白いと思ったりするところがあります。

藤田 もちろん、許容範囲を少し広げてしまっているという意味では、本来であれば“良し”としてはいけないことなのかもしれません。ただ、現場の状況などを鑑みて、結果的にこういった形になった部分もあります。でも、過去の作品を振り返ってみても、話数ごとにしっかり統一感があれば、多少作画に個性が出ている方が面白くなることもあるんですよね。だからこそ、今回もその個性が上手く表現として出ていればいいな、と思っています。そういった意味では、これは今後のソワネの作品づくりのヒントにもなるかもしれないなと感じていますし、それはきっと『ヤマノススメ』シリーズでの経験があったからこそ、活かせた部分だと思ってます。

――アニメ『ヤマノススメ』シリーズは1人作画回などがあって話題になりましたからね。

藤田 そういう時はアニメーターの個性が爆発していましたね。

――田中さんはプロデューサーとしてここまでの『mono』の視聴者の反応をどう見ていますか?

田中 「#mono」がXのトレンドに入っているのを見るのは嬉しいです。日常系アニメって海外では「Slice of life」というジャンルになるんですけど、まだまだ伸びしろがあるジャンルだと思ってます。やはり異世界転生やファンタジー、バトルモノが主流なので、もっともっと海外にこの魅力を伝えていきたいなと。『mono』は日本の旧車やカメラ、バイクといったガジェットの魅力は当然あるんですけど、海外には作画やクリエイター好きの方も多いので、最近海外の方のコメントが多いのは、原作とクリエイターの皆さんの素晴らしさがあるからなのかなと。「Anime Trending」(アメリカのアニメ情報サイト、週ごとに話題となったアニメのランキングを発表している)でも放送開始当初は中位くらいだったのが最近は上位に食い込んできていたりするのでそれは嬉しいです。当然、そういった評価軸の話は別として、普通に視聴者の皆さんに気軽に山梨に行っていただいて「本当に『mono』じゃん!」と思ってくれたら嬉しいです。リアルタイムで土曜日の深夜にアニメを観て、「一週間楽しかったな」とか「来週は何をしようかな」と考えてくれたら本当に良いな、と。

――では最後に、そんな週末の放送を楽しみにしている視聴者へ、メッセージをお願いします。

藤田 折り返しを過ぎたところですが、このあと、2泊3日の旅も始まりますので、最後まで楽しんでください。あfろ先生が原作を通してやりたかったことが、アニメでも伝われば良いなと思っていますので、引き続き、ファンの方が追体験できるようなアニメ作りができたらと思っています。

田中 「2025年4月から始まったクールってすごく良かったよね」と言ってもらえる一助に『mono』がなっていれば良いなと思っています。あとはあfろ先生が今作で掲げているテーマに「いろんなもの」というのがあるのですが、僕も自分にとっての「もの」を探しているんです。なので、放送が終わった時に、そんな「もの」と言えるものが見つかれば良いなと思っています。


●作品情報
TVアニメ『mono』

TOKYO MX 毎週土曜24:00~
とちぎテレビ 毎週土曜24:00~
群馬テレビ 毎週土曜24:00~
BS11 毎週土曜24:00~
MBS 毎週土曜26:08~
山梨放送 毎週木曜25:29~
AT-X 毎週火曜23:00~

配信情報
ABEMA・dアニメストアにて毎週土曜24:00~地上波同時配信
ほか各配信プラットフォームにて順次配信中

<イントロダクション>
芳文社『まんがタイムきららキャラット』にて連載中の、あfろによる人気4コマ漫画『mono』
アニメ・実写化も果たした代表作『ゆるキャン△』でキャンプブームを盛り上げたあfろが、写真部と映像研究部が合体した「シネフォト部」に所属する女子高生たちを中心に描く《今週末の楽しみ方漫画》。
360°パノラマカメラでの撮影や、凧にカメラを括り付けた疑似ドローンなど様々な技法を用いて、山梨県甲府市を中心とした景色や彼女たちの日常を切り取っていく。
『ひだまりスケッチ』や『ぼっち・ざ・ろっく!』など、様々な作品をアニメーションとして送り出したアニプレックス×芳文社のタッグに、新進気鋭のスタジオソワネが加わり映像化が実現。
スタッフ陣は、監督に愛敬亮太(「呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変」)を迎え、キャラクターデザインを宮原拓也(「恋する小惑星」)、シリーズ構成を米内山陽子(「ゆびさきと恋々」)が担当。
今注目のクリエイター陣が集結。
新たな週末の遊び方を、一緒に見つけませんか?

<プロローグ>
今週末、何して過ごす?
高校の写真部員・雨宮さつきは大好きな部長の卒業により意気消沈していたが、
親友でもう1人の部員の霧山アンからの激励により、再び部活動を頑張る決心をする。
しかし、さつきが意気込んでオークションで購入した360°カメラが届かない。
アンが出品者を調べると学校のすぐ傍に住んでいるらしい……。
さつきとアンが出品者の住所を訪れるとそこには駄菓子屋が。
2人はそこで漫画家の秋山春乃と出会い、「マンガのモデルになって欲しい」という依頼を受ける。
元映画研究部の敷島桜子を加え写真部と合併した「シネフォト研究部」は、春乃の取材に協力することになるが……?

【スタッフ】
原作:あfろ(芳文社 『まんがタイムきららキャラット』)
監督:愛敬亮太
助監督:諸冨直也
キャラクターデザイン:宮原拓也
シリーズ構成:米内山陽子
美術監督:藤井里咲 野村正信
色彩監督:小松さくら
CG監督:小川耕平
撮影監督:荻原猛夫
編集:柳圭介
音響監督:田中亮
音響効果:北方将実
音楽:百石元
アニメーションプロデューサー:藤田規聖
アニメーション制作:ソワネ

【キャスト】
雨宮さつき:三川華月
霧山アン:古賀 葵
敷島桜子:遠野ひかる
秋山春乃:上田麗奈
駒田華子:河瀬茉希

主題歌
オープニングテーマ:シネフォト部「メニメリ・メモリーズ!」
エンディングテーマ:halca「ウィークエンドロール」

Ⓒあfろ/芳文社・アニプレックス・ソワネ

関連リンク

TVアニメ『mono』公式サイト
https://mono-weekend.photo/

TVアニメ『mono』公式X
https://x.com/mono_weekend

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