声優アーティスト・立花日菜の4thシングル「Dear my Soleil」が、5月28日にリリース。表題曲はアニメ『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』(以下、『だんじょる?』)のED主題歌起用されたミドルテンポのポップなナンバーで、アニメのストーリーとも繋がる思春期の甘酸っぱい恋心を描いたものとなっている。そんな本楽曲をはじめ、カップリング曲やMVなど、本作にまつわる制作に立花はどんな想いを込めたのか。まもなくアーティストデビュー1年を迎える彼女に、存分に語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT 須永兼次
――アーティストデビューからまもなく1年となります。これまでの活動の中で思い出深かったことや、嬉しかったことなどからお教えいただけますか?
立花日菜 一番印象に残っているのは、今年3月の“P’s LIVE! 08~P’s GR∞VE~”(以下“P’s LIVE! 08”)ですね。立花日菜としては初めて大きな会場で、私のことを応援してくださる方以外もいるところで歌わせていただいたんですけど、レーベルの先輩方のパフォーマンスを観て自分のこれから先のビジョンが見えたというか。「こういうふうになっていけば良いんだな」みたいな頼もしい背中を感じて、改めて「私も頑張ろう」と思えた出来事だったんです。
――そのなかで、「こうなりたい」という像は具体的になっていきましたか?
立花 まだ模索中ではあるんですけど……出演されていた先輩方って、それこそ色んなタイプの方々がいらっしゃって。でも皆さんステージに上がってパフォーマンスを始めると、会場がその方の色に染まるのを強く感じたんですね。それがすごく個性的で素敵だなと感じたので、私もそういうふうに「(会場を)私の空気にできたら良いなぁ」と思うようになりました。
――様々なことに挑戦して、自分らしさを見つけたうえで。
立花 そうですね。それに私のことを応援してくれている方も、“P’s LIVE! 08”で私以外の方も観たうえで「私なりの良さ」みたいなものを再確認してくれたような雰囲気を感じて。なので私のことを応援してくださる方と一緒に、それをもっと大きくできたら良いと思っています。
――ではここからは、4thシングルについてお聞きしていきます。表題曲「Dear my Soleil」は『だんじょる?』のED主題歌となっていますが、作品自体にはどんな印象をお持ちですか?
立花 まず、人間誰しも考えたことのある「男女の友情は成立するのかどうか?」ということをテーマに扱っていることに面白さを感じました。私はコミカライズを読ませていただいたんですけど、女の子もすごくかわいいですし、それに翻弄されている(夏目)悠宇くんの青春っぽい感じがすごくかわいらしくって。学生時代にこんな甘酸っぱい気持ちになれることがあったら良かったと思うような、むず痒いけれどそこがかわいらしい作品だという印象でした。
――エンディングとして曲が使用されたのは第2話からとなりましたね。作中で使用された際の印象はいかがでしたか?
立花 私はオンエアまではどんな映像がつくのか知らなかったんですけど、すごくかわいい映像になっていて!(犬塚)日葵ちゃんのかわいい表情がたくさん観られる、お洒落で素敵なED映像だと思いました。
――ラブコメアニメエンディングの王道な感じがしますよね。
立花 もう、まさに!みんなが求めているところに沿えたのかなぁと思っていて。楽曲もすごく作品に寄り添えているものですし、私の楽曲をきっかけにアニメや作品に触れてくれた方からも「すごく素敵だね」と言っていただけることが多くて。みんなにも魅力が伝わっているんだと思います。
――立花さんご自身が「Dear my Soleil」を聴いた時に、作品に寄り添った曲という印象があったと。
立花 ありました。特に歌詞はもうそのまま、思春期の恋愛や恋心だったり、素直になれない気持ちがきれいにかわいらしく歌詞になっていて。““親友”なんてさ 言わなきゃ良かったな”みたいなフレーズを通じて、学生時代や10代の頃に誰しも一度くらいは経験したであろう「友達から恋人になれるのか?」みたいな問題を落とし込んでくださっているので、「(作品に)ぴったりの曲!」と感じましたし、すごいとも思って。
――『だんじょる?』という作品を離れて、楽曲単体として聴いた印象もお聞きしたいです。
立花 個人的には、サウンド感とかに平成の青春ソングっぽさを若干感じていまして。私もちょっと聴き馴染みもあるというか……。それこそ学生時代にカラオケで歌っていたような感じがして、ちょっとJ-POP寄りだと思ったと言いますか。歌いやすさもすごくありましたし、ちょっと懐かしい感じもしてすごくお気に入りの楽曲です。
――特にメロディが非常にキャッチーですね。
立花 そうですね。結構繰り返しもあって覚えやすくもなっていますし、これまでは“挑戦”になる曲が多かったのに対して、この曲は今までで一番“しっくり”くる楽曲だったように思います。
――そんなこの曲のレコーディングに臨まれた際には、何を大事に歌われましたか?
立花 最初から考えていたのは「真っ直ぐ歌う」ということで。「明るさや爽やかさを、ひたすら大事にしよう」ということを考えていました。それで言うと、結果的にかわいい曲に聴こえるようにはなったかもしれないんですけど、自分的にはかわいさよりも“若さ”とか“ピュアさ”とか……まだ成熟しきっていない感じを表現できたら良いと思って、歌わせていただきました。なので、「あざとくしすぎない」というのも、結構大事にしていこうかなと考えまして。小手先でかわいくするのとは違う歌い方で、ピュアさを演出できるようにと歌っていきました。
――真っ直ぐに歌ったほうが、よりかわいく聴こえるだろう、と。
立花 そうですね……そこまで計算できていたかと言われるとちょっと怪しいんですけど(笑)。でもこの曲は本当に思うように歌わせていただいたので、最初からスタッフの皆さんのイメージと私の持ってきた歌がハマったんだと思っています。
――レコーディングで歌っていて特に楽しかったポイントはありますか?
立花 サビは特に気持ち良く歌えました。突き抜けていく感じがあるのでテクニック的な難しさはもちろんあるんですけど、「気持ちが乗ればきれいに歌えるかな」みたいなところがあって。その気持ちをどう作るか?みたいなところで色々考えはしましたけど、とにかく真っ直ぐ楽しく歌うことで、この曲にある素直さとかかわいらしさを出していけたらと思いました。
――そのサビのメロディが非常にキャッチーというか耳馴染みが良くて。
立花 そうですよね。1回で覚えられるタイプの曲だと思うので、みんなにぜひ歌ってほしい……。HoneyWorks feat. ハコニワリリィさんのOP主題歌(「質問、恋って何でしょうか?」)がすごくバズっているらしいので、一緒にバズっていきたいです(笑)。
――曲中にはクラップも散りばめられていますが、歌う際にライブの光景が浮かんだりはしましたか?
立花 いや、レコーディングではライブよりも自分の想像の中のMVをイメージしながら歌っていたんですよ。今までタイアップが多かったので、「こういうオープニングやエンディングの映像がつきそうだなぁ」みたいなものを想像して歌うことが多くて。MVのない曲も、その曲のPVみたいなものを想像しながら歌うことが多かったんですね。でも楽曲が発表されてから、「クラップがいっぱい入ってるからライブで盛り上がりそう!」という声をたくさんいただいて「確かに!」となって。まだライブで歌ったことはないんですけど、すごく楽しくなりそうな曲だなと思って、今はわくわくしています。
――レコーディングの際想像していた映像と、実際完成したED映像やMVは近かったでしょうか?
立花 ED映像は私が想像していた“青春かわいい”よりももっとお洒落になっていた印象がありまして。見どころもツッコミどころも満載で、「こんなことも曲中や作中から拾ってきて……すごく面白くなっていて、素敵だなぁ」と思いました。ただMVに関しては、割と自分のイメージとは真逆で。私は爽やかな、それこそ“ひまわり畑に白ワンピース”みたいなものを想像していたんですけど、色が濃いめなうえに室内での撮影だったんです。でも面白い要素のあるMVに仕上がったので、「こういうアプローチもできるなんて、やっぱりプロってすごい!」と思いましたね。
――ちなみにそのMVでは、恋愛の勉強をされていますね。
立花 はい。「恋愛受験」をテーマに、「恋愛を勉強するけど上手くいかない!」という、コメディ要素のあるミニドラマみたいなものをやらせていただきました。でも今回は結構面白い表情や絵面が多いので、そういう意味でも見応えもあって。今までより一癖二癖感じられるものになっているように思います。
――こういったシュールでコミカルなMVは、初めてですよね?
立花 初めてでした。今までで一番演技パートみたいなのが多くて、こんなにガッツリ裏でセリフを言っていたのも初めてです。あと「どこまで真剣なほうが良いんだろう」じゃないですけど……(笑)。真面目にふざけるほうが面白いのかな?それとも、ちょっとちょけたほうがかわいく見えるのかな?という迷いもありましたね。結果的に、一緒に出演してくださった振付師の(沢口)かなみ先生が結構ちゃんと“真面目にふざける”ほうだったので(笑)、私もそれについていって真面目にふざけていました。
――それでも1コーラス目はまだ王道な雰囲気がありますが、2コーラス目から……。
立花 だいぶ「なんじゃこりゃ!」みたいな映像になっていますよね(笑)。電話帳を開いて“恋愛エキスパートの家庭教師”の先生を呼んだら、かなみ先生演じるすっごい先生が来ちゃって……(笑)。
――電話帳に書かれていたその家庭教師の先生の電話番号も、何か意味がありそうに思ったのですが。
立花 実はあれ、このMVの撮影日なんです。それは美術さんが気を利かせてくれたのかな?たしか監督も知らなくて、現場で「え、この数字、今日じゃない?」みたいになったんですよ。
――なるほど(笑)。他にも細かいところだと、テストの最後の点数「17」点というのも……。
立花 はい、あれは“ひな”から取ったものです!あのテストも問題用紙から作っていただいたものですし、解答用紙に書いてあるハチャメチャな答えは、スタッフさんと一緒にみんなで考えたものなんですよね。撮影が夜に差し掛かっていたので「おなかすいた」とか全然関係ない答えを書いていって……(笑)。
――問題用紙には、よく見ると「ユウくん」「ヒマリちゃん」とあったりもして。
立花 そうなんですよ!そこは『だんじょる?』を連想するような感じにしてくださっているんですよね。あとはハチマキの「必勝」も衣装さんがたくさんデコってくれたり(笑)。小道具にもすごくこだわっていただいたので、注目ポイントいっぱいのMVになったかなと思います。
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