――そんな本作のオープニングを飾るのが、TrySailの新曲「アストライド」。楽曲を受け取った時の率直な感想はいかがでしたか?
麻倉 最初に楽曲を決める際に、いくつか候補曲をいただいて、その中でどれがいいかを決める段階があったんです。確か3人とも推し曲が違ったんですよね。それで3人とスタッフさんたちで話し合って、2~3曲に絞ってアニメサイドの方に決めていただく、という流れだったのですが、最終的に決まった曲は、本当に王道キラキラ青春という感じで、TrySailとしては久しぶりに青空感がある楽曲になったな、という印象でした。疾走感があって爽やかで素敵な楽曲だったので、個人的にはすごく嬉しかったですし、早く歌いたいなと思っていました。
夏川 私もまさしく王道爽やか路線の青春ソングという印象でした。曲調はもちろんですが、歌詞も最終的に作品にかなり寄せて作っていただいたなと思います。この作品は、挫折して一度卓球から離れたジャン・ルオイやワン・ルーが、卓球自体を楽しむことを取り戻そうとしていく物語なのですが、その魅力がすごく優しく歌詞に表れていて。“今を生きる私 ちゃんと愛していたいから”というフレーズもあって、夢に向かって頑張ったけど今は立ち止まっている、という自分を肯定してくれるような歌詞なので、そういう気持ちで聴いていただけると嬉しいです。
雨宮 TrySail的には今年5月から10周年イヤーなのですが、私たちが最初の頃に歌っていたようなキラキラした楽曲で、その意味ではちょっと立ち返るような気持ちもありました。きっと自分たちだけでは、10年経った今、あえてそういう楽曲を積極的にやろうとは言えてなかったと思うので、タイアップだからこそ改めて出会えた楽曲だと思います。実は最初の歌詞は、もう少し過去を見つめるような内容だったのですが、私としてはこの作品は過去を踏まえての“今”をすごく描いていると思ったので、「もう少し“今”や、その先の“未来”に目線を向ける歌詞にできませんか?」と提案をさせていただいたんです。他にも“Yシャツ”という言葉を、この作品の制服はYシャツではないので、より作品とリンクする“シャツ”に変えていただいたりして。最初の段階で私たちも意見を出し合えるように作ってくださったのがすごくありがたかったですし、細かいところまで丁寧に作品に寄り添う楽曲になったと思います。
――本楽曲の作詞を担当したのは、数多くのアニメ楽曲を手がけてきた唐沢美帆さんですものね。レコーディングではどんなことを意識して歌いましたか?
雨宮 まず私がレコーディングしたのですが、最初は楽曲の雰囲気から希望や青春感を重視して歌っていたんです。でも、ディレクターと話していく中で、「とはいえ歌っている私たちはもうだいぶ大人だし、アニメを観る方も大人の方が多いだろうから、10代のキラキラ感を“演じる”というよりは、今の私たちの等身大の青春感があってもいいんじゃないか」ということになって。そこで、ある程度の経験や地に足がついた感じもありながら、しっかり前を見据えて青春していくようなイメージで歌いました。段階を重ねるごとに、爽やかさや軽さもあるけど、重さの部分もしっかり出すような形になっていきました。きっとデビューした頃の楽曲よりも、どっしり感を感じていただけると思います。
夏川 私も家で覚える段階では、曲の爽やかさやサウンドにある儚さみたいなものに引っ張られて、キラキラ感多めの明るい声で歌おうと思っていたのですが、現場で天さんの歌を聴いたうえで、ディレクターの方にも同じようなことを言われて、どこかで泥臭さを出すように調整しながら歌いました。サビの一番張って高らかに歌うところで、ちょっとした必死感というか、「頑張って出してギリギリ届いた感」「手を伸ばしてギリギリ触れた感」みたいなものが表現できるんじゃないか、ということで、結果的に爽やかな音に対してかなり力強く歌った印象です。それこそ今の私たちにしか歌えない青春感が作れたかな、と思います。
麻倉 私はレコーディングの順番が最後で、2人が先に歌って方向性の固まったものがあったので、スムーズに歌うことができました。私も「もっと大人に」「今の私たちが振り返った時のような、ノスタルジーを感じるようなものにしたい」というディレクションを受けたので、A・Bメロはそれこそ地に足のついた感じで歌って、サビはこの作品のキービジュアルみたいな青空と疾走感を意識して歌いました。それとDメロは「もっとエモく」と言われたので、大人の人が聴いたら昔を思い出せるような、ちょっと切ない情景が浮かぶ歌を意識しました。
――そういった爽やかかつエモーショナルなアプローチは、アニメのスポ根要素ともリンクすると思いますが、TrySailとして10周年イヤーを迎える今の心境や状況と重なる部分もあったのでは?
夏川 それこそディレクターさんからは“大人の青春感”と言われたんですけど、今、私たちが“お祭りマッスルユニット”を自称しながらステージでやっていることは、外から見ると青春に見えるみたいなんです。「君ら、今、青春やってるでしょ」みたいなスタンスだったので(笑)。私自身もステージに立つのは楽しいし、みんなでチームになってひとつのものを作って届ける体験に仕事という枠組みだけではない何か、青春と似たものを感じていたので、そこはすごくリンクするかなと思います。
雨宮 私はさっきもお話ししたように、ちょっと初心に帰るというか、立ち返るような感覚の方が強かったかも。でも、その“立ち返る”というのは、いろんなことを経てないとできないことでもあって。10年経った今、立ち返るからこそ出てくる表現や新しさがこの楽曲にはあると思うので、そこに10周年を感じてもらえると嬉しいです。
麻倉 レコーディングの時は、10周年のことは意識していなかったのですが、今の質問を受けてこの曲の歌詞を見ると、確かにリンクする部分はあるかも、と思いました。この10年、楽しいことも大変なこともあったけど、結果的に10年続けてここまで来ることが出来た。皆さんも何かしら今まで頑張ってきたことがあると思うので、その意味で多くの方に刺さる楽曲になったと思います。
――それこそ、今年3月に行われた日本武道館2DAYS公演“「LAWSON presents TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in 日本武道館」”の3人の姿からは自分も青春を感じましたが、当の皆さんは今のTrySailの活動に“青春感”を感じていますか?
夏川 青春感か……。私もディレクターに言われて、「あ、そういう風に見えるんだな」と思ったんですよね。我々としては必死というか……。
麻倉 でも、ライブをやっていると「あ、なんか青春してるな」とは感じますね。TrySailのライブは特に。もちろん表情で見せるパートもあるのですが、スポ魂みたいにパッションで突っ走るところも多いので(笑)。多分、この3人に共通しているのが、ライブの時に「全部出し切る」というか「自分の限界に挑戦する」みたいなところなんです。毎回、全部を出し切ってステージを終える、ということを各々が意識していると思うので、そういう3人の想いが合わさって、あのマッスルなステージが出来ていると思うと、ちょっと部活っぽいなとは思います。
雨宮 確かに3人いるからこそ、という部分はあって。例えば、私がその場の思い付きで予定外のことをしたとしても、2人がいれば立て直せるので、ある意味ちょっと無責任に暴れられるんですよね(笑)。大人になるとどうしても守りに入ることが多くなって、衝動よりも頭で考えて行動することが増えると思うのですが、学生時代の青春みたいに気持ちのおもむくまま無鉄砲に突っ走ってみることが、この2人となら出来る。それで私が大コケしても戻ってこられるから。武道館のライブを観てくださったならわかると思うんですけど、私、歌い出しに間に合うかどうか、というタイミングがあって。
――そういえば、雨宮さんがステージを縦横無尽に駆け回りまくって、歌い出しギリギリに戻ってきた瞬間がありました。
夏川 あれは間に合ってないって(笑)。
雨宮 私の判定では間に合ってるから(笑)。でも、そういうことができるというのは、やっぱり学生時代の突っ走れる青春感に似たものもあるのかな、と思いますね。
夏川 プラスして「失敗が怖くなくなった」というのもあると思います。TrySailとしてデビューしたての頃は、ライブは失敗してはいけないものと思っていました。けれど、今は、もちろん失敗しないに越したことはないのですが、したとしても愛嬌というか、そこも力に変えて楽しいライブを提供できる自信が付いたので、そこも10年前と比べて変わったところだと思います。
麻倉 やっぱり1人でライブをする時とは全然違っていて。ソロだと何かあっても何とかするのは自分しかいないじゃないですか。2人なら信頼もありますし、この10年でどういう人物なのかもわかっているので、何があっても大丈夫、という安心感はあります。だからこそ楽しい気持ちでステージに立てている部分はありますね。
――『卓球少女 -閃光のかなたへ-』で描かれる卓球のダブルスもチームプレイが大切ですし、その意味でも今のTrySailがOPテーマを歌う意味があるのかもしれないですね。最後に本作を期待している人に向けて、作品の見どころ、アピールポイントをお願いします。
麻倉 とにかく卓球のシーンが、すごいスピード感と美しさで、思わず見入ってしまうくらいなんです。本当に息をするのも忘れてしまうほどの臨場感があるスポーツなので、その臨場感を皆さんにも劇場で味わって欲しいと思います。キャラクターも個性豊かな子ばかりで、きっと誰かしらに共感できる部分があると思いますし、挫折を経験したことのある方や今何かを頑張っている方にも「わかるな」と思っていただける作品になっていると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。
雨宮 卓球の試合シーンにしっかりと尺が使われていて、どの試合も丁寧に描かれているので、卓球経験がある方は絶対楽しんでいただけると思いますし、詳しくない方もリ・シントンが解説してくれたりするので、きっと没入して楽しめると思います。挫折を経験してきた子たちがそれを克服していく物語でもあるのですが、決して視聴者を置いていくことなく、あくまで日常を描く中で少しずつそれぞれが感じるものがあって、スタンスが変わっていく、という描かれ方をしているので、きっと最後まで観た時に心に良いものが残るはずです。ぜひ力を抜いて観に来ていただけたらと思います。
夏川 タイプも性格も違う、おそらく目指してるものや卓球への向き合い方もちょっとずつ違う少女たちが、「卓球が好き」という思いだけで結束して友情を育んでいく、とても美しい物語でもあるので、そんな少女たちの関係性という意味でも楽しんでもらえると思います。それだけではなく、今まさに何かに向かって頑張ってる人や、未来を見ているけど今はちょっと立ち止まってる人、色んな人生のタイミングにいる人の背中を押すというよりも、背中をさすってくれるような、「それでいいんだよ」と言ってくれているような物語ですし、我々の歌う主題歌もそんな作品に寄り添うような曲になっているので、ぜひとも曲にも注目して楽しんでいただければと思います。
●作品情報
『卓球少女 -閃光のかなたへ-』
絶賛公開中
上映劇場
北海道:札幌シネマフロンティア
東京:新宿バルト9
東京:TOHOシネマズ上野
愛知:ミッドランドスクエアシネマ
大阪:T・ジョイ梅田
福岡:T・ジョイ博多
【スタッフ】
原作:画枚動画
監督:佳菲
プロデューサー:賈雪雯
脚本:渣克、LAX、佳菲
キャラクター設定:羅芸蓓、煎餅果子
演出:黄元哲
作画監督:張志浩、梁博雅
アクション作監:胡博、SMDK
美術監督:濃眉超人、宋廷静
撮影監督:梁博文
音響監督:郭川
音楽 :厳世濤、薛振華
アニメーション制作:杭州画枚動画設計有限公司
<日本語吹替版>
音響監督:横田知加子
音響制作:グロービジョン
配給:アニプレックス
協力:面白映画
【キャスト】
ジャン・ルオイ:夏川椎菜
ワン・ルー:雨宮 天
リ・シントン:麻倉もも
ディン・シャオ:戸松 遥
ロン・シャオ:和泉風花
チェン・ニンニン:石見舞菜香
主題歌
オープニングテーマ:「アストライド」TrySail
エンディングテーマ:「色褪せない夢」CHASER犬舎(不褪色的梦 Japanese Ver.)
『卓球少女 -閃光のかなたへ-』公式サイト
https://pingpong-girls.com/
公式X:@pingpong_girls
https://x.com/pingpong_girls
公式推奨ハッシュタグ:#卓球少女
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