INTERVIEW
2025.04.20
――皆さんが演じているキャラクターが本当に素晴らしかったので、第2話までのシーンを振り返りながらキャラクターを深堀っていければと思っています。まずは、第2話のBパートから登場した、河瀬さんが演じている駒田華子についてですが、マンガ家の春乃の同級生で、久しぶりに現れたと思ったら、春乃をバイクの後ろに乗せてツーリングに出かける自由人です。なぜ会社を辞めてバイクを乗るようになったのかを語るシーンもありましたね。
河瀬 華子さんは、シネフォト部や春乃のマンガのお仕事とは別で、完全に仕事を忘れて、旅に出ているんです。だから本当に楽しい表情をたくさん見せてくれるし、楽しい空気をたくさん作ってくれるんですけど、第2話でぽつんと「職場と家のループから外に出たかったのかな、あたし……」って、思ったことを吐露するんです。華子さんが、自分の内心をほろっとこぼすのは、この時くらいなんですね。だから私もぽつりぽつりと、華子さんの心から出るものを吐露したなあという思い出があります。
――とても印象的なシーンでしたね。
河瀬 華子さん自身が仕事に対してどう思っているのかはわからないですけど、新しい何かを見つけたいと思って、バイクにまたがってみんなに会いに行っているので、彼女の明るさの元にある部分にも注目して観ていただきたいですね。ただ、華子さんは仕事とプライベートを割り切って楽しんでいるので、楽しいお姉さんだなと思っていただければ幸いです!
――シリアスな話をした後に、「なんだ、このマジメな話はっ!?スペアリブいただきっ!!」と照れ隠しをするところも、彼女の性格が出ていますね。
三川 そうなんです!それは河瀨さんにも通じる気がしていて。真剣な話をした時に、「まっ!それは置いといて……」って急に話を切り替えたりするんですよ。
河瀬 自分で空気を戻したくなっちゃうんですよね……。
三川 そういうところは華子さんに近いなと思いました。そこに愛おしさが出ているというか。
古賀 人間なんだよなあって感じがします。こんなに明るい、いつもふざけているお姉さんだけど、自分を変えたいと思う部分があるんだなって。それにすごくグッときてしまって……。
河瀬 そうだね。私も、何かから抜け出したかったりするのかな(笑)。でも、そういう華子さんの一面を、夕日と合わせて描いてくれたのが嬉しかったです。華子さんが仕事している様子の回想シーンとか、どアップではなく、景色と共に流すことで、「華子さんは、きっとこういう景色が見たくて、ここに来たかったんだろうな」と思わせてくれる。すごく感情移入しやすい、良い演出だと思いました。
――ちなみに、華子さんのテンションの高さみたいなところもこだわられていたのですか?
河瀬 そこは楽しくやろ!という感じでした。第2話が初登場だったので、テスト含め本番も、まずは私の思う、明るく今を楽しんでいる華子さんを演じてみて、そこから調整していただくところは調整して、みんなとキャッチボールをしていきたいなと思っていました。声も張り張りで、楽しさが伝わればいいなと思いました。
遠野 先ほどの、言葉で語るわけではなく、風景などの映像で感じさせるという演出は、同じく第2話で登場した桜子にも、似たようなところがあると思いました。
――敷島桜子は、元々は映画研究部で、部員が減り、写真部と共に廃部の危機だったんですよね。
遠野 そこで写真部に誘われて「いいよー入る入るー」って答えるんですけど、そこでさっちゃんが、映画研究部がなくなってしまう桜子の気持ちも慮って、やっぱり映研も廃部にせずに写真部と合併して残そう!と提案するんです。それに対しても桜子は「いいよー合併ねー」ってあっさり返すから、このシーンだけ観ると、すごく軽い雰囲気で話が進んでいくんですよね。でもその後のシーンで、さっちゃんとアンちゃんがカメラをどうやって凧に付けて飛ばせばいいかを2人でわちゃわちゃ話し合っているのを観て、映研にいた時の自分を思い出しているんです。そこも、言葉で説明するわけではなく、映研の先輩たちがいる景色を、さっちゃんたちに重ねている、桜子視点の回想で。そこでさっちゃんに「敷島さん?どうかした?」と聞かれて、桜子は「ううん、別に」と答えるんですけど、この“別に”という言葉の意味以上に、吹き抜ける風やなびく髪、空模様など、アニメーションで描かれている桜子の想いににじんわり来てしまって……。きっと桜子も色んな気持ちを抱えているんだと思うんです。彼女なりに楽しんでいた居場所にたった1人残った今、2人と出会って、ここからワクワクすることが始まるんだ!という期待も、この言葉と画に詰まっていると思いました。
――ここは本当にグッと来るシーンでした。
遠野 何を考えているのかわからないというのも桜子の魅力だけど、ちゃんと見えている世界があるというのがわかるシーンだったなと思います。
――「ううん、別に」の言い方も素晴らしかったです。
遠野 ありがとうございます!この一言は結構緊張していて、大事に録りたいと思っていたので、私も思い入れがあるセリフです。
三川 「ううん、別に」のところは、自分でやってみても難しかったんですよ。絶妙な声色じゃないといけなくて、「今、ちょっとだけ口角が上がっているかも?」っていうところを、声でお芝居している。それってすごく繊細なことなんですよね。私も家でやってみて「なんか違うな」と思ったので、これはとおちゃん(遠野)だからできる塩梅だったのかなと思いました。
河瀬 でも本当に、桜子は遠野ちゃんにぴったりだよね!
上田 ぴったり!そして予想外でもあった。
遠野 嬉しいっ!!
河瀬 アフレコの休憩中に、遠野ちゃんのマネージャーさんが「遠野、こういう役はあまりなくて……」と話しているのを聞いて、そうなの!?と思ったくらい、イメージ的にはぴったりだった。こういう役、あまりやってないんだと驚くくらい、ドンピシャだよ!
上田 テンプレートではないドンピシャリなのがまたすごい!
古賀 もし私が桜子を受けていたら全然違ったなと思うくらい引き出しにないところだったから、グループオーディションで一緒の組だったんですけど、すごく衝撃を受けたんです。ぴったりやんけ!みたいな感動がありました。
河瀬 元々の声色とも合ってるよね。私、直前で他の作品でご一緒していたんですけど、その時は鉄パイプを振り回しながら叫んでいるようなキャラだったから、急に「いいよー」って言ってて、えー!ってなりました(笑)。
遠野 桜子ちゃんって起伏がないからこそ、何をどう滲み出すか、どの方向性に押し出していくかだと思うんです。だから、可能性がありすぎるんですよね。思い浮かぶものは色々あるけれど、どれも桜子ちゃんになりうるんじゃないかと感じて……。そこはすごく悩みました。オーディションでは、色んなカードを並べた中から、これでどうだ!って出した桜子ちゃんのカードだったから、今皆さんからこう言ってもらえて本当にホッとしています(笑)。
上田 楽しかったよ。セリフを聞いていても、次どんな言い方をするのかがわからなくて、いつも楽しい予想外をくれるから、本当にびっくり箱みたいでした。
――続いて秋山春乃ですが、祖母の駄菓子屋に引きこもってマンガを描いているマンガ家です。シネフォト部のさつきとアンに出会い、彼女たちをモデルにした漫画を描くべく、車を走らせ取材に出かけている人ですね。
上田 第2話で華子ちゃんとバイク旅をしているシーンを観て、華子ちゃんと接している時は、さっちゃんたちと話している時と空気感が違うんだなという発見がありました。気を使わなくていいところで、使わないでいてくれる華子ちゃんの人柄。そして同年代であるという部分もあって、すごくリラックスして話しているんですよね。やり取りでも「あたしのことぜんっぜん覚えてなかったし」と華子ちゃんに言われて「それはごめんよぉ~」って返していたり(笑)。無職でずっと家にいると聞いたから来たと言われて「あのね、一応働いてはいるんだよ?」って返したり。この2人だからこそのやり取りがあるので、また違う春乃さんだなと思いました。
――昔からの仲であることがわかりますよね。
上田 華子ちゃんは仕事とプライベートを分けているけど、春乃さんって、マンガというものが常に傍にある感じがするから、きっと華子ちゃんと楽しく過ごしているなかで感じたものを、マンガに落とし込んでいるような感じもして、そこも好きだなあと思いました。
――個人的に春乃さんは、面白要員だとも思っているんです。
上田 面白いですか?どの辺りが面白要員でした?
――車の運転が下手なのに、「い、いつも運転してるんだけどなあ」という誰でもわかる嘘をつき、「絶対嘘ですよね」とアンにツッコまれて「う、嘘です……」と言うところの言い方が、本当に面白くて。
上田 いつも悩みながら家で練習して行くんですけど、みんながどんなテンション感やニュアンスでしゃべっているかによって、受け方が変わる現場なのかなと思っているんです。だからもし春乃さんを「面白い」と思ってくださっていたのなら、それはみんなとのキャッチボールが上手くいっていたからだと思います。春乃さんは、多分私1人では生み出せなかったキャラクターだと思っているので……。
――上映会でも、春乃さんをどう演じればいいのかオーディションの時も掴めていなかったという話をされていましたね。
上田 そうなんです。みんなとの違い、相対的に見たバランスがあって初めて、春乃ってこっちなのかな?となっていったんだと思います。
遠野 春乃さんは、ボケとツッコミの二刀流ですよね。華子さんに、ちょっと遊ばれている、イジられているところもあれば、シネフォト部といる時は、お姉さんでいてくれる。そのツッコミの温度感も、すごく細かくて、色んなパターンがあるんです。優しく収めてくれる時もあるし、一緒にノッてくれる時もあるから、バリエーションが豊かすぎると思いました。あと、各シーンの締めを担うことが多い印象もあって。
上田 多かったかも。
遠野 春乃さん落とし方によって決まるから、私たちが伸び伸びやらせてもらった結果、全部きれいにまとめてくれる安心感、受け止めてくれているなあっていうのを、録りながらすごく感じていました。
古賀 会話を受け止めてくださっているのは、私も感じていました。テストの時にも、私が言ったものに返してくれている感覚はもちろんあるんですけど、本番の時に違う感じで言った時、また違う感じで返してくれるんです。だから、すごく聞いてくれているんだな、嬉しいー!!となっていました(笑)。あと、春乃さんがこたつでゴロゴロしているときも好きで、たいしょう(猫)に話しかけているところも、すごく心地良いリアルを感じられるんです。聞いているだけでほっこりします。
上田 うちにも猫ちゃんがいるから、うちの子に話しかけているようなテンションでたいしょうには話しかけていました。シネフォト部のみんなのことを見ている時も、みんなのことがすごく好きで、見ていたい人たちなんだなって感じるんです。もちろん、マンガ家としての視点もあるんだろうけど、私も春乃さんと同じ気持ちで、この世界を見ていたいなあって思いながらアフレコ現場にいたんです。だから、みんなの芝居を、すごく聞いちゃったのかもしれない。
遠野 確かに、気づいたらいつもニコニコしながら佇んでいらっしゃった気がする(笑)。
――第2話の最後は、「実際にそこへ行きたくなるマンガ……。うん、いいかも!」とモノローグで語るところがあって、やる気を出すという変化もありました。
上田 そうでしたね(笑)。やる気、出してましたね。みんなから良い影響を受けているんだと思います。
遠野 あと、おばあちゃん(CV:新井里美)とのやり取りも好きでした。
上田 おばあちゃんの声を聞いていたから、第1話からどんどんおばあちゃんみは増していったと思います(笑)。ちょっと寄せていってしまうところはありました。
――この祖母がいるからこそ春乃さんがいるんだな感はありました(笑)。
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