あらゆる楽曲を歌いこなすアーティストとして、そして表現力豊かな声優として、近年ますます活躍の場を広げている佐々木李子が、ニューシングル「Palette Days」を完成させた。ランティスからの第2弾シングルとなる本作の表題曲は、自身も声優として出演するTVアニメ『日本へようこそエルフさん。』のOP主題歌。異世界ものながら日常系スローライフ要素もある作品の世界観に寄り添う、ゆったりと心地良い景色が広がるナンバーに仕上がっている。自身が作詞・作曲した「君と僕の星」などのカップリング曲の制作エピソード、久々のワンマンライブを含めた今後の展望を含め、大きく広がる夢と未来について大いに語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――ニューシングルの表題曲「Palette Days」はTVアニメ『日本へようこそエルフさん。』(以下、『エルフさん。』)のOP主題歌。佐々木さんはミュイ役の声優としても参加していますが、どちらの話が先にあったのですか?
佐々木李子 最初は声優のオーディションが先でした。その時に初めてマンガを読ませていただいたのですが、異世界作品にも色々あるなかで、『エルフさん。』は例えば炎に包まれてピンチになっても、目が覚めて日本の現実世界に戻ったり、最後は必ず心が穏やかになれる展開になりますし、日本での穏やかな日常も描かれるので癒しの作品だと思いました。エルフのマリーちゃんが好奇心旺盛で、日本で色んなことにチャレンジしたり、ちょっとしたことでも「素敵!」と喜ぶ表情を見ていると、私も色んなことにチャレンジしたくなりました。
――実際に何かにチャレンジしたりは?
佐々木 私は元々インドア派なのでお休みの時は家でゆっくり休むことが多かったのですが、最近は隙あらば友達と遊びに行ったり、旅行に行ったりしています。1人での行動も増えて、1人旅もしますし、やりたいことリストも常に更新していて。この作品をきっかけに油絵も始めましたし。
――そういえば年始に、今年の干支の蛇の絵を描いていましたね。
佐々木 そうなんです。イラストを描くのは昔から好きなのですが、いつもはコピックペンで簡単に描くくらいだったのが、最近は色んな絵具を使っていて、水彩画にも挑戦し始めました。それと言語も習っていて、中国語をオンラインレッスンで毎週教わっています。マリーちゃんが(劇中で)アニメを観て一生懸命日本語を勉強している様子に刺激を受けて、「私もやろう!」と思って。
――この作品が背中を押してくれたんですね。ミュイのキャラクターの印象はいかがでしたか?
佐々木 私は動物好きなので、モフモフなところがいいなあと思いました。今まで人間以外の生き物を演じる機会はあまりなかったので、これまでとはまた違ったお芝居の仕方をできればと思って、動物っぽさ出すためにネコちゃんの動画を観て研究しました(笑)。怯えるシーンやピョン!と飛び出すところでは人間よりも俊敏なところや鳴き声が漏れる感じを意識したりして、演じていて楽しかったです。原作ではマリーちゃんから「語尾ににゃんってつけて」と頼まれるシーンがあるのですが、もしかしたら今後そういうシーンが見られるかも……。
――楽しみにしています。佐々木さんが歌うOP主題歌「Palette Days」は作品のどんな部分に寄り添った楽曲だと感じますか?
佐々木 この曲はミディアムバラードなのですが、平和で穏やかで温かい雰囲気が作品にリンクしていて、始まりの曲としてぴったりだと思います。冒頭の歌詞“微睡を抜け出した先”のところは幻想的な感じで、そこから開けていくところは旅に出て冒険する様子と繋がりますし、“あなたが隣にいたら怖くないの”というフレーズはマリーと一廣が一緒に新しいことに挑戦していく気持ち、それとマリーと一廣の距離が少しずつ近づいて愛を知っていく部分も反映されていて。あとは『エルフさん。』は美味しい食べ物がたくさん出てきてお腹がすくアニメでもあるので、1番Bメロの“味見して、 驚いて”は個人的にもお気に入りのポイントです。私も食べることが好きなので。
――余談ですが、佐々木さんはどんな食べ物が好きなんですか?
佐々木 辛いものが大好きで、特に麻辣湯が好きです!今日も食べたくらいで。私は元々、辛いものが苦手だったんですけど、食べるにつれて好きになったので、自分の中では特別な食べ物なんです。歌詞の“味見して、驚いて”のところも、麻辣湯がお店によって味や辛さが違うことがあるので「今日のはいつもより美味しい!」と思った時の記憶を思い出しながら歌いました(笑)。
――佐々木さんが本作に寄せたコメントに「この作品をきっかけに、お料理が趣味になりました!」と書いていましたが。
佐々木 そうなんです、お料理教室に通い始めました。最近は忙しくて行けてないんですけど……でもでも!チケット制なので5年以内なら大丈夫なんで!(笑)。それまではまったく料理をしなくて包丁の持ち方も危ういくらいだったのですが、教室で基礎から教えてもらって。日本料理や中華料理を作る時もありますし、ぶり大根を作った時はすごく美味しくできました。パンも生地をこねるところから初めて挑戦して。だんだん醗酵して膨らんでいく姿にすごく愛着が沸いたので、パン作りは極めたいなと思っています。
――その他にこの曲の歌詞で共感できたフレーズはありますか?
佐々木 真崎(エリカ)さんの書いてくださった歌詞はどれも素敵なのですが、特にサビの“一瞬ごとが宝石のように胸で輝いて そして愛を知ってく”ですね。私は失敗や何かをやらかしても、それをポジティブに捉えられる達人なんです。そこで落ち込むのではなく、それも自分を成長させてくれたものとして捉えるタイプなので“楽しい”だけでなく色んな感情が大切な思い出だと感じていて。なのでどんな一瞬も感情も輝きだと思いますし、このフレーズは特に胸に響きます。
――失敗もすぐ自分の糧に転換できるのはかなりポジティブですね。
佐々木 友達に「ポジティブすぎるよ」と言われることもあります(笑)。でも、悲しい出来事やつらいことがあったとしても、だからこそ書ける歌もあるし、例えばお芝居をする時も、そういう経験があるから気持ちがよりわかって表現できることもあって。人生のすべてが必然な出来事だったと思うくらい、全部が大切な要素だと思います。
――レコーディングではどんなイメージで歌いましたか?
佐々木 前作のシングル「Windshifter」の時はランティスからのデビュータイミングで、新たな佐々木李子としての最初の作品だったので色んな方にアドバイスを求めてレコーディングに臨んだのですが、今回はほぼ相談もせずありのまま伸び伸びと歌わせていただきました。自分の意志で一歩を踏み出して色んな場所に行ったり、マリーちゃんが色んなことに興味を持って新しいことにチャレンジする『エルフさん。』の世界観にも合うと思ったので、そういう自由さを大事にしました。
――佐々木さんは楽曲ごとに様々な歌い方のアプローチができるなかで、この曲では優しさや包容力が強く出ているように感じました。
佐々木 確かに包み込む感じは意識しました。でも、聴いてくれる人を勇気づけたい気持ちもあったので、ただ優しいだけではなく、サビでは力強さも入れながら歌っていて。とはいえあまり頭で考えて歌うのではなく思いのまま歌ったので、無意識に出た部分が強いと思います。それと(収録にあたって)アニメを観て、改めて日本には素敵な景色や食べ物がたくさんあると感じたので、自分の生まれ育った日本の好きな景色や食べ物を想像しながら、イマジネーションを大切に歌いました。
――この楽曲において新しくチャレンジできたこと、もしくは今までの楽曲の経験を活かしたポイントはありますか?
佐々木 私は力強くロックに歌うことが多くて、常に全力なので力が入り過ぎてしまうこともあったのですが、この曲では力を抜いて歌うのもいいことに改めて気付かされました。力を抜いたことが膨らんで力強さに繋がることもありますし。その意味ではこの曲では引き算をたくさんして、今までになかったアプローチだったかもしれません。
――そこは作品のリラックス感や癒し要素に引き出されたのかもしれませんね。MVは佐々木さんが一人旅を楽しむほっこりした雰囲気の映像に仕上がっています。撮影時の思い出をお聞かせください。
佐々木 エルフっぽいふわふわの衣装を着ている大きな木の側で撮ったシーンは栃木のすごく広い牧場で撮影したのですが、天気は良かったのですがすごく寒くて。でも温かい作品なので、異世界にいるような気持ちで優しい表情で撮影しました。もう1着の衣装、コートを着た私服風の衣装では電車の中で撮影するシーンが多かったのですが、電車の乗り換えに遅れると何時間も待つことになるし、トンネルを通っている時は撮影できないので、時間の管理が結構シビアで大変でした。お弁当を食べたりお茶を飲んでむせるシーンもあって、私もここが正念場だと思ってかなり緊張していたのですが、スタッフさんのおかげで純粋に楽しくて自然な表情ができました。
――お弁当は美味しかったですか?
佐々木 美味しかったです!『エルフさん。』の原作に登場するお弁当を再現してくださったので、その嬉しさも相まって美味しかったですし、タコさんウインナーもたくさん用意してくださっていて。私が食べてもまた補充してくださるんですよ。なのでたくさん食べちゃいました(笑)。
――佐々木さんも自分でお弁当を作ることはある?
佐々木 つく……らないです!(笑)。でも、一廣が毎日仕事なのに前日にお弁当の仕込みをしっかりしているのを見ると、私もいつかそうなれたらと思いますし、周りのスタッフさんが愛妻弁当や手作りのお弁当を食べていたりするのを見ると、せっかくお料理教室にも通っているので身になるように頑張りたいなと思います。
――ちなみにシングルの【アーティスト盤】同梱のBlu-rayに収録される「Sasaki Rico presents“エルフさんおもてなしプラン”」は、どんな映像になりますか?
佐々木 もしエルフさんが日本に来て私と1日遊びに行くとしたらどこに連れて行きたいか、何をお薦めしたいか。そのプランを私が大きなキャンバスにイラストで描いてプレゼンする企画の映像になっています。朝は私が作ったパンを一緒に食べて、その後は一緒に浅草に行って……実際にそのプランを実現するわけではなく、完全に想像なんですけど(笑)。詳しくはぜひ購入して観てほしいです。イラストも大きなキャンバスに描いてボリュームある内容になっているので、楽しみにしておいてください!
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