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INTERVIEW

2025.01.26

自分の辿ってきた軌跡には確実に愛情が存在していて、それが自分の糧になっている──『青の祓魔師 終夜篇』EDテーマ「オーバーラップ」にシユイが込めた想いを聞く

自分の辿ってきた軌跡には確実に愛情が存在していて、それが自分の糧になっている──『青の祓魔師 終夜篇』EDテーマ「オーバーラップ」にシユイが込めた想いを聞く

「オーバーラップ」は羊水の中をイメージして

──歌声について“優しくなっている”というお話がありましたが、「オーバーラップ」からは包み込むような大きな愛を感じました。

シユイ 作曲してくださった雪乃イトさんともこの楽曲の包み込むような優しさについてたくさん話しました。ただ、雪乃さんはウユニ塩湖(ボリビア南西のアンデス山脈にある世界最大の塩原)のような何もない場所で1人で葛藤するイメージを抱いていたそうです。それって包み込むこととは一見違うようですが、私が思い描いていた感覚とは近いんですよ。私がイメージしていたのは、母の胎内の羊水の中のような……。

──私もまさに羊水の中をイメージしていました。その中で1人で漂うような、孤独だけど温かい感覚。

シユイ そうです。1人きりの空間で誰も干渉することはできないけれど、自分の辿ってきた軌跡には確実に愛情が存在していて、それが自分の糧になっているということを表現している楽曲だなと思いながら歌っていました。

──歌っている最中は具体的なキャラクターが思い浮かんでいたんですか?

シユイ あまり人は思い浮かべていなかったんですよね。上昇していくような曲だなというイメージがあったので、人物よりも空間を重視していました。閉塞的な青い建物の中にある螺旋階段を一歩一歩踏みしめるようなイメージ。ただ、この曲には曲線的な柔らかい要素がありつつも、幾何的な角っぽさや直線っぽさを少し感じることもあって、それが藤本獅郎やユリ・エギンの心情に近いのかなとは思っていました。また、二律背反など普段は使わないような言葉も歌詞の中に入っていて、物語を読むように歌えたと思っています。

──開けるようなサビもすごく印象的です。自分を肯定してくれるようなブライトさと言いますか。

シユイ まるで「生まれた!」というような、気分が明るくなるサビですよね。OPテーマのamazarashiさんの「痛覚」が大好きでよく聴いているんです。ひりつくような痛みを感じるような曲なのですが、それが『終夜篇』にピッタリだなと思っていて。一方の「オーバーラップ」は傷ついた登場人物だけでなく、視聴者すらもまるごと抱きしめてくれるようなイメージなんです。なので『終夜篇』のエンディングでこの楽曲を聴いたら「ああ、良かった」と少し安心して寝られるような気がします(笑)。雪乃さんが手掛ける曲って口ずさみたくなるような、まるで水のような音で、心地が良いです。

──制作の過程で雪乃さんや、作詞された出口遼さんとの話で印象に残っていることはありますか?

シユイ 雪乃さんとはこれまでも何曲か一緒に制作させていただき、誕生日プレゼントをあげるくらいには仲良しなんです。出口さんとは今回のレコーディングで初めてお会いしたんですが、お二人とも『青の祓魔師』が大好きというお話をされていて。レコーディング当日に「あの場面が良いよね」など、作品に関する話で盛り上がりました。『青の祓魔師』を通じて素晴らしいご縁をいただき、こんなにも良い楽曲ができて嬉しいです。しかもこの曲を多くの人が歌ってくれているようで、カラオケランキングで3位になっていた時もあったようなんです。シユイの楽曲の中でも歌いやすい部類の曲だと思うので、ぜひ皆さんにも歌ってほしいです。

──歌うときのポイントはありますか?

シユイ 前半は「大丈夫やで」と包み込むような気持ちで優しく歌って、後半は「いってまえ~!」って気持ちで、“塗り変えよう”の辺りはもう「殴りに行ったれ~!」くらいの勢いで歌うのが良いと思います(笑)。それと最近、「口を大きく開けて」というアドバイスをいただいて実践しているんですよ。特に「オーバーラップ」はここを意識することでより歌いやすくなるんじゃないかなと。

──ところで、「オーバーラップ」についての思いをXに手書きで投稿されていましたよね。とても達筆で驚きました。以前、手紙を書くのがお好きだとお話されていたことを思い出しましたが、今も手書きで想いを伝えることはよくされるんですか?

シユイ 実は昨日手紙を書いたところなんです。(インタビュー現在で)もうすぐ“棗いつき Birthday LIVE 2025”(1月18日)にゲスト出演させていただくので、その時に渡せたらなと彼女に3枚くらいに想いを綴って。やっぱり手紙って良いなと思いました。

──シユイさんの歌も、手書きの手紙のような温かさに近いものを感じます。日記も手書きで書かれているんですよね。

シユイ はい。いつもカバンに忍ばせていて……そのせいでいつも荷物が重いんですけど(笑)。ページにはみ出るくらい書いています。私、日本語が大好きなんですよね。

──どんな部分で日本語に惹かれるのでしょう?

シユイ 存在そのものが好きなんです。ライブに遊びに行くと、そのシンガーの方が放たれるシャボン玉のような音と形が魅力的だと感じます。日本語って柔らかいですよね。今回の曲もその柔らかさが出口さんのおかげで出ていると思います。

──そして「オーバーラップ」のシングルにはカップリング曲としてjon-YAKITORYさん作曲の「はちみつ」も収録されます。今回のシングル制作を振り返っていかがですか?

シユイ 雪乃さん、jon-YAKITORYさんともとても仲良くさせていただいていて、実は3人で飲みに行くこともあるくらい親しい仲なんです。だからこそ、どちらの曲も「友達が作ってくれた」という感覚があります。大好きな人たちが生み出してくれた楽曲だからこそ、愛情を込めて歌いたいなと思っていました。収録曲どっちも仲良しな人が作ってくれているシングルってなかなかないんです。なのですごく幸せな制作でした。シユイは本当に周りに恵まれていて、色々な方に愛情をいただいています。

──お話を伺っていくなかで、シユイさんは「シユイ」というアーティストをすごく俯瞰で見つめられているのを感じました。

シユイ そうですね。その傾向がさらに強くなってきているかもしれません。シユイはインターネット上の歌い手の1人としてのキャラクター性を持ちながらも、この世に生まれた個人として動いているなと感じていて、自分自身とは少し違うようにも思うんですけど自分が歌えばシユイが動くみたいな感覚です。

──最後に今年挑戦したいことを聞かせてください。

シユイ 東京以外の地域にライブしに行きたいです。今まで東京でしかライブをやったことがなかったので、今度は私から「ありがとう」の気持ちを届けに行けたらいいな、と。制作のことで言うと、いつか歌詞も書いてみたいですね。それと先ほどお話しした通り、最近歌う時に口を大きく開けるようにしたので、この歌い方で色々な楽曲に挑戦したいなと思っています。

──アニメ楽曲のタイアップも増えてきましたよね。今後も楽しみです。

シユイ 「オーバーラップ」を初めて聴いたときに「これは劇場版すぎる!」と思ったんです。すごく壮大で、これは映画館で聴きたいなって。これまでテレビアニメのタイアップを担当させていただくことが多かったのですが、今後は劇場版の主題歌を担当できたらいいですよね。結果的に映画館で自分の歌声を聴けたらいいなと思っています。


●リリース情報
「オーバーラップ」
2月26日発売

【初回仕様限定盤(CD)】

価格:¥2,000 (税込)
品番:AICL-4730
初回仕様:ジャケット絵柄ステッカー封入

【期間生産限定盤(CD+Blu-ray)

価格:¥3,500(税込)
品番:AICL-4731~2
アニメ描きおろしジャケット仕様、ジャケット絵柄ステッカー封入
©加藤和恵/集英社・「青の祓魔師」製作委員会

<BD>
TVアニメ『青の祓魔師 終夜篇」ノンクレジットエンディングムービー

<CD>
1. オーバーラップ
2. はちみつ
3. オーバーラップ (Instrumental)
4. はちみつ (Instrumental)
5. オーバーラップ (TV Size)

関連リンク

シユイオフィシャルサイト
https://www.shiyui.jp

シユイオフィシャルX
https://x.com/Shiyui_0111

シユイオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCx36iGYN8RNvCHRTgEecjnQ

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