声優・アーティストの岡咲美保が、1月8日に5thシングル「JOY!!」をリリース。アニメ『没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた』(以下:『没落貴族』)のEDテーマに起用された表題曲は、岡咲ならではの跳ねるようなボーカルアプローチがサウンドと非常によくマッチしたダンスポップで、聴く側が自然と心弾む仕上がりに。さらにカップリング曲には「岡咲美保1stフォトブック おかさきみほん!」のイメージソングや40mP提供の切ないラブソングといった、個性豊かな3曲が揃った。そんな本作に岡咲はどう向き合い、取り組んだのか。じっくりと語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
――最初に、「JOY!!」初回限定盤に映像が収録されている、昨年開催の“Miho Okasaki 2nd LIVE 2024 ~ハッピーメモリー~supported by animelo”についてお聞きします。“Miho Okasaki 1st LIVE 2024 ~キラメキブルーム~ supported by animelo”と違いを感じた部分はありましたか?
岡咲美保 もう、(ステージに)立つ前から全然違いました!1stライブの時は楽しみ以前に自分の中に恐怖があったんですけど、実際ステージに立ったら本当に楽しくて!その時に「自分自身も、なんだかんだで築き上げてきたものがあったんだな」と気付けましたし、それに応えてくれるみほちゃんず(※岡咲のファンの総称)の姿も目に焼き付いたんです。その状態での2ndライブだったので、リハから「かますぞ」みたいな気持ちになれていました。あとは、演出面や衣装についてもやりたいことをどんどん言語化していって作れたステージだったというのも大きな違いでしたね。
――実際ステージに立ってから感じた違いもあったのでは?
岡咲 ありました。まず、1stライブの光景が脳内にインプットされていたから、最初から私が元気でした(笑)。それに、1stライブでは後半にかけて徐々に気持ちが乗っていく感じだったんですけど、2ndライブは当日朝から「やってやるぞ!」というスイッチが入れられて、ライブの最初から思い切ってパフォーマンスできたように思っています。
――1stライブから約半年後に2ndライブを開催できたのも良かったのかもしれないですね。
岡咲 だと思います。1stライブから時間が空いてしまったら自分の中で「(ライブが上手くいったのは)まぐれかな?」みたいになってしまったかもしれないですけど、あまり期間をおかずに2ndライブをやれたことで「自分、できるな」と腑に落ちていた部分がたくさんありましたから。
――そんな様子も「JOY!!」初回限定盤のBlu-rayで観ていただきたいですね。
岡咲 ぜひ!やっぱり現地が一番ではあるんですけど、2ndライブに来てくださった方の中で「1stライブの映像を観て遊びに来ました」という声も結構届いていたので……この映像を観て、7月の “Miho Okasaki 3rd LIVE 2025 ~ハートシェイキング~ supported by animelo”に足を運んでほしいです!
――では続いて、収録曲についてお聞きしていきます。表題曲「JOY!!」はコンペで曲を選ばれたそうですが、決め手になったのはどんな部分でしたか?
岡咲 決め手は“中毒性”でした。それは私が曲を選ぶうえで一番大事にしている部分なんです。やっぱり作家さんも魂を込めて作ってくださっているし表現って正解がないから、コンペで寄せていただいた曲たちをずっと聴いているとどれも良く聴こえるんです。でも、毎回最初に思い出すフレーズって決まっていて、それが今回は「JOY!!」の“Let’s JOY!!”の部分だったんですよ。ここのメロディに「なんかわかんないけど乗れる」「私、多分この曲が本能的に好きなんだな」と感じたのが決め手になりました。あとは英語かな?そういえば今まで、基本日本語で戦ってきたなと思って(笑)。
――たしかに、歌詞中の英語は少なかったですね。
岡咲 でもこの曲では英語の歌詞がダンサブルなサウンドにも合っていますし、私が中毒性の次に大事にしている“挑戦”にも当てはまっていて、「(英語の歌詞を)歌ったことないけど、私らしさが感じられるから挑戦しなきゃ!」みたいに思えて。そうやって選んだ曲に対し、『没落貴族』に寄り添える歌詞になるように西川サスケさんと相談させていただいて完成したのが「JOY!!」なんです。
――西川さんとのやり取りのなかでタイアップ作品に歌詞を合わせていったと。
岡咲 はい。AメロやBメロでは、『没落貴族』で自分が演じるクリスちゃんが主人公と出会って女の子らしくなり「ご主人様ー!」となついていく様子を、「女の子が好きな人や憧れの存在と出会って変わっていく姿」に重ねたいと思って。「アニメの主題歌ではあるんですけど、日常の中で聴いた時に『憧れの存在に向かっていく気持ち』にも寄り添える曲でお願いします」とお伝えしました。
――クリスはED映像にも登場します。
岡咲 しかも“鏡とにらめっこ”のフレーズでクリスが鏡を見ていたところが、私のMVとシンクロしているんですよ。そういうところで作品と楽曲が寄り添っていると感じられたのは嬉しいサプライズというか。意思疎通ができたような感覚があって嬉しかったです。
――先ほど選曲のポイントとして「挑戦になるところも欲しかった」とおっしゃられていました。実際のレコーディングでも挑戦した点はありましたか?
岡咲 私の素の歌声はバラードやダーク系が出しやすいんです。なので収録やライブの時はコントロールしてエネルギーを上げて歌っているんですよ。「JOY!!」も明るく聴かせたくてエネルギーを高く歌っていて。でもこの曲は縦のリズムがはっきりしているから乗り遅れられないので、普段やっているセリフ調の味付けができないし、頭でっかちになったらそれも聴いた人に気付かれてしまうとも思ったので、自分もずっと縦揺れしながら歌って……。気力も体力もすごく必要なレコーディングでした。
――エネルギーは使ったけれども楽しいレコーディングでもあったのでは?
岡咲 そうですね。ダンサブルでグルービーなノリの曲ってあまりやったことがなかったので、レコーディング前は「難しい曲だなぁ」とビビっていたんです。でも「こうやったら映えるな」という感覚で歌ったらハマったと感じる瞬間が結構多かったんですよ。自分としては意外なくらいスムーズに歌えたので「こういう方向性の曲に今後もチャレンジしてみるのもアリかも?」なんて思いました。
――印象通り“挑戦”と“私らしさ”が感じられる楽曲に仕上がったと。
岡咲 そうですね、「やったー!」みたいな(笑)。あと私、音楽をビタミン剤みたいに摂取することが多いので、「『JOY!!』を聴いたら、朝イチだけどなんだか楽しくなっちゃう!」みたいな曲になってほしいなとも思っているんですよ。
――それは、アニメから離れて聴いても?
岡咲 はい。私、アニメタイアップ楽曲を歌えることはすごく嬉しいですし、一番大事にするのは作品に寄り添うことだと考えているんですけど、「そこだけで終わっちゃダメだな」とも思うんです。「ライブでもこういう役割を担ってほしい」とか「日常に寄り添ってほしい」とか、“岡咲美保の曲”としてだけでも十分に輝くところまで想像できないとやっぱりダメだなという想いがあるので、アニメのエンディング以外でも「JOY!!」を聴いてパワーをチャージしてくれたらすごく嬉しいです。
――そしてこの曲のMVも公開になっていますが、こちらは2人の岡咲さんが登場します。
岡咲 今回はMVでやってみたいことについてチームのみんなと打ち合わせをしている時に、「変身したいです」と提案させてもらいまして。まだお洒落を知らないウブな女の子がお洒落になっていく過程とか、かわいい子が自分とは雰囲気の違うかっこいい子に憧れてかっこ良くなるとか……とにかく「ギャップのある2人の岡咲美保を見せたい」と思ったんです。それで最初は部屋着の状態で登場し、サビでは“妄想の中”とも取れるようなステージに上がるという構成にしました。
――今作の初回盤Blu-rayに収録されるメイキング映像では、スタッフさんからの「かわいいー!」という声が上がっていました。
岡咲 MV撮影を重ねるにつれ、「かわいい」と言われると私が明らかに調子づくのがバレているんだと思います(笑)。実際に2種類の岡咲美保で撮影をして思ったのは、どちらの自分も好きだということでしたね。“妄想の中”での黒い衣装はこれまで全然着たことがなかったので新鮮でしたし、部屋着状態は「女の子もときめく女の子」のカットが多かった気が……女の子としてはしています(笑)。それが「JOY!!」の歌詞にも合っていますし、自己肯定感も上げてくれるような“女の子の味方ソング”になったら嬉しいですね。
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