この先も、どこまでも変わらずに、すとぷりは歩み続ける！10周年への決意を新たにした“すとぷり Best Album Release Party 2025”ファイナル公演をレポート！

2016年6月4日、リーダーのななもり。が出自の異なる5人の活動者に声をかけ結成した2.5次元アイドルグループ・すとぷり。筆者は、1月8日の初のベストアルバム『Strawberry Prince Forever』リリースを記念して、さいたまスーパーアリーナで開催された2Daysワンマンライブ、すとろべりーめもりーVol.Forever!!『“すとぷり Best Album Release Party 2025”』のうち、1月12日のファイナル公演を目撃した。

TEXT BY 小町碧音
PHOTOGRAPHY BY 林晋介、原田圭介、小瀬広明

いちごカラーで染まった会場＝揺らぐことのないすとぷり

さいたまスーパーアリーナが、いちご畑に変わっていた。カラーチェンジが6色のペンライトを持つリスナーたちが、無意識のうちにこの光景を作り上げていた。それは、すとぷりが「すとぷり」であり続けた証のようでもある。今年で結成9周年目。メンバーがグループとしても、個人としても挑戦を続けてきた9年間。、この日ステージに立ったのは、頼もしくもあり、確かにあの頃の6人の「すとぷり」だった。

「今までこうだったからこうじゃなきゃいけない。そういうのは全部取っ払って、楽しいと思えるすとぷりの在り方を探していきたい」と口にしたななもり。の心には、今も変わらない熱い炎が燃え滾っていた。

2020年には株式会社STPRへの所属、結成当初の2Dモデルから、3Dモデルでのライブパフォーマンスへの進化。2021年にはAR機能をフル活用した最先端の演出。2023年には「第74回NHK紅白歌合戦」への初出場、2024年夏には初のアニメ映画『劇場版すとぷりはじまりの物語～Strawberry School Festival!!!～』の公開……リスナーに喜んでもらうこと前提で、時代の先端を見据えた挑戦を重ねてきたすとぷりは、確実にその周りの世界を高速かつ大胆に動かし続けた。

すとぷりの軌跡を辿る演出の数々が伝えること

レーザー光線が縦横無尽に交差するなか、1曲目、すとぷり初のアニメ映画の主題歌「誓いの花束を～With You～」が始まる。センターステージに、メンバーが2人1組となり、片手を合わせてハートを作るたびに、リスナーから黄色い歓声が飛んだ「ぴゅあぴゅあいちご」に、トロッコサービスを展開した「スキスキ星人」。特に6人がトロッコ越しに並んだ「大好きになればいいんじゃない？」では、完成されたすとぷりの姿を目の当たりにしたことで感動の広がる音が聴こえた。始まりのサインは、ステージに向かったジェルが手を高く掲げると同時にステージのスパークラーが打ち上がった「AGAIN」。

「アニバーサリー」からのセクションは、この日のライブでも印象に残ったメインブロック。ステージの3DCGを活用したスクリーンに巨大な時計が映し出され、その存在感に目を奪われる。この演出の美しさが歌とのコラボレーションでさらに引き立ったのが、バンドメンバーがいる2階とその下の1階の間の階段にメンバーが腰かけ、アコースティックな雰囲気で歌った「3月のオレンジ」と、るぅとが指揮者のように両腕を振り時計と呼吸を合わせた「Spreading palettes」だ。時計が消え去ると、代わりにステージには生命の息吹を感じさせるダイナミックな映像が「生まれたその時から（全員 Ver.）」から流れ、視線は完全に釘付け状態。その理由は、色とりどりの花が咲き乱れる様子を描いた「AIMAI」のダンスを含めたパフォーマンスのすべてが、あまりにも「すとぷり」の個性から生まれた多様性とその美しさを詰め込んだものだったからだ。DJステージに変貌し、すとぷりの誕生に乾杯の音を立てた「159％」、鳥の絵も映り込んだ「宿命」「Feel Free!」で、すとぷりの果てしない空の旅が始まったことを思わせる完璧な演出が続いたが、この物語が始まるのは、リスナーがいてこそ。音楽のなる木から溢れ出すフィルム1枚1枚に映るこれまでの思い出が感動を誘った「手をつないで歩こう」の後には、そのメッセージを象徴するように「虹のはじまり」「お姫様になっていいよ」が多幸感のなかで歌われる。メンバーが薬指に指輪をはめる仕草で沸いた「Prince x プロポーズマッシュアップメドレー」で歌声と愛が最上級の化学反応を巻き起こす瞬間に出会った。

6人の個性を伸ばしたその先、新たなステージへ

2025年6月に結成9周年を迎えるにあたって、一層魅力的な姿となり、2026年6月の結成10周年を迎えることを約束したこともこの日の注目すべきトピックになった。莉犬、るぅと、ころん、さとみの4人は2025年にソロワンマンライブを開催する。ジェルは自身が原作を手掛けるショートアニメ動画シリーズ『遠井さん』のアニメ映画化が決定。ななもり。は表舞台から一歩引いて、STPRの社長業やプロデュース業などに専念するという。個が輝いてこそ、グループが輝くという信念のもと、すとぷりはグループとしての魅力を高めてきた。

規模の大きさやその名が持つ影響力が明らかに増しているすとぷりだが、心意気は変わっていないことに安堵していると、ライブも「おかえりらぶっ！」から後半戦に。会場のカメラに目を向けたるぅとが手でハートを描いた「青春チョコレート(Forever Arg)」でお馴染みの振付を楽しんだところで、「Dreaming Parade」でステージ上に、夢にまで見たお城が完成。複数のダンサー陣との壮大なパフォーマンスのなかで1人1人の個性的な歌声が美しく響いた「Strawberry Prince Forever(Orchestra ver.)」は圧巻のフィナーレだった。

「パレードはここさ」からスタートしたアンコールでは再びトロッコに乗って6人が登場。メンバーの乗り込んだトロッコを見上げる形で天井に花火の軌跡が光った「苺色夏花火」、客席のバーン（手で撃つ）に応えてころんがバーンしたり、指ハートを飛ばしたり、自由気ままの時間が「よさこいディスコ Party」で流れていく。新型コロナウイルスが蔓延した2020年にはナゴヤドーム公演が延期となり、同年3月にYouTubeで初の無観客ライブを実施したこともある。リスナーのいない会場で、異様な空気感が流れていた。僕たちこのままどうなってしまうんだろう……そういった緊迫感が入り混じりリスナーの元に届いた楽曲「GO GO CRAZY」「僕らだけのシャングリラ」も披露され、「Here We Go!!」「雨天決行」で駆け足でステージに戻った6人。舞台裏では本当に色んなことがあったのだと思う。それでもこうしてすとぷりとして今笑えるのは、“未来作ろう”でステージに虹がかかったのは、全員一致でただ1つのことを信じていたからだと思う。最後は6人が仲良く肩を組んで一列に並んだ「Strawberry Prince Forever」からの予報外れのダブルアンコール「マブシガリヤ」。

株式会社STPR所属のクリエイターが集結する大型ライブフェス“STPR Family Festival!!”の東京ドーム公演（4月2日～3日）に加え、新たにべルーナドーム公演（4月4日～6日）が追加され、合計5日間で20万人を動員予定のSTPR史上最大規模のドームフェスとなることが発表されたのもビッグニュースだった。ここまできたら、涙も味方。「すとぷり」という存在を6人が守り続ける限り、どんな未来が訪れようとも、すとぷりは笑っている。

＜セットリスト＞
M01. 誓いの花束を~With You~
M02. ぴゅあぴゅあいちご
M03. スキスキ星人
M04. 大好きになればいいんじゃない?
M05. AGAIN
M06. アニバーサリー
M07. 3 月のオレンジ
M08. Spreading palettes
M09. 生まれたその時から(全員 Ver.)
M10. AIMAI
M11. 159%
M12. 宿命
M13. Feel Free!
M14. 手をつないで歩こう
M15. 虹のはじまり
M16. お姫様になっていいよ
M17. Prince x プロポーズ　マッシュアップメドレー
M18. おかえりらぶっ!
M19. 青春チョコレート(Forever Arg)
M20. Dreaming Parade
M21. Strawberry Prince Forever(Orchestra ver.)
―― アンコール ――
EN01. パレードはここさ
EN02. 苺色夏花火
EN03. よさこいディスコ Party
EN04. GO GO CRAZY
EN05. 僕らだけのシャングリラ
EN06. Here We Go !!
EN07. 雨天決行
EN08. Strawberry Prince Forever
EN09. マブシガリヤ

●イベント情報
『STPR Family Festival!! in ベルーナドーム』
DAY1：2025年4月4日(金)　開場15:00 / 開演17:00
DAY2：2025年4月5日(土)　開場13:00 / 開演15:00
DAY3：2025年4月6日(日)　開場14:00 / 開演16:00
会場：ベルーナドーム
企画・プロデュース：ななもり。

ベルーナドーム公演に関するお問い合わせ先
・SOGOTOKYO
03-3405-9999
月～土 12:00～13:00／16:00～19:00 ※日曜・祝日を除く
・STPR TICKET(月～金 10: 00～17: 00 ※土日祝祭日を除く）
https://ticket.stpr.com/contac