美しい歌声とビジュアル。高い歌唱力と表現力、そしてパフォーマンス力。あらゆる“表現”で枠に囚われない類い希な才能を発揮している声優・アーティスト蒼井翔太が12月4日、初コラボとなる新たな作家陣を迎え、全く異なるジャンルの新録曲5曲を収録した意欲的なミニアルバム『Collage』をリリースした。「今までアーティストとしては歌ってこなかったジャンルに挑戦した」という各楽曲への想いに加え、約5年ぶりに発売となる写真集「Collage」、12月28日に開催が迫ったワンマンライブ“蒼井翔太 LIVE 2024 WONDER lab. Collage”について語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――ミニアルバム『Collage』は、パッケージとしては昨年11月のフルアルバム『DETONATOR』から約1年ぶりのリリースとなりました。どういった内容にしようと考えていたのですか?
蒼井翔太 今まで蒼井翔太として色々な楽曲を歌い、100%の力で想いを伝えながらパフォーマンスをしていくなかで、まだきっと知らない自分がいるんだろうなと思っていたんです。聴いてくれる皆さんから、楽曲によって声の聞こえ方が違う、表現が違うという声もいただいていましたし、自分でもそう思っていたこともありまして。そこでミニアルバムを作るとなった時、まだ見ぬ、眠っている蒼井翔太を呼び覚ましたいと思い、曲調やイメージがまったく違う楽曲を集めてみよう!と思ったのが『Collage』の始まりでした。
――違うものを“コラージュ”していくようなミニアルバムにしたかったと。
蒼井 はい、そうなんです。僕、去年からコラージュノートを作るのにハマっていて。キングレコードのスタッフやプロデューサーにも、その話をずっとしていたんですよ。じゃあ、今回のミニアルバムでやりたいことはコラージュノートと同じだね、となりまして。タイトルも『Collage』と名付けました。
――どんなコラージュノートを作られているんですか?
蒼井 だいたいは無地のノートに、英字新聞とか色んな模様が描かれているメモ帳とか、レースとかマスキングテープとか、手元にあるものをザクザク、ザクザク切ったりちぎったりして、思うがままに貼っていきますね。「今日1日はこういうイメージだったな」とか「こんなことが今日はあったな」というのを、空いた時間に黙々とコラージュしていく……。それがすごく無心になれて楽しいんです。材料もネットで買い集めていて、僕の家は、もうテーブルが1つ丸ごとコラージュノート用の作業台になっています(笑)。
――毎日の出来事を、日記を書くようにコラージュノートに紡いでいく。素敵な趣味ですね。
蒼井 そう、日記のようなんですけど、文字で書くのとコラージュではまた違うんですよ。すごく嫌なことがあったり、辛いことがあった日のことを言葉にして日記に書いてしまうと、すごくマイナスな感じになってしまいますけど、コラージュにすれば“作品”になる。すごく深いし、それは音楽にもすごく通じることだなと思います。
――曲調やイメージがまったく異なる楽曲をコラージュしたミニアルバム。確かに楽曲提供された作家陣も、蒼井さんとのコラボでは、初めてのお見かけする方ばかりです。まず驚いたのが1曲目の「FALL」。メロディアスでありながらも骨太なリフが印象的なメタリックなラウドロック。作曲、編曲にラウド、ハードコア界で有名なlynch.の葉月さんがクレジットされていてビックリしました。
蒼井 驚きますよね。僕も昔からビジュアル系のようなハードなロックも大好きなので、lynch.さんのことも一方的に知っていたんです。そして葉月さんとも、とある番組でご一緒させてもらったことがありまして。ぜひ書いていただきたいとお願いしたら、快く。デモもすぐ送ってくださって「ちょっとキーが高いけどよろしく!」と(笑)。その段階からすごくクオリティが高かったので、どういう曲にしようかもすぐにイメージできましたし、蒼井翔太への期待度以上のものをお返ししなければ!と頑張りました。
――作詞はアニメ作品や声優アーティストへの歌詞提供も多い山崎寛子さん。どんな世界観をリクエストしたんですか?
蒼井 “心のデスゲーム”をイメージしました。ファンの皆様はもう僕の歌に大きな愛を示してくださっているのを感じる。ただ、今一度、「蒼井翔太が皆様を堕としにかかるぞ!勝負しようじゃないか!」と思っているんです。この曲で新しく僕と出会ってくださる方には、なおさらですね。なので歌詞もルーレットをイメージするレッドとブラックだったり、トランプのモチーフを入れていただきましたし……もう1つ、僕の中で裏に込めたい物語があったんですよ。
――それはぜひお聞きしたい! どんな物語ですか?
蒼井 「赤ずきん」です。これは皆さんに汲み取っていただければと思うのですが……。「赤ずきん」の物語のなかで赤ずきんちゃんが狼に対して「心を落としてみせる」と言っているとの裏設定があると感じているんです。それでおばあ様の屋敷に行く前に狼と対面して賭けを持ち掛ける、「あなたが私に堕ちたら、あなたの心をもらう。私が負けたら、私の大切なもの、おばあ様をあげるわ」と。結果、強い赤ずきんちゃんが、狼を堕としにかかる!という物語。いわば裏設定ですね。
――面白い!!蒼井さんの曲は、いつもダブルミーニングが多いですよね。
蒼井 そう、裏設定はいつも考えますね。皆さんにも色々想像していただければ。
――蒼井さんもロックな曲は歌われてきましたが、ボーカルもよりワイルドでダークな一面が感じられます。歌ってみていかがでした?
蒼井 こういうジャンルは好きなので、とても楽しかったです。歪みも入れましたし、ブレスするところがないくらいずっと歌い続ける楽曲なので、ものすごいアドレナリンが出てました(笑)。もちろん蒼井翔太自身として歌ってはいるんですけど、やっぱり歌でも“コラージュ”していくなら、僕の中でも色々変化を付けたくて。「もしも蒼井翔太がビジュアル系バンドのボーカリストだったら?」という、自分の理想を込めているところもありますね。
――特に想いがこもったフレーズは?
蒼井 ラストのサビ前の“ただ君は溢れだす心を 喜んで奪われたらいい”ですね。もう言いたいことはここなので、ライブではぜひこの曲で僕に落ちて=「FALL」していただけたら。一番のテンションの光で照らしていただけたらと思います。
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