リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.11.27

「リスパレ!チョイス」選出アーティスト・HACHIインタビュー!

「リスパレ!チョイス」選出アーティスト・HACHIインタビュー!

アニメ音楽に特化した媒体「リスアニ!」と大阪のラジオ局・FM802のラジオ番組「802 Palette(ハチパレ)」による新たな音楽メディア「リスパレ!」が、今聴いてほしいアーティストを独自の視点で選出のうえプッシュするレコメンド企画「リスパレ!チョイス」。その第二弾選出アーティストの中から、今回は、この11月にキングレコードからメジャーデビューするバーチャルシンガーのHACHIをピックアップ。先行配信曲の制作エピソードを中心に、メジャーデビューアルバム『for ASTRA.』に込めた想い、アーティストとしての覚悟や展望について話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創


メジャーデビューと共に芽生えた覚悟、アルバムに込めた想い

――まずはレコメンド企画「リスパレ!チョイス」に選ばれた感想をお聞かせください。

HACHI リスアニ!さんには前作のアルバム『Close to heart』のインタビューライブレポートでお世話になっているので、今回、選んでいただいて嬉しいですし「頑張るぞ!」という気持ちがあります。「ハチパレ」のことは今回のお話をいただくまであまり存じ上げていなかったのですが、番組で私の楽曲「Dusk」を流していただいたというお話は聞いていて。ただ、名前が似ているので親和性を感じています(笑)。

――前作のリリースからこれまでに、キングレコードのライブイベント“KING SUPER LIVE 2024(以下、キンスパ)”への出演やメジャーデビューの決定など、大きな動きがありました。

HACHI “キンスパ”の出演とキングレコードさんに正式所属になったことは自分の中でも大きな出来事で、言葉選びが難しいのですが「アーティストとして大きな一歩を踏み出せた」という感じがしています。これまではVTuber界隈を中心に活動していたのですが、その垣根を越えてさらに広いところに自分の歌声をアピールしていけるチャンスが巡ってきたように感じていて。特に“キンスパ”は私のことを知らない人がたくさんいる環境だったのですごく緊張していたのですが、ステージ上でキングレコードに所属することを報告したら、すごく温かい拍手をいただいて、ちょっと涙が出ました(笑)。

――“キンスパ”では前作のアルバムから「ビー玉」を歌われたとのことですが、大きな舞台で一曲入魂としてこの曲を選んだのは?

HACHI これには結構色んな思いがありまして。やっぱりアニソンを中心としたライブイベントなので、私もアップテンポで力強いロック調の楽曲を歌おうか?という話にもなったのですが、個人的には自分の普段の色を見せることができればと考えて、今まで作ってきたなかで一番HACHIっぽい色が出ていて、なおかつ新しい楽曲ということで「ビー玉」を選びました。この曲は私のことをよくわかってくれている海野(水玉)さんと作った、その当時の最新曲だったので、私の中では「この1曲で絶対にお客さんを引き込む!」という勝負の気持ちで持っていきました。

――夏の景色と郷愁の漂う世界観がHACHIさんらしい楽曲ですものね。キングレコードからメジャーデビューのお話をいただいたときは、どんな感情が沸きましたか?

HACHI さっきもお話した「アーティストとして大きな一歩を踏み出せた」という嬉しさと同時に、責任感も感じました。これまでは自分の好きなように活動してきて、その私の世界観を好きと言ってくれる人が増えていけばいいな、という活動スタンスだったのですが、これからはいい意味でその意識を変えて、自主的にファンを引き寄せるような活動をしていかなくてはいけないという覚悟が生まれて。きっと、また今後「バーチャルって何?」という目を向けられることがあると思うのですが、そこに自信を持って自分の音楽を引っ提げて、「これがバーチャルシンガーです!」というのを提示していければと思います。

――その覚悟の表れとなったのが、11月13日にリリースされるメジャーデビューアルバム『for ASTRA.』だと思います。前作のアルバム『Close to heart』は“心に寄り添う”というテーマの作品でしたが、今作はどんなコンセプトで制作したのでしょうか。

HACHI “心に寄り添う”というのは私の活動全体のテーマでもあるので、そこは変わらず意識しているのですが、今回はどちらかと言うと“届いて欲しい”“忘れないでいて欲しい”という感情がこもっていて。そもそも『for ASTRA.』というタイトルには“星々に送る”“星々のために”というニュアンスが含まれているのですが、今回は“ボイジャーのゴールデンレコード”をモチーフにアルバムのコンセプトを組み立てたんです。

――1977年に打ち上げられたNASAの惑星探査機・ボイジャーに搭載されていた、地球の様々な音楽や音声を記録したレコードのことですね。

HACHI そのレコードは、まだ見ぬ地球外生命体に向けて地球の文化を届ける意図があったのですが、それと同じように私も、自分の生きていた証を音楽に記録してこの世に残したい、そしてそれをまだ見ぬ人たちに届けたい、という気持ちで楽曲を制作していて。私は新しい人との出会いをずっと求めているところがあるのですが、「まだ見ぬあなたに届く歌をうたいたい」という思いを込めて今回のアルバムを作りました。

――自分の生きていた証を残したい気持ちというのは、今作に限らず以前から意識していたことなのでしょうか?

HACHI 実はこの考え方は活動を始めた当初からあるもので、最初の頃は、自分が歌う理由として「私という一個人が生きていた証を残すため」という話をしていたのですが、「もうすぐ死ぬ人みたい」と言われたので1~2回くらいで辞めたんです(笑)。確かに言葉だけで受け取ると結構重たく感じるかもしれないですけど、私個人の死生観として「死んだら何も残らない」という気持ちがあって、死後の世界や生まれ変わりというのをあまり信じていない……いや、信じていないというかわからないんですよね。生まれ変わりがある希望よりも、いなくなる恐怖のほうが強くて。多分、人一倍、死に対して怯えているタイプなんです。

――死んだ後にどうなるのかは、実際のところわからないですから。

HACHI 私も「自分の意識が無くなったあと、どうなるんだろう?」ということを考えてしまって。もし仮に生まれ変わったとしても、前の人生のことを覚えていないかもしれないし、今という瞬間は本当に今にしか存在していない。そのなかでHACHIという一個人が生きていた証を、この先に残していくためには何ができるだろう?と考えたときに、音楽なら残せると思ったんです。正直、今まで作ってきた音楽も、そういう想いがほんのりあって。今回はその気持ち自体を作品全体のコンセプトにしようと思っていたときに、ちょうど海野さんから“ボイジャーのゴールデンレコード”の話を聞いたんです。

――海野さんがアイデアのきっかけだったんですね。

HACHI はい。元々は私が海野さんにボイジャーをテーマにした楽曲をお願いしたくてお話をしたのですが、そこで海野さんからゴールデンレコードのエピソードを聞いて、私も「とてもいいですね!」と盛り上がってしまって。それで作ってもらった楽曲が、アルバムのサブリード曲「Pale Blue Dot」になるのですが、アルバム全体のコンセプトにも採用させていただきました。

――やっぱりHACHIさんのクリエイティブに海野さんは欠かせない人ですね。

HACHI いつも別視点から閃きを与えてくれる大事な人です。

――自分はまだ聴いていないのですが、アルバムに収録されているHACHIさんが初めて作詞した楽曲「レコードのように」も、ゴールデンレコードのエピソードを踏まえて制作したのでしょうか。

HACHI そうですね。私は自分の感情や想いを言葉にするのがあまり得意ではなくて、思いのままに言葉を綴ると小説みたいになってしまうので、今まで作詞に関しては結構逃げ腰だったのですが(笑)、今回は1曲だけでもいいから作詞にチャレンジしてみよう、という気持ちがあって。この曲のトラックをいただいたときに「あっ、書けるかも!」と思ったんです。歌詞の内容も、すべてBEES(HACHIのファンの総称)に向けたもので、BEESのために書きました。私もレコーディングで歌っているときに泣きそうになりましたし、すべてを込めております。

仲間と一緒に夢を追いかける!その決意を示した先行曲「Dusk」

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP