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2024.11.15

『とある科学の超電磁砲』の15年を彩ってきた音楽たちによる祝祭感あふれる1日――”とある科学の超音楽祭”レポート

『とある科学の超電磁砲』の15年を彩ってきた音楽たちによる祝祭感あふれる1日――”とある科学の超音楽祭”レポート

2009年10月、『とある魔術の禁書目録』のスピンオフ作品である 『とある科学の超電磁砲』は、
TVシリーズが放送されるやいなや多くの人々を惹きつけた。以降15年に渡り、現在まで 3度のTVシリーズとOVA、ゲームやパチンコ/パチスロなど幅広い展開を見せている。そして『超電磁砲』はキャラクターやストーリーで多くのファンを生む一方で、そこで鳴らされている音楽もまた絶大な支持を得ていった。
あれから15年の月日が経った2024年11月4日。アニメ、そしてアニメ音楽の歴史に名を刻んできた『超電磁砲』の放送から15周年を記念した音楽イベント”とある科学の超音楽祭”が開催された。『超電磁砲』を彩ってきたキャスト陣とアーティストが一堂に会したプレミアムイベントの模様をレポートしていこう。

TEXT BY 澄川龍一
PHOTOGRAPHY BY 糸井一臣


夢のような音楽イベント”超音楽祭”の幕開けは、「only my railgun」のあらたな姿から

”とある科学の超音楽祭”の会場となったTOKYO DOME CITY HALLは、スタンディングのアリーナから3階までのバルコニーと、どこを見渡しても人で埋め尽くされるという、本当に多くの観客が詰めかけていた。今にもはち切れそうな期待感が充満した会場の中、開場前BGMのボリュームが一際大きくなったのを合図に、夢の音楽イベントは開演を迎えた。ステージ上のスクリーンには白井黒子、初春飾利、佐天涙子、食蜂操祈、そして御坂美琴といった『超電磁砲』のキャラクターたちが映し出される。そののちキャスト陣、出演アーティストといったラインナップが紹介されていくなか、ステージ上にはバンドメンバー、そしてfripSideの八木沼悟志が続々と登場。そして最後にステージの中央に立ったのは、fripSideの上杉真央と阿部寿世と、fripSide Phase 2から南條愛乃という3人だ。2期と3期という新旧fripSideのボーカリストが大歓声のなか揃い踏みしたあとに南條の口から放たれたのは、『超電磁砲』初代OPテーマ「only my railgun」のサビフレーズだ。ストリングス中心のスロウなテンポのまま、そこから阿部、上杉とメロディが繋がっていく。そしてサビのフレーズを歌い終わると、そこに八木沼のシンセとバンドサウンドが加わり、加速していく。誰もが知る名曲、しかしまだ誰も知らない最新バージョン「only my railgun -15th Anniversary version-」が、このイベントの幕開けとなった。

八木沼がこの日のためにリアレンジしたこのバージョンは、オリジナルをベースにリズムの組み方やシンセの音色などところどころが現代風に刷新されたフレッシュな仕上がりだ。そしてそこで歌われるのはオリジナルの南條と現在のfripSideである上杉と阿部というトリプルボーカル仕様。特にサビでの”信じてるよ あの日の誓いを”といったフレーズを、3人で分割してソロでまわすなど、このバージョンならではの聴こえ方が心地よい。思えばこの日は「only my railgun」のシングルがリリースされた2009年11月4日からまる15年が経っている。長い年月を経て、アニソンシーンに刻まれる名曲またあらたな生命が吹き込まれた歴史的瞬間をもって、”超音楽祭”はこのうえない盛り上がりでスタートを切った。
『超電磁砲』を象徴する、まさに超がつくアンセムで会場のボルテージは一気に最高潮を迎えた。上杉と阿部がステージをあとにしたかと思えば、そのまま息つく間もなく「LEVEL5 -judgelight-」のシンセイントロが鳴り響く。続いてはfripSide Phase 2による『超電磁砲』後期OPテーマのパフォーマンスだ。

南條がステージの下手側に歩いて歌えば、八木沼がマイクを持ってステージ上手側へと躍り出てコーラスを当てる。この光景も懐かしく感じるが、煌びやかで攻撃的なデジタルサウンドのなかで南條のボーカルが聴かれる、Phase 2ならではの輝きは色褪せない。八木一美(Dr.)、大島伸彦(Gt.)、山田潤一(Ba.)という現在の編成に加えて、星野 威(Gt.)が加わったツインリード体制の厚みがあるサウンドが心地よい。最後は南條が「今日一日よろしくお願いしまーす!」と言ってステージを後にした。
fripSideのステージのあとは、シリーズ第2期『とある科学の超電磁砲S』の前期EDテーマ「Glow Slowly」のキラキラとしたイントロが鳴り響く。ステージに登場したのはもちろん、声優の井口裕香だ。軽快なサウンドに乗せて自身も跳ねるようにステージを歩き回り、時折すり鉢状の客席の、上のバルコニーにまで視線を送りながら優しくもハリのある歌声を聴かせる。

『超電磁砲』シリーズのなかでも、また井口のディスコグラフィーでも屈指の人気曲だが、この曲もまたリリースから10年以上経った今も井口の瑞々しい魅力を伝えている。そこから今度はシリーズ第3期『とある科学の超電磁砲T』後期EDテーマ「青嵐のあとで」を担当したsajou no hanaが登場。今年からボーカル・sanaのソロプロジェクトとなったsajou no hanaだが、それもあってかステージ中央に立つsanaの存在感がより増した印象。

エモーショナルなバンドサウンドのなかでsanaのボーカルは、曲が進むにつれて高揚していくようで、しなやかで凜としたパフォーマンスを展開していった。そしてしばしの転換のあとには岸田教団&THE 明星ロケッツが登場、『超電磁砲T』前期EDテーマ「nameless story」を披露。実に岸田教団らしいラウドで切れ味鋭いサウンドはフロアをよりアグレッシブにしていく。

みっちゃん(Dr.)の爆音ドラムに岸田(Ba.)もはやぴ〜(Gt.)も終始激しい動きのサウンドを聴かせるなかでichigo(Vo.)はステージ中央の堂々とした佇まいで立ち、伸びやかな歌唱を聴かせる。まるでワンマンのクライマックスかのような盛り上がりを見せたなかで、”超音楽祭”最初のブロックを駆け抜けた。
バンドがステージからはけたあとは、この日のMCも務める井口から出演アーティスト、そして佐藤利奈(御坂美琴役)、新井里美(白井黒子役)、豊崎愛生(初春飾利役)、伊藤かな恵(佐天涙子役)といったキャスト陣の紹介を経て、音楽パートが再開。ここからはsajou no hanaによる『超電磁砲T』挿入歌「ここにいたい」が披露される。

ここまでのステージでもアニメのOP/EDアニメーションが楽曲と共に映し出される演出だったが、ここでは多くのファンの涙を誘った『超電磁砲T』15話のシーンと共にsanaがエモーショナルな歌唱を聴かせる。ここでも後半にいくにつれて感情が昂るような歌声はシーンとオーバーラップして、感動的な光景を見せていた。そしてその空気感のまま、井口裕香による『超電磁砲S』挿入歌「stand still」へ。「Glow Slowly」とはまた異なる、しっとりと聴かせる歌声がまた絶品だ。

科学サイドから魔術サイドへーー。感動的カバーで蘇る『とある魔術の禁書目録』音楽

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