STEREO DIVE FOUNDATION×寺島拓篤×MindaRyn、『転スラ』への想いを語る！「まおりゅう」主題歌第四弾「Trinity」制作秘話に迫る鼎談インタビュー

『転スラ』の力になれるならなんでも

――お三方がどのように歌われたかについても教えてほしいのですが。3人で歌うという点で意識された部分はありましたか？

寺島　自分の歌をどう合わせるかで言えば、僕は元からの音楽人ではないので、自分が思うとおりに歌ってみて上手くまとめてもらうしかできないとは思っているんです。最初に考えたのは、僕は1Bの結構静かなところから入ることもあり、ボーカリストというよりも声優としての音使いで「どういった音をここに乗せられるか」というものでした。あとは世界観や音色や温度感の部分というか、激しい楽曲ではあっても、単純に攻め攻めで声のアタックを強く歌うだけではなく……という意識はありました。そこの塩梅は探っていましたね。

R・O・N　1番のBメロはセクシーに決めてくれたよね。

寺島　あそこはかなりブレスを混ぜた歌い方にしました。サウンド的にもかなり落ち着いた感じになっていたので、そこで僕が前に出るのはおかしいと思い、ブレス混じりの良い音を乗せることにしたんです。そこは家で練習しているときからの課題で、声帯の鳴らし方やブレスの抜き方は僕の中で一番こだわったところですね。サビは3人一緒に歌っている分勢いでいけるので、ここでふわっと決められたらあとは流れに乗れる、みたいな印象がありましたし、実際、良い手応えはありました。「こういう歌い方が別の曲でもできたら」と思える、いい経験になりましたね。

MindaRyn　私は順番で言うと最後にレコーディングしたのですが、寺島さんのボーカルが入っていたおかげで雰囲気やダイナミックさが想像できて、すごくやりやすかったです。もう、寺島さんの声に合わせるだけでした。

寺島　そんなことはないでしょ。めちゃくちゃ広げてくれていますよ。

MindaRyn　私はお二人の声が入った音源を聴いたとき、自分が負けるとか勝つではなく、ひとつになることが大事なんだと自分に言い聞かせたんです。自分がプレイヤーだったらどういう曲が聴きたいのか、どういうパワーが欲しいのかを想像したんです。だから、ひとつになることでプレイヤーの力になりたいという気持ちで歌い方をデザインしていました。レコーディングはすごく楽しかったです。R・O・Nさんにディレクションしていただいたんですけど、すごく自由にさせてもらいました。

R・O・N　ハイパースムーズだったよね。実は寺島くんのボーカルを聴いたあと、ハモを直したんですけど、それがマイちゃんのレコーディング直前で。申し訳ないと思いながら。

MindaRyn　いえいえ。

R・O・N　それが2番の“Take me to the edge”のところなんですけど、マイちゃんがひとりでトップとハモを歌うのではなく、僕のハモを入れて少しパワーを出した方がいいと思いました。サビも最初は下ハモを付けていたんですけど、マイちゃんに歌ってもらうのであれば下ハモはもったいないかと思い、上ハモに変えて。でもあっという間に録り終わりましたね。さすが。ただ、サビラストの“この世界を”は、マイちゃんのこだわりがあったようで延々と歌っていましたね。「もう一回」「もう一回」と（笑）

MindaRyn　あそこは最初、ファルセットで歌っていたんですよ。そうしたらR・O・Nさんから、「力強く地声でいこう」とディレクションしていただいて。でも、音が高いのでなかなかそこにタッチできなくて……。何回もやらせてもらいました。

R・O・N　聴き比べるとほぼほぼ変わらないくらいどれも良かったけどね。

MindaRyn　変わる、変わります！（笑）。

R・O・N　僕としては、ピッチをベンドさせた歌い方もかっこいいし、スコンとハマっているのもいいし、どのテイクにも良さがあるからどれも好きという話をして。それで本人に選んでもらったんですけど……。

MindaRyn　でも選べなくて、「もう一回RECしていいですか」とお願いしました。

寺島　あるある。本人しかわからないことがあるんですよね。

MindaRyn　自分の中で想像した音が出せなかったので。そこがなかなか出せなくて、何度も録らせていただきました。

R・O・N　でも、そういうのはいいよね。自分の中に理想が設定されていて、そこに向かっていくっていう。レコーディングの中で偶発的に出た歌よりもプロフェッショナルな香りがするというか。

寺島　ボーカリストとしては、ただ音楽の上に乗っかるのではなく、自分の声をどう乗せたいか、というところが絶対あると思うんです。そこに対して妥協せずに何回も挑めるのが理想像というか。そこにちゃんと達することができるのもすごいですよね。

MindaRyn　ありがとうございます。

――何度も歌い直した“この世界を”の箇所は、イメージとしてはどのような理想があったんでしょうか？

MindaRyn　“世界”って広いじゃないですか。だから“この世界を”の“を”でカメラが素早くズームアップするみたいな感覚の音を歌いたかったんです。

――視野が一気に広がるような。

MindaRyn　でも、毎回スタックしてしまって（カメラが）引き切らなかったので、もっともっと広さを感じる声にしたかったんです。

寺島　面白い。

――R・O・Nさんが歌で意識した点はありましたか？

R・O・N　さっきお話しした歌い直し部分がそうで、マイちゃんと絡んで下にハモで入っていくとか、絡みは意識していました。歌い直したのも、“接着力”というかグルーする感じを出した方がいいと考えたからで。あとは“合わせ鏡のようで”の“ようで”を揺らしてみるとか、ちょっと粘着質なところは出しましたね。さっきもお話したように寺島くんと僕は声が少し似ているので、違う人感を出そうと考えた記憶があります。僕たちの声は馴染みがいいから。

寺島　アハハ（笑）。

――お二人の歌唱でR・O・Nさんの印象に残っている箇所というと？

R・O・N　狙い通りという意味では寺島くんに歌ってもらったBメロですね。「寺島くん、ありがとう！」みたいな。“此処に絆があるなら辿り着けるだろう”は歌詞も含めてお任せしていたんですけど、歌詞をうまくハメてくれましたし、その上でのあの表現。さすがです。マイちゃんで言えば楽曲の入口である“At the end”。“At the”ではなく、“ぅAt the”なんです。

――泣き節のような。

R・O・N　あの“ぅAt the”だけでご飯三杯いける。

寺島　マニアックな話をしてる（笑）。

R・O・N　勝ちを確信しました。

MindaRyn　ありがとうございます！

――今回に限らず、『転スラ』の音楽面を支えてきたお三方ですが、自身にとって『転スラ』はどのような作品だと感じていますか？

寺島　僕は原作のコミックスを読んでいたので、三上悟役のお話をいただいたときは飛び上がるほど嬉しかったですし、都度都度で主題歌を担当させていただけるのも本当にありがたくて。なのに“転スラ 10thライブ”（2023年12月16日に開催された『転スラ』のライブイベント）を急病で休むという……（笑）。

R・O・N・MindaRyn　（笑）。

寺島　喜びや悲しみや悔しさといった感情における最大限の振れ幅を経験できた作品ではありますね。自分の人生において大きなファクターを占めている作品だと思います。なので、自分が『転スラ』に対してできることがあるならなんでもやっていきたい、と思うくらいに感謝しています。

R・O・N　僕にとっては、主題歌から劇伴まで色々な形で関わることができた珍しい作品で。しかもこれほど長い間、継続的にやらせていただけることはすごくありがたいです。『転スラ』のおかげで普段は会えない方とも知り合えるんですよ。この間も“FビレッジへGO！GO！STVアニメ祭り”という北海道のイベントに（ヴェルドラ役）の前野智昭さんと2人で出演させていただけるということがあって。

寺島　前野さんと2人で北海道!?

R・O・N　不思議でしょ？　でも、そういった面の何が嬉しいかというと、職人と出会うみたいな感覚があるんですよ。僕は、職人たちが集まってひとつの作品を作り上げていく実感を味わえるのが非常に好きなので、この作品に関わることができて嬉しく思っています。なので、僕もどんな曲でも書きます。

寺島・MindaRyn　（笑）。

R・O・N　キャラソンもやりたいよね。

寺島　いいですね。

MindaRyn　私にとってもすごく大切な作品ですね。『転スラ』は、出会った人たちが仲間になって一緒に成長していくストーリーじゃないですか。ただのオタクだったときの私は「自分にもいっぱい友達ができているみたいで楽しい！」と思いながら観ていて（笑）、大ファンだったので、主題歌を歌いたいという気持ちもずっとありました。本編の第2期第二弾のオープニング主題歌（「Like Flames」）を歌わせていただいたときは信じられないくらい嬉しかったです。それに日本だけではなく世界中の人にMindaRynを知ってもらうことができた曲でもあるので、本当に感謝の気持ちがいっぱいです。なので、これからも『転スラ』の力になりたいです。なんでも歌います。

R・O・N　本当になんでも。

寺島　やります（笑）。

●リリース情報
アプリゲーム「転生したらスライムだった件魔王と竜の建国譚」主題歌第四弾
STEREO DIVE FOUNDATION、寺島拓篤、MindaRyn
作詞：R・O・N、寺島拓篤　作曲・編曲：R・O・N
「Trinity」2024年10月18日配信

https://lnk.to/LZC-2944