REPORT
2024.10.28
今年4月12日に2ndワンマンライブを開催して以来となる“LAWSON presents シユイ 3rd Live シユイさんといっしょ #03”が、10月14日に東急歌舞伎町タワー内のZepp Shinjuku (TOKYO)で行われた。
神聖な雰囲気のSEが流れ、ステージの赤い緞帳が左右へドラマティックに開かれていく。そんな堂々たる移り変わりの最後、すでにシユイはお立ち台の上に立っていた。
TEXT BY 小町碧音
PHOTOGRAPHY BY 清水隆行
「行くぞ!新宿!」と気合いの入った声が、フロアに響き渡る。
1曲目は、ryo (supercell)がサウンドプロデュースを手がけたメジャーデビュー曲「君よ 気高くあれ」。一人ひとりに語りかけるように歌う姿が印象的だ。
そのまま力強い意志を受け継いで「RE RE REPLAY」へ。轟くロックサウンドに埋もれることなく、シユイのブレスすらクリアに届く、その歌声に宿る確かな生命感を体感した。踊り出したファンキーなギターのグルーヴが次への合図。一体感が生まれた、ダンサブルな「不毛劇」、ハンドクラップが響き渡った「バームクーヘン」では、シユイのファンキーなイメージが炸裂。
新たな顔を覗かせたのは、淡い桜色を思わせるスタイリッシュな「麗春花」だった。シユイの表現力がまた一つ深みを増していく。「みなさんに会えて感無量」と小休憩を挟むと、透明感のあるファルセットに酔いしれた「ひとちがい」、くつろいだ猫に似たリラックス感を全身から漂わせた「ゾンビ」を。季節が巡るのと一緒に、その歌声も変わりゆく。
疾走感のある「ドーベルマン」で鮮やかな声色の変化を見せ、和のテイストが香る「べらべら」、「ONI」でフロアが一体となり、最初の高揚感が戻ってくる。
1stワンマンライブから続けている「歌ってみた」コーナー。この日もバンドメンバーが一旦ステージを離れる中、シユイが今回、Xで募集した曲からセレクトした3曲をドロップ。
フロアを揺るがすビートが響く「劣等上等 -cover-」からは内省的なブロックになった。ラブバラード「My Dearest -cover-」で自身の胸に大切な宝物をそっと仕舞うように歌う。バラードを歌うときのシユイの歌声は、透き通っており、全く淀みがない。彼女の口から紡がれる言葉は一つひとつが丁寧で、歌詞の意味がダイレクトに心へと届いてくる。洗練されたピアノの伴奏と一つになった「楓 -cover-」のサビ。花がゆっくりと開き、満開になるワンシーンを彷彿とさせる、しなやかな動き。その美しさに息を呑む。
後にMCで、「(歌いながら)私も泣いちゃったよ」と口にしながら「My Dearest -cover-」の作者でもあり、シユイのメジャーデビュー曲を生んだryoを中心としたクリエイター集団・supercellが自身の音楽キャリアにどれだけ価値があったかを打ち明けた。「私が歌を歌い始めるきっかけになったのが、supercellさんの音楽だったんです。この曲はこゑださんが歌っていて、すごく尊敬しているんですけど、正直、こゑださん以外が歌うのはダメだと思っていたんです。でも、自分の曲以外だったら、人生でこの曲を一番歌ってきたんですよ。だから、今日はせっかく3回目のワンマンだし、カバーしたいなと思って歌わせていただきました!どうでしたか?」と問いかけた。
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