INTERVIEW
2024.07.22
――もう1曲のカップリング曲「もしもし.com」は、ラジオ番組をモチーフにしたゆるふわなラップナンバーです。
豊田 どうしても届ける側の目線になってしまうのですが、ラジオに携わる人間としてテーマにしてもらえることはすごく嬉しいことで、ラジオにあるワクワクを形にしてもらえて、このなこさんの楽曲をきっかけにラジオに触れてくれる人がいたらいいなと思いました。個人的にも、いちリスナーとしてのワクワクやラジオの原体験を思い出したりもする楽曲で。
――その原体験というのは？
豊田 他局のお話になるんですけど……（苦笑）、私は昔からアニメが好きだったので、声優さんのラジオ番組が自分の原体験にあるんです。コーナーに送られてくるお便りの文才を羨んだりして。
岬 めちゃくちゃわかります！私も同じような内容のお便りを送っていたのに読まれなかったことがあって、「悔しい！」と思って送らなくなっちゃったことがあります。
豊田 悲しい（笑）。ラジオには想像する楽しさがあると思うんです。よく覚えているのが、聴いていたアニメのラジオ番組でオリジナルの香水を作る回があって、もちろんこちらからすると香りはわからないのですが、声優さんの伝える力がすごくて、香りのイメージが浮かんできたんですよね。その時間がすごく楽しかったことを、この楽曲を聴きながら思い出したりもしました。それだけなこさんの音楽が私の日常の中にも根付いているのかなって思います。
――ラジオも色んな人の日常に寄り添うものですしね。
豊田 「もしもし.com」というタイトルも面白いですよね。
岬 作詞してくださった辻（詩音）さんは「Light Me Up！」も作詞してくださった方なのですが、言葉のチョイスがとにかくかわいくて。私も日常生活で擬音を使いがちで、「ふわふわ」とか「ぽやぽや」みたいなことをよく言うので、サビの最初の“しゅわしゅわチカチカ”という歌詞も、「もしかして私の脳内を見てる……？」と思ったくらいで。途中で出てくる“となりねこ”というラジオネームも素敵ですけど、もしかしたらこの曲が世に出ることで、私のラジオ番組にお便りを送ってくれる方のラジオネームが“となりねこ”だらけになるかもしれないという懸念点はありました（笑）。
豊田 （笑）。
岬 そもそもこの楽曲は、私が「ラップを歌いたい」と言ったところから生まれたので、ラジオがテーマになるとは思っていなかったのですが、私も音泉さんで「岬なこのそんなこんなこラジオ！」という番組をやらせていただいているので、今から色んな想像が膨らんでずっとワクワクしています。（豊田に向けて）ぜひラジオのテーマソングに使っていただければと思うので、よろしくお願いいたします。
豊田 うちで使わせていただいていいんですか？
岬 どうぞ！どの局の番組でも使っていただける、素敵な楽曲となっております。
――いきなりテーマソングの売り込みが始まりました（笑）。岬さんはこの曲でラップをやりたかったんですね。
岬 はい。でも私が普段聴いているのは、こういう“ゆるラップ”というよりも“めちゃラップ”、めちゃくちゃラップしている曲で。
豊田 さっきちゃんみなさんがお好きと言っていましたもんね。
岬 ちゃんみなさんもそうですし、輪入道さんとか。
豊田 え～、意外！
岬 呂布（カルマ）さんも好きですし、「フリースタイルダンジョン」をずっと観ていたので、Creepy NutsのR-指定さんや、梅田サイファーもよく聴いていて。なのでゴリゴリの濃いラップが好きなんですけど、私がいきなりそんな楽曲を歌い出したら、きっとみんなびっくりしちゃうと思って。「ちいさな蕾」のあとにすげえラッパーが来た！みたいな（笑）。ゆくゆくはゴリゴリのラップにも挑戦してみたいですけど、多分、私のアーティスト活動の根底にある“親しみやすさ”を考えて、今回は“ゆるラップ”になりました。
豊田 今は段階を踏んでいっているところなんですね（笑）
岬 私もざっくりと「ラップを歌いたいです」としかお伝えしていなかったので、結果としてかわいくて素敵すぎる楽曲が誕生しました。でも、“ゆるラップ”もアニメのキャラソンでよくありますし、そういう楽曲をカラオケで歌うのが好きなので、自分が歌ってみたいものが集まってできたのが「もしもし.com」だと思います。
――先ほどお話にも出ましたが、岬さんも自分のラジオ番組を持っているわけで、その意味で歌うときにイメージしやすい部分もあったのでは？
岬 前回のインタビューでもお話しましたように、私は“歌をうたわない”というのが歌うときのスタンスなのですが、この曲は今まで以上に歌をうたわなかったです。ラジオのブースでお話しているイメージというか、今、隣にいる人にしゃべりかけている気持ちで歌ったので、まったく声を張っていなくて。録り直しもほぼなくて、多分、レコーディングも今までで一番早く終わりました。“「こっからは ジャッジ甘め～！頑張った今日にはなまる5個～」”というセリフのところは、全体を録った後に別で録ったのですが、ここは1テイクでOKが出ました。それこそ穂乃花さんは毎回、生放送でラジオ番組をやられているので、そのときに出た気持ちがすべてになるわけじゃないですか。そういうラジオのリアリティが、この“はなまる5個”というワードには込められています。
豊田 そんな裏テーマがあったんだ（笑）。『day to YOU』に収録していてもおかしくないくらい、日常に寄り添った曲だと思いました。
――せっかく豊田さんがいらっしゃるので、岬さんがラジオをやるうえで教わりたいことはないですか？
岬 もう全部教わりたいです！言葉の選び方や語彙力もそうですし、さっきもお話した“話を聞く姿勢”という部分にすごく人柄が表れている気がしていて。穂乃花さんの声は聞いていてすごく癒されますけど、声があまりにも良すぎてめちゃくちゃ眠くなるんですよ。
豊田 あ～、それはよく言われるんですよ。友達と電話をすると相手を必ず寝落ちさせるっていう（笑）。
岬 特殊効果じゃないですか！すごい！（笑）。
豊田 深夜の番組をやっているので、トラックの運転手さんとか本当に心配で。でも流れる楽曲は賑やかなものが多いので、そこでバランスが取れていたらいいなと思っていて。
岬 でも、それはめちゃくちゃ武器だと思います。きっと声からマイナスイオンが放出されいるんでしょうね。多分、履歴書に書いていいくらいの特技だと思います。「人を眠らせることができます」って。
豊田 それ、ポケモンじゃん！（笑）。
岬 プリンになれると思います（笑）。でも声ひとつでそれだけ誰かの心を動かせるのってすごいですよね。「眠くなる」ということはきっと脳のすべてに語りかけている証拠だと思うので。
――先ほど岬さんから「言葉の選び方や語彙力」を学びたいという言葉も出ましたが、豊田さんとしてはどう思われますか？
豊田 ご自身は語彙力がないとおっしゃいますけど、なこさんは1つ1つの言葉のチョイスが独特で、なこさんにしかできない言葉の組み合わせをするんですよ。謙遜するときに出がちなんですけど、「私なんて……」と言ったあとに続く言葉のチョイスが、わざわざちょっと難しい言い回しになっていたりして。
岬 うわー、なんか恥ずかしい（笑）。
豊田 なのでなこさんはそのままでいいと思いますし、そのままの言葉を伝えてほしいです。ラジオの対談で「経験していないことを話すのは嘘をついているような気持ちになる」ということをお話していましたけど、きっとすごく真っ直ぐな方なんだろうなと思って。自分が本当に思ったこと、経験したこと、見たこと、信じていることだけを話したいんだと思うので、ぜひ独特のワードセンスのままでいてほしいです。
岬 これは……褒められているのかな？
豊田 すごく褒めてます（笑）。
岬 じゃあいっか（笑）。このままでいます！
――納得されたようで良かったです（笑）。では最後に“リスパレ！LIVE vol.1”への意気込みをいただけますでしょうか。
岬 えー、きっと緊張していることでしょう、私。
豊田 あれ？将来への自分に向けた手紙みたいになってますけど（笑）。
岬 ライブ当日にこの記事を読みます（笑）。今回は、単独でライブやリリースイベントをやらせていただくときとは違って、他のアーティストさんと一緒に1つのステージを作り上げていくことになるので、他の皆さんからもたくさんの刺激を受けることになると思うんです。もちろん駆けつけてくださる皆さんも欠かせないですし、もしかしたら前日につまづいてしまうことがあるかもしれないですけど、ライブ当日のその時間だけは、忘れられないくらい最高に楽しい時間をお届けしたいです……と、今のあまり緊張していない自分から言っておきます（笑）。あまり“絶対”という言葉は好きではないですけど、絶対楽しいはず！今からすごくワクワクしているので、私も伸び伸びとパフォーマンスできればと思います。
豊田 個人的なところで言うと、DJになって10年経つのですが、初めて番組ライブイベントを開催できるというところに辿り着いて。そこでなこさんをはじめ色んな方とご一緒できること、ここまで応援してくれた「ハチパレ」リスナーさんと一緒に過ごせるという意味でも、特別な時間になるだろうなと感じています。なこさんは今回が初めてのライブハウスということなので、スタンディングの会場でどういったステージングになるのかも楽しみですし、アニメ・声優・ネットカルチャーだけではないところが集まった、「リスアニ！」と「ハチパレ」でしか成し得ない組み合わせというのが今回のイベントの一番良いところだと思うので、初めて出会うアーティストも含めて全組を通して楽しんでもらえたらと思っています。（岬に向けて）期待しています！
岬 うわ、ヤバい……！最後は「期待しています！」で締められるなんて、私が後にしゃべれば良かった……（笑）。頑張れー、未来の私ー！
●岬 なこ Profile
3月8日生まれ、兵庫県出身。ホーリーピーク所属。
ラブライブ！シリーズの4作目となる『ラブライブ！スーパースター!!』の嵐 千砂都役を担当し、同作品のスクールアイドルグループ・Liella!のメンバーとして数多くのライブや音楽フェス、TV番組への出演など幅広く活動中。
2023年7月5日（なこの日）に、デビューアルバム「day to YOU」にてソロアーティストとしてデビュー。同年11月1日には、TVアニメ『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』EDテーマとなる1stシングル「スイートサイン」をリリース。
2024年7月放送開始予定であるTVアニメ『魔導具師ダリヤはうつむかない』のオープニングテーマを担当し2ndシングル「ちいさな蕾」を7月24日に発売予定。
インターネットラジオステーション＜音泉＞「岬なこのそんなこんなこラジオ！」パーソナリティ。
●リリース情報
TVアニメ『魔導具師ダリヤはうつむかない』オープニングテーマ
岬なこ 2ndシングル「ちいさな蕾」
2024年7月24日（水）発売
【初回限定盤】
品番：LACM-34607
価格：￥3,080（税込）
【通常盤】
品番：LACM-24607
価格：￥1,980（税込）
＜INDEX＞
1．ちいさな蕾
作詞：PA-NON 作曲：山田智和 編曲：渡辺拓也
2．銀のシュプール
作詞：PA-NON 作曲：岡本隆司 編曲：湯浅 篤
3．もしもし.com
作詞：辻 詩音 作曲：ふくのねこみ,しんりゅー 編曲：ヤナガワタカオ
4．ちいさな蕾(Off Vocal)
5．銀のシュプール(Off Vocal)
6．もしもし.com(Off Vocal)
＜info＞
初回限定盤：特典BD付属
[BD]
01. ちいさな蕾 Music Video
02. Making of ちいさな蕾 Music Video
初回生産限定特典：岬なこアコースティックライブチケット最速先行抽選申込券封入
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●802 Paletteとは
大阪のラジオ局・FM802で毎週土曜日25時から、DJ豊田穂乃花が生放送でお送りしているラジオ番組。
J-POP/J-ROCKの枠を超え、アニメ、ゲーム、ネットミュージックなど、カラフルな音楽との出会いを描く4時間プログラム。「＃ハチパレ」の愛称で親しまれ、SNSでトレンド1位を記録するなど、注目を集めている。
●豊田穂乃花 Profile
9月26日生まれ O型。 高校時代、放送部との運命的な出会いをきっかけに声を使った仕事に興味を待つ。 小さいころから「自分発信の何かで人を幸せにしたい」と考えており、
放送部での活動を経て「自分の声で人に癒しを与えたい」とDJを目指すようになる。
2014年10月、放送芸術学院専門学校在学中に「LNEM」でDJデビュー。
2019年にはStarMachineProject「はじまりの かんじょう そうこう」にて舞台初出演を果たす。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●「リスパレ！」とは
アニメ音楽メディアである「リスアニ！」と、大阪のラジオ局・FM802で、カラフルな音楽との出会いを描く番組「802 Palette」がタッグを組んだ新・音楽メディア。
アニメ・ゲームカルチャー・ネットミュージック、そしてその枠を越えた様々なアーティストの魅力を発信します。
また、「リスパレ！」がプロデュースするライブイベント「リスパレ！LIVE vol.1」の開催も決定！
「リスパレ！LIVE vol.1」
2024年7月27日（土）・28日（日）
開場：16時15分 開演：17時00分（予定）
会場
大阪・心斎橋BIGCAT
https://bigcat-live.com/
出演者（50音順）
7月27日（土）：楠木ともり／シユイ／棗 いつき／はしメロ
7月28日（日）：伊藤美来／こはならむ／Who-ya Extended／岬 なこ
チケット
スタンディング ￥6,600（税込）
※入場時ドリンク代別途￥600が必要
詳細やチケット申し込みは下記
https://funky802.com/lispale/
●関連リンク
岬 なこ
公式サイト
https://lantis.jp/misakinako/
公式X
https://twitter.com/MisakiNako_
リスアニ！ × 802 Palette「リスパレ！」
公式サイト
https://funky802.com/lispale/
SHARE
