『わんだふるぷりきゅあ!』(以下、『わんぷり』)のED主題歌として流れる、愛らしいデュエットソング「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」。担当するのは、『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』で主題歌を歌った後本萌葉、そして『ひろがるスカイ!プリキュア』(以下、『ひろプリ』)でOP主題歌と前期ED主題歌を担当した石井あみ。共にプリキュアシンガーではあるが声を合わせるのは初めてという2人だが、“全プリキュア 20th Anniversary LIVE!”(以下、“全プリライブ”)でファンへの初披露もすでに経験済み。駆け回るいろは&こむぎが目の前に浮かび上がるような、そんな楽曲を誕生させた石井&後本が築きつつある、最高にキュアなトモダチ関係をLET’S HAVE FUN FUN!
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
――『わんぷり』のED主題歌歌唱に白羽の矢が立ったことについてどう思いましたか?
石井あみ 決まったときは本当に嬉しかったです!しかも、『ひろプリ』で(前期ED主題歌の)「ヒロガリズム」を(吉武)千颯ちゃんと歌わせていただき、デュエット大好き人間になったので。今回もこの1年間で萌葉ちゃんと色んな思い出を作っていけると想像しました。しかも、めちゃめちゃワクワクと楽しいが詰まった楽曲で、面白かわいくワンちゃんを表現していますよね。Aメロでいきなり“イヌも歩けば わんだふる”という歌詞が出てくることに驚きましたし、“オンリー「ワン!」”や“ドッグ×2”も。飼い主とワンちゃんの仲良し感もたくさん表現できたらいいな、と思いながら音楽作りをさせていただきました。
後本萌葉 私は『デパプリ(デリシャスパーティ♡プリキュア)』のライブイベントで先輩の歌手さんたちを近くで見ながら、すごく憧れの気持ちが強くなっていって、主題歌が一番の目標になっていたので本当に嬉しかったです。いただいた曲も本当にかわいくて、(飼い犬の犬飼)こむぎちゃんと(飼い主の犬飼)いろはちゃんの仲良しなところがギュギュッと詰め込まれた『わんぷり』らしい楽曲なので、その「仲良し」をあみちゃんと表現しながら頑張って歌っていこうと思いました。
――お二人ともプリキュアシンガーではありますが、パートナーに対してどんな印象をお持ちでしたか?
石井 私が初めて萌葉ちゃんのお歌を聴いたのは“デリシャスパーティ♡プリキュア LIVE 2022 Cheers!Delicious LIVE Party♡”で、そのときの私は客席で観覧していて、2日間3公演を全部見させてもらいました。
後本 えっ、そうなの?
石井 うん。そのときから、一所懸命で素敵な方だと思っていました。それから『ひろプリ』が始まったあとにお会いしたことはあったのですが、軽い挨拶程度で。だから、ちゃんと「萌葉ちゃん♪」「あみちゃん♪」と呼び合う関係になったのは、今回のレコーディングで私がご挨拶しに行かせてもらったときですね。
後本 私たちはバディになるわけじゃないですか?なので私はもう「あみちゃん♪やっほー!」みたいな気持ちだったんですけど、あみちゃんはまだ少しかしこまった感じだったのでちょっと申し訳なかったです。
石井 萌葉ちゃんは最初からゼロ距離でピタッとくっつく感じで、誰に対しても熱烈な愛で距離を縮めていくタイプなので、距離を詰めるのが苦手な私はすごく助かりました。でも、“全プリライブ”の練習や楽屋で一緒にいる時間が多かったので、そこでいっぱい話してすごく仲良くなりました。
――石井さんは後本さんの歌声にどのような魅力を感じますか?
石井 唯一無二の、誰にも真似できないような素敵な歌声で、何を歌っても萌葉ちゃんのサウンドだとすぐにわかりますね。私の声は自分でも特徴がよくわからないというか、楽曲に左右されることがあるので、学ぶべきところや尊敬するところがあります。
後本 そんなそんな。楽曲に左右されるという話でしたけど、それは「ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~」みたいなかっこいい楽曲でも、今回みたいなかわいい楽曲でも、どんな曲にも合わせられるということなので、曲に合わせて表情がすごく変わるところなど私も見習いたいと思っています。
石井 いやぁ(照)……そんな感じみたいです(笑)。
――後本さんが石井さんの歌声を初めて聴いたのは、その「ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~」でしたか?
後本 はい。視聴動画が発表されたときに初めて聴きました。(歌手が)発表されたときから「どんな歌声の方なんだろう?」と思っていたんですけど、本当にかっこよくてクールで素敵な歌声でしたね。“デリシャスパーティ♡プリキュア感謝祭”でお披露目されたときに初めて生歌唱を聴かせていただいたんですけど、ダンスしたり「1年間よろしくね」みたいな感じで振る舞っている様子がとてもかわいらしくて。その歌声に反して普段しゃべっている感じはふんわりしているのが私的にはすごく推しポイントです。
――お二人が今回の楽曲のレコーディングに対してどのように臨んだかについても教えてください。
後本 まず、こむぎちゃんの犬種がパピヨンと伺ったので、パピヨンが走り回っていたりお風呂を嫌がっていたりする、ワンちゃんの日常を撮った動画を探して見漁りました。鳴き声も真似してみたり。
――鳴き声も?
後本 レコーディングに必要かどうかはわからなかったんですけど、歌詞の色んなところでワンちゃんが歌っているように感じたので、パピヨンの気持ちを理解しようと思って研究しました。結局全然使わなかったんですけど(笑)。あとは、ご機嫌なときに尻尾をパタパタしたり、悲しいときにクーンってなったり、そのわかりやすさを表現できたら、と思っていました。“喧嘩するけど”や“君こそオンリーワン”といった歌詞のところは、ワンちゃんらしくコロコロと表情を変えることを意識しながら歌いました。でも、私が先にレコーディングしたのでわりと好き勝手にやってしまって……あみちゃんがそれに合わせてくれたので本当にありがたかったです。
石井 いやいや。
――苦労したところはありましたか?
後本 落ちサビのところは、ラスサビにかけてどうやって最後の盛り上がりを出すかの表現がとても難しかったです。最初は落ち着いていて、2人でいられる喜びみたいな、ほんわかした気持ちなんですね。そこから、いろはちゃんからお散歩に誘われて飛び跳ねながらワイワイするこむぎちゃんらしさ、「遊びたい!」という気持ちを出して、ラスサビではあみちゃんと一緒に、という流れを意識して盛り上げ方を工夫してみました。
――石井さんが意識した点というのは?
石井 私はとにかく仲良し感が出るように、一緒に歩いているところをイメージしながら萌葉ちゃんの歌に寄り添うように歌いました。今回は自分の課題でもある「表情を出す」というところを意識して、自分は言葉を意識して練習しました。
――歌うというよりも言葉を発する感覚で。
石井 だから、実際に色々な表現で言葉を発してみて、何回も練習していきました。でも、レコーディングではなかなかハマらなくて、「ここでアクセントを付ける」とか「クレッシェンドで」とか、音大出身の私が飲み込みやすいディレクションをしていただきました。そのおかげで、音楽的にもしっかりとした表現をしつつ、会話するような表現も曲に入れ込めたと思います。あと、1番は2人が並んで会話している感じで歌っているのに対して、2番は相手が歩いているところに途中から飛びつく感じがしたので、合いの手のタイミングを若干早めてもいるんですね。
――そのアイデアはどういったところから来たんですか?
石井 1番と2番では演奏する楽器が違うので同じように歌いたくはなくて、2番はベースやドラムといったリズム系が強めなので、合いの手は草むらから飛び出てくるような印象がありまして。私としては言い方を変えてみるようなイメージで、タイミングを少しだけ早くすることで聴く人に驚きが伝えられたら、というディレクションをいただきました。あとは、単語の最後の母音が「お」だったら「おお」と重ねることで余韻を出すとか、そういった細かい変化も付けたので、意識して聴いてみると面白いのかなと思っています。
――2人の声が合わさった完成版を聴いたときの感想はいかがでしたか?
石井 録っているときは必死すぎて完成イメージができなかったのですが、めちゃめちゃ仲良しだよね?
後本 うん(笑)。
石井 サビ前の“さぁ遊ぼう”から2人で歌うところは「やっと一緒に声を合わせられた!」という感じで、私自身も歌っていて嬉しくなりました。そういった気持ちが歌にちゃんと出ていると思いますね。掛け合いのところも、別々に録ったのに、本当に会話しているみたいで。
後本 うんうん。
石井 お互いを思っていたからこそ会話しているように聴こえるんだと思いました。
後本 掛け合いのところは、「いろはちゃんとこむぎちゃんはきっとこんな感じなんだろうな」と思えましたし、作品の中で2人の友情が描かれていく様子が想像できました。私もあみちゃんと同じく、一緒に歌えて嬉しい気持ちが強かったので仲良しなところが表現できたんだと思います。あと、私とあみちゃんは声のタイプが全然違うと思うんですが、一緒に歌うとしっくりくるんですよね。人間のいろはちゃんと犬のこむぎちゃんのように、違う者同士なのにペアになったら最強、みたいなところが感じられる楽曲になった気がします。
――すでに“全プリライブ“で初披露を済ませていますが、振り返ってみて思い出すことも教えてもらえますか?リハで声を合わせてみたときの感想とか。
石井 歌っているときの楽しさがそのまま2人の音色になっているような気がしました。イヤモニから声が聴こえてくるのがもう楽しくて(笑)、お互いがすごくワクワクできていたと思いますし、リハも楽しかったです。いやー、一緒に歌えて嬉しいです。ホントに。
――本番も緊張しなかったですか?
石井 私は元々緊張しないタイプなのでワクワクの方が強かったです。お客さんの反応が読めなかったのでドキドキもありましたが、OP主題歌担当の(吉武)千颯ちゃんが先に歌ったときの盛り上がりが本当に温くて。なので、「これはもう楽しめばいいんだ」と思えました。萌葉ちゃんには緊張していたからか、ギューって抱きつかれました。(後本を見て)覚えてない?
後本 あんまり覚えてない(笑)。多分、色んな方にギューしすぎて。
――では、緊張からではなくただの習慣?
後本 あ、そうです。裏で出会った知り合いの方みんなにしていました(笑)。北川(理恵)さんやMachicoさんにも「はい、ギュッ」ってやっていましたし、一緒にステージに出演したプリキュアたちの中にもギューってしてくれた方もいました。「受け入れてくださってみんな優しいな」と思いましたね。
石井 あれ?私だけじゃなかったんだ。「ぷい」ですね、これは(笑)。
――嫉妬していますが、石井さんは携帯の待ち受け画像がMachicoさんじゃないですか。
後本 そうだよ!相棒の私を待ち受けにしなさいよ!写真送ってあげるから。
石井 あ、それはまた、あの……すみません(笑)。でも、グータッチをしたのは私だけだよね?
後本 そうだね。千颯ちゃんがOP主題歌を歌っているとき、裏で待機しながら「やるぞ!」みたいな感じでしました。
――ということは、後本さんも緊張はなかったですか?
後本 そうですね。『デパプリ』ライブのときはすごく緊張して、今回はさらに規模が大きいですし、先輩の方もたくさん出演されるので、めっちゃ緊張するだろうとリハーサルでは思っていたんです。でも、いざ始まってみたら楽しくて仕方がなくて、全然緊張しなかったです(笑)。
――2人での初ステージはいかがでしたか?
後本 あみちゃんと私でもあり、いろはちゃんとこむぎちゃんでもあり……みたいな感じで楽しく歌えた感覚があります。“全プリライブ”は、シリーズ全作品のファンに向けて『わんぷり』を印象づける場だと思ってもいたので、『わんぷり』の世界観を全力で表現しようと思っていました。だから、「ここでハイタッチしようね」とか振付をあみちゃんと工夫していたんです。リハーサルでは、歌いながらどうやったらかわいくダンスをみせられるのか、一緒に切磋琢磨しながら練習していましたね。
――ステージ上で感じたこととしてどんなことを覚えていますか?
石井 “全プリライブ”は女性のお客さんが多くて、応援うちわを作っていたり、お洋服をリメイクしてかわいくしたりしているのがよく見えました。私は結構お客さんの近くを歩くタイミングがあったので、間奏になったら「すごいね!」「それ、めっちゃかわいいね!」って手振りや口パクで伝えていました(笑)。
――それはお客さんも嬉しかったでしょうね。
石井 ああいうのって用意するのにすごく時間がかかるじゃないですか?一人ひとりの方が思いを込めて作ったことを考えたらありがたかったです。だから、お歌でいっぱい返したいという気持ちになりました。大人の方も子供たちもライトを振ってくださっていたのもすごく印象に残っていて、みんなのおかげで全力を出し切れたと思います。
後本 私も、客席の近くを歩かせていただいたとき、お顔を見たら本当に楽しそうな表情をされていて、ここは『プリキュア』が大好きな人しかいない空間なんだ、ということが伝わってきてすごく嬉しかったです。この笑顔をもっと見たいと思ったので、今後のイベントへの原動力になると思います。あと、あみちゃんも言っていた通り、みんながそれぞれ推しのプリキュアを応援していたので、「80人近く登場したプリキュア全員が誰かにとってのNo.1なんだ」と感銘を受けてしまって、20年の歴史と、推し活をしている皆さんに対して勝手にウルウルしていました(笑)。改めて、関わることができて嬉しいと実感できるライブでしたね。
――ちなみに後本さんの推しプリキュアは?
後本 私はキュアドリームです。
――では去年は楽しかったですね。『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』の放送もあって。
後本 本当に。私、小さいときの夢がキュアドリームになることだったんですけど、“全プリライブ”が終わったあとで(キュアドリーム役の)三瓶由布子さんとツーショット写真を撮らせていただけて、ボロボロ涙が止まらなかったんです。そうしたら三瓶さんが「私が泣かせたんじゃないから!」って言っていました(笑)。でも、小さいときから憧れだった話をさせていただいたら三瓶さんも喜んでくださって。「また一緒にお仕事しましょう」って握手とハグをしてもらいました。もう一生の思い出です。
――思い出したらまた瞳がウルウルしてきましたね。
後本 すみません。でも、そのあとで池田 彩さんにハガシをされました。「お時間でーす」って(笑)。
――(笑)。石井さんの推しプリキュアは?
石井 実はあの……私、キュアスカイがどタイプで。
――言い方が(笑)。
石井 すみません(笑)。もちろんビジュアルもかわいいのですが、ヒーローがいたから頑張れたという姿に毎週元気づけられていました。「絶対に諦めない気持ち」がすごく伝わってきた1年間でした。先日の『映画プリキュアオールスターズF』の復活祭上映で撮影OKタイムがあったとき、偶然スカイと私が隣になったことがあって。実はひそかな夢だったので、今も2人で手を繋げたことの余韻に浸っています。
――「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」のダンスの初披露も“全プリライブ”でした。今回の振付についてはどんな印象ですか?
石井 最初に自分が覚えたときも思いましたが、“全プリライブ”の1日目に初めて歌唱したのに2日目にはもう覚えている方がいて、それくらいにわかりやすいんだということを実感しました。ワンちゃんのポーズをするところがとにかくかわいいですし、そのポーズをする箇所も多いので、歌いながら踊るのが本当に楽しいです。ジャンプするところは「きっと子供たちは思い切り飛び跳ねるんじゃないかな」ってすごくワクワクしています。ハイタッチするところもお友達やみんなでしてほしいと思いますし、私たちも歌いながら一緒にハイタッチできたらいいなって思っています。
後本 あのかわいい振付を、さらにかわいいお友達たちがやってくれるところを想像すると今からとても嬉しくなりますし、早く見たいです。でも、それを見て平常心で歌えるかな?とも思うんですけど……。
石井 (笑)。
後本 でも、たくさん真似してほしいですね。“全プリライブ”で初めて踊ったとき、客席の最前列にいる方が私たちを見ながら「かわいい」って言っているのが口の動きでわかって、すごく嬉しかったんです。あとで検索したときも「振付がかわいすぎる」という声をいっぱい見つけて……本当に嬉しかったですね。
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