INTERVIEW
2024.04.03
――ここからはEPの楽曲について、収録順にお話しを聞いていきます。1曲目の「のば」は梶原パセリちゃん(NaNoMoRaL)が作詞・作曲を手がけた、いい意味で肩の力の抜けたミディアムナンバーです。
山根 始めてデモを聴かせていただいたとき、梶原さんの歌声がハマりすぎていて、ご本人の人柄が伝わってくるような楽曲だと思いました。歌詞が本当に素敵で、まず「のば」って何?ってなると思うんですよ。“スーパーノバ”とかで使われる“ノバ”のことかもしれないし、歌詞を見たら色々想像できそうなものだったので、きっと各々が持っている「のば」でいいんだろうなと思って。その距離感が素敵だなって思いました。
――山根さん自身の気持ちや青春とリンクする部分はありますか?
山根 あります!2番のBメロの“逃避したいなって でも 損したくなくて笑った そんな僕を許してしまってるんだ”がすごく素敵で、その前の“教科書もないとこでチャイム鳴らすよ”のところもすごく共感できます。当時の私の中で学校はあまりポジティブなものではなくて、その学校という社会で難しさを感じたときに、学生だと他に行く場所がなかったりするし、そこしかないのは結構しんどいなと思うことが多かったんです。その頃はあまり前向きに学校に通えなくて、お世話になっている横浜のスタジオに朝から登校して体育の授業を受けていた経験があるくらい、学校で教科書を開いて机に向かう時間以外に学んだことがたくさんあって。
――まさに“教科書もないとこでチャイム鳴らすよ”ですね。
山根 その後にある“逃避したいなって”もわかるし、でも損したくない気持ちもすごくわかるんですよね。自分が逃げていることをわかっているから、私はダメなことをやっているのかな、後退しているのかなって思ってしまう。でも、この歌詞では“損したくなくて笑った”って笑ってくれているんですよ。損したくなくて落ち込んだり泣いたのではなくて「まあいっか」っていう感じで。ここが私の共感ポイントで、あのときの若さを想像できて素晴らしい歌詞だと思いました。
――続く「雨色スコープ」は、YAYA RECORDSのカバー楽曲のアレンジを担当されている、れあいさん提供の楽曲。雨降りも構わず駆けているような、爽快かつアッパーなロックチューンに仕上がっています。
山根 れあいさん節がすごく出ている楽曲です。大体の楽曲はAメロ→Bメロ→サビ→2A→2B→2C→Dメロ→3Cという流れだと思うんですけど、この曲はAメロ→Bメロ→サビのあとにDメロ→Eメロに行くんですよ!しかも最後は転調してサビに戻ってくるので、朝起きてから寝るまでの一日、たくさんのことを感じた一日を一周しているイメージが浮かびます。私の中ではこのEPをリード曲のように引っ張ってくれる楽曲だと感じていて、ライブでは皆さんコブシを上げて一緒に盛り上がってもらえると嬉しいです。
――3曲目の「わたしは知ってる」は、CIVILIAN/ナノウのコヤマヒデカズさん提供のセンチメンタルなミディアムロック。
山根 この楽曲は本当に共感オブ共感で、コヤマさんとはまだお会いしたことはないのですが、私と同じバイブスを感じました!まず「わたしは知ってる」というタイトルを見た瞬間に「これは絶対に好きな曲だ!」と感じて。だって「わたしは知ってる」ですよ?
――いや、それだけだとよくわからないです(笑)。
山根 ですよね、ごめんなさい!歌詞の最初の4行、“例えばここじゃなく知らない何処かで生まれたら”から“今の私じゃなく別の誰かになれたのかな”までを読んだときに、私と同じ気持ちを持っている方だと感じましたし、私はこのEPでこういうことを言いたかったんです。私が表現したかった“青春の始まりと悲しみ”の“悲しみ”担当がこの曲だと思います。でも、みんなの決めた道を優しく肯定したい気持ちも含まれているので、このEPの裏ボスじゃないですけど、後方彼氏ヅラをしているというか……。
――後方彼氏ヅラですか(笑)。
山根 ちょっと例えを間違えたかも(笑)。後ろでドシッと構えてこのEPを支えてくれているのがこの楽曲だと思います。すごくいい歌詞なんですよ!
――要約すると、自己肯定感が低くて自分に弱さを感じていても、その気持ちにも意味がある、ということが描かれているように感じました。
山根 そうなんです!“踏まれた花を見て自分を重ねることも無いかな”という歌詞も、私は泣いている人や枯れていく花、終わろうとしている何かに自分を重ねた瞬間が結構あるので、すごくわかる歌詞だと思いました。そんな経験をしたことがある人に共感してもらえるだけでなく、前向きにさせてくれる楽曲だと思います。
――そして4曲目は、山根さんが自ら作詞・作曲した「青春の始まりと悲しみ」。おそらく山根さんがこのEPで表現したかったものを集約したような楽曲だと思うのですが。
山根 そうですね。作詞・作曲は高校のときにもやってみたことはあったのですが、こうやって明確なテーマを持って、多くの人に届けたいと考えながら作ったのは初めてで。この曲は高校時代の自分と今の自分のどちらも表現した楽曲で、1番には高校時代にずっと感じていたことが入っています。“止まらぬこの人生は誰のものかな”という歌詞がありますけど、私は「止まればいいのに」とか「私が私じゃなかったらいいのに」と思ったことが何回もあるんです。特に1サビの歌詞は自分の本当の気持ちを明確に提示しています。本当はラスサビにするつもりだったのですが、今の自分が伝えたいことの全部を前に持ってこようと思って。
――1サビの“そうだ本当は僕を愛してみたい”や“ただありのまま咲いていたいな”といったフレーズは、新しい青春の始まりを予感させますね。2番以降はどんなイメージで書いたのですか?
山根 2番からはちょっと旅立った自分というか、俯瞰して世界を見ている自分を持ってくる構成にしました。特に2番の頭の“「自己肯定感」「自尊心」もう聞き飽きて”のところは、最近は色んなところで自己肯定感や自尊心を上げるのは良いこととされていますけど、それを上げることに必死になりすぎていると、上げられない自分はダメなんだっていう気持ちになってしまうと思うんですよ。別に自己肯定感が低くてもいいし、自尊心が低いからわかることもある。在りのままの自分を愛していけばいいじゃないか、ということをこの曲では言いたくて。そこからラスサビに繋がっていくのですが、この曲は私が初めて作る楽曲なので、自分が死ぬ最後の瞬間に、私のことを知っている人にこの曲が届いたらいいなと思って、今の等身大の私、在りのままの私を表現したという意味を込めて、最後の1行は“生きた証をここに残すよ”という言葉を選びました。
――先ほど高校時代の自分と今の自分の気持ちを表現したとおっしゃっていましたが、その両方を比べたときに、自分自身はどう変わったと感じていますか?
山根 高校生のときの自分は、あまり希望を持てなくて、誰かになりたくて、自分自身からずっと逃げたかったけど、でもどこかで私は私以外にはなれないことをわかっていて。そのうえで私は私として生きるのを辞めたかった。そういう葛藤みたいなものを1番の歌詞で表現しています。その後にある、2Aの“知らないことなんて無ければ幸せになれると思っていた 本当は違ってたな”というのが、今の目線の私の気持ちなんです。若いときは世の中のすべてのことを知りたかったけど、大人になった今は、自分らしい芯を持って楽しく生きていくためには、知らない方がいいこともたくさんあると思えるようになって。多分、自分に自信がなかったから、すべてのことを知りたかったと思うんですよ。今、私が、昔の自分に何かを伝えられるとしたら、「すべてのことを知らなくても幸せになれるよ」ということを伝えたくて、この歌詞を書きました。
――今の山根さんは、在りのままの自分を愛せていますか?
山根 はい。今、私は私のことが結構好きなんですよ。昔は本当に自分のことが好きではなくて、去年出したエッセイ(「山根綺のほんとのところ。」)でも「私は自分のことがあまり好きではありません」と書いていたくらいだったのですが、それこそYAYA RECORDSを始めてからこの1年、良いことも悪いことも含めて自分という人間にすごく向き合ってきたなかで、「私は何がしたいんだろう?」ということをファンのみんなにさらけ出したら、「どんなややちゃんでも好きだよ」と言ってくれる人がすごく多くて。それで「みんなが私のことを好きと言ってくれるのに、私が私のことを好きじゃなくてどうするんだ」と思って、そこから思考を変えるようになって、自分を好きになろうと思えるようになりました。できたこともできなかったことも全部自分の力になるし、完璧じゃなくても泥んこでもいい。そういう気持ちで生き始めてからは、すごく楽になりましたし、自分を好きになってきたので、本当にみんなの力は偉大です。
――もう1曲、「第5準備室」はヒロヒロヤさんが作曲、山根さんが作詞をされています。こちらは高校時代の青春が投影されているのかなと感じました。
山根 まさにその通りですね。その時代に仲良くしていた親友がいて、その友達との日々を思い出しながら書きました。その子は私にとって大きな存在で、今でも仲が良いんですけど、大人になって半年とか1年に一回くらいしか会えなくても、久々に会うとすぐあの頃の空気感に戻れるんですね。自分のことを理解して大切にしてくれる人は一生の宝物だと思うので、そんな友達への感謝と、みんなにもそういう風景があったのかなと思って、それを表現してみました。もしそういう思い出がなかったとしても、今からでも自分にとって大切な存在を作っていけば、10年20年先に大切な思い出になるよ、ということも伝えたかったです。その相手はもちろん私でもいいですし。
――なるほど。山根さんとファンの皆さんが今過ごしている時間も、それは青春にあたるわけですね。
山根 だと思います!学生時代に楽しい思い出があまりなかった人も、今、私と会っているから青春してるじゃん?って思っていて。年齢は関係なくて、今、青春していると思ったら青春だから、私と一緒に楽しんで生きていることが、未来の自分にとっての青春時代になってくれればいいなと思います。
――4月6日に横浜・1000CLUBで開催されるライブイベント“青春のはじまり”も、まさに山根さんとファンの皆さんの青春の始まりになるのかもしれません。
山根 その通りです!きっとこの日のライブが、私とあなたの新しい始まりになると思います。私は横浜出身で、「第5準備室」の歌詞に登場する風景も、このライブハウスに行く道にあるんですよ。毎日歩いていた場所にあるライブハウスなので、きっと色んな思いを持って歌うことができると思いますし、地元でのライブなので頑張ります!
――それ以降の活動に向けて、この先、YAYA RECORDSをどのように広げていきたいですか?それこそ「武道館を目指す」と掲げているわけですが。
山根 まずは今回初めて自分で楽曲を書いて、大変だったけどすごく楽しかったので、また自分で曲を書いて届けたいと思います。それともっとたくさんの人にYAYA RECORDSを知ってもらいたいので、六畳一間から少しずつ外に飛び出して行くときなのかなと思っていて。自分一人で武道館を埋めるという目標もそうですけど、色んなフェスにも出られるようになりたいですし、色んなところに自分の楽曲を届けられる機会を増やしていきたいです。何かの作品のタイアップも夢で、主題歌もいつかやりたいですし、いっぱいやりたいことがあるので、これからも頑張ります!
●リリース情報
山根 綺 1st EP
『青春のかなしみ』
2024年4月3日(水)配信リリース
(4月6日開催 発売記念ライブ『青春のはじまり』会場にてCD限定発売)

各配信リンクはこちら
<収録曲>
1. のば/作詞・作曲:梶原パセリちゃん(NaNoMoRaL)
2. 雨色スコープ/作詞・作曲:れあい
3. わたしは知ってる/作詞・作曲:コヤマヒデカズ
4. 青春の始まりと悲しみ/作詞・作曲:山根 綺
5. 第5準備室/作詞:山根 綺 作曲:ヒロヒロヤ
●イベント情報
山根 綺1st EP『青春のかなしみ』発売記念ライブ
『青春のはじまり』
2024年4月6日(土)OPEN/START 17:00/17:30
会場:神奈川県 1000 CLUB
チケット一般発売中!詳しくはこちらをチェック。
山根 綺 事務所公式サイト
https://twitter.com/aoni_official
山根 綺 公式X
https://twitter.com/ayaMiNTgreen
YAYA RECORDS 公式X
https://twitter.com/YAYA_RECORDS
YAYA RECORDS 公式YouTube
https://www.youtube.com/@yaya_records
SHARE