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INTERVIEW

2024.02.14

「一番胸を張ってMay’nらしいアルバムができた」――May’n、今の自分を詰め込んだニューアルバム『Prismverse』リリースインタビュー

「一番胸を張ってMay’nらしいアルバムができた」――May’n、今の自分を詰め込んだニューアルバム『Prismverse』リリースインタビュー

May’nが7thアルバム『Prismverse』をリリース、合わせて2月10日からは“May’n ASIA TOUR 2024「Prismverse」”が駆け出している。May’nにとってアルバムと同じタイトルでツアーが行われるのはキャリア初のこと。アルバムとツアーという両軸をもって、May’nが伝えたい音楽、信念がさらに広がりを増していくはずだ。May’nの力強さと温もりに満ちた「宇宙(ユニヴァース)」とはどのような世界なのだろうか、May’nの言葉に耳を傾ける。

INTERVIEW BY TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)

音楽に対してギラギラと欲張りに、そんなMay’nを表現

――まずは、『Prismverse』というタイトルに込めた意味から教えていただけますか?

May’n 「音楽ジャンルは“May’n”です」って言えるようなアーティストになりたいという想いから、May’nという名前で活動してきたんですけど、改めて「もっと欲張りに音楽を楽しみたい」「多面的な音楽を広げていきたい」という気持ちから新しく辿り着いた言葉が「Prismverse」でした。「Prism」のキラキラと多面的な面に、「Universe」の宇宙的に活動していきたいという想いを組み合わせた言葉になっています。

――今、「宇宙的」というコンセプトを掲げた理由というのは?

May’n May’nのキャリアはシェリル・ノームからスタートしているので、これまでに宇宙的なイメージを持たれている方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、それとは別に私自身が常に「宇宙」を意識してきていたことに気づいたんですよね。泥くさいロックを作ったとしても、ボーカルミックスでトリートメント的な加工をするときに必ず、「宇宙っぽい感じのミックスをしてください」とエンジニアさんにお伝えしているんです。いつもどこかに浮遊感があり、広がりのある音楽というところが自分の声の目指す完成系かもしれないと今回気づかされるところはありました。チームとしても、もっと大きな音楽をたくさんの人に届けていこうという話はしていたので、そこから「宇宙」という単語に辿り着いたところもありました。

――1曲目の「To the Prismverse」には、宇宙規模で多くの人々に音楽を届けようという意志が強く込められていると感じました。作・編曲を手がけたD&Hさんにはどのような形でオーダーを出されたんですか?

May’n 新曲の中では最初にこの曲を制作したんですけど、その前にジャケットやアーティスト写真といったアートワークを先に進めていて、力強いMay’nを撮りたいという想いがまずあったんですよね。なので、デザイナーさんが上げてくれたジャケットサンプルをD&Hさんにお見せしながら、アルバムを象徴するような楽曲を作っていただきました。

――May’nさんの中でのヴィジュアルイメージというのはどういったものでしたか?

May’n 最初に「Prismverse」というアルバムタイトルができていたので、色んな光を取り入れながらギラギラしている、そんなジャケットにしたいと思っていました。それから「verse=空間」というところから広がりを感じさせるアートワーク。あとは、再来年に20周年を控えているんですが、音楽を続けさせてもらえたことで自信を持てた今だからこそ、May’nの音楽を力強い言葉で届けられると思えているので、今のMay’nを力強く押し出したビジュアルでありたいと思っていました。「あはっててっぺんっ」や「オレンジ」のジャケットでは等身大の写真を撮っていただきましたが、今回はアーティストのMay’nとしての信念を届けられる写真を撮っていただきました。

――「ギラギラ」という言葉はすごく『Prismverse』を表している気がします。

May’n 「ギラギラしていく」って好きなんですよ。自分の中にそういうマインドはありますね。

――曲のコンセプトを聞いたときのD&Hさんはどんなリアクションがありましたか?

May’n 「宇宙こそ僕です」って(笑)。

――なんて心強い言葉(笑)。

May’n 実は「宇宙」が一番得意なテーマで、待ち受けも宇宙なんです、ということを言っていました。『D4DJ』のAbyssmareでもご一緒していますが、あちらでは一度も「宇宙」という単語を出したことがなくて、今回が一番自分らしい楽曲を作れたみたいなことを言ってくださいました。Abyssmareではまさに、ギラついた感じをトラックから受け取っていたんですが、Abyssmareでできないことを届けたいと思い、ボーカル的にもサウンド的にもさらに広がっていくような浮遊感っていうものをプラスしたMay’nらしい楽曲、宇宙が似合う楽曲というオーダーを初めてさせていただきました。

――Abyssmareは違うギラギラを?

May’n Abyssmareというユニット自体もそうですが、ネオって誰に何を言われようと迷わず、ある種機械的なまでのマインドを持っている子なんですね。なので、ファンの人に寄り添うというよりは「勝手に聴いておけ」くらいの力強い信念を持っています。歌詞も、かなり上から目線で書くように心がけているんですが、May’nはやっぱりアーティストとして必要な信念は持ちつつもみんなと一緒に歩んできたし、部長としてもライブを続けてきたので、仲間という存在あっての今、というところを音楽で表現したいと思うんですよね。なので、ネオよりも人間的な歌詞を書きたいと思っていましたし、そこにこれからも歌い続けるという決意を込めています。

――ビジュアルイメージも先行していたので、歌詞も発注前にかなり固まっていましたか?

May’n 「Prismverse」というタイトルを象徴する、「Prismverseとは?」という導入的な歌詞を作りたいとはすごく思っていました。そのうえで、チャレンジを続けていきたい、色んなものを届けたいです、という歌詞にしたいと考えていました。だから、思いが濃くなりすぎない歌にするつもりだったんです。言ってみれば、みんなとノリで「Yeah!」ってやるような。ところが、書いているうちに「歌手May’n」としての信念みたいなものを引き出してもらえたんですね。なので、この曲を掲げながら「これからも前へ進もうぜ!」と力強く言える曲が作れたとは思っているんですが、ただ、自分で作詞作曲する曲はそういうものにしようと思っていたので、そちらの制作で苦労することになりましたね。

――書こうとしていた言葉を使ってしまった?

May’n はい。アルバムを作るとき、1曲は自分で作詞作曲したいと思っているんですが、『Prismverse』ではその曲で世界中に歌を届けていきたいとか、最高を更新していきたいとか、色んな音楽に出会っていきたいとか「今も最高だけど私たちに終わりはないよね」という前向きな歌詞を書きたいとすごく思っていたんですよ。「To the Prismverse」のイメージは「Prismverseへようこそ♪」みたいな感じで宇宙探検するような歌詞を書くつもりでしたね。宇宙空間でトランシーバーとかで誰かとコミュニケーションをとっているような、SF的な映像が浮かんでいました。なので、最初はノリ重視で書き始めたんですが、結果的に、May’nとしての気合を込めた歌詞が書けた、『Prismverse』の1曲目にふさわしい楽曲になったとは思っています。

次ページ:音楽を欲張りに楽しんでいきたいという想いを込めたアルバム

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