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INTERVIEW

2024.02.01

2ヵ月連続シングルリリース第2弾、TVアニメ『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』オープニング主題歌「果てのない旅」に込めた想いを鈴木愛奈に聞く

2ヵ月連続シングルリリース第2弾、TVアニメ『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』オープニング主題歌「果てのない旅」に込めた想いを鈴木愛奈に聞く

『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』で鈴木愛奈は、主人公のアイビー役を演じるとともにオープニング主題歌「果てのない旅」も担当。愛らしい絵柄やあざやかなヴィジュアルに反して、主人公が不遇の境遇から知恵と勇気で強く成長していくさまは王道RPGを感じさせ、透明感とシリアスが同居するOP主題歌も骨太な物語と響き合っている。また、カップリング曲の「求愛」では本人が希望していたJazzyな楽曲を歌唱、2ヶ月連続リリースの片翼である「Apocalypse Day」の2曲を含め、新たな鈴木愛奈像への挑戦が続いている。その手応えやいかに?

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司

表現の新しい引き出しに出会えた感覚

――『Apocalypse Day』から2ヶ月連続リリースとなりますが、こちらは以前から決まっていたんですか?

鈴木愛奈 いえ、本当に偶然で。先に『最弱テイマー』のアイビー役が決まり、その主題歌も歌わせていただけることになったあとで去年の12月頃に『邪神ちゃんドロップキック【世紀末編】』のオープニング主題歌というお話もいただきました。そのとき、「2ヶ月連続リリースになるね」という話になったくらい、本当にたまたまという形でした。レコーディングも「果てのない旅」が先でしたし。でも、ファンの方にも喜んでいただけましたし、いいタイミングになったと思います。

――「果てのない旅」を受け取ったとき、どんな感想を持ちましたか?

鈴木 私には歌いこなせないんじゃないかと最初は思いました(笑)。仮歌さんの歌が入っている状態で受けとったんですけど、その完成度が高かったんですよね。だから最初はプレッシャーが強かったかもしれないです。あと、作曲と(大沢圭一と共作で)編曲をしてくださった夢見クジラさんは、以前に「isolation」でもお世話になったんですけど、そのときも今までに歌ったことがない曲だったので自分の個性をいかに出せるかすごく悩んだんです。

――今回も初挑戦になる曲調だった、と。

鈴木 それに、透明感や神秘的なものを感じるメロディーというところでは「isolation」も近いんですけど、同じ歌い方ではこの曲の持っている力を活かせないかもしれないと思いました。「艶っぽい感じの方がいいのかな」とか、ぽつりぽつりと切なさを出してあげる方がいいかもしれないといろいろ考え、アプローチの仕方についてはすごく悩んだところでしたね。

――答えに関してはレコーディング現場で出すような気持ちでしたか?

鈴木 そうですね。ちょうど、お仕事が立て込んでいた時期とレコーディングが重なってしまったので、研究していきたいけどあまりできないという状況でもありました。一応、「こうしようかな」「ああしようかな」というのが頭にありつつも、いつもほどにはプランが練れなかったので、現場でのディレクションにお応えできる形を取っていこうとは思っていました。

――その中で自分が考えていたプランとしてはどういうものがありましたか?

鈴木 ちょっと違うかもしれないんですけど、オペラやクラシックみたいに伸びやかに、開けた感じを考えてはいました。でも、実際のレコーディングでは「オーガニックな感じ」と言われて。

――確かに完成した楽曲からはその雰囲気を感じますね。ただ、ディレクションとなるとかなり感覚的で難しいような……。

鈴木 そうなんですよね(笑)。「オ、オーガニックかぁ」というところはありました。でも、台詞をしゃべるような感じでぽつぽつと歌ってみようかと思って。ビブラートの部分とか、あとは最初の静かなところもそうやって歌ってみました。でも、ちょっと艶を出してみるところもあって。サビは基本的に伸びやかさや艶を意識して作らせていただいていて、AメロやBメロ、あと最後のあたりはナチュラルに仕上がるようにポツポツとしゃべる感じで歌っていました。何回か録っていただきながら作っていく、という感じでしたね。

――レコーディングで歌っているとき、頭の中に描いた風景や、表現しようとしたイメージはありましたか?

鈴木 レコーディングのときはアニメのアフレコがもう始まっていましたし、歌詞がすごく(演じる)アイビーに寄り添っていたので、アイビーを感じながら録らせていただいていました。

――演じている鈴木さんから見たアイビーというのはどういうキャラクターですか?

鈴木 純粋で本当にめちゃめちゃいい子で。最初はフェニシアとして大事に大事に育てられてきたのでお父さんもお母さんもお兄ちゃんもみんな大好きで、誰から見てもいい子だと言われるような純粋な女の子だったんですよね。ただ、旅に出るとなったとき、(村の占い師である)ルーバさんの話をちゃんと聞いて、教えてもらったことを実践して、一人で狩りをして、お肉をさばいて、そのお肉を売って、……ってまだ小さいのに何もかも一人でやってみせるなんて強い子だと思いました。だから、いろんな人がなんか自然と力を貸してくれるというか。「アイビー、ほっとけないよね」って思わせるアイビーの力みたいなところはすごく好きで、やっぱり主人公だなって思います。自分がアイビーの立場だったら、家族から見捨てられたという現実を受け入れられないですね。

――鈴木さんはRPG好きですよね。

鈴木 好きです。

――そんな鈴木さんから見て、『最弱テイマー』という作品のどのあたりに魅力を感じますか?

鈴木 アイビーは主人公だけど能力のない「星なし」で、小さい子なのに村から追い出されて一人で頑張って、いろんな大人の力を借りてちょっとずつ成長していくんですけど、そのアイビーの成長が作品のテーマにもなっているところがあるんですね。アイビーが殺されそうになったり村から追い出されちゃったりする最初の方こそ見ていて苦しいですけど、アイビーの旅って温かい人たちやソラとシエルという新しい相棒にも恵まれていて。仲間たちに囲まれて笑っているアイビーを見ていると、演じる側としても一視聴者としても、あったかい作品だな、って感じます。

――そういった鈴木さんの感性は歌唱にも込められていますよね。完成形を聴いての感想としてはどのようなものがありますか?

鈴木 こういう楽曲にはこういう歌い方もありなんだな、って新たに気づけた部分がやっぱりありますね。新しい引き出しができた印象があります。

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