――もう一方の8thシングル「Cotton Days」は、TVアニメ『異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。』のOP主題歌。こちらは作品のどんな部分を意識して制作されたのでしょうか?
俊龍 これも原作コミックを読んで打ち合わせをしたうえで制作したのですが、主役のネマ(ネフェルティマ・オスフェ)はどんな動物にも愛されるすごく前向きなキャラクターで陽だまりでぽかぽかしているような感じだったので、最初に作ったデモはもふもふ感を前面に出したんですけど、ちょっともふもふなでなでし過ぎたみたいで……制作担当から「もう少しオープニング感が欲しいです」というお話をいただいて作り直したんです。そこから、キャッチーで勢いやかわいさもありつつ、ネマの頑張っているところをフィーチャーした楽曲にしました。
――頑張っているところ、というのは?
俊龍 自分が原作を読んで感じたのは、基本は平和でわちゃわちゃした感じの作品だけど、ネマが色んな種族間のパイプ役として頑張っているところもあって、そこに現実世界における動物と人間の在り方、みたいな深いテーマだったんです。なので、オープニングらしさを意識しつつ、ただカラッとした明るさや楽しさではなく、もう少し生きているうえでの切なさみたいなものも込めるようにしました。昨今のクマがたくさん出没するニュースもそうですが、人間と動物との付き合い方、地球でどのように共存していけばいいのか?ということも多少感じられるような楽曲になればと思って。
――そのように、明るい楽曲の中にも切ないフレーズが混ざってくるところは、俊龍さんが作るサウンドの特徴ですよね。
俊龍 ありがとうございます。今回の「Cotton Days」は、Kotohaさんの歌声が入ることによって明るさやフレッシュさが感じられると思うのですが、メロディだけで聴くとサビは意外と切ない寄りなので、そういう部分で「人間とは?」「生き物とは?」「地球とは?」みたいなテーマを込められたらと思いました。恐らく歌詞やサウンドは軽やかでキラキラした感じになると予想していたので、それらとの化学反応を期待して作りました。
――この楽曲の作詞は磯谷佳江さん、編曲はfhánaの佐藤純一さんが担当されています。お二人ともご一緒されるのは今回が初めてでしょうか?
俊龍 はい。磯谷さんはライブなどでご挨拶したことはあったのですが、佐藤さんとは今回が完全に初めてでした。「Cotton Days」は途中で楽曲を作り直したというのもあって編曲をどなたにお願いするべきか決めあぐねていたのですが、制作担当の方に相談したところ、佐藤さんを薦めてくださって。自分は面識がなかったうえに、佐藤さんはアーティストとして活動されている印象が強かったので「えっ、いいんですか?怒られないですか?」と思ったんですけど。
――そんなに恐縮しなくても大丈夫だと思います(笑)。
俊龍 でも、佐藤さんのアレンジのおかげで、自分が狙っていた、かわいいんだけどちょっと切なくて明るいサウンドになったので、やっぱりすごいなと思いました。自分ならギターは普通に頭からジャーン!という感じで鳴らしていたと思うんですけど、佐藤さんは裏打ちでスチャスチャ♪って軽やかな感じに入れてくださって。
――この楽曲、ストリングスの入り方を含め、裏拍が多用されていますが、あれは佐藤さんの発案だったんですね。
俊龍 そうなんです。自分とは違う解釈だったんですけど、それでマッチしていたので文句なしで「これでいきましょう!」となりました。ブラスも明るく演奏してくれていますし、嬉しい誤算でした。
――磯谷さんの歌詞についてはどんな印象をお持ちですか?
俊龍 キラキラしていて『もふなで』の世界観をしっかりと表しつつ、明るいなかにもポエティックな文節が多く含まれていて、考えさせられる内容だなと感じました。きっと磯谷さんも原作から種族間の在り方みたいなテーマ性を感じられたと思うんですね。人間側からすると害獣と思われている動物も、別に生きるためにやっていることで、悪いことをしようとしているわけではないっていう。この間、テレビで「OSO(オソ)18」という牧場の牛をたくさん食べてしまったクマの特集番組を観たのですが、それも人間が自然動物の住んでいる場所を切り拓いて牧場にしてしまったのが理由かもしれない、という分析があって。それを観て切なさを感じたんですよね。そういうことをこの歌詞からも感じました。
――なるほど。Kotohaさんのレコーディングはいかがでしたか?
俊龍 Kotohaさんは語尾のニュアンスが明るくてフレッシュさもありつつ、時に少し憂いも感じさせてくれる歌声なので、この楽曲でも明るいところでは自分らしさを落とし込んで明るく表現してくれたり、サビのメロディの泣きどころでは切なく歌ってくれたりして、基本はKotohaさんのセンスにお任せして歌ってもらいました。自分からは「ここは地声で」といったことをお話させてもらって。特にアニメサイズにあたる部分は勢いを付けて歌ってもらいました。
――基本は地声で歌われているので、Dメロやラスサビの一部でファルセットを使われているところが逆に印象的です。それと1番のサビ前にある“なめらかで”の箇所は、特にニュアンスが付いていて耳に残りました。
俊龍 あそこのニュアンスはKotohaさんが表現してくれた部分です。これはAYAMEさんもそうなのですが、お二人はこちら側から提案する前に自分で考えて表現を組み立ててくれることが多いんですね。なので自分も「そうきたか」とか「歌詞をそう捉えるのか」という発見が多くて、お二人が提案してくれたアプローチを採用することもよくあります。
――現場でやり取りをしながら一緒に楽曲を作っていく感じなんですね。
俊龍 そうですね。何テイクか歌っていただいたあとに、「最後は一番自分らしくいきましょう!」と言って歌ってもらったら、それが一番良かったりすることが多くて。「今まで俺が言ってきたことは何だったんだろう……?」みたいな(笑)。
――いやいや(笑)。そこまでの過程を踏まえて出てきた表現でしょうから。今のお話の流れで聞いてみたいのですが、AYAMEさんとKotohaさんはSizukにとってどんな存在になっていますか?
俊龍 お二人とも歌のベクトルは違いますが、表情が豊かで表現力に富んでいて。特にAYAMEさんはご本人もアニメやマンガが大好きなので、タイアップ作品に自分を落とし込んで「自分がこの作品の歌姫だったら……」みたいな感じで、その物語の中に入って歌ってくれるタイプだと思います。自分も楽曲を制作するときはそういう感覚で作るので、より一緒に作品の世界観に入っている感じがしていて。なおかつ繊細さも大胆さもあるので、「この歌声であれば、今までトライできなかったメロディも作ることができる」というところもあって、勇気を与えてくれる歌声ですね。
――Kotohaさんはいかがですか?
俊龍 自分は今まで色んな方の歌声に触れてきましたけど、Kotohaさんの歌声に似ているなと思う人は今まで1人もいなくて初めての声の使い方だと感じたんですね。だからこそ、まだまだ色んなことができそうだなと思っています。これまでは明るめで陽を感じさせる楽曲を歌ってもらうことが多かったですが、今後はより切なさを込められるような楽曲、テンポを落とした楽曲も歌ってもらえたら、と考えていて。そういう楽曲ではどう表現してくれるのかな?というワクワク感がありますね。
――Kotohaさんは青春感のある楽曲も得意な印象が強いですしね。お二人はそうやって俊龍さんの想像力を膨らませてくれる歌声の持ち主でもあると。
俊龍 はい。もちろん声優さんに楽曲提供させていただくときも発見は多いですし色々な感動もあるのですが、お二人はより歌と向き合う時間が長く、ライブやレコーディングの経験の中で自分なりの歌い方の答えを出してきている方なので、自分も学ぶところが多いです。
――Sizukは俊龍さんが色んな歌い手やクリエイターの方とコラボレーションするプロジェクトですが、俊龍さん自身もこれまでの活動を通して成長や気づきがあったのではないでしょうか。
俊龍 歌ってくれる方や聴いてくれる方が感動してくれたらいいな、というスタンスは変わらないのですが、前進していきたい気持ちがより強くなったと思います。例えば「REVERSI」では、自分が弾いたアコギの音源を使っているんですけど、今後もそういう可能性が良い意味であるかもな、と思っていて。
――おお!そういえば2月3日にはSizuk初のイベント“Sizuk 1st LIVE「Introduction」feat.AYAME”の開催も決まっていますが、もしかしたら俊龍さんが演奏することもあり得る……?
俊龍 いやあ、どうですかね?正直、クレームがきかねないので、そこはあまり期待しないでいただければと思います(笑)。これはあくまで想像ですけど、Xのスペースでやっているようなことを、より臨場感を持たせて行うイベントになればと考えています。今回はAYAMEさんにも出演していただくので、お互いのことについて気兼ねないお話もしつつ、スペースのときみたいにお客さんともやり取りができるといいなと思っています。
――それは楽しみです。最後に、2024年はSizukとして、俊龍さん個人として、どんな1年にしたいですか?
俊龍 自分は音楽はほぼスポーツだと思っているので、「負けねえ!」みたいな気持ちで取り組むことが多いんですけど(笑)、引き続きそういうモードのときもありつつ、純粋に新しいサウンドを楽しんだり色んなアーティストさんの楽曲に触れてみるなかで「これは面白いな」とか「自分ならこうするな」ということに思いを巡らせたり、実際にトライしたり、より楽しみながら音楽を作ることができたらと思っています。実は少し前にパソコンがぶっ壊れてソフトも含めて全部新しくしたので、以前よりもスペックが上がったんです。なので今までできなかったサウンドにも挑戦してみたいですね。
――災い転じて福となす、というやつですね。
俊龍 はい。壊れた瞬間は頭が真っ白になりましたけど(笑)。あまり大きな声では言えないですが、それまではWindows 7を使っていたんです。それがいきなりWindows 11になったので、今は「どこに何があるの?」っていう感じで(笑)。
――俊龍さんはLINEも頑なにやらないというお話ですが、そういったガジェットやツール系にはあまり興味がないんですか?
俊龍 一度揃えてしまうと気にならなくなるというか。そのときのベストなものを揃えて、あとはアップデートしないことが多いですね。使い慣れている環境のほうがやりやすいので。LINEも未だにやっていなくて、1ヵ月に1度は、誰かから始めるように説得されるんですけど、「いやあ……」みたいな感じでかわしています(笑)。
●配信リリース情報
7th Digital Single
「Lover’s Eye」
配信中
https://sizuk.lnk.to/LoversEye
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
歌:AYAME(from AliA)
作詞:こだまさおり
作曲:俊龍
編曲:松田彬人
イラスト:秋赤音
<CONTENTS>
M1. Lover’s Eye ※TVアニメ「結婚指輪物語」OP主題歌
M2. Lover’s Eye Instrumental
M3. Lover’s Eye TV size ver.
8th Digital Single
「Cotton Days」
配信中
https://sizuk.lnk.to/CottonDays
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
歌:Kotoha
作詞:磯谷佳江
作曲:俊龍
編曲:佐藤純一(fhána)
イラスト:森倉円
<CONTENTS>
M1. Cotton Days
(TVアニメ『異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。』OP主題歌)
M2.Cotton Days Instrumental
M3. Cotton Days TV size ver.
●イベント情報
Sizuk 1st LIVE「Introduction」feat.AYAME
【日程】2024年2月3日(土)
【会場】harevutai(〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-19-1 Hareza池袋1F)
【出演】俊龍・AYAME(from AliA)・澄川龍一(MC)
【内容】トーク&ライブ
【チケット】4,300円(税込)
【開場/開演】
[昼の部]開場14:00/開演14:30
[夜の部]開場17:30/開演18:00
※別途入場時ドリンク代必要
※スタンディング/整理番号順入場
【一般発売】
プレイガイド:ローチケ
受付用URL:https://l-tike.com/sizuk/
[受付期間] 2024/1/13(土) 10:00~
※受付方法:先着
※受付枚数:お一人様4枚まで
※発券方法:紙チケット
詳細はSizuk公式サイトにて
https://sizuk.info/uncategorized/484/
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TVアニメ『結婚指輪物語』公式サイト
https://talesofweddingrings-anime.jp/
TVアニメ『異世界でもふもふなでなでするためがんばってます。』公式サイト
https://mohunadeanime.com/
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