3rdミニアルバム『愛してしまえば』を引っ提げた全国ライブハウスツアー“朱演2023 LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」”のファイナル公演の模様を収録したライブBlu-rayをリリースした斉藤朱夏。本編最後のMCで「私は歌と向き合うことが苦しくなって、逃げ出したくなることがありました」と告白。続けて、このツアーを通して、「私は自分を取り戻すことができた」とファン、観客、“君”に向けて感謝を伝えていた彼女に、その言葉の真意を問うとともに、来年8月に迎えるソロデビュー5周年に向けた意気込みを聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
――2023年を振り返って、斉藤朱夏としてどんな1年になりましたか?
斉藤朱夏 とにかく大変な1年でした。あははは。色んなことが大変だったんですよね。歌に対して、人とのコミュニケーションの仕方に対して、よく考えた時期でした。しかも、27歳になったタイミングから、体調にも悩まされて。今まではそんなことはなかったし、コロナ禍に入ってからも体調を崩すことはなかったので、急にガクッときたことに自分でも正直びっくりして。色んなものに悩まされ、体にも悩まされ、とにかくずっと悩んでた1年だったなっていう印象です。
――色んな悩みのなかでも、歌に対する悩みというのはどういうものでしたか?ライブハウスツアー“朱演2023 LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」”の最終日に「自分の歌がわからなくなった」とおっしゃっていました。
斉藤 楽曲制作をしていくなかで、本当にもう、歌うことがよくわかんなくなってきちゃったんですよね。「自分の気持ちってなんなんだろう?」とか、「これはどうやって歌ったらいいんだろう?」とか。本当にもう、わけがわからなくなってしまって。
――その悩みの種はなんだったんですか?
斉藤 ミニアルバム『愛してしまえば』は斉藤朱夏チームや色んな人の意見を反映させて制作していて、その中で自分自身の気持ちや色を入れていくのがなかなか難しいなとずっと悩んでいました。
――その悩みがライブハウスツアーを通して解消されたわけですね。
斉藤 そうですね。新しく生み出された楽曲たちとの向き合い方を、ライブを通してみんなから教わったなと思います。今は自分に対しても、ライブや歌うことに対してもすごく前向きになっています。今ではあの時の悩みがあって良かったなと思っています。
――ライブ映像商品「-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR愛のやじるし-」のドキュメント映像では、初日のSpotify O-EAST公演の後に、2019年のワンマンライブ“くつひもの結び方”を思い出して、「過去に戻った感じ」とも言ってました。今回のファイナル公演はどこか節目のようなものを感じてました。1つのタームの締め括りというか。
斉藤 正直、前のツアーで「次のツアー(朱演2023LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」)で第2幕を開けます」と宣言したんですけど、本当のことを言うと、まったくもって幕は開かなかったんですよ。なんだったら続いていたんですよね、第1幕が。このツアーでは新章にいけないんだ、と気づいた時はちょっとショックだったんです。でも、このツアーを終えた瞬間に、自分自身の気持ちが大きく変化したんです。多分、ここからが第2幕なんだろうなと思っていて。ここからまたひと味違う新しいライブを作っていくだろうし、新たな楽曲たちと向き合っていくんだろうなって。第1幕がやっと終えられたことに自分の中でホッとしていますし、とてもすっきりもしてます。
――変化した気持ちというのは?
斉藤 歌に対してもそうですし、ライブの作り方もそう。これからどうしていくか――声優でもありつつ、ライブの本数はきっと他の声優さんよりもかなり多いので。
――あははは。そうですね。
斉藤 その一瞬を本当に楽しみたいからこそ、より音楽としっかり向き合っていきたいなと思っています。今までももちろん、ライブや歌に対して真剣に向き合ってはきたんですけど、それよりももっと深いところで向き合っていきたい。次にリリースをする時は、しっかりと自分の気持ちを伝えたいし、ライブでももう少し自分がこうしたいというものを入れていったほうが楽しいんじゃないかなって考えていて。自分が楽しいと思えることをみんなと共有することが大事だなと思っていて。音楽に対しての気持ちの変化はすごく大きいです。ライブに対してもそうですし、1人の人間として、1人のアーティストとしての在り方みたいなものが変化しましたね。
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