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INTERVIEW

2023.11.21

22/7天城サリー、椎名桜月、四条 月が語る、ニューアルバム『旅人算』に刻まれたナナニジの歴史と、卒業メンバーたちの意志を継いで叶えたい大きな夢

22/7天城サリー、椎名桜月、四条 月が語る、ニューアルバム『旅人算』に刻まれたナナニジの歴史と、卒業メンバーたちの意志を継いで叶えたい大きな夢

秋元 康の総合プロデュースのもと、リアルアイドルとキャラクターの2軸で活動を行う唯一無二のデジタル声優アイドルプロジェクト、22/7(ナナブンノニジュウニ)。2022年2月に後輩メンバーたちが加入してグループとしての賑わいと華やかさがさらに増し、活動の幅を広げているなか、新体制となって初のニューアルバム『旅人算』が届けられた。後輩メンバー加入前の最後のシングル「覚醒」から、過去最高のセールスを記録した最新シングル「僕は今夜、出て行く」までの楽曲に加え、人気クリエイターの杉山勝彦による提供曲を含む新機軸の新曲を収録した本作。彼女たちの近年の歩みを集大成した一枚と言えるだろう。今回はメンバーのうち、天城サリー椎名桜月四条 月の3人に、ナナニジとしてのこの2年の活動と、アルバムで示した現在地、そして未来について話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY 深水周二郎

後輩メンバーとの出会いがもたらした光、その先に広がっていた光景

――ニューアルバムのお話に入る前に、改めて新体制になってから今までのことについてお伺いさせてください。後輩メンバーのお二人は22/7に加入して約2年になりますが、ご自身にとってどんな経験になっていますか?

椎名桜月 私は元々アイドル好きではあったのですが、自分がアイドルになりたいと思ったことはあまりなくて、歌に対する気持ちのほうが強かったんです。(好きなアイドルの)振りコピもしないタイプで、どちらかと言うとタオルの振り方とかファン側の動きを覚えていたので(笑)、ナナニジに加入するまではダンスの経験がほぼない状態でした。最初の頃は振りを全然覚えられなくて、鬼のように怒られていました。

天城サリー そうだ!懐かしい。先生に「練習してきたの?」って聞かれて「はい」って返事したら「それで練習してきたんだ」っていう定型文みたいな怒られ方をしていて(笑)。でも、最近は怒られていないもんね。

椎名桜月

椎名 練習はしていたのですが、そもそも覚え方がよくわからなくて。ステージの立ち位置を「1番・2番・3番」で表すことも知らなくて、「そこは2番で」と言われても「2番?楽曲のこと?」っていう感じだったんです(笑)。でもこの2年間でアイドルとしての基本的な活動だけでなく、今年は後輩メンバーだけでの定期公演やアニバーサリーライブ(“22/7 ANNIVERSARY LIVE 2023”)で舞台劇のようなライブも経験させていただいて。新しいことにどんどん挑戦する、目まぐるしい2年間だったので、自分の体感としては、まだ1年も経っていないような……っていうのは言い過ぎですけど、そのくらいギュッと詰め込まれた壮絶な2年間でした(笑)。最近ようやく余裕が出てきて、自分の意見を発信できるようにもなってきたので、椎名桜月という人がどんな活動を行っていくのか、基盤ができてきたように思います。

四条 月 私は元々芸能活動にはあまり興味がなくて。でも、唯一絶対的に好きだったのが秋元 康さんで、それこそ学校の進路相談で先生に「趣味や好きなことはないの?」と聞かれても、秋元先生の名前しか出てこないくらいだったんです。

天城 趣味も秋元先生だったの?

四条 もちろん秋元先生が手がけているアイドルも大好きなんですけど、秋元先生自身のインタビュー記事から、出演されているラジオ番組まで、端からチェックしていたんです。そんな私が22/7に入って、素敵な衣装を着させてもらったり、楽曲を歌わせていただくなかで、「私、本当にアイドルになったんだ」っていう実感が最近ようやく沸いてきて。目まぐるしいけど濃密で本当に貴重な2年間でした。でも、多分まだまだここからなんだろうなっていうワクワクがあるので、これから先が楽しみです。

四条 月

――歌やダンス、キャラクターを演じる取り組みについてはいかがでしたか?

四条 テレビを観ながらアイドルさんのダンスをマネして踊るのが大好きなので、ダンスは楽しかったのですが、歌に関しては「私の歌を聴きたい人なんているのかな?」という気持ちがあって、最初は抵抗がありました。でも、ボイストレーニングやセリフの練習をするなかで、表現することの楽しさを覚えて。今ではマイクを持つことが本当に楽しいです。特に“ナナニジ夏祭り2023”のときは、ラップをノリノリで楽しむことができて。

――夏のライブツアーでコーナー化された、ナナニジメンバーによるMCバトル“NANANIJI RAP BATTLE”のことですね。

椎名 ツアーのリハの日に、るな(四条)がラップしだした瞬間、あまりにも気合いが入っていたので全員びっくりしてしまったんですよ。入りの瞬間からマイクを握って構え始めて。

天城 そのリハの日にるーちゃん(四条)があそこまでやらなかったら、きっと他のみんなも本気になっていなかったと思います。最初がるーちゃんで、その次に私と(麻丘)真央ちゃんという順番だったんですけど、一発目からそれをやられたら、私たちも盛り下げるわけにはいかないので、「これは本気でやるしかない!」と思って。振りを付けたりするメンバーもいて、るーちゃんのリハーサルのラップのおかげで、みんなのラッパー魂に火が付きました(笑)。

椎名 とはいえ、「私、ラッパーだったんだ!」とはならないですけどね(笑)。私も本番のるなのラップが楽しみで仕方なかったです。

天城 しかも、そのコーナーでは相川奈央ちゃんがMCを担当していたんですけど、決勝戦(7月22日の夜公演“白沢かなえ卒業スペシャル”でのラップバトル)で奈央ちゃんがラップをすることになって、MCを誰に任せるかとなったときに、スタッフさんが全員一致で「るなしかいないでしょう」って。

四条 ラップを通してスタッフさんからの信頼を獲得しました(笑)。

――四条さんはラップ好きなんですか?

四条 ラップというよりも、オードリーの若林(正恭)さんが好きで。それこそ日向坂46さんがきっかけでオードリーさんを好きになって(※オードリーはTV番組「日向坂で会いましょう」のMCを担当している)、そこから最終的に若林さんのラップが好きになりました。

――そこも辿っていくと秋元さんがきっかけなんですね(笑)。先輩メンバーの天城さんは、後輩メンバーが入ってきたことによって、ナナニジというグループ自体の変化をどのように感じていますか?

天城 気づけばもう2年になるので、1年くらい前であれば「こう変わりました」という感じだったんですけど、今はもはやその変化が定着して「これがナナニジです!」という気持ちになっています。今回のアルバムの収録曲を見ても、後輩メンバーが入ってくれてから、内に秘めるというよりはメッセージを伝えるような、誰かに対して手を差し伸べるような楽曲が増えたように感じていて。「命の続き」や「世界の矛盾」のように従来のナナニジらしい楽曲もありますけど、それも今の明るいメンバーが歌うことで、また新しい意味を感じますし、より一層メッセージ性が強いグループになったと思います。

天城サリー

――その変化は楽曲の力もあると思いますが、新しく入ってきたメンバーの影響もあるのでしょうか。

天城 そうですね。もうとにかく、すごいワット数の子たちが入ってきたので(笑)。

椎名 電気の明るさで表すタイプだ(笑)。

天城 本当に最初は戸惑ってしまったくらいの明るさで。それこそ私たち先輩メンバーは人見知りの子が多くて、リハーサルのときでも、休憩時間は割と静かに過ごしていることが多かったんです。でも、後輩メンバーが入ってからは、休憩時間や楽屋がすごく賑やかになって。それこそ「22/7 計算中」(22/7のレギュラーTV番組)でも、ボケ役やツッコミ役の先輩メンバーたちが卒業してしまって、残ったメンバーには優等生や落ち着いた雰囲気のキャラクターが多かったので、桜ちゃん(天城が演じるキャラクター:藤間 桜)が頑張らなくちゃと思っていた時期があって。

――桜ちゃんは一番賑やかなキャラクターですものね。

天城 それで「ちょっとうるさすぎるかな……?」と悩んでいた時期もあったんですけど、(後輩メンバーの)みんなが「計算中」に参加するようになってからは賑わいがすごくて。私も収録のときに余裕を持って楽しむことができるようになって、みんなにすごく助けられています。

――後輩メンバーの中で特にワット数がすごかったのは?

天城 それはもう望月りのちゃんですね。私が今までに出会ったことのないレベルの明るさだったので、最初は計算してやっていることだと思ったんですよ。でも、知れば知るほど、ナチュラルに明るくていい子だということがわかって。先輩メンバーだと、涼花 萌ちゃんも裏表のない本当にいい子なんですけど、私は私生活でそういう子に出会ったことがなさすぎて、萌ちゃんに初めて会ったときも「キャラづくりが上手いな、この子」と思ったんですよね(笑)。でも、2人ともそれが素だということがわかったので、この2人から人を信じることの大切さを学びました。

椎名 なんでサリーさんはそういう話に終着するんですか(笑)。

天城 私は学生時代も裏表しか見てこなかったし、ましてやアイドルの女性社会となると怖いイメージしかなかったので(笑)。でも、フタを開けたらナナニジはみんないい子だったのでびっくりして。おかげで人を信じる心のドアを開けることができました(笑)。

それぞれの道を歩いてきた旅人たちが集う場所、ナナニジの歴史を刻んだアルバム

――今回のニューアルバム『旅人算』は、後輩メンバーが加入してから最初のアルバムということで、現体制の集大成的な作品と言えそうですが、皆さん的にはどんな作品になったと感じますか?

椎名 私たち後輩メンバーにとっては初めてのアルバムですが、私たちが加入する前の9thシングル(「覚醒」)の楽曲も収録されていて。その中でも今回のアルバム用の新曲、特にリード曲の「君とどれくらい会わずにいられるか?」は、今まであまりなかった色の楽曲だと思うので、その楽曲でまた新しいナナニジを見ていただきたいです。また、今までのナナニジも振り返りつつ、最後は私たち(後輩メンバー)が参加した最初の楽曲「曇り空の向こうは晴れている」(9thシングルの表題曲)で終わるところに、すごく物語を感じました。

天城 今、つっきー(椎名)が話してくれたように、「覚醒」は後輩メンバーが加入する前のシングルなんですけど、私たち(先輩メンバー)としてはこのシングルの発売期間中に新メンバーの募集を知らされたので、気持ち的には新メンバーが入ってくる心の準備をしていて。ただ、この時期は私たちもみんな落ち込んでいて。でも、そこから9thシングルの「曇り空の向こうは晴れている」をいただいて、落ち込んでいたところに明るさや光が入ってきて。なので先輩メンバーたちからすると、つらかった時期と、みんなが入ってきてくれて楽しく活動できている今、その歴史がここに込められているように感じて、この楽曲の並びを見るだけでウッとなるくらい、色んなストーリーが見える一枚だと思います。きっとその時期を知っているファンの方々も、そういう気持ちになってくれるんじゃないかなと思います。

四条 10曲目に「いつの間にSunrise」が収録されているのが、私の中ではすごく感動ポイントになっています。この楽曲は卒業される先輩方を送り出す歌だったので、その楽曲に続けて新曲の「世界の矛盾」が入っているのを見ると、グループ全体の歴史を感じることができて。私たち(後輩メンバー)は卒業された先輩方と一緒に活動はしていないのですが、22/7という1つの作品に携われていることを実感できるアルバムになっているところが、ファン目線としても熱いポイントだと思います。

椎名 それとジャケットには14人のキャラクターが描かれているのですが、リアルメンバーの関係性が反映されているようなイラストになっているんです。特に(斎藤)ニコルさんと(西浦)そらちゃんは、演じている(相川)奈央ちゃんが(河瀬)詩さんにべったりで、いつも「詩さん大好き!」って言っているので、このイラストのそらちゃんがニコルさんに寄っかかっている感じそのままなんです。その意味で、この2年間で築いたメンバーとの関係性も感じられるアルバムになっています。

――ちなみにアルバムタイトルの『旅人算』については、どのように解釈して受け止めていますか?

天城 今でこそシングル表題曲で明るい楽曲も歌わせていただいていますけど、私たちはここに至るまでに色んなことを経験してきて。後輩メンバーも各々が色んな経験をしてきたうえで今ここにいるので、メンバー全員が全然違う歴史を持っていると思うんです。でも、今はみんな一緒のグループで1つの目標に向かって頑張っているので、そんなみんなが集まってくるまでの計算式と言いますか、そういった旅路が詰まっているという意味での『旅人算』なんだと思います。

次ページ:タイプの違う2曲の新曲で表現する、ナナニジの新しい色と成長の証

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