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INTERVIEW

2023.08.25

“善子”とは違う、“ヨハネ”としての歌唱表現とは ――ヨハネ役・小林愛香、『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』主題歌・挿入歌を語る

“善子”とは違う、“ヨハネ”としての歌唱表現とは ――ヨハネ役・小林愛香、『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』主題歌・挿入歌を語る

『ラブライブ!サンシャイン!!』の公式スピンオフ作品として、現在TVアニメが放送されている『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』(以下、幻日のヨハネ)。2020年秋にその存在が明らかになった本作は、「トカイでビッグになる」という夢破れて、海の潮騒と森の囁きに囲まれた故郷・ヌマヅへと戻ってきた少女・ヨハネを中心に繰り広げられる、“みんなが知ってるあの子の、みんなが知らない物語”だ。

今回はそのヨハネを演じる小林愛香へのインタビューを敢行。Aqours結成から8年、津島善子とともに歩み続ける彼女が“ヨハネ”として臨む本作やその挿入歌、さらにはAqoursメンバーとして歌う主題歌への想いなどをたっぷり語ってくれた。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

“主題歌アーティスト・Aqours”として空気を作る「幻日ミステリウム」

――まず『幻日のヨハネ』のプロジェクトが立ち上がると知ったとき、小林さんは率直にどう思われました?

小林愛香 実は元々スタッフさんから「こんな感じのことをやってみたい」のようなお話を聞いていて、すごくわくわくしていたんですけど、同時に「本当にそんなことが『ラブライブ!』の中で起こるのかなぁ?」という想いもあって。実現するかはわからないけど、信じたい気持ちもある……という感じだったんです。でもだんだん「これ、『もしもの話』じゃなくて、本当になってきそうだぞ……?」と思うようになってきまして(笑)。

――だんだん現実味を帯びてきた。

小林 そうなんです。ただ、それをちゃんと実感できたのは、東京ドームで皆さんにアニメ制作決定を発表できたときでした。そのときは「これが皆さんに伝わったということは、もう現実になるんだ!」って、感動しまして。また9人の動く姿をお届けできるということが、すごく嬉しかったです。

――ただ、厳密には“津島善子”ではなく“ヨハネ”だったりと、『幻日のヨハネ』での姿はAqoursメンバーとは微妙な違いもあると思います。

小林 そうですね。『幻日のヨハネ』のヨハネはスクールアイドルではないですし、自分のやりたいことはあっても、それを職にして生活できてはいない子で。だけど自分のやりたいことを通しすぎる部分もあるような子なんです。そんなヨハネの成長を物語の中で丁寧に描いていただいているので、特に最初の頃はみんなと比べてちょっと子供っぽさが見えるように演じていたんですよ。例えば、ワガママではないんですけど、他人のことを考えずに自分の想いをわーっと言っちゃったりとか……。

――たしかに、特に序盤はそういった描写が多かった気がしますね。

小林 というのも、ヨハネは自分で「居場所を作れていない」と言っていたように、トカイにいた2年間誰かと接する機会があまりなかったんです。なのできっと、友達らしい友達もできていなかったと思うんですよ。路上ライブもやっていたとはいえ、トータル48時間ですから(笑)。

――第1話でお母様から問い詰められていましたね(笑)。

小林 だから、多分外との繋がりみたいなものがすごく薄くて、思っていることが自分の内に独り言のようにあったんだと思うんです。でもそれをそのまま言葉にしてしまうことで、誰かを傷つけてしまったり……というところも含めて、特に最初の頃はみんなと比べて子供っぽさが見えるように演じていました。

――さて、この『幻日のヨハネ』のOPテーマ「幻日ミステリウム」ですが、こちらはAqoursとして歌唱されています。

小林 そうなんです。アニメの中に登場するのは厳密にはAqoursではないんですけど、主題歌アーティストとして『幻日のヨハネ』の世界に寄り添った歌をうたっているので……まったく知らない人に説明するのが、なかなか難しいんです(笑)。

――最近ではダンスチューンでかっこよさを魅せることの多かったAqoursにとって、こういうテイストの曲はなかなか珍しいのでは?

小林 たしかに。たまにAqoursとしてもかっこいいめの楽曲を歌ったりはしますけど、この曲は“THE OP主題歌”のような感じなうえにラップが入ってきたりもするので、また新しいAqoursの一面を見られる楽曲なんです。なのでヨハネはもちろんみんながかっこよさのギアを上げて、『幻日のヨハネ』の世界に寄り添った歌い方をしている曲のようにも思いますね。

――逆に言えば、小林さん自身も曲を聴いた段階で「そういうふうに歌うと、歌声とサウンドがよく噛み合いそうだな」というイメージがすぐ浮かんだりも?

小林 そうですね。例えば、ラップ部分とかは結構吐息混じりで歌わせていただきましたし。あと、「ポイントになる部分は、きっとヨハネが歌ってくれるんじゃないかな?」という期待もありまして(笑)。もちろんどこを使っていただいてもいいようには歌ったんですけど、特にサビ前とかではキラッとした要素みたいなものをちょっと重めにアクセントとして入れたりして、歌声でアピールしていました(笑)。

――そういったソロが光る部分もある一方で、ウィスパーやラップなどには、声が重なるからこその良さがありますよね。

小林 Aqoursって9人の歌声が重なることですごくまとまりが出て、 “Aqoursの輝き”が出るんです。そのなかでもこの曲では、Guilty Kissの歌声成分が多めに使われているので、よりかっこよさが際立つ仕上がりになっているように思います。ほかの曲だと、かわいい楽曲はCYaRon!の成分が、ちょっと大人っぽい感じのときはAZALEAの成分が多かったり……そのバランスの調整によって色んな世界を表現できるというところが、Aqoursのすごく良いところなんですよね。

――楽曲がオンエアされてから、ファンの皆さんからはどんな反響がありましたか?

小林 めちゃめちゃ「好き!」って言ってくださっています。私も歌っている時点で……というかもうデモを聴いた段階で「これは絶対皆さん好きだろうなぁ」と感じていたし、「かっこよくなるんだろうな」とも思っていたので、予想通り……いや、それ以上の反応がきて嬉しいし、「しめしめ」って感じです(笑)。

――しかもそれがOP映像と合わさると、さらに良さが際立ちますし。

小林 そうなんです。バトルシーンもあるのでより疾走感を感じますし、第1話ではEDの位置で流れたこともあって、「これから『幻日のヨハネ』の世界が始まっていくんだな」という強烈なインパクトを与えられたと思っています。

――予備知識なく観始めた方も、「今回はこういう感じなんだ!」と理解した瞬間というか。

小林 そうですね。だから、もちろん今までの『ラブライブ!』を知っている方にももちろん楽しんでいただけるものになっていますけど、『ラブライブ!』を知らない方がいきなり観ても、興味を持つきっかけにもなる作品だと思います。

――となると、『ラブライブ!サンシャイン!!』本編への橋渡しをするという意味では、Aqoursが主題歌を歌うというのはすごく適任なんですね。

小林 たしかに。実際コロナ禍でAqoursを知ったという方も結構いて、今応援してくださっている方々の中でも「リアルタイムでアニメを一緒に実況するのが初めてなので、すごく嬉しいです!」と言ってくださる方がいるんですよ。もちろんありがたいことにずっと応援してきてくださる方々もいますけど、私たちのライブなどの活動を通じて、応援してきてくれている方々の輪も広がっているのも感じているんです。なので、またこうやって新しく動き出す物語をお届けできることが、すごく嬉しいんですよね。

「キミノタメボクノタメ」から感じられる、優しさ・温かさとヨハネの成長

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