INTERVIEW
2023.08.30
――1st single『How Much I Love You』を完成させた叶さんですが、アルバムと違って少ない曲数でシングルの世界観を作り上げなくてはならないなかで、どんなことを表現したいと思われたのでしょうか。
叶 今回は1曲1曲をゆっくり考え、しっかり向き合いながら歌いたいという想いがあったので、それぞれの曲の収録にも時間の余裕を持つようにしました。ちなみにテーマは「恋愛」です。僕自身、恋愛系のアニメやマンガを見ることが好きで、恋愛トークや恋愛相談を聞くのも好きなので、そういったところからテーマとして「ぜひ」とお話をしました。
――制作にあたって、ご自身からは「恋愛」のどういったイメージを伝えられたのでしょうか。
叶 2nd mini albumのときに作詞をしたのですが、気になることや言葉を作詞に活かすためにも普段からメモを残しているんですね。そこに綴ったポエムみたいなものをテーマのイメージとしてお渡ししました。実際、渡すのはめっちゃ恥ずかしかった(笑)。歌詞でもない、ただのポエムですから。
――そのポエムはどのように活かされていましたか?
叶 曲の大枠のテーマのようになっていましたし、どの曲にも反映されていましたね。ただ恥ずかしくて、なにを書いたかも覚えていないんですけど(笑)。恋愛観、みたいなポエムなんですよ、確か。でもこれが世にでることはないので、そこは楽曲から感じてください(笑)!
――こうして完成した『How Much I Love You』。各楽曲についてお話を伺わせてください。まずは大橋ちっぽけさんの作詞作曲による「How Much I Love You」です。こちらの曲はいかがでしたか?
叶 デビュー準備のとき、最初に「どういうアーティストさんが好きですか?」という話になったのですが、そのときに大橋ちっぽけさんの「常緑」をあげさせていただいていたんです。僕にとっての恋愛ソングは、失恋系のものよりも「ただ君が好き」みたいな世界観の曲なんですね。ただ純粋な愛を歌っているようなものが好きなので、「How Much I Love You」が届いたときにはすごく感動しました。ちっぽけさんらしい楽曲ですし、届いたデモがもうその時点でカッコよくて「うわぁ!」ってなりました。
――歌詞も物語を感じさせる1曲。歌う際にご自身が工夫したことや考えた表現方法などはありましたか?
叶 気持ち的に、楽しく歌うことを意識しました。それが一番大きかったかなと思います。レコーディングブースでは、特に口角をあげて歌うことを意識していましたね。楽曲自体のアレンジとして、もう少し静かめにするか、今の形のような盛り上がったものにするか、という話し合いもあったのですが、僕としては「楽しく!」というイメージがあったので、楽器も多く鳴らしてもらって、ハッピーな感じで歌わせていただきました。僕はあまりテンションが高いほうではないので、ハッピーという表現は苦手なのですが(笑)、それでも少しでも幸せな雰囲気を出したくて色々と工夫しましたね。
――特にこの曲の「ここが良い!」と思う部分を教えてください。
叶 歌詞で良いなと思っているのが“衣食住君 もはやそのレベル”と“皆が思ってる その倍の倍の倍くらいには 君のこと大好きだよ”っていうところなんです。もう好きすぎてバカ、みたいなストレートな想いが出ているところが好きです。
――「How Much I Love You」をリード曲にしたのはどうして?
叶 恋愛って実っても実らなくても浮かれるものだと思うんです。恋の蓋を開けたら上手くいくいかないはあると思いますが、まずはそこが始まりだと思うので、この楽曲が1曲目に相応しいんじゃないかなって。
――前作はライブのリハも同時進行だったこともあり、ライブで歌うところが想像できたかと思いますが、この曲はライブでどのように披露するイメージがありますか?
叶 聴いている人が笑顔になってくれたら嬉しいと思いますし、たくさん踊るというよりも見に来てくれているみんなに対してのメッセージとして歌うイメージかなぁ。その瞬間の気持ちが一番大事になってくる曲だろうなと感じます。
――ちなみに「好きなアーティスト」で名前を挙げた方とのコラボはいかがでしたか?
叶 デモを大橋さんご自身が歌ってくださっているのですが、もう、大橋ちっぽけさんワールド全開なんですよ。「大橋さんが歌ったほうがいいのでは……!」と思ってしまいましたが、精一杯歌わせてもらいました。大橋ワールドに入れてもらえたような感じがして、嬉しかったです。
――2曲目は作編曲がAiraさん、作詞がやぎぬまかなさんによる「わたしのリンゴ」です。この曲では叶さんのポエムのどんな部分が抽出されていると感じますか?
叶 そもそもポエムの内容と自分自身の感情が「僕は“一番”じゃなくてもいい」というものだったんです。好きという気持ちが双方向に向いていなくても、こちらが「好き」だと思っていることが大事だと思っているから、必ずしも一番でなくてもいい。逆の立場で考えても、一番を選んだとしてもほかの選択肢もあったんじゃないか、という気持ちもあって。選択によってどう運命が転んでしまうかはわからない。もしかしたらこういう未来もあったかもしれないな、ということが描かれているのは、そのときのポエムが反映されているかと思いました。
――こうして描かれた歌詞に対してはどのような印象がありましたか?
叶 リンゴの花言葉(「優先」「選ばれた恋」「好み」「選択」)を知っていたので、“ひとくち齧った赤いリンゴのフレイバー”という歌い出しからグッときました。それも実の花言葉は「誘惑」「後悔」「原罪」という側面もある。それをひとくち齧るというのは、少しだけ後悔をしているような感じがして、良いなぁと思ったんです。満足しているけれど、少しだけの後悔がある、というような表現。さらに「青いリンゴ」も出てくる。これは「誘惑」の意味もあって、それを“想像してみる”“知ることのない青いリンゴのフレイバー”と歌っているところにまた色々と想いを馳せて、グッときましたね。素敵な歌詞だなぁと思いました。
――歌うときに工夫したことはありましたか?
叶 諦めというか、少しだけ投げやりなところもあるのかな、という解釈があったので、どうしようもなさそうな感情を抱いて歌う、ということを意識しました。この曲はライブでも歌ったんです。僕的には苦悩している様を見せるショーのような感覚のあるパフォーマンスになったと実感していますが、この先ライブで歌うときにはもっと変化した、より苦悩あるパフォーマンスができたらいいなと思っています。
――そして3曲目は、「minority」です。こちらの楽曲は、生活は忘れてさんの世界観が色濃い1曲だなと感じましたが、いかがでしたか?
叶 届いたデモは最初のサビだけだったんですが、それだけを聴いて曲の世界観にグッと引き込まれたんです。“これも強がり”って上がるところですごくびっくりしまして……あそこでこの曲の虜になりました。
――こちらは叶さんのポエムのどんなところが反映されているのでしょうか。
叶 完全に“選ばれなかった側”のことですね。でも、誰かを好きになって、気持ちだけでも楽になりたいから無理やり諦めたり忘れようとしたりするけれど、自分がそうしようと思っても簡単にできることではない。気持ちに嘘はつけない。そう悩んだ末にどういう答えを出すか、そういう想いを歌った曲なのかなと思いました。僕、失恋は辛いままで終わらないほうがいいと思ってるんです。失恋したことによって人生の経験値がより豊かになって、人生の糧になるほうがいいんじゃないかなって。そういう意味でも、この曲は僕のマインドにも近くて好きですね。そのために歌詞について色々と相談をさせてもらいました。
――歌う際にはどんなことを意識されたのでしょうか。
叶 いつもは立って歌っているのですが、この曲は僕から提案して座って収録をしたんです。これは活動を始めたばかりではきっと言えなかったことですが、慣れてきた今だから自分がやってみたいことも提案できるようになったし、そのアイデアもあって良い楽曲になったと思います。
――このシングルのレコーディングでの思い出をお聞かせください。
叶 和賀さんが大理石でできたすごく重い「わたしのリンゴ」をプレゼントしてくれたんですよ!今玄関に飾ってあります、びっくりしました(笑)。あとは和賀さんとマスタリングのときに“余白”について話をしたのはとても印象に残っています。
――“余白”?
叶 曲と曲の間の余白をどれくらい持たせようか、と僕の意見も聞いてくださったんです。やっぱり3曲を通して聴いてもらいたかったので、空白の時間をどれくらい持たせるかはこだわりましたし、すごく考えて作っていったので、ぜひ余白も含めて全曲を通して聴いてもらいたいです。
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