――カップリング曲の「To My Dear」は、表題曲とは趣きの異なる、しっとりとしたバラードになりました。
石原 以前からバラードを歌ってみたいと考えていて。元々はダンスのできる曲をたくさんやってみたいと思っていたんですけど、月日が経つなかで、やっぱり歌でより色んな表現ができるようになりたいなと思う瞬間が増えたんですね。ここまで壮大なバラードは今まで歌ったことがなかったので、挑戦してみたいと思ったのが制作の出発点でした。でも、バラードを歌うとすれば、歌詞の内容が大切になるので、何をテーマにするかを結構悩んだんですよ。
――石原さんが今、バラードを通じて伝えたいことは何だったのでしょうか。
石原 私は聴いてくださる方が、自分のことのように歌詞を受け取ってほしいと思っていて。そのなかで「じゃあ何がみんなの日常と重なるんだろう?」と考えたときに、お渡し会でファンの方から、「大学に進学して上京してきたけど家族が近くにいなくて寂しい」だとか、自分自身が結婚して家族の形が変わったり、子供が生まれたといったお話をよく聞くんですね。これは自分と一緒に歩んでくれているから当然なんですけど、ファンのみんなのライフステージが変わってきていることをよく感じるんです。なので今回は今までに歌ったことのないテーマ、「家族愛」について歌うのが今の自分には合うんじゃないかと思ってテーマを決めました。
――それもまた、ご自身が大人になったからこそ取り組める部分かもしれないですね。
石原 そうですね。例えば高校生の頃に「家族愛」のことを歌ったとしても、かわいいとは思うんですけど、「いや、まだわからないこと多いでしょ?」って思われそうですし(笑)、自分も年齢を重ねてきて、受験や学校のあれこれも全部経験してきて、親のありがたみもすごく感じられるようになって。親がちゃんと見てくれていたから、大変だったけど乗り越えられた瞬間もたくさんありましたし、多分、現在進行形でそうなんだろうなと思っていて。そういうことが理解できるようになった今だからこそ、こういう曲を歌いたいなと思いました。
――石原さんは今も実家暮らしというお話ですが、この楽曲では「家族愛」を表現するにあたって「離れて暮らす家族」への想いが描かれていて。それはファンの方々のお話から影響を受けた部分が大きかったんですね。
石原 そこがキーポイントになったというか、制作を進めるうえですごくヒントになりました。やっぱりみんな生活をしていくなかで色々なことがあるんだなと思うなかで、自分にはなかったけど、みんなにはあるものが見えてきて。みんなが私に色々な話をしてくれるのが嬉しいですし、みんなの最近を知れたから作ることができた楽曲なので、本当に「ありがとう」の気持ちでいっぱいです。
――石原さんのファン想いなところが感じられるエピソードです。そういったテーマを踏まえて作られた楽曲を受け取ったときの印象はいかがでしたか?
石原 切ないのですが、その中に優しさや温かさがあるなと感じて。特に冒頭の頭サビのフレーズは楽器の音が本当に少ないので、この部分はすごく胸に響くなと感じました。
――その冒頭の部分から、感情豊かなボーカルを聴かせています。
石原 ちょっとキーが高めということもあるのですが、この最初のフレーズでどこまで(感情を)出すかが難しくて。サビでさらに上がるので、ここはあえて抑えてサビで上がるパターンがいいのか、頭からしっかりと感情を入れたうえで(途中で)抜いてサビで上げるか。バラードの経験値が少ないこともあって、その辺りのニュアンスのつけ方には悩みました。1番のA・Bメロの部分では主に情景が描かれていて、サビは主人公の想いや本音が見える歌詞だったので、そこをより際立たせたい気持ちがあって。でも、楽曲の構成や歌詞的に、Dメロの部分がさらに伝わる作りだったので、そこを一番エモーショナルな感じにしたいんですけど、そのためにサビを抑えたら「なんか違うなあ」ってなって(笑)。歌の奥深さと難しさを久々に実感したレコーディングでしたね。
――その甲斐もあってか、Dメロの思いの丈をぶつけるような歌唱は感動的です。
石原 ここはもう目を開けながらだと歌えないくらいでした(笑)。他の情報は入れたくないくらい、意識を全部耳に集中して、感情を込めたので。
――そういった感情を乗せるにあたって、石原さんもご自身の家族を思い浮かべる瞬間はありましたか?
石原 かなり頻繁に思い浮かべていました。私は家族のことが大好きなので、家族に対しての感情を作るのが簡単なんです……っていうとペラッペラな感じですけど(苦笑)。家族のことだとすぐイメージが浮かぶし、色んな想像を膨らませて泣いちゃうこともできるので。アフレコで「この感情に瞬時に持っていくのは難しいな」と思ったときも、自分の家族のことに置き換えて考えるとバーッと感情が出るタイプなので、その意味でこの曲はすごく感情を作りやすかったです。
――ラジオ番組(「石原夏織のCarry up!?」)でもよくご家族のお話をされていますし、この間、インスタでお母さまとアフタヌーンティーに行かれた写真をアップされていたので、本当に仲がいいんだなと思って。
石原 めちゃめちゃ仲いいです。あれはお誕生日のお祝いだったんですけど、それ以外にも頻繁に遊びに行っていて。週末の時間が空いたときには、むーちゃん(石原家の愛犬)を連れて車で3時間くらいかけて遠い県の公園まで行って、遊んで帰るっていう。そんなことばかりしています(笑)。
――いいですね。歌詞に“たくさんの愛をずっとくれる場所”というフレーズもありますが、家族の応援があってこそ今の石原さんの活動があるんでしょうね。
石原 学生時代は特に大変で、選んだ大学が遠くて片道2時間くらいかかる場所にあったんですけど、親が毎日お弁当を作ってくれたり、体が壊れないように昼も夜もサポートしてくれていたので、本当に親のサポートなしでは今の自分はなかったと思います。大学を辞めちゃってたかもしれない(笑)。
――ちなみに家族の方にこの曲を聴いてもらいましたか?
石原 まだなんですよ。車でむーちゃんのお散歩に行くときに、いきなりかけようかなと思っています。びっくりしちゃうかもしれない。「えー、何これ!?」ってなりそう(笑)。
――きっと涙されるんじゃないでしょうか。
石原 そうしたら笑っちゃいます(笑)。どんな反応をしてくれるのか楽しみです。
――石原さんは今年の3月21日にソロアーティストデビュー5周年を迎えましたが、ソロ活動を始めた当初と今を比べて、アーティスト活動に対する意識に変化はありましたか?
石原 結構変わったかもしれません。それこそ、ソロデビュー前のゆいかおりのときは、1人の個性だけが目立つとユニットとして正解ではないので、ある程度、スタッフさんが方向性を決めてくださったなかで「自分たちらしさ」を出す考え方で活動していたのですが、ソロはそれでは成立しない部分があって。最初は自分にそういうことができるのか不安もありましたし、単純に自分が1人でライブをやっている姿をまったく想像できなかったんです。なので全部のことに対して怖くて震えている感じだったんですけど(笑)、月日が経つにつれて、自分自身とすごく対話するようになって。自分自身は「こういうのが好き」とか「こういう風に見られたい」と思うけど、果たしてそれは応援してくれている人のビジョンと合致しているのか。楽曲に関しても、それまでは与えてもらった楽曲を楽しくみんなに届けられるように歌うところから、今回の「To My Dear」も含めて、「みんなとこういうことがあったから、これを伝えたい」ということを意識するようになって。そこはデビュー時からこの5年の間でだいぶ変わったように思います。与えられたものだけではなく、自分の中でどう踏襲して、それを表現して、伝えていくか。そういうことを常に考えるようになりました。
――その意味では今回のシングルを含む近年の楽曲は、自分が伝えたい想いをしっかり反映できていると。
石原 そうですね。全部がそうできているかと言うと、まだ反映できてないところも全然あるけど、1曲1曲に対して、届かなかったとしても、自分とそのものに対してはそういう向き合い方をしているので、「やりきったぞ」という気持ちで1つずつ終えていく。それで次に進んでいく感じになりました。
――そしてソロデビュー5周年を記念したライブ“Ishihara Kaori 5th Anniversary Live -bouquet-”が、石原さんのバースデー当日にあたる8月6日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催されます。
石原 5周年というのは今回限りなので、前回の“Starcast”のようなコンセプトライブというよりも、ファンの皆さんに応援してくれてここまでこれたお礼を返すライブにしたいと思っていて。なので結構もりもりなセットリストになりました(笑)。自分でも「これは頑張らなくちゃ……!」と思っているんですけど、きっとどのタイミングで私を知ってくださったとしても楽しんでいただけるようなライブになると思うので、ぜひ観に来ていただけると嬉しいです。個人的には、“bouquet”というタイトルもファンの皆さんへの感謝の気持ちを込めての“花束”という意味を込めているので、それをぜひ受け取ってくれたらと思います。
――しかも今回は初のフルバンドが入ってのライブなんですよね。前回の“Starcast”のアコースティックコーナーで演奏を担当されていた今井 隼さんがバンマスを務めているほか、若森さちこさん、IMAJOさんも引き続きサポートで参加されます。
石原 初めてのフルバンドなのでドキドキ感があるんですけど、すでにご一緒したことのあるメンバーが3人もいらっしゃるので、前回よりも心の余裕がありますし、前回のライブで私がイスかマイクスタンドを持っていかなくてはいけないときに、リハーサルでは忘れがちだったんですけど、本番ではちゃんと片づけることができて、そのときにイマジュンさんがニコッと笑ってくれてすごく安心した記憶があるんです。なので、今回もバンドの皆さんを心の拠り所に頑張れたらと勝手に思っています(笑)。
●リリース情報
ニューシングル
TVアニメ『夢見る男子は現実主義』OPテーマ
「Paraglider」
8月2日発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:PCCG-02265
価格:¥2,200(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCG-02266
価格:¥1,500(税込)
<CD>
M1. Paraglider ※TVアニメ『夢見る男子は現実主義』OP主題歌
作詞:渡辺翔 作曲:渡辺翔 編曲:HAMA-kgn
M2. To My Dear
作詞:叶人 作曲/編曲:フワリ(Dream Monster)
M3. Paraglider(TV size ver.)
M4. Paraglider(Instrumental)
M5. To My Dear(Instrumental)
<Blu-ray>
「Paraglider」Music Video
「Paraglider」Music Video Making Movie
●ライブ情報
石原夏織 5th Anniversary Live -bouquet- supported by animelo
2023年8月6日(日)開場 16:30/開演 17:30
会場:東京・LINE CUBE SHIBUYA
ライブ特設ページ:http://ishiharakaori.com/bouquet/
石原夏織オフィシャルサイト
http://ishiharakaori.com/
TVアニメ『夢見る男子は現実主義』公式サイト
https://yumemirudanshi.com/
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