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INTERVIEW

2023.07.15

ソロアーティスト・CHiCO、新しい世界へ!自らが作詞を手がけたデジタルシングル「光のありか」に込めた想いを聞いた

ソロアーティスト・CHiCO、新しい世界へ!自らが作詞を手がけたデジタルシングル「光のありか」に込めた想いを聞いた

今年2月、CHiCO with HoneyWorksとしての活動の一時休止とソロアーティスト・CHiCOとして今後の活動をスタートすることを発表。“チコハニ”としての集大成でもある全国ツアー“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2023『iは自由で、縛れない。』”、4月8日名古屋ファイナル公演では、今後の活動への意欲を「もっともっと自分がレベルアップをして、筋肉モリモリになって帰ってきます」と宣言していたCHiCO。そして2023年7月15日。彼女は1stデジタルシングル「光のありか」を引っ提げて、新しい階段を軽やかなステップで昇り出す。自らペンを走らせた「光のありか」の歌詞に込めた想い、ソロ活動スタートに向けての熱い想いを語ってくれました。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

一時活動休止の発表で受け取ったファンの温かい声が励みになった

――「リスアニ!」では4月の“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2023『iは自由で、縛れない。』”のファイナル公演もレポートさせてもらいましたが、早くも1stデジタルシングル「光のありか」がリリースに。ファンにとっても待望の楽曲になりますが、この3ヵ月間、着々と準備が進んでいた感じですね。

CHiCO はい、そうですね。CHiCO with HoneyWorksの一時活動休止を発表してからは、“『iは自由で、縛れない。』ツアー”の準備に全力だったし、ツアー中も来てくれるみんなにどれだけいいステージをお届けできるかに一生懸命。そこからすぐに新曲を作っていたので、とにかくめまぐるしかったです。こうして皆さんにいい報告ができて、ようやく気持ちにも少し余裕ができた……かな?

――遡ると、2月に一時活動休止を発表した際、ファンの皆さんからはどんな声が届いていました?

CHiCO 最初はホームページで、かしこまった発表になってしまったので、みんなが戸惑ったり、驚いてしまっている様子がすごく感じられました。でも同時に「これからも応援します」というメッセージもたくさんいただいて。私がAuDeeとSpotify Podcastで配信しているラジオ番組「CHiCO*DIG!STATION」で、自分の言葉でちゃんと気持ちを伝えてからは「変わらず応援します」という声をまたたくさんいただけて、本当に励まされました。チコハニバンドのメンバーともしばらく離れてしまう淋しさはありましたが、発表の時からずっと私自身は前向きだったし、ツアーで自分からご報告もできました。これから2度目のCHiCOのデビューだな!と思っています。

――ソロ活動の具体的な準備は、ツアーが終わってから?

CHiCO ライブには集中していましたが、ソロではどういうコンセプトがいいだろう?とか、自分は何がやりたいだろう?というイメージを膨らませることは、少しずつ始めていました。

――確かにこれまでのCHiCOさんは、HoneyWorksさんの楽曲や世界観を大切に歌われてきましたから、今後は“アーティスト・CHiCO”本人に、ご自分が向き合うところからのスタートになりますよね。

CHiCO はい、本当にそうで。こういう歌がうたいたい、こういうことがしたいというのは私の中にはあったのですが、輪郭はすごくぼんやりしていました。なので、同じように歌の活動をしている友人とも今の音楽の在り方やアーティストの在り方について話をしましたし、そういうインプットをしながら、自分は何がしたいのかな?というのを、自己分析からあらためて始めた感じです。

――その自己分析が、「光のありか」という楽曲にも繋がった?

CHiCO そうですね。私は結構、自分が思っていることを口に出せないタイプなんだなということも、よくわかりました。だけど、口には出せないことも、歌詞なら書けるということにも気づいたんです。スタッフさんからも、「CHiCOとしてのソロ1曲目になるなら、歌詞も本人が書いたほうがいいよね」という提案をいただいていて……「ぜひやりたです!」と、作詞することを決めました。

必ずや前向きな曲にしたかった「光のありか」の作詞で学んだこと

――ちなみに、新曲の曲調については、CHiCOさんからオーダーは?

CHiCO オーダーというほど大袈裟ではなかったですけど、「新曲を作るにあたって、CHiCOの好きな曲を知りたい」ということから始まり、好きな曲プレイリストをスタッフさんと共有したんです。一番古い曲だと子供の頃に聴いていた「月のワルツ」や、アーティストさんだとBONNIE PINKさんやチャラン・ポ・ランタンさん、最近だとVaundyさん……と、どんどんプレイリストにしていったら50曲くらいになっちゃいました(笑)。それを参考にスタッフさんが、色々なクリエイターさんに曲を依頼していただいて、今回はSHIBUさんとご一緒することになりました。

――書く前に歌詞のイメージは自分の中で決まっていましたか?

CHiCO 絶対に前向きな歌詞にしたかったです。自分の今の状況も含めて、この曲からまた新しい世界に飛び込んでいく。何があってもくじけずに、これからもっと前に進んでいくんだ!ということを、皆さんにも伝えたくて。そこから、さらに自分の中で情報収集もしました。色んなアーティストさんのライブを観たり、お芝居を観たり。色々と刺激を受けてから、作詞に取りかかりました。

――チコハニでも作詞は何曲か手がけられていましたが、楽曲制作チームが一新したことで、歌詞を書くうえで以前と違いはありました?

CHiCO ありました。自分の中から出てきた言葉を詞にしていく作業に変わりはないんですけど、今回初めて、歌詞の勉強会を開いてもらったんです。自分1人で書いていると、上手く言葉にできない部分や、ストーリーとして矛盾する点がどうしても出てきてしまって。なのでプロの方に見ていただいて、こういう表現のほうが言いたいことが伝わるんじゃないか?とか、この部分とこの部分を入れ替えたほうがいいんじゃないか?とか、ロジカルな歌詞の考え方や具体的なテクニックを勉強させてもらって、ブラッシュアップしていきました。デモの段階で、SHIBUさんが仮で入れてくださった歌詞からも、インスパイアされて書いたフレーズもあるので、今回は作詞クレジットにお名前を入れさせていただいています。

――歌詞を拝見すると、CHiCOさんご自身のこれからを歌いながらも、新しい世界に飛び込む人を勇気づけるエールソングだなと思いました。

CHiCO そうなんです。ベースには、私を応援してくれている方々がいて、今の私がいるから、その気持ちが届くまで私はずっと歌いたい……ということを伝えたいんですけど、それだけではなくて。こういう言い方が合っているかどうかわからないですが、私も、社会人の方に当てはめると、お勤め先が変わって“転職”したのと同じなんですよね、今(笑)。

――あ、言われてみれば確かに(笑)。

CHiCO 私と同年代の社会人もそうだし、学生で進路を選ぶ方もそうだし……抱えている悩みって同じだなと思うんです。今いる落ち着いた場所を手放すのは惜しい、でも新しいことにも挑戦したい。でも、周りの評価と自分のやりたいことが上手くマッチするかどうかは不安……。自分はこっちを選んで本当にいいのかな?と悩むことがあると思うんです。そういう悩みや葛藤は、私にもすごく重なる部分があるから、私自身のことだけじゃなく、みんなにも贈るメッセージのつもりで、「光のありか」を書きました。

――すんなり書けましたか。

CHiCO 苦労しました!(笑)。考えてみたら、私自身は学生時代からアニソンを歌う歌手になりたくて、オーディションを受けたらグランプリがいただけて、デビューもできて……と、運良くトントン拍子にここまで来させてもらったんですね。なので、すごく進路に悩んだという経験は多くなくて……。だから、今悩んでいる人、一歩を踏み出そうとしている人のリアルな心情をもっと知りたくて、インターネットのお悩み相談なんかも参考にさせてもらいました。

――自分自身に重なる部分というのは、例えば?

CHiCO この1曲の中に、私の今までの歩みを込めました。1番はデビュー前からデビューしたての頃までの自分。サビのパートで、デビューしたてくらいかな?2番はデビュー後の自分で、ラストのサビは、今ここにいる自分が、これからの未来はこうしていくよ!みたいな気持ちで書きました。でも一番苦労したのは、誰かの背中を押すことができる、ポジティブな言葉ですね。なかなか思うように言葉が出てこなかったので、最初はちゃんと歌詞にする前にとりあえず思ったことを作文にして、こういう気持ちを歌詞の言葉にするには、ほかにどんなワードがあるかな?って、探していきました。

――歌詞を書くテクニックも学べたということですけど?

CHiCO はい、すごく具体的なことですが、例えば、こういう想いを書きたいというなかで、私がつらつら書いたままだと、すごく感覚的にしかならなくて。誰の視点からの言葉なのかが分かりにくかったり、どういう情景なのかが分かりにくかったり。それを整理して、俯瞰で曲全体の歌詞を見渡して書くロジックが大切なんだというのがよくわかりました。

――例えば?

CHiCO 2番に“そらさない視線 熱くなる君の温度を 感じてしまった”というフレーズを書いたんです。もちろん“君”というのは、ファンの皆さんで、ライブの景色を思い出しながら書いた言葉なんですけど、アドバイスをいただいた時に「“視線”は感覚的で、“温度”は体感的だから、両者のコントラストがすごくいい」と褒めてもらえたり! 自分ではメロディにハマるように無意識に並べた言葉でしたけど、そういうことなんだ!と、色んな目からうろこがありました。

次ページ:CHiCOの出発点となるワード“光の矢”は、絶対に歌詞に入れたかった

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