INTERVIEW
2023.06.27
――TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」(以下、「U149」)では、第10話で初オンエアされたEDテーマ「グッデイ・グッナイ」を手がけていますが、これはどのような経緯で?
ヒゲドライバー 僕がシリーズに関わるようになった時期には、前作のTVアニメ(『アイドルマスター シンデレラガールズ』)の放送はもう終了していたので、その後も『しんげき』はありましたが、またアニメが始まることがすごく嬉しくて。それに僕は仕事柄、アニメソングもたくさん作らせていただいているので、やっぱりアニメのストーリーがあったうえでそこに楽曲が流れてくる良さがすごくわかるんです。アニメの流れがあって良い場面で楽曲が流れるときの爆発力、あの感動というのは感じていたので、そこにまた自分が関われることも嬉しかったですね。
――楽曲を制作するにあたって「EDテーマ」ということのほかに何かテーマは提示されていたのでしょうか。
ヒゲドライバー 最初に言われていたのは、OPテーマは「おはよう」で始まる感じの曲になるので、EDテーマは「さよなら」「おやすみ」の方向性でいきたいということでした。それと今回のメインになる9人のアイドルたちが、「今日も頑張ったね」「お疲れさま」「バイバ~イ!」みたいなことを言い合っている感じ、しっとりとした「さよなら」ではなく、楽しく表現して終わっていく感じ、というオーダーがありました。
――そのなかで「U149」らしさを表現するために、具体的にこだわったポイントはありますか?
ヒゲドライバー 「U149」らしさというものが難しいなと思いながらも、何かしら自分らしい工夫を入れたくて考えたのが、9人みんなが「じゃあね」「お疲れさま」と言い合っているだけでなく、我々大人たちもそれをメッセージとして受け取れるような曲にしたいという部分で。お仕事を頑張っている大人たちが、彼女たちに「お疲れさま」と言われるといいなあと思ったんですよね。
――なるほど。
ヒゲドライバー 子供たちの純粋さからくる特別な言葉の響き方というのがあると思うんですよね。もちろん大人が大人に対して「お疲れさま」と言うのも、場合によっては心に響くと思いますが、子供のあの純粋な目線と心があるからこその、労いの言葉が、すごく沁みるときってあると思うんです。なので大人たちが聴いて心に沁みるものにしたいなと思って作りました。
――作中にも第3芸能課のプロデューサー(CV:米内佑希)という、彼女たちの身近な存在としての大人がいますが、そこを意識した部分もあったのでしょうか。
ヒゲドライバー そこはプロデューサーに伝えてしまうと「プロデューサーに向けた曲」になってしまうので、もっと広く、頑張っているすべての大人たちに向けた感じですね。すごく大きなテーマになりますけど。
――これは余談になるのですが、自分は今回の楽曲を聴いたときに、TVアニメ『まんが日本昔ばなし』のEDテーマだった「にんげんっていいな」のようなピュアさを感じたんですよね。奇しくも「U149」メンバーの市原仁奈(CV:久野美咲)がカバーしている楽曲でもありますが。
ヒゲドライバー でも、たしかに狙おうとしていたのはそういうところだったと思います。子供らしいピュアさというのは、すごくこだわったところなので。
――なるほど。歌詞で言うと、サビの“大丈夫だよ じゃあね また明日”という部分に、特に労いや癒しの要素を感じました。
ヒゲドライバー そこの“大丈夫だよ”は特に入れたかった文言ですね。別に宗教的な意味ではないんですけど、基本的に「赦し」だったり「みんないいんだよ」っていう、全員を救ってくれるような感覚、「こんな自分でも言ってもらえるんだ……」みたいなところは意識していましたね(笑)。
――今の「全員を救ってくれるような感覚」という言葉で思い出したのは、サビで主線のメロディとは別のコーラスがたくさん入っているところで。
ヒゲドライバー あっ、そうなんですよ。そこもこだわった部分で、9人の声がワーッと重なったときの包まれる感じ、心が洗われる感じは、歌詞のメッセージと共に入れ込みたかったところでした。ウィーン少年合唱団とかもそうですけど、子供の声が重なると浄化されるような気持ちになるじゃないですか。なのでサビではそういう部分を狙っていましたね。もちろんこの曲を歌っているのは声優の皆さんなので大人ではあるんですけど(笑)、サビで大人たちの疲れた心を浄化させたくて。
――これは邪推かもしれないですが、この楽曲のメロディ自体も、子供が歌いやすそうな雰囲気を感じたのですが。
ヒゲドライバー それはあるかもしれないです。楽曲を作るうえで、オケやコード進行はちょっと凝った感じを入れていますが、メロディや歌詞だけを追っていくと、すごくわかりやすい曲になるよう意識していたので。歌詞も難しい言葉はなるべく使わないように、でも、先ほどお話したテーマをしっかり踏まえて伝わるように意識しました。
――曲調としては全体的にリラックス感がありつつ、「U149」のストーリーに寄り添うようなワクワク感もしっかりと表現されていて。
ヒゲドライバー そこは最初のオーダーでも言われたところで、「さよなら」「おやすみ」がテーマと言えど、あまり落ち着いた曲調にはなりすぎないようにしました。子供ならではの元気さというか。自分も最近、子供が産まれて親になったのですが、うちの子供を見ていても、やっぱり寝る寸前まで元気なんですよね(笑)。なので「おやすみ」だけど「明日も楽しみ」っていう元気さをしっかりと保つようにしました。
――ほかにサウンドやアレンジ面でこだわったポイントはありますか?
ヒゲドライバー 割と色んな音を入れていますが、なかでもアコギにはこだわりました。自分がアコギ好きというのもありますけど、アコギには癒やし感があると思うので、特にDメロの落ちサビはアコギを使って展開するようにしていて。
――生楽器だけでなくシンセの優しい音色も入っていて、そのバランス感が絶妙ですよね。
ヒゲドライバー でも、その辺のバランスは、ほかの「アイマス」楽曲にも感じるところですよね。生楽器っぽさとシンセが上手いこと合わさっているところ、その意味では「アイマス」っぽいと言えるのかもしれませんね。
――キャストの皆さんのレコーディングには立ち会われたのでしょうか?
ヒゲドライバー コロナの時期というのもあって、残念ながら立ち会っていないんです。ただ基本的に柏谷さんがディレクションしてくれたら僕は何も言うことはないので、安心してお任せしました。実際に完成音源を聴いたときは、9人の声が重なったコーラスの包み込まれる感じに感動しましたね。
――2番以降では9人がそれぞれソロを取るパートもありますが、その辺りの歌割りに関しては?
ヒゲドライバー そこは柏谷マジックです(笑)。いやあ、あの人はすごいなっていつも感心します。今までレコーディングに立ち会うこともあったのですが、アイドルに対する理解や愛着もすごく感じますし、耳も良いので、何人かが一斉に歌っている曲でも「あれ?〇〇さんの声が入ってなくないですか?」というのを言い当てたりするんですよ。長年やっているとそこまでわかるんだなあと思って。尊敬します。
――この取材の時点ではまだ「グッデイ・グッナイ」は放送されていませんが、「U149」のアニメをご覧になった感想はいかがですか?
ヒゲドライバー やっぱり「アイマス」として、しっかりとアイドルものを描いている印象がありますね。生々しいところやリアルな部分もしっかりと描きつつ、でも、子供ならではの癒やし感があって……なんだかんだでやっぱり癒やしですよね(笑)。自分も最近親になったからこそ、親目線で観ている自分がいて。「自分の子供もこんな良い子に育ってくれるといいなあ」みたいな(笑)。
――親目線で共感してしまうわけですね(笑)。
ヒゲドライバー なので自分と立場が一番近いのは、プロデューサーのお姉さんなんですよね。ちょうど赤ちゃんが生まれたところなので。でもいずれにせよ、子供の無邪気さに勝るものはないなと、最近思うようになりましたね。子供は本当に尊いものだなって。
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