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INTERVIEW

2023.05.26

ワルキューレ、ライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』発売記念!“ワルキューレ大好きライター”がそのライブの魅力を語り尽くす!

ワルキューレ、ライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』発売記念!“ワルキューレ大好きライター”がそのライブの魅力を語り尽くす!

TVアニメ『マクロスΔ』から生まれた戦術音楽ユニット、ワルキューレ。2016年にデビューして以来、時空を超えたデカルチャーな歌声を全宇宙に届けてきた彼女たちが、最後の単独公演となる「SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~」をもってその活動にひと区切りをつける。

そんな彼女たちから届けられたのが、過去5回の“ワクチンライブ”からベストテイクを厳選し、オリジナルアルバムの曲順に沿って再編集したCD4枚組全50曲収録のライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』。リスアニ!では、インタビューやライブ取材などを通じてワルキューレの活動を追ってきた4名の“ワルキューレ大好きライター”(杉山 仁、須永兼次、塚越淳一、仲上佳克)に、本アルバムおよびワルキューレのライブの魅力を存分に語り合ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

伝説のフリーイベントから初の横アリ公演までの軌跡

――まずはワルキューレのライブの歴史を振り返っていきます。公の場での初ライブは2016514日、シングル「一度だけの恋なら/ルンがピカッと光ったら」の発売を記念して行われた無料観覧イベント「歌は神秘!ワルキューレワクチンミニライブ@ラゾーナ川崎プラザ」で、美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのりが出演。須永さんはオフィシャルレポートを担当していたので現地で観たんですよね。

須永兼次 はい。TVアニメ(『マクロスΔ』)の放送が始まって割とすぐのタイミングではありましたけど、観覧フリーということもあって、通りかかった人も含めてものすごい数の人が集まっていたんですよ。そんな状況のなかで、しかもオーディションで選ばれた2人が、最初ならではの硬さも少しありつつ堂々とパフォーマンスしていたという姿には「すごいな……!」という印象がありましたね。特にJUNNAさんは最初から緊張の色があまり感じられなくて、MCでJUNNAさんが(当時)15歳だと知った方々の声で会場がざわついていました(笑)。

――そして20168月から9月にかけて、東名阪のZepp3会場を巡る1stライブマクロスΔ 戦術音楽ユニットワルキューレ” 1st LIVE in Zepp Walküre Attack!”が開催。こちらでカナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見も加わって、5人揃ってのワルキューレライブが初お披露目となりました。

塚越淳一 Zeppツアーはバンドが入ってなかったんですよね。

須永 とはいえ、パフォーマンス自体の完成度は既に非常に高かったです。ライブごとにどんどんすごくなっていくので、最新の状態と1stの頃を比べれば違いはあると思いますけど、当時あの完成度の高いライブを生で叩きつけてくるのは衝撃的でした。周りにいた関係者の方も、何人か声を出して泣いていたぐらいでしたから。

――まだTVアニメが放送中でしたし、感情移入しやすかったんでしょうね。

須永 ただ、これも“今と比べれば”という点ではありますが……、「決まり通りのものをしっかりと見せていた」というイメージもありますね。5人がステージ上にほぼ等間隔で並んで、その場でステップを踏みながらきれいに歌う、みたいな。もちろんどの曲でもパフォーマンスの質は高いんですけど、もし今とのステージングの差を挙げるとするならば、そういう部分になるのかな、と。

塚越 最初はダンスをそこまで本格的にやるつもりもなかったらしいですしね。

仲上佳克 踊りもある方向になったのは、その後に横浜アリーナというより大きなステージでライブを行う、ということも大きかったんですかね。

塚越 最初はJUNNAちゃんとみのりちゃんのツインボーカル体制でいくつもりだったのが、5人全員が前に出るようになったことも大きかったんじゃないですかね。ダンスが得意な東山さんがいたことも影響したかもしれない(笑)。

仲上 その“2+3”みたいなところから5人になったっていう、ワルキューレの歴史自体が熱くて好きなんですよね。

塚越 きっとそこから段々ユニットとしての見せ方が変わっていったのかな。

須永 以前メンバーの座談会を担当させていただいたとき、その期間に絆がすごく強くなったと振り返られていました。

――続いてTVアニメの放送終了後、2017128日・29日に横浜アリーナで開催されたのが2ndライブマクロスΔ 戦術音楽ユニットワルキューレ” 2nd LIVE in 横浜アリーナ『ワルキューレがとまらない』です。

仲上 僕は普通にお客さんとして初日公演を観に行ったのですが、いわゆる“天空席”と呼ばれる場所で観ていたにも関わらず、それでもすごいなと思った印象が強烈に残っていて。普段、取材で入らせていただくときは、ステージが見えやすい関係者席で観させていただくことが多いですけど、ちゃんとどの席のお客さんにも届くパフォーマンスをやっているんだなっていう当たり前のことを、改めて感じることができたんですよね。

須永 たしかに、色々な演出も含めて、あの大会場の規模にも負けていない“自分たちのステージ”を見せている感じがして。そういう凄みみたいなものが最初に乗ったのが、この横アリのライブだった印象がありますね。

杉山 仁 ライブ全体としてもさらに一段グレードアップした気がしますし、ワルキューレのライブは根本的に“ワクチンライブ”というコンセプトがありますけど、最初は「ようこそ!ワルキューレ・ワールドへ」で始まるところも含めて、そういう部分の演出としてもより魅力的な表現が増えていた気がします。メンバーの皆さんのスキルとポテンシャルもすごくて、僕は普段、ロックバンドやアイドルの方に取材することも多いんですけど、そういう人たちにも引けを取らないくらいのすごいパフォーマンス力を感じました。

塚越 そもそも東山さんがコーラス的なポジションで後ろにいるというのがすごいですからね。あと、2017年の横アリは当時の「マクロス」シリーズの単独ライブの中でも最大規模だったんです。それまでに色んなコンテンツが出てきてライブ会場の規模自体が大きくなってきた流れがあったと思うんですけど、そのきっかけの1つは『マクロスF』だと思うんですね。そこから時代が変わっていったことを感じました。それと2017年の横アリで思ったのは、「メロディ・チューバック超歌上手いな」ってことで(笑)。

――ワルキューレの話ではないですけどね(笑)。

仲上 ただ、そこも欠かしちゃいけませんよね。要は『マクロスΔ』の物語を再現するような演出になっていたので。

塚越 日笠さん(ワルキューレの元メンバー。クレアΔ日笠陽子として歌唱)や声優さんも出てきましたし。あと、衝撃的だったのがJUNNAちゃんの存在の大きさ。それはワルキューレのライブを観るたびに思います。

仲上 僕は衝撃でいうと鈴木みのりさんですね。ちょっと口悪く言いますけど、「彼女はモンスターだな」って思ったんです。特にアンコールに入ってからの荒ぶり、最後の「ルンピカ(ルンがピカッと光ったら)」の暴れっぷりを見て、「こいつはすげえのが出てきたな」っていう(笑)。

塚越 本当に。JUNNAちゃんは歌担当として入っていますし、May’nさんの存在もあったから、すごいことは予想していましたけど、そこに堂々と張り合っていましたからね。

仲上 そうなんですよ。あの時点で完成されていたJUNNAさんに立ち向かってるというか。お互いにライバル意識があるのかはわからないですけど、普段は和気あいあいとしながらも、ステージ上ではちょっとヒリヒリ感が伝わってきたのも良かったですよね。

塚越 声のタイプが違うのも大きかったですよね。みのりちゃんはスタミナもすごくて、走りまくっても歌が全然ぶれないっていう。

須永 鈴木さんって、声質がかわいさやフレイアのキャラクター性もあって案外気づかれにくいんですけど、歌声はパワフルで強いんですよね。それは色んな楽曲を聴くたびに思います。

塚越 その2人を、安野さん、東山さん、西田さんが上手い具合にサポートしているんですよね。この時点で「絶対零度θノヴァティック」を歌っていましたけど、声優中心のグループであのコーラスをライブでちゃんと見せられるのはちょっと衝撃的でした。

杉山  「絶対零度」は本当にすごいですよね。楽曲としてもかなり複雑で、ハモリも簡単なものではないですし。ワルキューレがギアを1つ上げてさらにすごいことになる始まりの曲だったように思います。

塚越 東山さんと安野さんがコーラス好きだったのも大きいと思います。たしか東山さんは(学生時代に)合唱部だったんですよね。西田さんはいわゆる“アニメ声”で歌える存在としては外せないし、5人のバランスがすごく良いんです。

須永 西田さんも、ライブで聴いても歌声が埋没しないですから。

仲上 西田さんの「からの!」は絶対欲しいですからね、ライブでは。

――ちなみに2ndライブからバックバンドが付いたわけですが、それについての印象の変化はありますか?

塚越 今回のライブアルバムを聴けば演奏がめちゃくちゃすごいということはわかりますけど、ダンスもするワルキューレの音楽性ならオケでもいいところを、やっぱりバンドにするのがフライングドッグらしいですよね。

杉山  それこそ「絶対零度」はドラムンベースやIDMっぽいビートのパターンが入っていますけど、それを生バンドでやってしまうっていう。

塚越 佐野(康夫/ドラムス)さんは本当にすごいんですよ。ワルキューレの楽曲は結構打ち込み系が多いけど、ライブだとそれを人力ドラムでやるっていう。バンドマスターの西脇(辰弥/キーボード)さんのアレンジも、オリジナルの音源と比べてライブ用にいろいろと変えているはずなんですけど、いい意味で印象が変わらないんですよね。それがすごいなあと。。

仲上 音源とアレンジを変えているのに気づかない。

塚越 印象的なフレーズは全部拾ってくれている。なので今回のアルバムでも西脇さんのライブアレンジは聴きどころだと思います。

ワルキューレはあきらめない――彼女たちが貫いてきた信念

――2018224日・25日には、同じく横浜アリーナで3rdライブ『マクロスΔ』戦術音楽ユニットワルキューレ” 3rd LIVE 『ワルキューレは裏切らない』 at 横浜アリーナが行われました。

仲上 このライブはやっぱりムービングステージが印象的でしたね。

杉山  あれはすごかったですね。

塚越 生で見れて感動しました。

須永 「ジャニーズがやるやつやん!」っていう(笑)。

杉山  僕はあのライブの舞台監督さん(岡本祐次)に「ワルキューレぴあ」の取材でお話を伺ったんですけど、やはり“ワクチンライブ”なので、会場の全員にワクチンを届けなくてはいけないということで、監督さんがムービングステージの使用を提案したというお話でした。

須永 「作中のコンセプトを、どう具現化するか」ということですよね。ファンとしても(演者が)近くに来てくれるのは嬉しいことですし、それを作品に紐づけた形であの大会場でやってくれるなんて、たまらない瞬間だったと思います。

杉山  しかもアリーナ(センター席)で観ていた人からすると、自分たちの上をステージが通るっていう。

仲上 推しを下から見るなんて、普通はありえないですから(笑)。

須永 鈴木さんは最終的に仰向けになって歌ってたりしていて、「楽しんでるなぁ……!」って。

仲上 僕の「あいつすげーな!Part2」ですよ(笑)。

杉山  2ndライブのときは初めての大舞台だと思うのでそれぞれ緊張した部分があったと思うんですけど、3rdライブはみんな本当に楽しそうでしたよね。

塚越 それは、2ndライブのときはこれで(ワルキューレの活動は)終わりだと思っていたからじゃないですか。3rdライブのときはその先も続くことがわかっていたから、みんな思いきり楽しんでいたっていうことを取材で言っていました。

――しかもアンコールで『マクロスF』の2人の歌姫とのコラボが実現。1日目にはシェリル・ノーム starring May’n2日目にはランカ・リー=中島愛がゲスト出演しました。

塚越 確か両方観たくて両日行った気がする。片方は自分でチケットを取って。

仲上 僕は1日目が取材で、2日目はライブビューイングで見ました。ワルキューレって自分でチケットを買ってでも観たくなっちゃうんですよね。特に1日目、「May’nと対等に並び立って歌うJUNNA」ということじゃないですか。この熱さですよ。

塚越 でも、May’nとJUNNAちゃんは通じるところがありますよね。熱気バサラ(『マクロス7』の主人公でFire Bomberのメインボーカル)からの系譜というか。

――20196月に開催されたライブイベント“MACROSS CROSSOVER LIVE 2019 at 幕張メッセ1日目では、Fire Bomberとワルキューレのコラボもありましたし。

塚越 JUNNAちゃんにとってもFire Bomberと歌ったことは大きかったみたいですね。

――そして2020年、当初予定していたツアーがコロナの影響で延期になりつつ、103日には配信ライブ“#エアワルキューレ プレミアム LIVE TOUR 2020 ~ワルキューレはあきらめない~、そして同年12月から20211月にかけて4thライブにあたるZeppツアーワルキューレ LIVE TOUR 2020-2021 ~ワルキューレはあきらめない!!!!!が行われました。

塚越 この時期はほかのコンテンツもお客さんを入れてライブをやることはあまりなかったし、多分企画の時点ですごく大変だというのはわかっていたと思うけど、ワルキューレなので諦めるわけにはいかないですよね。「ワルキューレはあきらめない」ですし。

杉山  「ワルキューレはとまらない」とも歌っていますからね。ここで止まらないのはすごい決断でしたよね。

仲上 “ワクチンライブ”と言ってるのにコロナに負けていられないっていう。特にツアーはハードルが高かったと思うんですけど、やることに意義があるわけですから。

塚越 その覚悟がすごいなと思いましたし、その辺がワルキューレのすごいところだなと。

――その後、完全新作となる劇場アニメ『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の公開を経て、202249日・10日に幕張メッセで開催されたのが5thライブワルキューレ LIVE 2022 Walküre Reborn!です。

仲上 ライブ本編は劇場版の物語に沿った構成になっていて、なかでもハイライトはやはりYami_Q_ray(ヤミキューレ)ですかね。僕は初日公演にプライベートで参戦したんですけど、メンバーがYami_Q_rayとしてトロッコに乗って会場を回っているときに、顔見知りだから目が合うのが恥ずかしくて、ペンライトで不自然に顔を隠しながら応援したっていう思い出があります(笑)。

須永 「作品の世界観を現実のライブ演出に取り入れる」という点は、一貫してこだわっているところですよね。

塚越 劇場版のストーリーの関係上、みのりちゃんというかフレイアが演出的にいなくなったりするんですけど、それも映画を観ているような感じで盛り上がれましたね。いい楽曲も多いですし。

仲上 そこは(お客さんが)声を出せないライブだからこその演出に感じたところで、通常のライブなら後半は盛り上がる曲で固めるセットリストが多いと思うんですけど、それとはまた違う構成になっていたのかなと。

塚越 そうですね。「ALIVE~祈りの唄~」から「宇宙のかけら」の流れとか。「愛してる」からの「りんごのうた~Instrumental~」での西脇辰弥さんのハーモニカなど、本当に最高でした。

次ページ:ライブ音源から伝わる“絶対的な5人”の魅力を徹底解析!

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