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INTERVIEW

2023.05.24

TVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』EDテーマを歌うアーティスト・edda。壮大でファンタジックな世界観を歌う背景に迫る

TVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』EDテーマを歌うアーティスト・edda。壮大でファンタジックな世界観を歌う背景に迫る

セルフプロデュースで独自のファンタジックな世界観の楽曲を制作・歌唱し支持を得てきたアーティスト・eddaがこれまで“片思い状態”だったTVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』のEDテーマに抜擢!丁寧な描写が光る英国ファンタジーの本作に彼女の歌声が響きわたる。彼女自身の創作の背景からレコーディング模様までをつぶさに聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

物語を創造して音楽を作り出すスタイル。背景にはヤン・シュヴァンクマイエル

――リスアニ!には初登場ということで、まずはeddaさんご自身のことを教えてください。「エッダ」とは北欧の神話や詩集を意味しますが、この言葉に名前の由来があるのでしょうか?

edda はい。私自身が曲を作るときに物語を主題にしていくスタイルを取っているので、アーティスト名を付ける時にそれを端的に表す言葉で、かつ呼びやすいということで、この名前にしました。

――物語から曲作りをしていったのはいつ頃から?

edda 物語を作ること自体は子供の頃から好きだったのですが、それと音楽が結びついたのは「音楽塾ヴォイス」(福岡と東京にある音楽教育施設。YUIや絢香、家入レオらを輩出)で課題を出されたことがきっかけでした。最初は日常生活や周りの人を題材に作ったりしていたのですが、全然上手く作れなくて。ある時、おとぎ話をモチーフに作ってみたら、自分でもすごく手応えを覚えたんです。そこからは引き出しが増えたみたいになり、アイデアに困ることはなくなりました。

――音楽的なバックグラウンドや好きな傾向は?

edda 結構ごちゃごちゃしたというか、色んな要素が入っているゲーム音楽みたいな音楽が好きですね。アーティストさんでいうとdetune.さんや、平沢 進さんの音楽性に惹かれます。

――これまでご自身で作詞作曲をされてきましたが、どんなふうに作ることが多いですか?

edda やっぱり物語のバックグラウンドを作ることから始めます。そこに対してBGMのようにメロディや展開を作っていきます。その後に目次みたいなのを立てて、どういうお話でどこがピークに来てどこで終わるのか。ある人の人生を描くのであれば、何歳から何歳までを歌う、みたいに決めていくことが多いですね。

――これまでのeddaさんの音楽のファンはどんな方が多いですか?

edda 同い年からちょっと私より若い子が多いという印象ですね。ゴシックやダークファンタジーの世界観が好きな方が聴いてくださっていると思います。あとは、歌詞を深読みして、二次創作のテーマ曲として捉えて聴いてくれていて、想像していなかった聴かれ方をしてくれるのは嬉しいですね。

――eddaさんご自身もティム・バートンなどの世界観から影響を受けていらしたそうですね。

edda そうですね。映像作品を観て刺激を受けて曲に落とし込むほうが多いですね。特にチェコのヤン・シュヴァンクマイエルが大好きで、音楽でああいった表現ができればいいのになと思う憧れの存在です。ホコリ臭い感じと、ガーリーだけどゴシックすぎないとか感じは自分の音楽にずっとあって欲しい空気感だなと思っています。

――eddaさんはアニソンは聴いて育ってきましたか?

edda もちろんです。平成のオタクなので「空耳ケーキ」とか、ちょっと不思議な曲が好みでした。

――eddaさんからご覧になって、アニソンという分野の魅力はどんなところに感じられますか?

edda 私の中では先のようにキャラクター性が高いのがアニソンであるイメージが強くて好きですね。海外の曲やJ-POPの分野だと曲の中に山が1つあれば十分に見られることがあると思うのですが、アニソンは短い時間の中にいくつも山を作って、味が濃いなぁと(笑)。言葉を選ばずに言うと、私はそのダサさが良くて。自分の曲もアニソンではないのに、そういった詰め込み過ぎなところがあります。いたずらに手数を増やしてるわけではないのですが、「ここにこれを入れたほうが良くなるから」という感覚で、全然引き算ができないんです(笑)。

片思い状態だった『まほよめ』の歌を担当。新たな扉を開いたレコーディング経験に

――なるべくして今回のTVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』(以下、『まほよめ』)のEDテーマを担当することになった感じがしますね。お話が届いたときはどんな思いでしたか?

edda とても嬉しかったです!自分としては歌も世界観も絶対に合うと思っていましたが、片思い状態だったので、実際にお話をいただいたときにはもう本当にビックリしました!

――以前からこの作品をご覧になっていたそうですね。

edda はい。SEASON1のOPテーマをMay’nさんが歌っていらして、CDをいただいたことをきっかけに観始めました。元々魔法のある世界観が好きなのですが、従来の日本のアニメのファンタジーの世界観とは異なる、英国の厳かなテイストにハマって観ていました。

――お話はどんなきっかけで?

edda 私はビクターのカラフルレコードからデビューしたのですが、そこが6年前にコンベンションライブを開催した時に『まほよめ』の音楽ディレクターの佐藤正和さんがいらっしゃっていて、私のことを覚えていてくださったそうで、今回のSEASON2製作に合わせてご連絡をいただきました。今回私は歌唱担当という形で、逆にほかの制作部分にタッチせず歌だけに意識を向けるという経験は初めてで新鮮でした。

――「無伴奏」というタイトルについての印象はいかがでしたか?

edda 実際には伴奏があるのに「無伴奏」と付けるところに潔さというか、かけ離れた行間に色々詰め込める感じがしました。すごく幅があって、でも抽象的ではくキャッチーな言葉。(作詞の)岩里祐穂さんは「実はずっと温めていたタイトル名だった」とおっしゃっていました。曲がしなやかで、英語の部分があるにも関わらず漢字三文字なところが、私がこの曲の中で一番好きな部分の人を表してるようで、いいなと思いました。

――歌詞の読み取りはいかがでしたか?

edda 説明的だったり、わかりやすい歌詞ではないぶん結構難しかったです。正直に言うと、収録までに意味を掴みきれない部分があったのですが、ディレクターの佐藤さんが歌うときの気持ちやニュアンスを上手く伝えてくれました。ラスサビ前にAメロと同じフレーズが来るところがあるんですが、その前をすごく大きく歌った後に、グッと抑えてAメロと同じ部分を歌うんです。でも、周りのサウンドは最初とはまったく違うボルテージになっている。そこについて、「小さい穴の中に体をねじ込んで、その先にいる人を助けたいみたいな気持ちで歌って」とおっしゃったのが特に印象に残っています。その後は「嵐の中を真っ直ぐに進んでいくイメージで歌って」と説明をされました。

――指示の出され方も映像的ですね。

edda そうなんです。佐藤さんはそういう感情に訴えかけるのが上手くて、なるほどと思わせてくれる言葉をポンとくれるんです。曲は盛り上がって壮大になっているのですが、実際レコーディングのときは部屋の中で1点を見つめるような意識で歌っていました。指示を受けながら歌うのは初めての経験だったのですが、お陰でとてもスムーズに表現ができました。普段の私は自分の曲では少し荒っぽく、言葉尻を投げるように歌うのが好きなんですけど、この曲ではまさに魔法を使うときの術式を組むように、すごく丁寧に言葉を置いていく感じでした。感情としては煮えているんだけど、表面は全部綺麗にスッとしないといけないみたいなイメージだったので、佐藤さんの指示をしっかり聞いて歌う形でした。

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