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INTERVIEW

2023.05.05

俊龍×Kotohaが語る“夏が聴こえる青春歌”に込めた想い――Sizuk、3rdシングル「夏を呼ぶ声」リリース記念スペシャル対談!

俊龍×Kotohaが語る“夏が聴こえる青春歌”に込めた想い――Sizuk、3rdシングル「夏を呼ぶ声」リリース記念スペシャル対談!

作曲家の俊龍による音楽プロジェクト・Sizukの通算3作目となるデジタルシングル「夏を呼ぶ声」が、5月3日に届けられた。俊龍が楽曲ごとに様々なクリエイターや歌い手とコラボレーションを行う本プロジェクト。今回は作詞に松井五郎、編曲に白戸佑輔、ジャケットイラストにフライ、そして歌い手にはハコニワリリィでの活動でも知られるKotohaを迎え、風薫る新緑の季節にぴったりの爽やかな“夏が聴こえる青春歌”に仕立てられている。清涼感とほのかな切なさに彩られた本楽曲に込めたこだわりについて、俊龍とKotohaが語り合う。

INTERVIEW & TEXT BY 河瀬タツヤ

旋律と歌詞が呼び起こす、夏の情景と青春の揺れ動く気持ち

――俊龍さんが今年1月にSizukとしてアーティストデビューしてから早くも3枚目のリリースとなります。今回の新曲「夏を呼ぶ声」は“夏が聴こえる青春歌”というコンセプトですが、ここまでストレートに爽やかな雰囲気は、これまでの俊龍さんの楽曲にはあまりなかったように感じます。

俊龍 たしかに、今回の楽曲のような爽やかさは久しぶりかもしれないですね。この楽曲のリリース時期である5月は春からの延長ではありますが、夏を待ち侘びていたり、夏が一足先に来ていたりという季節なので、夏の切なさがありつつも爽やかでパッと開けるようなメロディとサウンドにしたいと思って作り始めました。

――今回の「夏を呼ぶ声」では、ゲストボーカルにハコニワリリィのKotohaさんを起用していますね。

俊龍 Sizukとしては、今回の「夏を呼ぶ声」のような爽やかな曲はもちろん、女の子らしいかわいい楽曲も作っていきたいという思いがありました。そのどちらも表現できるようなボーカリストを探していたときに、Kotohaさんの(YouTubeの)動画を見つけたんです。Kotohaさんの歌声は透明感やフレッシュさだけではなく、聴いた人が「良い声だな」と思える“何か”があると感じていて、例えるなら、“透明で澄み切った水に、きれいな青色のインクを一滴だけ垂らしたような歌声”で。そんな歌声は自分にとって初めてだったので、もし一緒に作品を作ったら今までとは違う心持ちで作ることができるのではないかと思い、今回お願いしました。

Kotoha ありがとうございます!そういった表現は初めて言われました(笑)。

――逆にKotohaさんは俊龍さんの楽曲にはどんな印象を持っていらっしゃいますか?

Kotoha 俊龍さんの楽曲はすごくポップで耳に残るようなメロディで、歌っていてとても楽しいんです。今回は夏をイメージした爽やかな楽曲で、自分(の歌声)に合うテイストだったのも印象的でした。練習のために何度も今回の楽曲を聴いたんですけど、楽曲を覚えること自体が楽しかったです。

――Kotohaさんがおっしゃるように耳に残るキャッチーさは今作でも存分に発揮されています。今回の「夏を呼ぶ声」について、俊龍さんのイメージは具体的にどういったものだったんでしょうか?

俊龍 簡単に言えば、“若い女性を主人公にした季節感のある青春ソング”を作りたいと思ったんです。この楽曲の主人公は恋をしているのですが、もしかしたらその恋は叶わないかもしれない。でもキラキラした夏の季節はすぐそこまでやってきている。そんな主人公が理由もなく叫びたくなったり、駆け出したくなったりするという衝動と、セミが鳴いているような夏の青い空と白い雲という風景の両方が描ければと思っていました。

――たしかに風景がすごく浮かぶ楽曲です。Kotohaさんは今回の楽曲はどういった曲だと感じましたか?

Kotoha 「夏をテーマにした爽やかな楽曲なので、爽やかなテイストで歌ってほしい」ということだったんですけど、歌詞のところどころに闇がある気がしたんです。歌詞の最初の“きっとまだ 半分しか 正しい答えが わからない”とか、“優しさから 残酷な 影も 生まれるのは なぜ?”とか。夏で爽やかだけど、未来を少し不安に思っている女の子のリアルな気持ちを歌詞に乗せているようで、全部が明るいだけでは終わらない、少し闇を感じるようなこの歌詞が私は好きですね。

――特に2番の歌詞はだいぶ闇を匂わせていますよね。俊龍さんがメロディを作っている時点で、この方向性は狙っていたんですか?

俊龍 そうですね。ポジティブになるときと、ネガティブになってしまうときを行ったり来たりするのが “青春あるある” なので、その心情をすごくきれいな言葉で(今回作詞を担当した)松井五郎さんがしたためてくれました。松井さんはこの曲の歌詞に関してTwitterでつぶやいていらっしゃったんですが、あのお言葉にはすごく感動しましたね。

――松井五郎さんは40年以上作詞家として活動している大ベテランで、俊龍さんとも石原夏織さんの「Face to Face」などで一緒にお仕事をされていますね。

俊龍 以前、ゆいかおりの「Intro Situation」という夏の曲でご一緒させていただいたときは、ネガティブさのないかわいい曲に対して、瑞々しく弾けるようなキラキラした歌詞を書いていただいたんです。今回の「夏を呼ぶ声」は、夏の曲というテーマは「Intro Situation」と似ているけれど、テイストは少し違った曲になったので、「この曲にもし歌詞を書いていただけるとしたら、どういう言葉で作品に彩りを与えてくださるだろう?」と思い、今回お願いしました。

――そんな松井さんの歌詞のなかでお気に入りのフレーズはありますか?

俊龍 自分は最初の“風が光を変える”。ただ単にパッと変わるのではなくて、風が吹く時間によって色彩的にも変わっていくのが良いですね。あとは、1番サビの“咲いたひまわりが 夏を連れにゆく”。ひまわりが周り一面に咲いているけど切なさも感じさせるような表現になっていて、ここは歌詞の中で唯一黄色をイメージする言葉なので、(曲全体を)よりカラフルにしていただけたと感じました。

Kotoha このフレーズだけで風景が浮かびますよね。私は本当に選べないくらい好きなフレーズがたくさんあるんですけど、1つ挙げるとすれば、サビの“恋は片方しかない翼 ひとりきりじゃ 羽ばたけない”です。すごく巧みなワードを使って、1人の女の子の片思いの気持ちを歌詞に乗せているところが切なくて好きですね。

――ここから2番で“優しさから 残酷な 影も 生まれるのは なぜ?”ですからね。

俊龍 情緒が(笑)。

Kotoha でも曲調はとても爽やかで、サビは結構力強く歌っているので、その対比もすごくいいですよね。

――ちなみに、お二人の青春時代の夏の思い出はありますか?

俊龍 自分は中学生のときに野球をやっていて、泥だらけになったあとに清涼飲料水をみんなで飲んでボーっとしていたり、ほかの部活の何人かの男女とともに話しながら帰ったり、何かあったというわけではないのですが、そういう風景が浮かびます。

Kotoha いいですね!私も“運動部で汗を流してみんなで大会を目指す“みたいな青春を送りたかった(笑)。私は学生時代、美術部や合唱部といった文化部にずっと入っていたんですけど、合唱部の頃は夏休みにみんなで集まって練習したり、文化祭が近づいてくると毎日放課後に演劇や歌の練習をしていたんです。みんなで1つの作品を作り上げたという経験は今でも鮮明に記憶に残っていて、(今振り返ると)経験できてよかったなと思います。

俊龍 そういえば文化祭の前は誰しもソワソワしておかしなモードになりますよね。

Kotoha 同じ部活の中でも、カップルが何組かできていたりとか(笑)

俊龍 冷やかしたくなったりとか、冷やかされたりとか。

――やはりそういったエピソードは世代間共通ですね。今回も、世代を超えた共感性の高い歌詞を大ベテランの松井五郎さんが書いてくれていますし。

Kotoha 学生時代は誰しも悩みがあるじゃないですか。だからそういった細かい心情の変化が表現されているのはすごいと思いました。

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