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INTERVIEW

2023.05.03

【特集】作曲家・俊龍がTVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」OPテーマに込めた想い――「シンデレラガールズ」楽曲の軌跡・制作秘話を振り返る

【特集】作曲家・俊龍がTVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」OPテーマに込めた想い――「シンデレラガールズ」楽曲の軌跡・制作秘話を振り返る

俊龍×「シンデレラガールズ」楽曲の軌跡をプレイバック!

――ここからは「アイドルマスター シンデレラガールズ」における俊龍さんのお仕事について、お話をお聞かせください。改めて本シリーズならではの楽曲制作の魅力や醍醐味について、どのように感じていますか?

俊龍 いつも最初に「こういうアイドルが歌うこういうイメージの楽曲」という大まかなテーマをいただくのですが、それに対してこちらから全力投球のアイデアを提供してキャッチボールできる環境にあるのが、すごくありがたく感じています。ほかのコンテンツだと「ちょっとクセが強いかも」と言われるようなアイデアでも、「面白くて楽曲も良いからこれでいきましょう!」と言ってくださることが多いんですよ。だからこそファンの方々も、色々な楽曲で自分のエモさを感じるポイントを見つけられるんだと思います。

――「アイドルマスター シンデレラガールズ」に登場するのは個性的なアイドルばかりですし、しかも190人以上もいますから、受け入れられる幅も広いのかもしれないですね。

俊龍 それはあると思います。決して王道だけではないというか。

――俊龍さんは作曲だけでなく作詞と編曲も込みで楽曲提供することが多いですが(※編曲はSizuk名義)、最初はどういった形で自分のアイデアを提案するのでしょうか。

俊龍 基本は楽曲のイメージと歌唱を担当するアイドルを提示されて、それに対して音源を作って提案するのですが、たまに仮歌も入れて、「歌詞も込みでこういう曲にしました」という提案もしますね。例えば「エチュードは1曲だけ」(2017年発売)に関しては、音源だけだとあまりにも歌謡曲すぎて「何ですか、この曲は?」という感じになると思ったので(笑)、歌詞も併せて付けて「こういう感じだから面白いと思うんです」と提案して。

――「エチュードは1曲だけ」はかなり際どい恋愛ソングにも受け取れますが、“ギュンギュン”や“いやんいやん”といったユーモラスなフレーズも入っていて、独特の楽曲になっていますよね。

俊龍 あの曲は「しんげき(アイドルマスター シンデレラガールズ劇場)」のEDテーマとして作ったので、クール属性のアイドルが歌う楽曲だけどかわいらしくて面白い要素も入れたくて、「クールだけどチャラい奴に騙されちゃう女の子の歌」というイメージを広げていけば面白くなるんじゃないかと思いまして。スタイリッシュなアイドルたちがこういう言葉を歌ったら笑えるだろうし、聴いている側も「やりやがったな!」と反応してくれることを狙って作りました(笑)。本人たちもライブで歌っていて楽しくなる感じにしたいなと思って。

――なるほど。そのほかにご自身の提案が上手くハマった楽曲はありますか?

俊龍 自分的には3人組ユニットのセクシーギャルズが歌っている「Gossip Club」(2019年発売)ですね。あの曲もスタイリッシュなのですが、どこか下世話なところがあって。かっこいいんだけど、どこか隙のある女の子っていう。

――この楽曲を歌う大槻 唯(CV:山下七海)、藤本里奈(CV:金子真由美)、城ヶ崎美嘉(CV:佳村はるか)は、いわゆるギャルっぽいキャラクターですが、それを意識して楽曲を書かれたわけですよね。

俊龍 はい。クールでかっこいい音楽というのは色々ありますが、そのなかでも個性があるもの、セクシーかつ出来るだけキャッチーなメロディの曲にしたくて、自分の中で形にするのに結構苦労しました。最終的にはバブリーな感じを入れて、今っぽさとバブルっぽさが混ざり合うと面白いかなと思って作りましたね。

――たしかに、もろバブルというわけではないんですけど、そういうフレイバーが端々から滲み出ているんですよね。それがギャルらしさにも繋がっていて。

俊龍 とはいえ、彼女たちはアイドルなので、ラスサビ前の部分で女の子としての純粋な部分も描くようにしていて。フルコーラスを聴いていただいた方に向けて、そういう仕掛けも作るようにしました。

――例えば、いただいたテーマを形にするのに苦労した楽曲はありますか?

俊龍 そうですね……「君のステージ衣装、本当は…」(2020年発売)は、歌う方々にどういう心持ちで歌っていただくかをよく考えて、丁寧にメロディにしないといけないなと思いました。この曲は「秋」というテーマをいただいたので、総じて切ない感じにしたくて、自分の中で前々から作ってみたいと考えていた、それこそほかのコンテンツで描くのは難しいテーマに挑戦したんです。最終的には色んな捉え方ができる楽曲と歌詞になっていますが、失恋として捉えることもできるし、推し変と捉えることもできる。「好きだったけど別れてしまった」というのをストレートに言葉にするのではなく、アバウトに描いていて。ジーンとくるというよりもウーンと唸らされるような、心地良いトラウマになるようなものを考えていました。

――サウンド的にも、生々しいエモーショナルさがあって、俊龍さんの多彩な作風の中でも、珍しいタイプの曲調ですよね。

俊龍 そうですね。メランコリックな感じで、アコースティックギターやピアノとの兼ね合いがありつつ、サビのドラムがすごく速いっていう。この楽曲に関してはライブでのコールのことも一切考えず、楽曲の世界観を聴かせようと思って作りましたね。

――それと個人的に「パ・リ・ラ」(2021年発売)の、ラテンとサンバがミックスされたようなハイテンションなノリも大好きです。

俊龍 “Ola!”って歌ってますしね(笑)。あの楽曲はナターリア(CV:生田 輝)がセンターポジションだったので、南米ならではの「明日のことは置いておいて騒ごう!」というイメージと、歌唱メンバーはほかにもいるので、日本の中高生のあるあるネタみたいなものを入れてみたら、化学反応を起こして面白いテンション感の楽曲になりました。

――「中高生のあるあるネタ」というのは、夏休みの宿題や髪を染めるくだりですよね。“「やんのか?!やめるか?!やんのか?!やめるか?!」”っていう。

俊龍 それで“やーめーた!!”って言ってしまうっていう(笑)。この楽曲はライブで声出しが解禁されて披露されるのが楽しみですね。宿題やらないのをこの楽曲のせいにされるのは嫌ですけど(笑)。

――あはは(笑)。こういったハイテンションな曲調は、それこそライブの定番曲にもなっている「Yes! Party Time!!」(2017年発売)の系譜に連なる部分があると思うのですが。

俊龍 やはり自分にオファーをいただいた以上は、もちろん“良い楽曲”という前提はありつつ、どこか笑える要素を入れたいなと自分の中で意識していて。「Yes! Party Time!!」もちょっと笑えるところがあったりしますし。

――その一方で「Snow Wings」のようなアイドルらしい楽曲も作られていて。

俊龍 あの曲の場合は、自分が「アイドルマスター シンデレラガールズ」というコンテンツに触れて最初に書いた曲なので、いわゆるクリスマスのアイドルソングの王道的なものを意識しつつ、「キラキラに輝いていたい」だとか「歌って踊っている自分を見てほしい」といった、アイドルたちの純粋できれいな願望を歌詞やメロディに落とし込むようにしましたね。

――ライブでご自身が書いた楽曲のパフォーマンスを観て印象に残っていることはありますか?

俊龍 さっきお話した「Gossip Club」はライブで初披露されたのですが(“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 7thLIVE TOUR Special 3chord♪”9月3日・4日公演)、観させていただいた席がステージからものすごく近くて、自分が恥ずかしくなってしまうくらいだったんです(苦笑)。そのライブ後に3人とご挨拶する機会があったのですが、そのときの第一声が「私たち、ちゃんとセクシーにやれていましたか?」だったんですよ(笑)。そこで「セクシーだったよ!」って言うのもアレだなと思って、「すごく良かったです!」みたいな返事をしたのを覚えています。

――良い思い出ですね(笑)。今回は俊龍さん提供の「アイドルマスター シンデレラガールズ」楽曲について色々語っていただきましたが、どの楽曲もとても個性的で、きっと俊龍さんにとっても色んなチャレンジができる現場なんでしょうね。

俊龍 そうですね。ほかのクリエイターの皆さんもそういう気持ちで作っていらっしゃると思いますし、明るい系でも楽しい笑いからハチャメチャな笑い、かっこいい系でもロックからセクシーまで、同じ喜怒哀楽の中でも色んな種類のものを皆さん表現されているので、自分も聴いていて楽しいです。

――そんななか、今後作ってみたい楽曲はありますか?

俊龍 「君のステージ衣装、本当は…」は聴き方によってはバラードにも捉えられるかもしれないですが、いわゆるバラードのカテゴリーに入る楽曲はまだ作っていないので、そういう楽曲を作ってみたいですね。

――例えばどのアイドルに歌ってもらいたいですか?

俊龍 よく柏谷さんからも「次はどのアイドルに書きたいですか?」と言ってもらえるんですけど、自分はどなたが歌うかはご縁だと思っていて、もちろんキャラクターはみんな好きなので名前を挙げるとキリがないのですが、「こういう子はどうですか?」とお話をいただいたほうが、自分としては自然なのかなと思います。

――なるほど。その流れのなかでまた新しい出会いや新鮮な楽曲が生まれるかもしれないですね。最後に改めてTVアニメ「U149」および「アイドルマスター シンデレラガールズ」シリーズの今後に期待することを教えてください。

俊龍 アニメに関しては、米内(佑希)さん演じるプロデューサーと彼女たちの絆がどう深まっていくのか、その先も観てみたいですし、ライブシーンや年上のアイドルたちとのコラボレーションももっとたくさん行われるといいなあと思います。シリーズ全体に関しては、コロナの状況も落ち着いてきたので、大きい会場や近くで触れあえる場所を含め、色んな会場でライブを観れる機会が増えたら最高ですね。


●リリース情報
「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149 ANIMATION MASTER 01 Shine In The Sky☆」
発売中

品番:COCC-18121
価格:¥1,650 (税込)

CD購入はこちら
https://imas.lnk.to/U149-01-CD

配信はこちら
https://imas-u149.lnk.to/Shine-In-The-Sky

<収録曲>
1.Shine In The Sky☆
歌:U149(橘ありす、櫻井桃華、赤城みりあ、的場梨沙、結城晴、佐々木千枝、龍崎薫、市原仁奈、古賀小春)
2.Shine In The Sky☆ 橘ありす ソロ・リミックス
歌:橘ありす
3.Shine In The Sky☆ 櫻井桃華 ソロ・リミックス
歌:櫻井桃華
4.Shine In The Sky☆ 赤城みりあ ソロ・リミックス
歌:赤城みりあ
5.Shine In The Sky☆ 的場梨沙 ソロ・リミックス
歌:的場梨沙
6.Shine In The Sky☆ 結城晴 ソロ・リミックス
歌:結城晴
7.Shine In The Sky☆ 佐々木千枝 ソロ・リミックス
歌:佐々木千枝
8.Shine In The Sky☆ 龍崎薫 ソロ・リミックス
歌:龍崎薫
9.Shine In The Sky☆ 市原仁奈 ソロ・リミックス
歌:市原仁奈
10.Shine In The Sky☆ 古賀小春 ソロ・リミックス
歌:古賀小春
11.Shine In The Sky☆
(オリジナル・カラオケ)

●作品情報
TV アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」

原作:バンダイナムコエンターテインメント
原案:「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」 廾之(サイコミ連載)

【スタッフ】
監督:岡本学
副監督:高嶋宏之
シリーズ構成:村山沖
アニメーションキャラクターデザイン:井川典恵
コンセプトアート:大久保錦一
デザインワークス:
野田 猛 小田崎恵子 中村倫子 渡部尭皓 槙田路子
美術設定:曽野由大
高橋武之 金平和茂
美術監督:井上一宏
色彩設計:土居真紀子
3DCG:石川寛貢 榊正宗 神谷宣幸
撮影監督:関谷能弘
編集:三嶋章紀
音響監督:岡本学
音楽:宮崎誠 川田瑠夏 睦月周平
音楽制作:日本コロムビア
アニメーション制作:CygamesPictures

【キャスト】
橘ありす:佐藤亜美菜
櫻井桃華:照井春佳
赤城みりあ :黒沢ともよ
的場梨沙:集貝はな
結城晴:小市眞琴
佐々木千枝:今井麻夏
龍崎薫:春瀬なつみ
市原仁奈:久野美咲
古賀小春:小森結梨
プロデューサー:米内佑希

©Bandai Namco Entertainment Inc. /PROJECT U149

関連リンク

TV アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」
公式HP
https://cinderella-u149-anime.idolmaster-official.jp/

公式Twitter
https://twitter.com/u149_anime

Sizuk/俊龍《Official》Twitter
https://twitter.com/Sizuk_official

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