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INTERVIEW

2023.05.17

夏川椎菜が紡ぐ恋愛の歌は、攻撃的で情熱的にリスナーを挑発する。7thシングル「ユエニ」リリースインタビュー

夏川椎菜が紡ぐ恋愛の歌は、攻撃的で情熱的にリスナーを挑発する。7thシングル「ユエニ」リリースインタビュー

安心して酔っ払って話がしたい

――完成を楽しみにしています。ではカップリングのお話も伺っていきます。「だりむくり」は「ユエニ」と並べるならという意識で作られたんですか?

夏川 そうですね。草野さんから「ユエニ」が来て、カップリングはどうしようって話になって、新しくコンペをするでもいいけど、今こんな曲が手元にあるよっていうのを聴かせてもらって選びました。この曲は川口圭太さんが特に何もお願いしてない時期に「曲書けたからなんかあったら使ってよ」って送ってきてくれた曲だったんですけど、「ユエニ」と並べるとどっちの曲も映える印象で今回にぴったりでした。

――少しの寂しさと諦めみたいなものが真ん中あるシングルになりますね。この印象は結果的にですか?

夏川 そうですね。2曲とも諦念的な含みのある曲になったのは結果的にです。この曲は圭太兄さんの鼻歌が入ったデモで、それを聴きながら歌詞を書いたんですが、その圭太兄さんの仮歌が酔っ払ったみたいな声だったんですよ。まあ兄さんは割といつもそうなんですけど(笑)。ピッチとかも直しきってない感じで、ちょっとブレているのがそのまま残っていて、この曲調もあって、なんか酩酊してる様が浮かんで、じゃあお酒をテーマに書いてみようかなっていうとこから始まりました。「だりむくり」って言葉も元々どこかで知って、いつか何かで使いたいワードだと思ってメモしてたんです。なのでこの曲はタイトルから決めました。

――まさに使うなら今だ!って感じですね。

夏川 圭太兄さんの酔っ払いボイスと……いや本当に酔っ払って録ったわけじゃないと思いますけど、なんだかそう聞こえて、ちょうどいいタイミングだなと。お酒についてというか、酔っ払い的なことはいつか歌いたいなと思っていましたし、多分5年前じゃ歌わせてもらえなかったと思うし、誰かに頼んで書いてもらうようなテーマでもないじゃないですか。だからこいつは自分で書くしかないなと思っていて、私自身もお酒が好きというか、誰かとお酒を飲んでる時間が好きで、なんで好きなんだろうって考えてみた答えがこの歌詞です。

――酔うのは好きなんですか?

夏川 酔うのが好きです(笑)。お酒の場が全部好きなわけじゃなくて、自分が遠慮なく酔える場が好きなんです。

――安心できる場ってことですね。

夏川 はい、私は1人では飲まないので。誰かに酔っ払った自分の言葉を聞いてほしいし、酔っ払った誰かの話も聞きたいんです。まさに“クサい台詞、吐いて、泣いて”ってグワーってなるのを誰かと一緒にしたい。

――お酒を飲み始めた当初からそうでした?

夏川 いえ、そうなったのはここ2、3年ですかね。

――据わった目で腹を割って話すとかじゃなくて、自分のガードが下がる感覚が楽しいんですよね。

夏川 あぁ、わかります。ちょっと張ってるカドが取れるというか、やっぱり普段は多少背筋を伸ばして、ちゃんとしなきゃって張っていた姿勢が一度崩れて、ノーガードで話せるというか、なんかこう……殻をむいた栗みたいな。甘栗むいちゃいました状態。お互いむいちゃいました状態になって、解散したら何も覚えてねえや!みたいなのがなんかいいなぁと。

――それは20歳くらいの、最近お酒を飲めるようになった人にはまだ伝わらないかもしれませんね。ウェーイ!ではなく、しっとりとも違う、人がダメになる時間を楽しむという。

夏川 そうですそうです。こういう場がないとやってらんねえよな!みたいな。やっぱり時々お酒を飲んで、自分がダメ人間なことを確認しないとな!みたいな。

――自分がダメ人間であることの確認は大事ですね。社会に出てちゃんとした仕事をこなしていくと、どんどん自分がちゃんとした人間になってくように錯覚しますけど、それが錯覚なんだという確認は必要だと思います。

夏川 「あたしなんか周りが思ってるほどしっかりしてないし、そんなに何もかも考えて生きてないし」とか言いながら、でも相手と「いやーでもあなたはすごいもの!」みたいに肩組んで支え合うみたいな。

――急に出てきたそれは誰なんですか(笑)。

夏川 こいつは一緒にお酒を飲んでくれる……だりむくってくれる仲間ですよ。あの、私は普段人を褒めるのが苦手なんですよ。自分的には褒めてるつもりでも、相手にとっては褒めになってない言葉って結構あるじゃないですか。例えば褒めるつもりで「かわいい」って言っても、「え?」って思う人もいるわけで。そういうことを考えちゃって、あまり素直に人を褒められないところがあって。

――この言葉は相手にとってプラスの言葉なんだろうかと。

夏川 そうそう、余計なこと考えちゃうんです。それで一歩引いて構えちゃうんですけど、お酒を飲むとそのガードが緩むというか、相手に対して思ってることを、良いことも、悪いことも正直に言えるようなところがあって、距離も縮まるなあって感じるんです。

――隠していたというより、気を使って言わなかったことが言えるようになる。

夏川 はい、そうだと思います。それを言い合うことで相手に刺さる言葉があったり、逆に向こうが気を遣わずに話してくれたことがすごく嬉しく感じたりするので、そういうやり取りでなんとか人生を耐え忍んでいる感じがして……。

――今話した内容をよくこんなに丁寧に美しい歌詞で書けましたね(笑)。

夏川 いやぁ……美しいですよね。これ、私の中では『スタンド・バイ・ミー』なんです。あの映画のエンディング後に、主人公が友人と飲みに行ってるんですよ。そういう曲です。

――「あの日の冒険面白かったよな」って話す大人がいるわけですね。

夏川 「あいつとこんな話したんだよ。でもどうよ今は?そりゃ小説家にはなったけどさぁ」って。最後お開きの頃にはベロベロになっていて、自転車操業みたいな人生だけど、一瞬だけでも前を向いて、それが意外と飽きないから生きてんだなぁみたいな。多分私の年齢からすると、ちょっと年寄り臭いこと言ってるなという自覚はあるんですけど。

――確かに『スタンド・バイ・ミー』だと聞く前から、主人公は男の子というかおじさんという印象は受けました。

夏川 私もそういうイメージで書いていました。この曲の主人公って、私からは遠い人なんですよ。私は職業的にも馴染みの場所でルーチンワークをこなしてっていう人間ではないですし。でもこの主人公はまさにルーチンワークの人なので、そういう意味では自己を投影しすぎずに書けたというか、ちょっと想像上で書いた歌詞だったんですけど、そこも表現として新しいことができたと思います。

――働く人を描く歌って世の中にテーマとして結構あると思うんですが、夏川さん自身はお好きですか?

夏川 いや、自分の好きな音楽でそういう曲は特にないですね。多分あまり共感できないからかもしれないです。私はルーチンワークが嫌で今の仕事に憧れて選んだっていうのもあって、そこに対しての賛歌にはそもそも共感しづらいんだと思います。

――では自分とのその共感しにくい人との間をベロンベロンが繋いでるというか。私にもあの人にもそういう瞬間があるのだっていう。

夏川 そうそう。そう思います。共感とかはしづらい人ではあるけど、理解したいとは思ってるみたいな心持ちではあります。

――そう考えると、今までの夏川さんの曲の中で一番マスに向けた歌かもしれません。「うわ、これ俺の歌だ」って感じる人数がもしかすると一番多いかもしれない。

夏川 そうなってほしいなと思って書きました。自分の信念の曲ではないけど、今まで私が伝えてきた考え方とかを理解してくれてる人にも、でも私だってこういうふうに思うこともあるよ、だりむくることもあるんだぜっていう面を見せて、そこに共感してくれる人がいたらいいなと。これがカップリングじゃなくて表題曲だったら、またちょっと違うアプローチで書いたかもしれないです。あとは声優とか夏川椎菜のことをまったく知らない人が聴いても刺さってほしいなっていうのは、ここ最近、「ササクレ」以降はずっと考えて作っていますね。だから確かにマスに向けてるかもしれない。

変わっていく表現と変わらぬマインド

――「ササクレ」をもって、一旦夏川さんのド真ん中にあるテーマは描き終えたというか、これ以上言葉は足さなくてもいいなという感じですか?

夏川 そうかもしれないです。「ササクレ」で語り尽くしたというか、あの曲がまだ私の中でかなり大きいところにあるというか。数年かけて書きたかったことのゴールに一度辿り着いた手応えがあるので、今新しい曲で「ササクレ」的なこと言おうとしても、どっちの曲にとっても良い結果にならないなとは思います。

――例えば数年後にもっと表現力や、物事の考え方が変わったときにもう一度立ち戻る可能性はありますか?

夏川 それは十分あると思います。やっぱり「ササクレ」はあのときの自分の最新の気持ちだけど、根幹は変わらないにしても、きっと細かいところで変化はしていくと思うので、そうなったときに何か書けそうだなって思ったら書くかもしれません。

――ちなみに冒頭でおっしゃってた草野さんと話してたという、「最近怒ったこと」ってなんだったんですか?

夏川 怒ったというか、悲しかったことみたいな話なんですけど。私は今まで生きてきて、自分の特技というか性質として、人のいいところをたくさん見つけることができるって自負してたんです。でもそれをすると、自分が苦しくなることがあって。人のいいところを見るほど、それが自分にないのが悔しくて辛くなるんですよね……だから最近人のいいとこを見たくなくなっちゃって……みたいな話をしてました。でも人のいいところを避けようとすると、自分が上から目線で物申せる物事ばっかり気にするようになって、それも嫌だなぁ……どう生きていったらいいんだっていう。

――これは歌詞で表現するとしたらとても難しい感情ですね。

夏川 細切れにしてちょっとずつ出していくとかならできるかも……とは思ってるんですけどね。

――1曲のテーマとするにはあまりにも巨大な山ですね。

夏川 ですね。もはや人生のテーマ。そんな話を草野さんとしました。いつかこの感情を曲にできるかは今の時点ではちょっとわからないですが、でも私の今まで書いてきた歌詞やブログで紡いできた言葉とかって、こういう感情が起源だったりするので、自分の考え方の核として向き合ってみたくはあります。

――今回も大変面白かったです。では最後に僕の質問のせいで語り逃したことがあれば、ご挨拶にかえて補足などしていただければ。

夏川 言いたいことは語り尽くしました!(笑)。ありがとうございます!

抽選で1名様に夏川椎菜さんのサイン色紙をプレゼント!

●応募期間
2023年5月17日(水)~2023年5月24日(水)23:59

●応募方法
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【応募に関する注意事項】
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・落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることはできません。
・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
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・賞品の不具合、破損に関する責任は一切負いかねます。

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・お客様からいただいた個人情報は、当キャンペーン当選者へのお問い合わせのために利用いたします。なお、個人情報を当該業務の委託に必要な委託先に提供する場合や関係法令により求められた場合を除き、お客様の事前の承諾なく第三者に提供することはありません。上記をご承諾くださる方のみご応募ください。


●リリース情報
夏川椎菜 7thシングル
「ユエニ」
5月17日(水)発売

■mora
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【初回生産限定盤(CD+DVD)】

品番:SMCL-816~817
価格¥1,925(税込)

【通常盤(CD)】

品番:SMCL-818
価格:¥1,397(税込)

<CD>
01. ユエニ
作詞:夏川椎菜 作曲:草野華余子 編曲:eba, 岸田 (岸田教団&THE明星ロケッツ)
02. だりむくり
作詞:夏川椎菜 作曲・編曲:川口圭太
03. ユエニ (instrumental)
04. だりむくり (instrumental)

<DVD>
「ユエニ」Music Video
「ユエニ」TV SPOT 15sec+30sec

関連リンク

夏川椎菜 オフィシャルサイト
https://www.natsukawashiina.jp/

夏川椎菜 公式Twitter
https://twitter.com/Natsukawa_Staff

夏川椎菜 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCSdVtmKcfuKTJ1C209-VnLA

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