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INTERVIEW

2022.12.26

南條愛乃、ソロデビュー10周年記念アルバム『ジャーニーズ・トランク』と『南條一間』を語る。

南條愛乃、ソロデビュー10周年記念アルバム『ジャーニーズ・トランク』と『南條一間』を語る。

声優として活躍する南條愛乃がソロデビュー10周年を記念したアルバム『ジャーニーズ・トランク』をリリースした。「旅の途中」というコンセプトの意味から、記念曲にふさわしい楽曲に込めた演出、MV撮影の様子や好評企画「南條一間」の話まで、アルバムの隅々を語ってもらった。ほかにも「全曲ふりかえりトーク」の話や10周年記念ブック『ROAD OF 10 YEARS』まで、10周年に関した内容盛りだくさんでお届けする。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

アルバムのコンセプトは“旅の途中”

――まずは『ジャーニーズ・トランク』というアルバム全体のコンセプトから伺えればと思います。“旅の途中”とされたそうですが、その理由をお聞かせください

南條愛乃 デビューミニアルバム『カタルモア』(2012年12月12日リリース)が「もっと語りましょう」とか「もっと話しましょう」というコンセプトだったのですが、そこを出発点として考えました。ソロワークが始まって5周年のときには、皆さんとのご縁を繋ぐことをテーマにした『・R・i・n・g・ 』(2017年7月12日リリース「サントロワ∴」収録)という曲があり、さらにそこから5年経ち、今の私はどういう状態で立っているんだろうと考えました。そのとき、ファンの方やチームの方がいて活動ができていることをありがたいなと思いつつも、特に「ここに辿り着いたな」という実感は湧かなかったんです。どうしたものかなと思ったのですが、10年の節目として立ち返ったときに、「どこかに辿り着いたという答えがない、ということが答え」なのかなと思って。ソロワーク的には、まだゴールをどこに設定しているかわからないけれど、みんなと一緒に旅をしている途中で、10年という節目ではあるけれども、旅で捉えるとまだ1個の通過点でしかないことをコンセプトにしようという感じで作り始めました。

――今作は『カタルモア』を担当された佐藤純之介さんもディレクターに立たれていますが、久々にソロワークでお仕事をされてみていかがでしたか?

南條 13曲目の「ジャーニーズ・トランク」以外は、すべて純之介さんにディレクションしていただきました。やっぱり久々だったので、当時のことを振り返って懐かしい話にも花が咲きました。この数年で私自身の歌い方も変わってきたので、「当時はこんな低い声は出なかったのに、今は出るようになったんだね」といった、今と昔を比べることができるのは純之介さんならではだなと思いました。

――リード曲の「ジャーニーズ・トランク」は南條さんが作詞を手がけ、作曲はお馴染みの藤間 仁さん(Elements Garden)が担当されています。藤間さんにはどんなお願いをされましたか?

南條 旅や旅の途中をテーマにしようとしたときに、『カタルモア』に収録した「光」の後日談的なものにしようと考えました。藤間さんには、「光」の音源を添えて、体に空気がまとわりつくような感じの温度感や湿度感だったり、夜明け前の道を灯台の明かりを頼りに歩いていくようなイメージをお伝えしてお願いをいたしました。そうして仕上げていただいた楽曲は想像以上のものになりました。

――そんな曲に対して南條さんはどんな思いを歌詞に込められましたか?

南條 「光」の後日談という部分を出したかったので、「光」の中で登場している“Seek a way”や“Sing a song”といったワードをサビに用いたり、私からファンの皆さんへという気持ちや、これまでの軌跡という意味で「今日もいい天気だよ」(2016年7月13日リリース『Nのハコ』収録)から“Sunny day”というワードを入れたり、「・R・i・n・g・ 」の“Ring to Ring”を使ったりと、10周年の道のりと、今見えている景色、そしてこれから進んでいくであろう道のりへの希望を込めて書いて。勢いで筆を進めたので、書くまでの時間よりも書いてからしばらく寝かせて、自分に馴染むまでの見直す時間を十分に取りました。

――レコーディングはいかがでしたか?

南條 レコーディング自体はとても順調でした。諸々の仕事やFCイベントやオーケストラコンサートの準備と重なり、立て込んでちょっと焦りはあったものの、曲の良さと振り返りと、今後への希望は精一杯込められたと思います。

――これからまだまだ育てていきたい楽曲ですね。

南條 そうですね。先日“京 Premium Live 2022”で一足早く披露したのですが、やっぱりこの曲は純度の高い皆さんの前で歌って、より育っていく気がするので、ツアーや個人で開催するイベントなどで歌っていくうちに、また今とは違った姿になっていくんだろうなという気がしていて、それもすごく楽しみだなと思っています。

ジャケ写や過去のMVとリンクする「ジャーニーズ・トランク」のMV

――この曲のMVのお話も聞かせてください。作りについて南條さんから何かご意見は出されましたか?

南條 いつもお世話になっているmochigome監督だったので、打ち合わせの最初から意見を求められました。今回のテーマが“旅”ということで、どこかを移動している感じは出したいというお話はさせていただき、それをどのように実現するかの話し合いに一番時間をかけました。服装がファンタジックなので、リアルな風景や街並みというよりも、スタジオで過去のモチーフを登場させながら、ジャケ写ともリンクするように作っていく方向性でまとめていきました。

――背景には切り絵のような造形物がターンテーブルで回っていて、その前を歩く様子が幻燈のようでまさにファンタジックでした。

南條 そうですね。これは、mochigome監督からのアイデアで、最初は想像がつかなかったのですが、実際に撮影現場に行って「こういうことか!」と納得しました。背景が白いから照明によっても全然雰囲気が変わったり、プロのお仕事を存分に示していただきました。途中にはアニメーションのカットもあり、かわいいイラストで描かれた私が地図を持って歩いていて、そこがジャケ写とも繋がっていて。本当にさすがのお仕事でした。

――また、映像の中には過去のMVをコラージュしたシーンもあります。また、このアルバムと同時発売のMV集「ジャーニーズ・トランク~Memorial Music Clips~」でもこれまでのMVが1枚にまとまりました。ご自身で改めて振り返っていかがですか?

南條 「過去のMVを投影した背景の中で歌いたい」と最初に私が言い出して、それを監督に実現していただきました。コラージュになったことで一画面にいくつものMVが次々と登場し、こうして並んだものを見てみると、「10年ってあっという間だなぁと思っていたけど色々作ってきたなあ」と感慨深くなりました。過去のMVの総まとめというか、今までの曲たちとも一緒に歩いているところが映像としても表れています。そして収録曲の最後に「ジャーニーズ・トランク」があることできれいにまとまる感じもあります。

――色んな場所・セットで、様々なアイデアを映像にしてきましたね。

南條 そうですね。やっぱりそれぞれの曲に合わせた画作りをしたいという考えでいるので、パッと見て表情から衣装を含め様々な人物像作りをしてきましたし、こうしてMV集でまとめて観ると、よりそれが際立った感じがしました。1枚で続けて観ることで楽しめる部分もあると思いますし、曲ごとに雰囲気も変わっているので、続けて観たら見応えがあるんじゃないかなと思います。MV集としても面白い1枚になったと思ってます。

次ページ:今回もダラダラ感満載の「南條一間」は必見!?

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