Suara、『うたわれ』楽曲を多数収録したアルバムをリリース。私たちに遺してくれた大切な“欠片”を胸に完成させた今作に込めた想いを語る

「トモシビ」を思い出したという「希望の扉」

――では改めて、先ほどお話にあった「希望の扉」についても教えてください。当時の気持ちをそのまま書いたとおっしゃっていましたが、“あと何回泣けば笑える日が来るのだろう　答えばかりを求めさまよってる”と、リアルな心境から始まっていて。

Suara　そうなんです。“あと何回泣けば”というどん底から、明るく這い上がるような未来を描けたらいいなとは思っていたんですが、100％元気にはなれなくて。だから最終的に「完全にポジティブになる」というわけでもないんですよね。まだ途中というか……でも人間ってそういうものなのかなと思っています。

――扉を開けて「行ってこい！」と背中を叩くというより、小さな一歩を一緒に踏み出そうか、と語りかけるような優しい曲ですよね。

Suara　“小さな一歩でも明日は動いてゆく”という言葉には、自分の気持ちをそのまま込めました。少しでも動いたことで、明日が変わっていくんじゃないかと。悩んでいたものに答えが出たらすっきりと進んでいける。それは理想ではあるんですけど、なかには答えのでないものがあって。その道が正解かわからなくても、希望を持って歩み続けていくことが重要なんだなと気づきました。それがこの曲を作っているなかでの私の答えだったんです。

――答えが出ないことも答えですもんね。

Suara　本当にその通りでした。答えを見つけることも大事かもしれないけど、今悩んでいることが自分に与えられた試練だと思えば……未来から見たときに、それも大きな糧になるんじゃないかなと。表現がリアルなので、ある意味泥臭いというか（笑）。でもそれがSuaraらしいというか、巽明子（Suaraの作詞、作曲の際の名義）らしいものになったなと。なんだか「トモシビ」を書いたときの感覚を思い出しました。

――初心を思い出した、ということでしょうか？

Suara　そうですね。「トモシビ」を書いたときはデビュー前で。当時はデビューという夢に向かって「自分のできることをやっていこう」と頑張っていたんですが……なかなかデビューまで辿り着かなくて。でもゴールがデビューだとしたら、それまでにできることがたくさんあるはずだ！まず頑張ろう！という気持ちで、「トモシビ」を書いたんです。「トモシビ」に“未来を明るく照らせるのはきっと自分でしかない”という言葉があります。きっといつか明るい未来は待っている。それを実現するのは今の自分だ、という想いで書いたものでした。それは「希望の扉」の“遠く光る未来”という言葉にも重なるのかもしれません。

――「トモシビ」はライブでも必ず歌われている、ファンの方から人気の高い曲ですよね。

Suara　自分で作った曲ではありますが、あれを超えるものは自分では作れないかもしれないという想いがどこかにあったんですよ（笑）。超えるもの……とは思っていないんですが、ああいう曲を作って、また一緒にライブで歌えたらいいなって。半田さんからアレンジされた曲が届いたときに、みんなで拳を上げて、共有しているイメージが湧きました。

――先ほど、ゴールがデビューというお話がありましたが、ゴールって終点なわけではなくて、目指すものという意味だと思います。今、Suaraさんはゴールのようなものは設定されているんでしょうか？

Suara　でも今は「これしたい、あれしたい」というような気持ちはそこまでなくて。月並みですけど、1年でも長く歌いたいというのが目標かな。このコロナ禍で転職を考えたくらいなので（笑）。アルバムリリース、さらにライブが決まっているので、今はポジティブなモードなんです。もうすでに悩んでいた時期の記憶を忘れかけているんですよ。人間って忘れやすい生き物だなあ、と思います（苦笑）。そういう意味でも「希望の扉」で今の気持ちを書き残せて良かったです。この時期を振り返ったときに「このとき、こういうふうに悩んでたけど、頑張って良かったな」って思えるんじゃないかなと。

7年ぶりのワンマン「選曲が悩ましい（笑）」

――本作はSACDハイブリッド盤でのリリースですが、それに加えてアナログが来年リリースされるって両極端で面白いですね。

Suara　たしかに！（笑）。Suaraファンは音にこだわられている方が多いので、色々な媒体で出せることがありがたいです。まだアナログで出すことは（現段階では）発表していないんですけど、「出すんじゃないか」とすでに推測されています（笑）。皆さんの期待に答えられて良かったです。

――来年5月にはツアーも控えられています。ワンマンライブは7年ぶりになるんですね！

Suara　ほぼワンマンだった“うたわれるもの SUPER LIVE 2016”以来、7年ぶりのライブです。場所は同じCLUB CITTA’で。「あれからそんなに経ってしまったんだ」という感じです（笑）。今年9月には“オトメイトパーティ”と“東京ゲームショー”に出させていただいたんですが、お客さんとのレスポンスの感じも全然ブランクを感じなかったので、少し安心しました。私、来てくださっている方の顔を歌っているときもしっかり見てしまうんですよね。「あ、あの方が来てくれてる！」「嬉しそうに聴いてくれてるなあ」と思いながら歌っていたら歌詞を間違えてしまって（笑）。そんなことも含めて、みんなの顔を見ながら歌えることが幸せだなと思いました。

――ライブでどの曲が聴けるかが楽しみです。どの曲を歌われるか、きっと悩むところだと思うのですが……。

Suara　選曲が悩ましい（笑）。初期の頃から考えると、どの曲も外せない曲ばかりで。でもSuaraファンの方は「B-Side Collection」に入ってる曲も聴きたいと思ってくれていると思うので……どうなることやらという感じです。

――「B-Side Collection」の曲は「懐かしい」というよりも、むしろ今も現役で聴いている曲ばかりだと思います。

Suara　そうですね。「B-Side Collection」で一番古い曲は2006年ですけど、今も皆さん聴いてくださっていると思います。「B-Side Collection」はやりたいことの1つだったので、すごく嬉しいです。私自身、好きなアーティストさんのB面を聴くのが好きだったんですよ。中学生の頃、カセットテープにダビングして、勝手にカップリング集を作っていたので、自分も出したいなって思っていました。

――わかります！私もやっていました（笑）。A面も良いんですけど、B面って隠れた名曲が多いというか……。

Suara　そうなんですよね！もちろんA面、B面で格差をつけるわけではないんですけど、刺さる曲がB面に多い気がしています。私の作品の場合はA面はなにかのタイアップ曲で。色々な曲調があって大好きなんですけど、カップリングには自分の趣味が入っていて。元々歌謡曲が好きなので、「B-Side Collection」には歌謡曲の曲調がいくつか入っています。好きにやらせてもらっている感じですね。

――「B-Side Collection」も含めて聴いて、クリエイターの皆さんがSuaraさんのことが大好きなんだろうなと思いました。きっと「こんな曲を歌ってほしい」と、色々な曲を提供されているんじゃないかなって。

Suara　そうであったら嬉しいですね（笑）。私も今まで歌ったことのないものに挑戦したいですし、ファンの方に新しいものを届けたいと思っています。

●リリース情報
Suara 8thアルバム
『Infinity 希望の扉』
2022年11月23日（水）発売

【通常版】

価格:￥3,300（税込）
品番:KIGA 37

【初回限定盤】

価格：￥5,280（税込）
品番：KIGA 90037

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＜収録曲＞
M-01 トキノタイカ (ゲーム「モノクロームメビウス刻ノ代贖」OP テーマ)
M-02 戦刃幻夢 (ゲーム「うたわれるもの斬 2」OP テーマ)
M-03 人なんだ (TV アニメ『うたわれるもの二人の白皇』OP テーマ)
M-04 永劫の定め (ゲーム「うたわれるものロストフラグ」1 周年記念楽曲)
M-05 望郷 (ゲーム「うたわれるものロストフラグ」2.5 周年記念楽曲)
M-06 わが身捧げて (ゲーム「うたわれるものロストフラグ」挿入歌)
M-07 自由な風 (ゲーム「モノクロームメビウス刻ノ代贖」挿入歌)
M-08 愛おしき欠片(ゲーム「モノクロームメビウス刻ノ代贖」ED テーマ)
M-09 天命の傀儡 (ゲーム「うたわれるものロストフラグ」主題歌)
M-10 理燃-コトワリ- (ゲーム「うたわれるもの斬」OP テーマ)
M-11 流転の祈り (ゲーム「うたわれるものロストフラグ」2 周年記念楽曲)
M-12 百日草 (TV アニメ『うたわれるもの二人の白皇』ED テーマ)
M-13 哀哀 (アルバム書き下ろし曲)
M-14 Find me (アルバム書き下ろし曲)
M-15 Pure Contrast (ゲーム「片恋いコントラスト－way of parting－」OP テーマ)
M-16 希望の扉 (アルバム書き下ろし曲/Suara 自作曲)

■初回限定盤「B-Side Collection」
＜収録曲＞
M-01 星想夜曲 (2006/4/26 リリース「夢想歌」収録)
M-02 恋の予感 (2009/1/28 リリース「舞い落ちる雪のように」収録)
M-03 明日へ-空色の手紙- (2009/4/22 リリース「Free and Dream」収録)
M-04 夢幻の丘 (2009/6/24 リリース「adamant faith」収録)
M-05 私だけ見つめて (2009/10/28 リリース「赤い糸」収録)
M-06 ブルーバード (2012/5/23 リリース「Future World/Thanks a lot」収録)
M-07 promise (2014/1/15 リリース「Fly away -大空へ-」収録)
M-08 花鳥風月 (2015/11/4 リリース「不安定な神様」収録)
M-09 悲しみの夜明け前 (2016/1/27 リリース「天かける星」収録)
M-10 雨宿り (2018/9/26 リリース「理燃-コトワリ-」収録)
M-11 残夢 (2018/9/26 リリース「理燃-コトワリ-」収録)
M-12 無情 (2019/11/27 リリース「天命の傀儡」収録)
M-13 愛逢月 (2021/7/21 リリース「戦刃幻夢」収録)
M-14 言の葉 (2021/7/21 リリース「戦刃幻夢」収録)