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INTERVIEW

2022.11.11

語られてこなかった3年間、その逆境を経て放たれる1stアルバム。今だから言える「幸せ」の真意とは? YURiKAロングインタビュー

語られてこなかった3年間、その逆境を経て放たれる1stアルバム。今だから言える「幸せ」の真意とは? YURiKAロングインタビュー

アルバム制作の決め手となった『ロマンティック・キラー』

――YURiKAさんは先ほど、アルバムリリースにあたってはアニソンの新曲が必要という考えだったとおっしゃいました。とするとこのタイミングで、アルバムリリースに至ったというのは……。

YURiKA 『ロマンティック・キラー』(Netflixシリーズのアニメ作品)のおかげですね!

――『ロマンティック・キラー』のOP主題歌「ROMA☆KiRA」を歌うと決まったのは、今回のアルバムリリースやレーベル探しの流れからですか?

YURiKA いえ、それはまったくの偶然で。ですよね?

水野 『ロマンティック・キラー』はたまたまですね。CRESTが請けて、僕が音楽プロデューサーを担当することになっていた作品なんです。元々はYURiKAさんとは関係のないお仕事だったのですが、原作を読んでみたら(主人公の)星野杏子とYURiKAさんがすごく重なったんですよ。

YURiKA へへへ(笑)。

――わかります。私も、YURiKAさんのキャラクターから『ロマンティック・キラー』に抜擢されたのかと思いました。

水野 それでNetflixのプロデューサーさんに、YURiKAさんのことを話してみたらすごく興味を持っていただいたんです。ただ、先方が気にされたのは、主題歌はすごくアニメに寄せたい、サビで「ロマキラ!」って叫んじゃうくらいに振り切りたい、というところでした。というのも、そういうのを嫌がるアーティストさんもいるのではないかというところで。

YURiKA でも、私はむしろ、「そういうの待ってました!」なので(笑)。

水野 それを伝えたところ、晴れてOP主題歌に決まったんです。そのとき、「ROMA☆KIRA」をリードトラックにすることでアルバムが作れる、と気づきました。

――では、このアルバムを機に色々とファンに報告できて嬉しいですね。

YURiKA そうですね。レーベルを離れたことは発表してもよかったんですけど、次の動きが決まらないうちに言うとファンのみんなを余計に不安にさせるだけだと思って。この3年間、「YURiKAは何をやっているんだろう?」と心配してくれていた方もいると思うんですけど、もがき続けながら「言えなくてごめん」という状態だったんです。

▼関連記事:『ロマンティック・キラー』と「ROMA☆KIRA」について詳しいインタビューはこちらで掲載中!

【インタビュー】YURiKA、3年ぶり念願のアニメ主題歌!「ROMA☆KiRA」に託す想い、「アニソンシンガーの醍醐味」とは?

厳しく続いた状況の中で「信じる心」が刺さった

――正直、そういった状況にあることはまったく気づきませんでした。YURiKAさんが「鍵っ子」(=Key作品のファン)であることからPCゲーム「Summer Pockets REFLECTION BLUE」の劇中歌「青き此方」歌唱、その後の「YURiKA Key Cover Live」開催。そして、今年4月には「ユリパ!YURiKA presents Live party」の開催など、むしろ、コロナ禍に負けじと自ら精力的に活動しているように見えました。

YURiKA そこは私のファンの皆さんを不安にさせたくなかったというのもありますけど、「第一回 次世代アーティストオーディション」で水野さんと面談をした最初のタイミングで、アニソンシンガーとして続けていく上での心構えみたいなものを教えてもらえたからだと思います。

水野 最初から、「他人任せにするのではなく、自分がやるべきことについて一緒に考えて動くくらいの気持ちでいないといけない。でも、あなたはそういうことができる人だと思う。だから一緒にお仕事をしませんか」という話をさせてもらいました。

YURiKA 私は、アニソンシンガー・アニソンアーティストというものは、歌う作品はあらかじめ決められていて、与えられたものに対していかに自分が頑張れるか、が大事だと思っていたんです。でも水野さんからは「用意されていると思わないでほしい」というお話をされていて。

水野 最初に教訓のような十箇条を突きつける形で、「きっとこんなことも起こるから、そのときはこうしましょう」ということを切々と話していたんですよね。

――では、困難な状況ではありましたが、YURiKAさんとしてはその教訓を思い出しながら?

YURiKA そうですね。ただ、元々どこかで現実的視点を持っているというか。自分としてはただがむしゃらでいるよりも、ダメだったときのための「別の目」を持つようにしているんですね。今までも、コロナ禍でも。だから、頑張っていたし諦めていたわけでもないけど、「頑張ればいつか夢は叶う」とまでは思い込んでいなかったので、本当にそのときできることをやっていたような感じなんです。

水野 なので、「この子なら一緒に乗り越えていけるだろう」と思っていました。実際、これまで行き詰まったときも自力でなんとかしてきましたし、アルバムリリースに関しても、あまりにも状況が悪いので自力で打って出るしかないと考えた結果でした。いつか何か困難なことがあるとは思っていましたけど、想定よりも2年くらいは早かったですね。コロナ禍までは予測できなかったですし……「それにしても厳しかったな」という感じでした(苦笑)。

YURiKA 厳しかったですね。私もこんなに早く大変な時期が来るとは思っていなかったので、「どうしよう?」という気持ちも強かったです。実は、決まっていたアニソンタイアップがなくなり、決まりかけていたアルバムやツアーが全部なくなりそうと聞いたのはワンマンライブ「Shiny Stage~今年は全曲できるのか!?~」(2020年2月22日開催)の直前だったんですよ。アニソンファンとして、移籍したことでアニメを背負って歌えなくなったり、移籍前の曲が歌えなくなったりする方も見てきたので、「この歌をうたうのはこれが最後かもしれない」くらいの気持ちで歌っていました。それに、前の年の「バースデーワンマンライブ“UPDATE”」(2019年10月19日開催)時点では『BEASTARS』の放送が始まった直後だった上に決まっていたことも色々あったので、ファンの方にも「来年、楽しみにしててねー!」って煽りに煽ってしまって。だから、「Shiny Stage」は楽しいライブではあったんですけどキツい部分もありました。

水野 さすがにその時期は、すごくしょげていたように見えましたね。

YURiKA 「Le Zoo」から1年以上リリースがない状態が続くと、ライブや生配信でも「アニソンシンガーと名乗っていいのかな?」と悩み始めてもいました。「今期の作品で歌っていないからアニソンシンガーじゃない」とまで考えているわけではないですし、何年前の曲でもライブで歌えばアニソンシンガーだと思っているんですけど、なぜか自分自身についてはそう思い込んでしまっていたんですよね。しかもありがたいことに、ずっと応援してくれている人からは、TOHO animationから新作のニュースが出ると、「YURiKAが主題歌を歌うかな?」みたいに純粋に期待し続けてくれたんですよ。

水野 あれは結構つらかったよね。

YURiKA でも、やれることはやりましたよね。主題歌オーディションを受けるとか。

水野 結局、僕には本当に申し訳ないことにアニメに出資して主題歌枠を取る力がなく、オーディション形式の主題歌を探して営業するしかなくて。それも結果的には難しかったんですが、最終的に『ロマンティック・キラー』という作品では彼女の「信じる心」が刺さったんだと思っています。『リトルウィッチアカデミア』のときと似ていて、あのときTRIGGERのプロデューサーさん方やみんなはYURiKAさんに対して「この子だ!」というところがあったみたいなんですよ。僕はあまりわかっていなかったんですけど(笑)。

――『ロマンティック・キラー』の杏子と同様、魔女という憧れた夢に向かって邁進していく主人公アッコの姿とYURiKAさんのイメージが重なったということですね。

YURiKA ありがたいお話です。

次ページ:“トゥルーエンド手前のキャラエンド”が描かれた「Key to my next gate」

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