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INTERVIEW

2022.10.27

【インタビュー】上坂すみれ、ニューアルバム『ANTHOLOGY & DESTINY』に込めたのは、“女性声優みんな電波ソングを歌ってくれる文化”の復興!?

【インタビュー】上坂すみれ、ニューアルバム『ANTHOLOGY & DESTINY』に込めたのは、“女性声優みんな電波ソングを歌ってくれる文化”の復興!?

アーティスト活動9周年を迎えた声優の上坂すみれ。彼女の約2年9ヵ月ぶりとなる5枚目のフルアルバム『ANTHOLOGY & DESTINY』が10月26日にリリースされた。自身過去最大の9曲を作詞し、楽曲的にも本人の趣味性が強く打ち出された今回のアルバムや、10周年へ向けた今後について語る。

――まず今回のアルバムが出るにあたって、上坂さんのほうから「こういうアルバムにしたい」というお話をされたのでしょうか?

上坂すみれ 前回のシングル、「生活こんきゅーダメディネロ」を作っている辺りでアルバムの話があって、レコーディングやツアーのリハと並行してやっていたので、「こういう作家さんにお願いしたい」とか、そういう話をしていましたね。「今回は作詞をたくさんしてみましょう」という提案をいただいて。なるべく色んなジャンルを書きましょうというお題みたいなのが最初にありました。

――「たくさん書きましょう」という話になったのはなぜですか?

上坂 元々作詞はたまにやっていて、「作詞したほうが自分の歌になるなぁ」という気持ちはあったので。今回、たくさん新曲が入るということで、チャレンジの気持ちで作詞をやってみようということになりました。

シティポップの立役者・林 哲司の楽曲で作詞をする

――では、新曲について伺いますが、1曲目の「趣味者のテーマ ~ underground heaven!!」。このインストを最初に入れたのは?

上坂 これは毎回、アルバムで「予感」というオーバーチュアがあって、そのシリーズが(前作『NEO PROPAGANDA』収録)「予感(Extra stage)」で一旦終わったということで、今回はプロレスの入場曲みたいなのがいいなと思い、声のサンプリングなども特になく、今回のシンプルなオーバーチュアになりました。

――イメージとしては誰の入場テーマみたいなのはありましたか?

上坂 これ書くと怒られちゃうかもしれないのですが(笑)、どの選手というよりは、ある大会のテーマのイメージですね。

――上坂さんが尊敬する林 哲司さん作詞・作曲の「海風のモノローグ」、これは上坂さんのご希望ですよね?

上坂 そうですね。お会いしたことはないんですけど、私は菊池桃子さんが好きで、林さんは菊池さんの曲をよく書かれているので、いいなと思っていて、ダメ元でお願いしたら曲を書いてくださることになりました。

――そうなると、上坂さんが林さんの曲に作詞するという挑戦になりますよね。

上坂 本当は売野雅勇さんなどに書いてもらいたかったのですが(笑)。「これは(上坂さんに)書いてほしい」という周りのスタッフの強い意志を感じ……(笑)。頑張りました。

――楽曲が上がってきてどういうイメージの歌詞にしようと思われましたか?

上坂 シティポップの雰囲気をとても感じたのですが、シティポップって“夏の海”系か“夜の街”系かに分かれると思うんですけど、この曲はすごく爽やかで、“夏”“白い砂浜”“パラソル”みたいなイメージがあったので、そういったキーワードを拾っていきながら作りました。

――以前に「ドロップス」(2021年リリースの「生活こんきゅーダメディネロ」カップリング)でもそういう世界観を書かれていますが、今回の作詞はスムーズにいきましたか?

上坂 とても難しかったです(笑)。でも、林先生の歌詞を書ける機会なんてないことですし、曲がこんなに素晴らしいので、どうやってついていこうかな?とすごく考えました。なので歌詞が完成してもすぐ提出せずに、「シティポップにしたいけど、ただ追随するという感じなのも違うな」と、色々細かい調整をしました。

――ご自身として自信のあるフレーズはありますか?売野さんに負けないぞ!みたいな(笑)。

上坂 それはないんですけど(笑)。私は“マリーナ”や“オフショア”といった言葉を使いたかったので……これはオメガトライブ用語みたいなものなんですけど。Aメロなどで、具体的な情景を描いて、でも2Aで全然情景ではないことを描くっていう。ここにモノローグがあるかなという感じがしますね。2Aのところに「海風のモノローグ」の主題があるという。

――次の「lotus love」ですが、こちらはどういうイメージで作詞されましたか?

上坂 「海風のモノローグ」や「City Angel」の2曲とどうやって分けようかな?違う雰囲気の曲にしたいな、と思い作りました。オケもかなりしっとりした曲なので、これは90年代くらいのトレンディ悲しいドラマみたいなイメージで歌詞を書きましたね。

――これもシティポップ感がある楽曲ということで、作詞しやすいというのはありましたか?

上坂 やっぱりシティポップ系だと同じボキャブラリーをつい使ってしまいがちなので、なるべく主人公が違う人に見せたいというのはありましたね。ほかの2曲とは年齢も違う感じを出せるよう意識しました。

似た者同志だったカノエラナによる提供曲

――「Car♡Wash♡Girl」は清 竜人さんの作詞・作曲・編曲ですね。

上坂 清さんが以前やっていた清 竜人25が好きでライブにもよく行っていたのですが、すごくアップテンポなディスコっぽい曲があって、それがすごくかわいくて。なので今回はちょっとディスコっぽい、だけど清さんらしいファンシーな雰囲気でお願いします!というようなお願いをさせてもらいました。

――ちなみに清 竜人25の曲で好きだったのは?

上坂 私は最初の最初の曲ですけど「ラブ♡ボクシング」が一番好きですね。とにかく清竜人25の曲は女の子の声の線がたくさんあるので、今回はそれも踏まえて厚みのあるコーラスを入れてくださったのかなと思いました。

――ではコーラスも楽しく収録できましたか?

上坂 そうですね。すごく長かったですけど(笑)。でも、これはコーラスやハモがとてもきれいに出ているので、素晴らしいなと思います。

――「シャニカマエール」はカノエラナさんの作詞・作曲ですね。

上坂 カノエさんとは自分のYouTube番組に来てくださったのが初対面で、そこからかなり仲良くなって、ご飯を食べに行ったりしていました。世代は結構近いのですが、シンガーソングライターなのであまり接点もなく、書いている曲調もかなり違う路線なので、すべてお任せでお願いしたのですが……やっぱり、私の持ち曲とは違う雰囲気の曲や歌詞をいただけて、すごく良かったなと思います。

――カノエさんと番組でお話ししていて、自分の大ファンだというのは感じましたか?

上坂 すごく色んな曲を聴いてくださってるというのは聞きましたね。でも、性格が似てるのか、2人とも目が合わないので、わからずじまいでした(笑)。

――次の「ハートロックガール」はどのような経緯だったんですか?

上坂 これは一番最初に作った曲で、まだアルバムのコンセプトも、何曲入れるかもわかってないときだったんですよね。最近自分の曲の中でこういう低めのロックの曲が時々あるのですが、いつもライブで披露するとすごく盛り上がりますし、「こういう曲がもっと聴きたいです」という要望もたくさんいただいていたので、なるべくライブを意識しつつ、女の子の歌なのですがキザな感じの楽曲に仕上がりました。あえて耳で聴いても何の単語かわからないくらいのトリッキーな歌詞で、V系とポップスの中間くらいを意識して書きましたね。

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