リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2022.10.26

【インタビュー】大人になった今だから歌える、挑戦的で自由な曲が詰まった1枚。CHiCO with HoneyWorks 4thアルバム『iは自由で、縛れない。』をCHiCOが語る

【インタビュー】大人になった今だから歌える、挑戦的で自由な曲が詰まった1枚。CHiCO with HoneyWorks 4thアルバム『iは自由で、縛れない。』をCHiCOが語る

「我武者羅」「冒険のVLOG」など2021年以降リリースのシングルナンバーに新曲5曲を加え、全16曲を収録したCHiCO with HoneyWorks待望の4thアルバム『iは自由で、縛れない。』が10月26日にリリースされた。キュートな恋の歌から、ちょっと不穏な恋愛模様を歌ったナンバー、力強いロックと様々なジャンルを網羅し、CHiCOが「すごく濃いアルバム」と自ら評した“自由”な1枚。個性的な新曲について、たっぷりと語ってもらった。

キャリアを重ねて大人になったからこそ歌える曲も

――約2年ぶりの4thフルアルバム『iは自由で、縛れない。』が完成しました。全16曲入りと豪華な内容で、今までのアルバム以上に楽曲のテイストもバリエーションが豊富ですね。

CHiCO 私もそう思います。シングル曲もたくさん入っていて、それぞれにインパクトがある曲だし、新曲もタイプが違っていて、すごく濃いアルバムになりました。前作の『瞬く世界にiを揺らせ』が2020年9月のリリースで、ちょうどコロナ禍で音楽活動が自由にできなくなっていた頃だったんですね。それから2年の間、世の中は本当に色々なことがあって。でもありがたいことに、その間も「鬼ノ森」のように実写映画の主題歌を担当させていただいたり、アニメの主題歌もラブコメディ、バトルアクションなど色んなテイストの作品に携わることができたので、この2年で曲のジャンルの幅もすごく広がったと思います。

――アルバム名は、必ず“i=愛”が盛りこまれていますが、今回の『iは自由で、縛れない。』というタイトルからは、今までより大人っぽいテイストを感じますね。

CHiCO そうなんですよ。すごく強くて、奥の深いタイトルだと思いました。タイトルはいつもHoneyWorksさんが付けてくれるのですが、YouTubeチャンネルにアップするクロスフェード動画用にタイトルコールを録るから、「これ読んで」と渡された原稿に『iは自由で、縛れない。』と書いてあって、「おお~!」と(笑)。CHiCO with HoneyWorks(以下、チコハニ)もデビューからもう8年経ちました。今回書き下ろしてもらった新曲も、キャリアを重ねて大人になった今だから歌える、挑戦的で自由な曲が詰まっているんです。そんな意味も、このタイトルには込められている気がしました。

「リベンジゲーム」は高校野球の応援曲にしてほしい

――ここからは、その自由な新曲たちについて聞きたいと思います。まずはアルバムリードナンバーの「リベンジゲーム」。HoneyWorks楽曲らしい“青春ロック”な1曲ですね。

CHiCO そう、青春なんですよ!これは“告白実行委員会シリーズ”の1曲で、(三浦)加恋ちゃんの同級生で、加恋ちゃんに告白し続けている野球部の隅田(恵)くんが主人公なんです。

――詳しいストーリーは小説版の『告白予行練習 乙女どもよ。』に詳しいですが、「醜い生き物」のMVにも隅田くんは登場していましたよね。だから“渾身のストレート”や“サイレンが響いた”というフレーズが歌詞にあるんですね。

CHiCO そうなんです。隅田くん視点の高校球児の曲ですね。告白実行委員会シリーズには、男女の別視点からのアナザーストーリーを描いた曲がよくありますよね。チコハニの曲でも「決戦スピリット」のように男子がメインの曲はありますけど、女の子の視点からのものが多いので、この「リベンジゲーム」のように単独の男の子サイドの曲は初めてだと思います。あと、このアルバムには「ハートの誓い」が収録されているんです。

――そうですね。あとでゆっくり伺いますが、「ハートの誓い」は加恋ちゃんと高見沢アリサちゃんの曲ですね。

CHiCO 隅田くん、加恋ちゃん、アリサちゃんと同じ世代の曲として、ハニワさんが世界観を合わせて書いてくれたんじゃないかと思います。

――「リベンジゲーム」の楽曲を受け取ったときは、どういう印象でしたか?

CHiCO アルバム曲を作っている最中……たしか「きっと別れるよ」の仮歌を録った日に、今こういう曲を作ってるんだけど、と聴かせてもらったのが最初だったのですが、バレーボールをテーマにしていた「決戦スピリット」の野球バージョンを感じる、熱いスポ根曲だと思いました。「決戦スピリット」もテレビのスポーツニュースのBGMとかにたくさん使っていただくんですけど、コロナ禍のスカッとしない世の中では、こういう爽快で熱い曲が求められているのかなとも思うんです。その爽快な熱さが、この曲にもありますよね。

――ボーカルスタイルも、「決戦スピリット」を彷彿とさせるCHiCOさんらしいロックな感じで。

CHiCO はい、熱い感じはすごく意識して歌いました。

――“リベンジ”とタイトルにもついているように、一度、試合に負けた経験があるけど、今度は自分を信じて絶対に勝ってやる!という力強い歌詞ですしね。

CHiCO そうなんです。ピッチャー・隅田くんの野球部ストーリーとして、先輩の代の最後の大会で、隅田くんが最後に投げたストレートが打たれて負けちゃったんですよね。でも一番悔しかったはずの先輩から、気にするなと言ってもらっていて。そして今年、その先輩たちのためにも勝つんだ!というストーリーで。

――熱い!

CHiCO ですよね!だから、高校野球の応援曲として、どこかの学校の吹奏楽部が演奏してくれないかな~!と夢見ています(笑)。

――CHiCOさんも、高校野球の思い出はありますか?

CHiCO そうですね。熱心に観るわけではないですけど、地元の高校が活躍したときは街全体が応援ムード一色で、熱くなったことを思い出しますね。

――「リベンジゲーム」は野球が題材ですが、何かに挫折したけどリベンジしたい!という気持ちは、皆さんも身近にあることだと思うので、共感できる部分は多いですよね。

CHiCO そう思います。私は最近、ゲームストリーマーの方とお話しする機会が多くて、先日もゲームの大会に参戦したのですが、チームメイトのYamatoNさんという方は一度ゲームから離れて、リベンジしてまたプロになった方なんです。スポーツやゲームに限らず、何かを諦めそうになった人がこの曲を聴いて、心の炎をまた燃やしてくれたら嬉しいですね。

――そしてこの曲には、掛け声担当でハコニワリリィのHanonちゃん、Kotohaちゃんも参加してますね。

CHiCO そう、ハコリリチームのみんなが参加してくれているんです。私も曲が完成するまで知らなかったので、先に教えてよ~!って思いました(笑)。ヤマコさんが描いてくれるMVも楽しみです。

「ハートの誓い」は人間関係に悩む人の背中を押す曲

――そして、「リベンジゲーム」の話にも登場した「ハートの誓い」。こちらは以前、「ハートの主張」でも描かれていたアリサちゃんと加恋ちゃんの物語。「ハートの主張」はアリサちゃん目線からの楽曲でしたが、こちらは加恋ちゃんの側からの曲ですね。

CHiCO アンサーソングというか。「ハートの主張」は中学のときの思い出で、いじめに遭っていた加恋ちゃんをアリサちゃんが助けたんですけど、逆にアリサちゃんが孤立してしまった曲でした。その後、2人は、加恋ちゃんがごめんねを言えないまま高校が別々になり、心を痛めていたんですけど、偶然、アリサちゃんに会う。そのときの会話をしている瞬間を切り取った、「ハートの主張」の後日談の曲です。

――加恋ちゃんが、ようやくアリサちゃんに「ごめん」と伝えて。

CHiCO そうなんです。もう友達とは思われてないだろう、だから「もう一度友達になってください」と言う加恋ちゃんに、アリサちゃんが「友達やめたつもりないから」って答えてくれて、やっと救われた。優しくて強い心を持っているアリサちゃんとの関係が、すごくフォーカスされていて、泣けますよね。

――CHiCOさんも、友達と気持ちがすれ違ってしまった経験はありますか?

CHiCO ありますね。私は距離を置かれた側で。私のほうが悪くて、ごめんねは伝えたけど自分が悪いから、もう関係が戻らなくても仕方ないなと諦めていたんです。けど、卒業式の日に、「やっぱりごめんね」って向こうからも言ってくれて、仲直りできたんです。なので「ハートの誓い」で、その当時の友達関係を思い出しました。

――友情って大切ですよね。

CHiCO 本当に。社会に出てからも、愚痴を言ったり、慰められたり、学生時代の友達に気持ちを助けてもらうことはすごく多くて。マネージャーさんにも、そういう友達は一生大事にしなさいって言われます。もし仲違いをしたとしても、この曲の加恋ちゃんのように、一歩踏み出すことって大事。今、友情に悩んでいる人がいたら、その人の背中を押す1曲になってほしいです。「リベンジゲーム」の隅田くんやシバケン(柴崎健)も登場するMVも泣けるので、ぜひチェックしてもらいたいです。

次ページ:不穏な関係?「きっと別れるよ」と「あなたは恋をしてない」

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP