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REPORT

2022.10.01

【ライブレポート】会場に広がる“SideMポーズ”――「アイドルマスター SideM」、初の野外ロックフェス出演“イナズマロック フェス”のステージをレポート! 出演後の仲村宗悟(天道 輝役)へのインタビューも掲載

【ライブレポート】会場に広がる“SideMポーズ”――「アイドルマスター SideM」、初の野外ロックフェス出演“イナズマロック フェス”のステージをレポート! 出演後の仲村宗悟(天道 輝役)へのインタビューも掲載

「理由<ワケ>あって、アイドル」。ユーザーがプロデューサーとなり、個性豊かなアイドルたちと共にトップアイドルを目指すドラマチックアイドル育成ゲーム「アイドルマスター SideM」(以下、「SideM」)。DRAMATIC STARS、Jupiterをはじめとした全16ユニット、総勢49名のアイドルたちが、アイドル事務所・315プロダクションに所属している。それぞれのアイドルは元弁護士や元外科医、元パイロットや元教師、元茶道家や元ラーメン屋など、様々な経歴からアイドルに転身した人物ばかり。いくつであろうとも、どんなタイミングであったとしても、新たな夢を見つけたからこそ追い求める姿を、歌を通して体現しているアイドルたちだ。そんな彼らだからこそ歌に想いが宿り、言葉が強く輝きを放ち、聴く人たちを元気にしている。それが「SideM」である。

2014年にゲームがリリースされ、それぞれのアイドルに声がついたのが2015年のこと。そこから先に述べたような、聴くものに力や元気を与え、どんなときにも寄り添ってくれるSideMの歌が多くの人へと届いていった。今年8周年を迎えたSideMが、日本を代表する野外ロックフェスである“イナズマロック フェス 2022”に出演することに!西川貴教が自身の出身地である滋賀県で2009年から開催している野外ロックフェス。これまでにも西川貴教、T.M.Revolutionはもちろん音楽シーンに名を轟かせるバンド、アーティストが出演しており、今年も豪華アーティストがライナップされているなかに「アイドルマスター SideM」の名が煌々と刻まれる。そんな彼らの、初のロックフェスのステージをレポートする。

滋賀県草津駅を出ると、会場に向かうシャトルバスに乗るための長い長い行列に遭遇。ここから一路、琵琶湖のほとりのフェス会場へとオーディエンスが出発するのだ。コロナ禍でオンライン開催、さらに昨年も現地開催の断念、と苦渋の決断を迫られ続けた西川だが、2年ぶりに“あの日約束した烏丸半島”での“イナズマロック フェス”を開催できるとあって、出演アーティストのラインナップからも並々ならない期待感を滲ませる。櫻坂46やももいろクローバーZ、東京スカパラダイスオーケストラらが白熱のライブパフォーマンスで2万人の観客を沸かせた初日に続き、18日(日)の2日目のステージは、開催地・草津市の橋川 渉市長の3年ぶりの帽子パフォーマンスでの開会宣言からスタート。ダンスロックバンド・DISH//が「勝手にMY SOUL」や「猫」といったヒットチューンでオーディエンスを熱くしたあとに、メインの雷神ステージにSideMが登場した。

今回出演したのは49名のアイドルの中からの選抜12名。DRAMATIC STARSから天道 輝役の仲村宗悟、Jupiterから伊集院北斗役・神原大地、FRAME・木村 龍役の濱 健人、彩・華村翔真役のバレッタ裕、清澄九郎役の中田祐矢、High×Jokerの秋山隼人役・千葉翔也、榊 夏来役の渡辺 紘、神速一魂の紅井朱雀役・益山武明、黒野玄武役・深町寿成、S.E.Mからは硲 道夫役の伊東健人、山下次郎役の中島ヨシキ、THE 虎牙道からは円城寺道流役の濱野大輝が出演。超大型台風14号が九州地方を強襲しようというタイミングで、空を重苦しい雲が覆うなか、その登場を前にSideMのBGMが流れるとライブエリアでは早くも大きく腕をあげてクラップをするオーディエンス……いや、プロデューサーの姿が見受けられる。迎える準備は万端!

大きな拍手のなか登場した12人は、「Growing Smiles!」でSideMの煌めきのステージの狼煙をあげた。「皆さーん!アイドルマスター SideMです!」と仲村が声を上げ、ユニゾンでの層の厚い歌声が高らかに響くと、ライブエリアは無数のクラップがリズミカルにビートを刻みながら重なっていく。歌詞にもあるように“遙か遠いって場所へ”やってきた彼らだったけれど、観客はとてもウェルカムな空気をステージへと放つ。遠くまで見渡すように視線を走らせるメンバーたちに、会場を震わすようなクラップのビートは届いていることだろう。“きっとどんな日だって(Everyday is a new day.)新しく始まるんだ”と歌に乗ってどこまでも伸びていく声が、オーディエンスに体当たりするようにぶつかっていく。始まる最高のステージの、その1曲目に相応しい、初めて出会うプロデューサーたちとの「始まりの歌」にもなるようなパワーと息吹に満ちた「Growing Smiles!」だった。

アイドルマスター SideM

アイドルマスター SideM

「改めまして!アイドルマスター SideMです!イナズマロック フェス、初参戦させていただきます!本当に、西川さんにはありがたい気持ちですね」と仲村。「こんなに素晴らしい景色が見られるなんて!」と千葉も続ける。基本的にはコンサートライトが揺れる会場でライブに出演している彼らは、オーディエンスの掌がステージへ向けて踊る様子が新鮮で嬉しいのだと言う。ここで神原が「アイドルマスタ- SideM」について、16ユニット総勢49人の男性アイドルをプロデュースするゲームであることを説明し、「今回は代表して僕たち12人でお送りしたいと思います」と言うと、ここからメンバーの自己紹介。濱野、益山、深町、バレッタ、中田、神原、仲村、濱、千葉、渡辺、伊東、中島が順に名乗りをあげた。このライブで初めてSideMを知る人たちにも覚えてもらいたいのだ、と仲村。

次の曲はサビで“オイオイ!”とパンクのライブの掛け声のような部分がある。そこで拳をあげて一緒に盛り上がってほしい、と予告を入れると鳴り響くイントロ。アッパーなドラムとギターの音色が広い会場を席捲したのは神速一魂の「バーニン・クールで輝いて」だ。白い特攻服風の衣装を風にはためかせながら、ロカビリー調で軽快なロックンロールに乗せ、拳を上げてライブスペースを煽る益山と深町が力強い歌声を響かせる。全力で。全開で。全身で。全霊で。神速一魂の2人の声に、会場に集まったプロデューサーたちはもちろん、初めてSideMに触れる人たちも、高く大きく拳を突き上げ「Oi Oi Oi!」と示して見せる。

「イナズマロック フェス!今日は、315に熱い1日にしようぜ!」と紅井朱雀役の益山が声をあげると、「俺たち315プロダクションのパフォーマンスを胸に刻み付けて帰ってくれ!」と黒野玄武役の深町も続く。その雄叫びに応えるように無数の拳が再びステージの前で立ち上がる、2人は満足気な笑みを浮かべた。曲の最後には一蓮托生な神速一魂の後ろに彩のバレッタ、中田、そしてTHE 虎牙道の濱野も登場して盛り上げると、続く1曲は複数のユニットで共に歌うコラボ曲「笑顔の祭りにゃ、福来る」だ。2018年にリリースされた「3rd ANNIVERSARY DISC 03」に収録された彩、神速一魂、THE 虎牙道のアイドルたちで歌った和の雰囲気たっぷりな歌謡ダンスチューン。「イナズマロック フェス2022!もっともっと!最高に盛り上がっていくぞー!」と濱野が声をあげれば「ハッ!ハッ!ハッ!ワッショイ!」の掛け声で会場を沸かせる。

祭りならではの軽快ビートにステップを踏みながら楽しむアイドルたちの姿に、前方のみならず後方のオーディエンスもぴょんぴょんと跳ねて、会場一体となって祭り気分を味わっている姿が見える。「さぁ、みんな、手を挙げて!」とバレッタの声に大きくうねるようにビートにノる観客たち。「最高の祭りにしましょー!」と中田も力いっぱいの想いを放つ。“イナズマロック フェス”を、滋賀県を、もっともっと熱く彩る!という気合いがステージの5人からビシビシと伝わってくるパフォーマンスだった。

そんな祭りの空気の終盤にはJupiterの神原、High×Jokerの渡辺、S.E.Mの伊東、中島も現れ、大きな熱の塊となると、「笑顔の祭りにゃ、福来る」組がステージを離れ、加わった4人で歌う全体曲「Beyond The Dream」へ。彼らは315プロダクションのアイドルの中でもインテリ属性に分けられるメンバーだ。主に頭脳派や優等生系に区分されるアイドルだけで歌うポジティブなパワーに満ちた煌めきのアイドルチューン。まさに光のシャワーを浴びるような感覚を味わう1曲にどんよりと空を覆っていた雲が薄く、白く、光を帯びていく。共に駆けていこう、と夢へと真っ直ぐに進んでいく力と寄り添う優しさも宿る1曲。その後半部分でDRAMATIC STARSの仲村、FRAMEの濱、High×Jokerの千葉が加わって歌い上げると、インテリ属性のアイドルがステージを降り、フィジカル属性の仲村、濱、千葉が「NEXT STAGE!」を歌う。主に情熱系、元気系、身体能力が高いアイドルが分類されているこのフィジカル属性。ほかにもう1つ、ムードメーカー系や癒し系のメンタル属性とともに3つの特徴によってカラー分けされている49人。その中で真っ赤に燃え盛るイメージの強いフィジカル属性で歌い上げるのは、新たな世界に向けて全力疾走するような、ネクストステージへと飛び出す力に満ち満ちているナンバーを、躍動感漲るボーカルのユニゾンで聴かせる3人だった。

「ありがとうございます!」と口々に声をあげたアイドルたち。「皆さん、楽しんでいただけましたか?」と仲村が尋ねると、大きな拍手が。「僕らのこと、初めて観たよ、という方はいらっしゃいますか?」との声にはたくさんの手があがる。「ありがとうございます!」と千葉の嬉しそうな声。「じゃあ、もう、ほかのところで見たら今度から2回目ヅラしてくださいね?よろしくお願いします」と仲村の言葉に思わず笑いが零れる会場。初めてのロックフェスで、普段はロックのライブでモッシュしてきたオーディエンスの温かな反応と楽しそうな表情が見られたことを、心から喜んでいる様子が伝わってくる。そしてここでずっとやってきているSideMポーズを観客へ教えると、ライブエリアの後方の、さらに後ろの人までがSideMポーズをして手を挙げて見せていた。「僕らがこのSideMポーズをしたら、皆さんも一緒にポーズを取ってくれたら幸いです」と仲村が言うと、ここでSideMの始まりの曲「DRIVE A LIVE」がスタート。

仲村の「せーの!」の声で4万人が一斉にSideMポーズ。歌の部分では大きなクラップが沸き、そのキャッチーな歌と共に覚えやすい振りつけをオーディエンスが覚えて、2番からは「315ポーズ」も一緒に手を挙げて、SideMポーズにワイパーの動きまでも一糸乱れぬ揃いぶり!ステージの12人には、この光景、どんなふうに映っているのだろうか。イナズマロック フェスを、隅々まで楽しもうというイナズマファンの心意気も感じさせたシーンだった。最後は盛大な拍手で送られたSideMの12人。315のパフォーマンスを見せつけたロックフェスとなった。

アイドルマスター SideM

アイドルマスター SideM

SideMのステージのあとに雷神ステージに登場した打首獄門同好会は、ライブMCで主催の西川貴教の筋肉になぞらえ、「アイドルマスター SideMの皆さんも、心の中ではダンベルマスター Sideマッスルで臨んでいるという感じで。SideMのMはマッスルのMですね。S.E.Mってユニット、いらっしゃったでしょ?あの方々も心の中ではスーパー(S)エクストリーム(E)マッスル(M)の略になります。Pという役職は、プロデューサーではないです。プロテインになります。S.E.M担当のPという役職は今日に限っては“スーパーエクストリームマッスル担当のプロテイン”ということになりまして、先生と一緒に筋トレを考えていくというストーリーになります」といじり、会場のプロデューサーを感心させていたこともここに記しておきたい。

打首獄門同好会

打首獄門同好会

そんな打首獄門同好会をはじめMY FIRST STORYやUVERworldなど、激しく轟くロックバンドのサウンドで熱く沸いた会場。ほかにもASH DA HEROやビレッジマンズストアらの出た風神ステージにはバンダイナムコエンターテインメントが新進気鋭のクリエイターと共に贈るダンスミュージックプロジェクト・電音部が登場。そのエッジの効いた最新鋭サウンドを引っ提げてのパフォーマンスでライブエリアのテンションを最高潮に上げたことは言うまでもない。さらに近畿地方のゆるキャラたちや芸人が数多く登場した龍神ステージ、地元食材や料理店が出店する充実のフードエリアもあり、“イナズマロック フェス”が滋賀県に愛され、西川貴教が滋賀県を愛していることがそこかしこで感じられるフェスであったこともここに残しておこう。

大型台風の接近で最終日であり、西川の誕生日である19日は開催中止が発表されたが、その悔しさもリベンジへの想いも、すべてを込めた渾身のライブパフォーマンスが、この日のライブのラスト、T.M.Revolutionのステージでは伝わってきた。「Inherit the Force-インヘリット・ザ・フォース-」から「Naked arms」、「LEVEL4」、さらに夏を制する者の歌「HIGH PRESSURE」に強風には必ず頭の中に流れる珠玉チューン「HOT LIMIT」に凍えそうな季節でも温め合う「WHITE BREATH」と、息もつかせないほどの圧倒的なヒットチューンで組まれたセットリストで観客を圧倒した西川。ここまで降ることのなかった雨だったが、『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』のEDテーマ「HEART OF SWORD~夜明け前~」では激しい雨が降り注ぐ。雨に濡れる西川の、気迫が漲りながらも凛としたその姿に観客が息を飲んだ瞬間だった。

T.M.Revolution

T.M.Revolution

そんなT.M.Revolutionのステージに、なんとSideMから天道 輝役の仲村宗悟がサプライズ登場!それはアンコールの場面。「アンコールありがとう!」とステージに現れた西川が仲村を呼び込むと、驚愕の空気がライブエリアを浸食する。「DRAMATIC NONFICTION」のエレクトロのイントロが流れると、叙情的かつアグレッシブなドラマチックチューンを軽快に歌い上げる2人。2019年に東京ドームで開催された「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」でのコラボレーションの再来だ。客席にオレンジのコンサートライトが揺れる――最後まで残っていたプロデューサーたちだ。視線を合わせ、力強い歌声を響かせると、“イナズマロック フェス”のテンションを一気にクライマックスまで上昇させた。

『機動戦士ガンダムSEED』でアニメーションとガッチリとタッグを組んで音楽制作をして、日本のロック、ポップスのシーンにアニメソングという風穴を開け、潮目を変えた存在である西川貴教だからこそ出来る“イナズマロック フェス”での「アイドルマスター SideM」の出演だったと感じる。そんな西川のファンが集まるからこそ、アニメからもゲームからも、もちろんアイドルも同じステージで会場を沸かせることができる。そんな“イナズマロック フェス”だった。この日、SideMに出会った人たちにも、彼らの歌の力の片鱗を感じてもらえたはず。ぜひゲーム、楽曲、そしてライブも楽しんでほしい。そんな出会いときっかけとなるライブだった。

次ページ:仲村宗悟(天道 輝役)出演後インタビュー

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