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INTERVIEW

2022.08.30

【インタビュー】ユニットのテーマは「記憶を音楽にする」。TVアニメ『彼女、お借りします』第2期EDテーマ「言えない feat.asmi」を手がけた音楽プロジェクトMIMiNARIの2人が語る“MIMiNARI”とは?

【インタビュー】ユニットのテーマは「記憶を音楽にする」。TVアニメ『彼女、お借りします』第2期EDテーマ「言えない feat.asmi」を手がけた音楽プロジェクトMIMiNARIの2人が語る“MIMiNARI”とは?

コンポーザーのnari(ナリ)、sham(シャム)を中心にした音楽プロジェクトMIMiNARI。TVアニメ『彼女、お借りします』第2期EDテーマ「言えない feat.asmi」を含む1st EP「言えないEP」には、「記憶を音楽にする」を掲げたこのプロジェクトの特性が端的に示されている。メンバーのnari、shamに結成の由来、EP制作について聞いた。

テーマは「記憶を音楽にする」

――MIMiNARIは「記憶を音楽にする」というテーマを掲げた音楽プロジェクト。nariさん、shamさんがこのユニットを立ち上げた経緯は?

sham 僕は元々アーティストの方に楽曲提供する仕事をしていて。とあるアーティストの現場で、「すごくかっこいい曲を作る人がいるな」と思ったら、それがnariさんだったんです。以前から「自分で音楽を発信するアーティスト活動をやりたい」と思っていたこともあり、「一緒にやりませんか?」とnariさんをお誘いしたのが最初ですね。

nari 僕も以前からアーティストとして活動したいと思っていて。shamくんから誘ってもらえたのは率直に嬉しかったし、すぐに「やりましょう」とお返事しました。彼が作る音楽も、以前からリスペクトしていたので。

sham その後、2人で色んな曲を作って。

nari バラードを作ったり、もっと激しい音楽を試してみたり。そのなかで「この方向性かな」というものが少しずつ見えてきた感じですね。

sham ほかのアーテイストやユニットとの差別化も考えてましたね。色々試した結果、“曲ごとに女性ボーカルをフィーチャーする”というスタイルに辿り着きました。

nari お互い、元々違う人間ですからね(笑)。一緒にやるにあたって、色々と試行錯誤しました。

――お二人の音楽的なルーツもかなり違うんですか?

sham そうですね。僕は小さい頃、ピアノを習っていて。両親の影響でクラシックやアカデミックな音楽を聴かされていました。中1のときにアコースティックギターを買ってもらって、Mr.Children、スピッツ、BUMP OF CHICKENなどをカバーしていましたね。

nari 僕はバンド育ちです。特にハマったバンドはないんですけど、洋楽も日本のロックバンドも聴いていて。打ち込み要素を取り入れたバンドなども好きだったのですが、一貫しているのはメロディが良いバンドですね。

――なるほど。MIMiNARIの楽曲制作は、どんなスタイルで行われているんですか?

nari まずデモ音源を作って、2人でやり取りしながら制作することが多いですね。

sham どちらかのスタジオに集まって、ワイワイやってます(笑)。

nari リモートでやったこともあるんですけど、どうしてもデータのやり取りだけになってしまって。このプロジェクトをスタートさせるときに、「“お仕事”にならないようにしたい」という話もしていたんですよ。

sham オンラインでもやれるとは思うんですけど、このユニットに関してはバンド感も欲しくて。

nari ドラム、ベースも生音ですからね。そこもこだわりポイントの1つですね。

――MIMiNARIというユニット名については?

nari 最初はおしゃれっぽい名前が候補に挙がっていたんですけど、だんだん恥ずかしくなってきて(笑)。「ネガティブな言葉のほうがいんじゃないか」という思いになって。そこで「MIMiNARIはどう?」とポロっと言ったら、shamくんが「いいですね」って食いついてくれて。

sham ちなみにMIMiNARIの“NARI”はナリさんのことではないです。

nari 自分の名前を入れようとは思ってないです(笑)。“突然思いついた言葉ではありますが、記憶、残響を音で表現する”というテーマもありますし、このユニットの音楽性やコンセプトに合っている名前だと思います。

“かのかりの世界観に寄り添って制作されたテーマ「言えない feat.asmi」

――では、デビューEP「言えない EP」について。リード曲「言えない feat.asmi」は、TVアニメ『彼女、お借りします』(以下、『かのかり』)第2期EDテーマです。

nari まず、『かのかり』の原作を読ませていただいて。とにかくキャラクターがかわいいし、キュンキュンする漫画だなと。主人公の和也は基本的にダメ男なんですけど、いきなり男気を見せることがあって。ストーリーの展開力も素晴らしいですよね。

sham キャラクターそれぞれの個性もしっかり描かれているし、単なるラブコメではないというか。

nari そう、恋愛モノ以外の部分でも、グッとくる部分がたくさんあるんですよ。

sham 特に2期は登場人物それぞれの関係性が深くなっていくし、それは楽曲の制作にも反映されてますね。『かのかり』第1期は、OPテーマ(「センチメートル」/the peggies)、EDテーマ(「告白バンジージャンプ」/halca)もすごくいい曲で。第2期のEDテーマを担当させてもらえることになって、かなりプレッシャーがあったんですよ。どういう曲がいいのかいろいろ考えたんですが、第2期は各キャラクターの人間性だったり、家族のこと、将来の夢なども描かれているので、「深みのある曲にしたい」というのは狙っていました。

nari 「しっかり作品に寄り添う」という意識はありましたね。一行目に核となる言葉を持ってきて、そこから歌詞を書いて。メロディはサビから作っていきました。

――冒頭が「“言えない”ままでいいの?」、そして最後が「“言わない”ままでいいの。」という対比も印象的でした。

nari その2つのフレーズは同時に出てきたんです。“恋愛”という言葉を打ち込んだときに、間違えて“lenai”と打ってしまって。一瞬“l”が“i”に見えて、“言えない”と読んでしまったんですよ。そのときに「そういえば、すべてのキャラクターに“言えないこと”があるな」と思ったのが、この歌詞のきっかけですね。

――ボーカルを担当しているasmiさんは、MAISONdes「ヨワネハキfeat.和ぬか, asmi」、Mrs.GREEN APPLE「ブルーアンビエンス (feat. asmi)」などで注目されているシンガーです。

sham 歌声を耳にすることも多いし、透明感のある澄んだ声が「言えない」に合うだろうなと思い、asmiさんにぜひ歌っていただきたいと思いました。

nari メロディを作っているときから、asmiさんの声を頭の中で鳴らしていたんですよ。サビのメロディの2音目でいきなり高くなるんですが、「声を張り上げるのは違うな」と思っていて。asmiさんの声には透明感があるし、吐息成分を上手く入れながら歌ってくれました。

――『かのかり』のED映像を見たときはどうでした?

nari 感動しましたね。エンディングで流れるところを想像しながら作っていたのですが、とにかく映像が素晴らしくて。ありがたいですね。

sham アニメの余韻にもしっかり合っていたし、僕も感動しました。「『かのかり』にもハマるよね」ではなくて、しっかりアニメに寄り添って作らせてもらった曲なので。

――EPの4曲目に入っている「泣けないfeat.こはならむ」は、『かのかり』のキャラクター・麻実をイメージした楽曲。悪女っぷりが注目されてるキャラですね。

nari かなり裏表がありそうなキャラクターなので、この楽曲も激しい曲にしたくて。歌詞に関しては、麻実の本心だったり、本当は何をやろうとしてるかは誰にもわからないので、想像を膨らませながら書きました。

sham こはならむさんは、ご自分の曲でポエトリーリーディングを入れることがあって。それが一つの特色になってるんですが、「泣けない」でもこはならむさんから提案があって、語りを取り入れてるんですよ。サビ前の“嘘つき…。”がそうなんですけど、僕らにとっても新しいチャレンジでしたね。後半のラップ調のボーカルも、彼女の良さが出ていると思います。

――フィーチャーした歌い手の方のアイデアも入っているんですね。ちなみにお二人が好きなアニソンといえば?

sham 子供の頃は「めざせポケモンマスター」ですね!菅野よう子さんが手がけたアニメの劇伴の世界観も好きだし、最近だと『王様ランキング』の楽曲がいいですね。

nari 今は昔のアニメも簡単に観られるじゃないですか。たとえば「SLAM DUNK」の曲が聴こえてきて、改めて「いいな」と思うこともあって。TVアニメ「鬼滅の刃」遊郭編の楽曲(Aimer「残響散歌」)も素晴らしかったですね。「紅蓮華」(LiSA)がすごい曲だったので、そのあとのOPテーマを担うって、めちゃくちゃハードルが高かったと思うんです。「前作のプレッシャーのなかで、こんなにも素晴らしい楽曲を作ったのか」と感動しましたね。

次ページ:生のバンドサウンド、激しいギターもMIMiNARIの特徴

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