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INTERVIEW

2022.08.11

【インタビュー】この声で残せる最後のアルバムになるかもしれない――あらき、“自分の本質”を収めたニューアルバム『IDEA』に込めた想いを語る

【インタビュー】この声で残せる最後のアルバムになるかもしれない――あらき、“自分の本質”を収めたニューアルバム『IDEA』に込めた想いを語る

爆発的なハイトーンでネットシーンを縦横無尽に駆け巡る赤い彗星、あらき。そんな彼が、この時代が抱える矛盾に向き合い、自身を再点火したアルバム『UNKNOWN PARADOX』と対をなすテーマとサウンドとなった、1年ぶりのニューアルバム『IDEA』をリリースする。“アイデンティティ”をコンセプトに、エレクトロニックなサウンドとともに自身を問い続ける本作は、どのようにして生まれたのか。そこには9年という彼のキャリアと、そして今後待っているとある重大な出来事が関係していた。

自身を問う“アイデンティティ”のアルバム

――前作『UNKNOWN PARADOX』からおよそ1年ぶりとなるニューアルバム『IDEA』ですが、本作の構想はいつ頃からあったのですか?

あらき 『UNKNOWN PARADOX』と『IDEA』が同時に存在したわけではないのですが、前作の発売が過ぎ去ってから……秋口くらいですかね。その辺りから構想を始めました。

――ロッキンな前作と比べて本作はエレクトロニックなサウンド中心のアルバムとなりました。

あらき そうですね。前作はどちらかというと自分の音楽のルーツみたいなものを掘り下げたパンクロックやヘビーな曲やファンキーな曲と、割とロックに寄せた内容だったんですよね。『IDEA』もロック要素はあるんですけど、自分のルーツとはまた少し違う方向性で作り上げていく感じでした。

――そうした方向性は昨年秋から構想していたものだったと。

あらき そうですね、元から曲調や構成などこういう方向性で固めたかったので、最終的にはイメージ通りのアルバムになったかなと思います。

――また、本作はオリジナル曲のDisc1と、これまで配信した楽曲で構成されるDisc2の2枚組になっていますね。

あらき Disc2に関しては後々に決まった感じですね。昨今個人で活動している人も配信が主流なので自分でサブスクなどで発信できる時代ですが、形には残らないんですよね。インターネット上にしか存在しない。このDisc2の5曲を媒体で残したいと思ったときに、時期的に『IDEA』があったと。コンセプト的には『IDEA』とはまた違うコンセプトだけど付属させてあげたいなと思ったんです。

――そうした意味では本作の本質はDisc1の9曲にあるわけですが、そこはあらきさんが活動9周年というところにもかかっている?

あらき かかっていますね。「9」という要素はほかの楽曲にも散りばめられています。

――「九死一生」というタイトルからもそういった側面が見えます。前作では、1つのテーマをクリエイター陣と突き詰めて作っていかれましたが、本作の曲作りはいかがでしたか?

あらき 前回は“矛盾”をテーマに、矛盾からくる憤りとかを作家さんに投げかけて、その返答を曲にしてもらうという感じだったんです。今回は『IDEA』という哲学的なテーマではありましたが、“アイデンティティ”をテーマにして深掘りしてもらって。自分のアイデンティティはどこにあるのかとか、そういうテーマで書いていただきました。

――アイデンティティ、いわゆる“存在証明”といいますか。そうしたテーマはどこから?

あらき そこは『UNKNOWN PARADOX』から僕の中では繋がっているところで、コロナ禍でどういう活動をするのがいいのか、どういう動きをすれば正しいのか……やっぱりそれって自分のアイデンティティの話になってくると思うんです。ただ、そこは僕に楽曲提供してもらうにしても、皆さんの譲れないものを入れ込んでもらう形にしました。

――矛盾に対する憤りなど、現在への気持ちをストレートに表した『UNKNOWN PARADOX』に対して、『IDEA』は今という時代に自分の在り方を示す1枚というか。

あらき そうですね。例えば先行配信した「A New Voice」はTOPHAMHAT-KYOさんに歌詞を書いていただいていますけど、すごく俺のアイデンティティに触れているリリックになっているというか。

――まさにクリエイターとあらきさんのアイデンティティが共鳴し合う1枚になっていると。

あらき そうですね。そうした作業も含め、9曲ともに楽しく作ることができました。

次ページ:刺激的なサウンドに彩られた9曲

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