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INTERVIEW

2022.08.10

【インタビュー】“挑む”ことをテーマに――亜咲花、『サマータイムレンダ』2nd OPテーマ「夏夢ノイジー」のこだわりと「夢を叶えた」瞬間について語る

【インタビュー】“挑む”ことをテーマに――亜咲花、『サマータイムレンダ』2nd OPテーマ「夏夢ノイジー」のこだわりと「夢を叶えた」瞬間について語る

亜咲花13枚目のシングルは好評放送中のTVアニメ『サマータイムレンダ』の2nd OPテーマ「夏夢ノイジー」だ。物語が佳境に入り、キャラクターたちが「影」の存在を倒しに行こうと挑むことから、シングル全体を「挑む」ことをテーマに、カップリング曲もハードなロックソングで彩った1枚になった。熱量と冷静さを併せ持って歌う彼女の姿とその想いを聞いた。

物語と一緒に駆け抜けていく疾走感に乗せて、亜咲花らしさを打ち出す

――まずは、亜咲花さんが主題歌を務められた映画『ゆるキャン△』の大ヒットおめでとうございます!

亜咲花 監督やスタッフさん、関係者の皆さんのご尽力によって、とても素敵な作品に仕上がっておりますので、大勢の方に観ていただけて嬉しいです。完成したと伺って、映像素材もいただいていたのですが、やっぱり初見は映画館で観たかったので、関係者試写会の日までグッと我慢していたんです。映画館で自分の曲が流れたときは感動してウルっときてしまいました。試写会のときには隣にリン役の東山奈央さんと、千明役の原 紗友里さんがいらっしゃったので、お互いにどんな想いで収録をしたかだったり、この映画に対する想いを上映開始前に語り合ったんです。そのうえでの鑑賞だったので、気持ちがとても揺さぶられました。「Sun Is Coming Up」のゆるキャン△盤ジャケットで描かれた景色も名古屋に実在するので、ジャケットと同じシチュエーションで写真を撮ってくれているファンの方もいると伺っています。自分が学生のころに遊びに行ったりした場所がモデル地の1つになったことにとても感動しました。これからも『ゆるキャン△』がどんどん盛り上がっていってくれたら嬉しいです。

――さて、ここからは新作「夏夢ノイジー」について聞かせてください。亜咲花さんはホラーやサスペンス作品がお好きですが、この曲でOPテーマを担当された『サマータイムレンダ』はご存知でしたか?

亜咲花 実は、主題歌のお話をいただく前から作品を知っていて、漫画を読んでいたんです。主題歌のお話をいただいたときはとても嬉しかったですし、不思議な感覚でした。「私が歌うんだ」という気持ちが沸々と湧いてきましたね。

――『サマータイムレンダ』のどんなところがお好きなんですか?

亜咲花 お話が進めば進むほど、どんどん味が出て面白くなるのが魅力だと思います。ミステリアスな要素が深まって、誰がキーパーソンなのか、人間関係と物語が繊細かつ複雑に絡み合っていきますし、特にアニメになるとキャラクターが動いてしゃべるし、色や光の具合が作品の季節感をより強く印象づける……まさに今の季節に放送を観るとピッタリだなと。2nd OPテーマに切り替わるのは作品が佳境を迎えるタイミングですし。原作を読んだときに、アクションシーンも激しくなるし、躍動感や緊張感が高まっていく様子を感じていたので、そうした要素は歌に反映させていきたいという想いで取り組みました。

――「夏夢ノイジー」は志倉千代丸さんによる作詞作曲ですが、どんな向き合い方だったでしょうか?

亜咲花 『サマータイムレンダ』という作品自体はすごくミステリアスなんですけど、楽曲は物語と一緒に駆け抜けていくような疾走感が感じられました。普段、志倉さんが作詞作曲をされた主題歌を歌うときには感情を入れずに歌うことが多くて、自我の部分を消すようにして歌うのですが、この曲に関してはかっこ良く歌い上げて亜咲花としての軸を打ち出しても良さそうだなと思い、そこを意識して歌っています。メロディライン的には歌謡曲チックなのでその良さを活かしつつもかっこ良さを出したかったので、バランスの調整は工夫しました。

――メロディラインのかっこ良さと疾走感とは、具体的にいうとどんなところでしょう?

亜咲花 この曲は最初とサビの雰囲気がまったく違うんですよ。その対比をしっかり出したいと思っていました。疾走感があるぶん、Aメロから気持ちを出しすぎてしまうと、サビになったときにお腹いっぱいになってしまう。そこで、Aメロの段階では私の頭の後ろに亜咲花がもう1人控えているような感じで、サビになったらもう一度自分を出して、もっともっとブーストかけていくように歌を表現できたらと思っていました。

――後ろに控えてる亜咲花さんは「影」じゃないですよね?

亜咲花 (笑)。でも、「影」のような何かを含んでいるような感じも、すごく大事にしたかったんです。透き通る声を当てるというよりも、ちょっと声を籠もらせて濁った感じや、蓋がかぶっているような感じ。A・Bメロとサビで型が違うので、サビになったときにその蓋を開けたような開放感を覚えると思います。物語的にも、逆境から困難な出来事に立ち向かっていく主人公たちの姿を力強く描いていると思うので、その力強さだったり勇敢な姿だったりを歌声に、特にサビで表現したくて。

――志倉さんは歌詞も特徴的です。今回の歌での歌詞はどんなところに注目しましたか?

亜咲花 サビには“命のパラドックス”、“神のアルゴリズム”という志倉さんらしいワードが散りばめられていますが、ここは読み解くというより、作品のイメージを歌声に乗せ、声を荒らげるような歌い方をしています。あえて感情を入れずに無になって歌う歌い方があるというのも、デビュー以来志倉さんの歌を通じて学んできたことでした。今回の曲では作品の色が強かったのでパワフルさも込めていますが、それぞれの状況やテーマによっての歌い方の違いは本当に様々です。

――ちなみに、作中で主人公の網代慎平くんが「俯瞰しろ」と言うシーンが度々ありますが、亜咲花さんはご自身を俯瞰することは多いですか?

亜咲花 レコーディングのときにはすごく俯瞰していますね。亜咲花だけの視点で歌ってしまうと、どうしても自己中心的な歌になりがちです。カップリングの曲であればいいのですが、アニソンというものは私だけの歌ではないので、最終工程では必ず俯瞰して聴くようにしています。そこで亜咲花を知らない誰かが初めて聴いたとして、それでその主題歌らしく聴こえるかを判断して、その結果またブースに入って録り直すこともあるんです。そこは一切妥協しませんね。

――どんな経験を経てそのような考えに至ったのでしょうか?

亜咲花 最初の頃は俯瞰するなんて考えていなかったのですが、いつからか神様のように俯瞰して、第三者が言葉を綴って歌うみたいな形になっていきました。今回は作品自体もすごくパワフルでもあったので、あえて感情的にしたところもありますが、志倉さんの楽曲はいかに引き算で歌うかがポイントになってくるので、そうなると俯瞰的になっていくことが多いですね。そうした経験からレコーディングを終えて聴くときも、第三者目線で評価をしていくようになりました。

――今作のMVはいかがでしたか?

亜咲花 楽曲からとてもパキッとしたような印象を受けたので、白と黒という正反対の色を使ったほうが合うだろうと、この色にしました。白黒の色のモチーフは「I believe what you said」(TVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』OPテーマ)のMVでも使ったので、そことは類似しないように衣装のフォルムやスタイルをまったく別にしています。あとは髪型がポイントで、今回4年ぶりに黒髪にしたんです!衣装を2パターン着るからこそ、同じ人物が違う服を着ているように見せたかったので、そこは統一しています。本当にシンプルに髪を下ろしただけなのが、結果的にすごくかっこ良く映っていましたね。個人的なチャレンジだったのですが、成功して良かったです。高校を卒業してからは、いつも何かしらの作品に寄せて髪型を決めていたので、それ以前の高校生アニソンシンガーだったときの自分に戻ったような気分でした。

――髪色1つで気持ちが出るんですね。

亜咲花 すごく変わりますね。メイクもそうですし、特に私はそのへんの影響を受けやすいタイプです(笑)。着るものが違うと歌うときの気持ちに影響が出るんです。逆に言うと、気持ちをつくるときに周りから固めていくということもあります。『ゆるキャン△』だったらキャンプに合う軽装でかわいらしいアウトドアな服で撮影に臨んだりしていますね。

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