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2022.07.07

【ライブレポート】駆け出したら いつでもそこがスタートライン――「IDOLY PRIDE」、ライブイベント<LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022“約束”>2部公演をレポート

【ライブレポート】駆け出したら いつでもそこがスタートライン――「IDOLY PRIDE」、ライブイベント<LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022“約束”>2部公演をレポート

“星降る奇跡”に捧げる歌声――神崎莉央と長瀬琴乃、夢の共演

月ストによる突然の新曲発表に会場の興奮が冷めやらぬなか、ここでさらなるビッグサプライズが待ち構えていた。暗転したステージに響きわたってきたのは、なんとLizNoirのリーダー・神崎莉央(CV:戸松 遥)の声。彼女は「皆さん、今から1つ、私の願いを聞いてほしいんです。特別に聴いてほしい歌があります」と告げる。そして長瀬琴乃(CV:橘 美來)が「今から歌う曲は、姉に届くように、心を込めて歌います」と続ける。会場中に衝撃が走るなか、始まったのは、長瀬琴乃の姉であり、“星降る奇跡”と呼ばれた伝説のアイドル・長瀬麻奈(CV:神田沙也加)の楽曲「星の海の記憶」。そう、昨年12月にリリースされたアルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [約束]』収録の神崎莉央×長瀬琴乃「星の海の記憶(莉央&琴乃ver.)」が、ライブで実現されたのだ。

スクリーンに長瀬麻奈バージョンの「星の海の記憶」のMVが流れるなか、聴こえてくるのは莉央と琴乃の歌声。だが、楽曲の1番のパートでは、ステージライトは消された状態で、2人の姿はどこにも見えない。だからこそ長瀬麻奈の存在が余計に近く感じられる。会場のファンもきっと麻奈のことを想ったのだろう、客席は彼女のキャラクターカラーであるピンク色のペンライトで染まる。そして2番に入ると同時に、ステージがライトアップされ、ステップ上段の上手に戸松、下手に橘の姿が。さらにステージのバックにも星空が煌めくような演出がなされ、まるで星見市の夜空が目の前に広がっているかのようだ。麻奈のライバルだった莉央と、麻奈の妹である琴乃。2人が出会い、麻奈の歌を共に歌う奇跡。これはあまりにもドラマチックなサプライズだったし、「IDOLY PRIDE」のアイドルたちは長瀬麻奈が遺した名曲をこれからも歌い継いでいくことの意志表示にも感じられた。

こころ&愛のレア編成LizNoir、TRINITYAiLE久々の生ライブ

会場が盛大な拍手に沸くなか、今度はLizNoirのメンバーによるトークパートに。莉央のサプライズを受けて「私たちも何かサプライズしたいです!」と駄々をこねる赤崎こころ(CV:豊崎愛生)。そこで莉央と井川 葵(CV:高垣彩陽)は、今回、赤崎こころと小美山 愛(CV:寿 美菜子)の2人でステージに立つことを提案。かくして、LizNoir内の後輩組2人だけによるライブがスタート。まずはメタル系の重厚なサウンドを纏ったダンスナンバー「Shock out, Dance!!」を、レアな2人編成で披露する。こころの愛らしいふんわりボイスを維持しながら歌う豊崎と、愛の明るく真っ直ぐな印象をそのまま乗せた歌声で楽曲を表現する寿。自身の演じるキャラクターに寄り添った歌唱で、こころと愛のフレッシュさを前面に出しつつ、LizNoirの楽曲としてしっかりとパフォーマンスする姿は、さすがのキャリアを感じさせた。

MCでも、まるで漫才コンビのごとき軽妙なトークで会場を盛り上げる豊崎と寿。そして嬉しいことにライブ初披露の曲も用意してきたとのことで、ワイルドなロックチューン「The Last Chance」を投下。LizNoirといえば莉央と葵の存在感もあってクールな印象のほうが強いが、こころと愛だけで歌うと、かっこ良さもありつつ、よりポップなイメージになるところが面白い。豊崎と寿もお互いハイタッチしてポジションを入れ替えたりと、息の合ったパフォーマンスを展開。この2人だからこそ、こころと愛の絶妙なコンビ感がステージでも再現されていたように感じた。

続いては、天動瑠依役の雨宮 天、鈴村 優役の麻倉もも、奥山すみれ役の夏川椎菜からなるTRINITYAiLEの出番。彼女たちがTRINITYAiLEとしてファンの前でライブを行うのは、2020年11月に千葉・幕張メッセ イベントホールで開催されたイベント“IDOLY PRIDE – VENUS STAGE / RE:BEGINNING -”以来のこととなる。その幕張でも歌われた彼女たちの代表曲「Aile to Yell」でライブはスタート。kz(livetune)による煌びやかなダンスミュージックに乗せて、3人の伸びやかな美声が会場中に響きわたる。麻倉はハーフアップツイン、夏川はおさげっぽいツインテールと、それぞれのキャラに合わせた髪型にしているのもポイントだ。

一面ホワイトのペンライトになった客席を見て、「天国みたい」(雨宮)、「浄化されてしまった」(夏川)と口々に感想を漏らす3人。だが、それはTRINITYAiLEのステージにもそのまま当てはまる言葉だ。次に歌われた「réaliser」は、壮大なスケール感をもったEDM風のモダンなサウンドが魅力的なナンバー。そこには3人で同じ場所を目指して羽ばたく、絆と連帯感のようなものが描かれており、そのメッセージ性と清らかなサウンド感が合わさって、エモーショナルな感情を掻き立てる。ラスサビ近くでの、まるで後光が射すような照明演出も含め、TRINITYAiLEの崇高な輝きが表現されていたように思う。

豪華コラボも実現した“約束”から、次なる舞台“未来”へ――

ライブ本編のラストを飾ったのは、月のテンペストとサニーピースのメンバー、計10名の星見プロダクションのアイドルたちによるステージ。各キャラのキャラクターカラーをあしらった揃いの衣装を着た彼女たちは、TVアニメのOPテーマでもある「IDOLY PRIDE」を全員で歌唱する。先ほども触れたように、月ストとサニピはそれぞれ対照的な輝きを放つアイドルグループだが、この10人が揃ったときの輝きもまた、特別なものがある。なかでも強く感じるのは、未来への希望。新人アイドルであり、それを演じる彼女たちもまた声優としてはまだ新人のキャリアにあたるからこそ、彼女たちのひた向きでキラキラしたパフォーマンスを見ていると、まだまだ無限の可能性が感じられるのだ。“ずっと未来を見て 歩み続けていく”と歌われる「IDOLY PRIDE」は、彼女たちの活動の指針になり続けることだろう。

MCを挿み、最後に披露されたのは「Fight oh! MIRAI oh!」。ポジションも歌割りも入れ替わり立ち代わりで賑やかに進行しながら、「チャッチャッ!チャチャチャ!」と手拍子を打ったり、「Fight!」と合いの手を入れたり、とにかくハイテンション極まりない。終盤の10人が横並びで歌う様も壮観で、圧倒的な楽しさを届けてライブ本編は締め括られた。

そしてアンコールで、またもサプライズ。客席の拍手に応えてステージにやってきたのは、長瀬琴乃役の橘 美來、川咲さくら役の菅野真衣、天動瑠依役の雨宮 天、神崎莉央役の戸松 遥の4名。各グループのセンターが勢揃いして歌ったのは、1st EPのタイトル曲としてHoneyWorksが書き下ろしたスペシャルなコラボナンバー「それを人は“青春”と呼んだ」だ。一途でエモーショナルな琴乃、明るく元気を振りまくさくら、凛とした煌めきを湛えた瑠依、ただ上手いだけではない深みを感じさせる莉央、その4声が重なる特別感はまさに“青春”の輝きそのもの。落ちサビ冒頭の琴乃の一節“伝えさせてこの歌に込めて”での橘の気持ちをぶつけるような歌声も素晴らしく(彼女はレコーディングでもこの箇所を特にこだわって歌ったとインタビューで語っていた)、そこから終盤にかけての4人の一体感がさらに一段階増した歌唱は、このうえなくプレシャスな瞬間だった。

そんな感動を引き継いで、アンコールのラストであり、「LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022“約束”」1部と2部の2公演最後を飾った楽曲は、再び星見プロダクションの10名が登場して歌った「サヨナラから始まる物語」。冒頭、10人がそれぞれ内側を向いて円になる始まりからグッとくるし、“サヨナラ”から始まった彼女たちの前向きな物語を、あくまでも明るく華やかな歌声で表現する姿に胸が締め付けられる。今この瞬間が眩しいからこそ、いつかは終わりがくることを感じて、余計に切なくなるのだ。だが、歌詞に“駆け出したら いつでもそこがスタートライン”とある通り、彼女たちがこの曲で歌っているのもまた、未来への希望であり、それは新しい物語への期待やワクワク感でもある。巡り合えた奇跡の真ん中でこの曲を歌う10人の表情には、一点の曇りもなかった。

なお、本公演の最後には、次回のライブ「IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2023“未来”」が、2023年2月18日(土)に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催されることを発表。今秋にはアルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [未来]』のリリースも決定しており、「IDOLY PRIDE」は新たな展開を迎えることになる。“奇跡”と“約束”――2つの公演を成功させて大きく成長した彼女たちが、その先でどんな“未来”を見せてくれるのか。大いに期待したい。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
PHOTOGRAPHY BY 大庭 元

<LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022“約束”>2部
セットリスト

[本編]
M1. サニーピース「EVERYDAY! SUNNYDAY!」
M2. サニーピース「サマー♡ホリデイ」
M3. サニーピース「全力!絶対!!カウントダウン!!!」
M4. 月のテンペスト「月下儚美」
M5. 月のテンペスト恋と花火」
M6. 月のテンペスト裏と表」
M7. 神崎莉央、長瀬琴乃「星の海の記憶(莉央&琴乃ver.)」
M8. LizNoir「Shock out Dance!!(こころ&愛ver.)」
M9. LizNoir「The Last Chance(こころ&愛ver.)」
M10. TRINITYAiLE「Aile to Yell」
M11. TRINITYAiLE「réaliser」
M12. 星見プロダクション「IDOLY PRIDE」
M13. 星見プロダクション「Fight oh! MIRAI oh!」

[アンコール]
M14. グループリーダー「それを人は“青春”と呼んだ」
M15. 星見プロダクション「サヨナラから始まる物語」


●リリース情報
「それを人は“青春”と呼んだ」
発売中

※リスアニ!WEBにてインタビュー掲載中!
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【初回生産限定盤(CD+グッズ)】

品番:SMCL-771~772
価格:¥4,500 (税込)

【通常盤(CD)】

品番:SMCL-773
価格:¥2,500(税込)

<収録楽曲>
01 長瀬琴乃(CV:橘 美來)×川咲さくら(CV:菅野真衣)×天動瑠依(CV:雨宮 天)×神崎莉央(CV:戸松 遥)
「それを人は“青春”と呼んだ」
作詞・作曲・編曲:HoneyWorks
02 LizNoir 「Darkness sympathizer」
作詞・作曲・編曲:Q-MHz
03 川咲さくら(CV:菅野真衣)「もういいよ」
作詞・作曲・編曲:田村歩美
04 長瀬琴乃(CV:橘 美來) × 伊吹 渚(CV:夏目ここな)「君がのぞくレンズ」
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:渡辺拓也
05 サニーピース 「全力!絶対!!カウントダウン!!! 」
作詞 : 藤村鼓乃美, 北川勝利 作曲・編曲:北川勝利
06 ⅢX 「Bang Bang」
作詞:Mayu Wakisaka 作曲・編曲:ハヤシベトモノリ(Plus-Tech Squeeze Box)

© 2019 Project IDOLY PRIDE

関連リンク

『IDOLY PRIDE』公式サイト
https://idolypride.jp/

『IDOLY PRIDE』公式Twitter
https://twitter.com/idolypride

『IDOLY PRIDE』公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCOuzrlRFF7aSkooORw0XWRA

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