――そういった2年間の歩みが詰め込まれたのが、今回の『Lyrical Anthology』だと思います。改めて、アルバムが完成した今の率直なお気持ちをお聞きしたいのですが。
反田 「汚れっち」から始まって、それぞれの曲タイトルが目次みたいになっているので、1stアルバムはLyrical Lilyの最初から今までが全部詰まった小説みたいなものになったなと思っています。
――まさに、タイトル通りというか。
反田 本当にそうです!
渡瀬 「Anthology」だからね。私は、アルバムが決まったと聞いたときにはまず「そんなにいっぱい曲出てたんだ!」と思って。完成するまで、そんなに実感がなかったんです。それこそ、いただいたこのインタビューの質問状に「初の楽曲発表から丸2年」とあったのを見て、「もう2年かぁ」と思ったくらいで(笑)。
――2年に感じないくらいの濃さだった。
渡瀬 はい。でも振り返ると、2年間とは思えないくらいすっごくたくさんの曲を歌わせていただいてきたんですよね。だから「そっか、もうこんなに曲も出しているし、2年も経っているんだ……」と改めて思いましたし、その軌跡が詰まった1枚になったように感じています。
――新曲以外にも、フルサイズが初めて音源化される曲もありますからね。
渡瀬 そうなんです。しかも、カバー曲にもまだ音源化されていない曲がたくさんあるから……感慨深いですね。
反田 オリジナル曲でも、ライブで1番しか披露してない曲も多いよね?
渡瀬 うん。たしかに。
深川 ライブでフルサイズをやる機会があっても、お披露目のときくらいっていう曲も多いしね。2番を歌ったライブのときには、逆に1番をやっていなかったりして。
反田 1番と2番で雰囲気が変わったり、メロディラインがちょっと違う曲もあったりするから、このアルバムを通じてライブ以上にリリリリを深く知れるような感じがするよね。
深川 うん。アルバムなら1曲丸々聴けるし、ライブのときってパフォーマンスも意識して観てくださる方が多いと思うけど、アルバムなら歌詞も見ながら何度も何度も聴けるからね。
――ユニットのコンセプトもあって、歌詞も大事にしているディグラーさんも多そうですね。
深川 それこそ「ねむり姫」の、渡瀬ちゃんが歌ってる“なのラップ”って呼ばれているところなんてそうじゃない?
渡瀬 あ、そうね。
深川 そこは次々に歌詞が飛び込んでくるラップ部分なので、初見だと頭の処理が追いつかないところもあると思うんです。でも歌詞を見ることで「なの」の1つ1つの意味もわかるし、それを見ながら聴いて改めて「小説家である中村(航)先生が書いた、このラップはすごいな」と言ってくださった方も結構いたんですよ。
渡瀬 「ねむり姫」で言うと、そのラップの最初の「Make a Chance!」というフレーズは、「『みいこちゃん』と聴こえるように言ってください」というご指摘をいただいたところなんです。だからディグラーの皆さんは、リリース前には「みいこちゃん」と言っていると思っていたみたいで、歌詞を見て初めて「あ、『Make a Chance!』って言ってるんだ!」と気づかれた方が多かったんです。だからそのとき、「そうなんだよ。やっと気づいたね」みたいな気持ちになって(笑)。
反田 感動してたもんねぇ。「『Make a Chance!』、めーかちゃんす、みーこちゃんす……『みいこちゃん』!!」みたいな(笑)。
渡瀬 そう!もう、しめしめですよ。私は(笑)。
深川 しかもこの曲は『グルミク』(スマートフォン向けリズムゲーム「D4DJ Groovy Mix」)のストーリーとも連動してるから、ストーリーを踏まえてそこを聴くと、「Make a Chance!」と「みいこちゃん」がかかっている意味の深さもわかるんですよ。
渡瀬 いや、すごいよね。やっぱり先生、天才だよ!
深川 あはは(笑)。
――そんな『Lyrical Anthology』には、新曲「ライム畑でつかまえて」も収録されています。この曲を聴かれたとき、皆さんは最初どんな印象を持たれましたか?
反田 軽快で頭に入ってきやすい、わかりやすい曲だなぁと思いました。あと、サビの歌詞が韻を踏んでいて、それを1フレーズずつリレーするようにみんなで歌っていくところも好きで、最近ずっと聴いています。
渡瀬 今までの曲のように合間合間にポエトリーリーディングみたいなセリフが挟まっているわけじゃなくて、最初と最後が美夢ちゃんの“私をつかまえてみて”と“つかまっちゃった”というセリフになっているのも、また新しいなぁと思うんですよ。しかもそのセリフが、消えてしまいそうなくらいの儚さのあるものだから、さらに曲の世界に惹き込んでくれるように感じて。最初は鳥肌が立ちましたし、「おー……つかまえてやろうじゃないか」ってなりました(笑)。
深川 それに、1stアルバムの新曲がセンターの美夢ちゃんから始まって終わって……というところで「やっぱり美夢ちゃんがリーダーなんだな」と思ったし、すごく爽やかさも感じたんですよね。個人的には、海辺とかで聴いているようなイメージが浮かんで。「7月の風!」みたいな感じがしました。8月じゃなくて、7月。
反田 あー、良い!わかる!
――そんなこの曲、レコーディングの際に皆さんは、どんなところをポイントにされたんでしょうか?
渡瀬 多分全員一緒じゃない?
反田 うん。みんな一緒だと思うんですけど……。
深川 せーので言おっか?
反田 えぇ……?大丈夫?
渡瀬 え?英語のほう?日本語のほう?
反田 ちょっと待って、ちょっと待って?英語のほう!?
深川 英語なんてあった?……あ!わかった!言いたいことわかった!
反田 えー!?うそ!?
深川 英語にしよっか。英語のほうがお洒落だから。
反田 「お洒落」って何!?
――では、そろそろお願いできますか?
渡瀬 いきましょう。
深川 ふふっ(笑)。
3人 せーの……!
渡瀬・深川 「ファルセット」!
反田 「上手く歌うな」?……ちょっと待って、そういうことか(笑)。
渡瀬 あはははは(笑)。
――たしかに、両方ともこの曲には大事だとは思うのですが……とりあえず、合っていたお二人からお聞きしてもいいですか?
反田 そうですね(笑)。
――この曲は特にBメロの音域が非常に高いので、ファルセットは大事になってくると思います。
渡瀬 「ライム畑」を録る前、別の曲のレコーディングのときに、みんなの裏声で歌える音域を調べてくださって。それを元にあのBメロができたんだと思うんです。でもそれまで裏声で歌うことって私自身も、同じ答えをした瑠華ちゃんもなくて。
深川 うん。今まではファルセットが苦手なのもあって、高い音は全部地声で歌ってた。
渡瀬 だから何回もリテイクして、「どれだけ良く歌えるか?」って詰めたんだよね。やっぱり美しく爽やかに聴こえないといけない曲なので、頑張って裏声を出すというよりも涼やかに歌うということを意識しました。
反田 そこはあまちゃんも最初地声で歌っていたらしくて。私も「ここファルセットなんだ!」って驚きました。
――でも、ファルセットとはいえ弱くなりすぎてはいけないし。
渡瀬 いや、そうなんですよ!
深川 私、ファルセットで声量が上手く出せなくて、ちょっと苦戦しちゃったんです。でも今回は「新しい試みとして、Bメロは全部ファルセットでいきたい」ということで、ちょっとキーを下げてみたりと色んなことを繰り返して、テイクを重ねて出来上がったので……ほかのメンバーと比べると劣るものはあるかもしれないですけど、リリリリにとって新しいタイプの曲ができて良かったなぁと思ってます。
――一方、反田さんは「上手く歌わない」とおっしゃっていましたが。
反田 今までの曲では、大サビとか決めになるところを歌うときには「やりたいように歌っていいよ」ということが多かったんです。でも「ライム畑」では、「あえてビブラートやコブシみたいな技術を使わないで、話しているように歌ってほしい」というお話をいただいて。それが自分の中では、すごく印象的だったんですよね。しかも、あまちゃんも同じようなアドバイスをもらって歌ったそうなんですよ。
――そこは共通したポイントだったんですね。
反田 そうなんです。おかげでみんなでお話しているような、優しくてふわっと包んでくれるような歌になったので、私自身としてもリリリリとしてもとても新鮮な、気づいたらずーっと聴いているような曲になったのかなと思います。
渡瀬 作業にピッタリだよね。
反田 うん。作業用BGMに聴いてほしいよねぇ。
深川 つるんとしてるからね。
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