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INTERVIEW

2022.06.24

【インタビュー】オール電波ソングとなるアルバム『すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-』をリリース!KOTOKOロングインタビュー

電波アンセムと向き合った”ちゃれんじばーじょん”

――さて、先ほど名前が挙がった「桜舞乱心*いろは詩」の原田勝通さんや、「ハピラキ☆ベジタボーイ」を作った橋咲 透さんは、それぞれAngel Noteやsolfaという、I’veと同じくPCゲーム音楽を主戦場としていた音楽制作集団ですよね。ちなみにI’ve当時は、KOTOKOさんはほかのチームと交流はあったんですか?

KOTOKO これがですね……まったくなかったんですよ(笑)。I’veは鎖国していたので。

――北海道で鎖国!(笑)。

KOTOKO 北海道で(笑)。もちろん素敵な楽曲を制作されるチームがあるんだよっていうのは情報としてはわかっていて、お会いしたいなとかご一緒する機会があればいいなって想いはあったんですけど、I’veを卒業するまでは一切会うこともご一緒することもなかったです。なので、今回はご一緒したいというチームさんにお声がけさせていただいた感じです。

――そうした同じ時代やフィールドで過ごした戦友とのタッグともいえますね。

KOTOKO そうですね。それでいうとIOSYSさんもそうですね。同じ札幌の会社なのに一切会ったことがなくて。でもすごいらしいよっていうお話は聞いていて。

――なんなら同じ札幌なら交流があってもおかしくないですよね(笑)。

KOTOKO それで初対面(笑)。10年の時を経てオファーさせていただきました。

――IOSYSは、今回「タコですよ?」でD.wattさんが参加されていますね。IOSYSも世代としてはI’veよりあとですが、電波を追及して同人シーンで絶大な支持を得ていました。

KOTOKO D.wattさんとはリモートでお話させていただいて、そのときにタイトル候補をいくつか出しました。IOSYSさんにはユーロの曲調でお願いしていて、ユーロに合いそうな曲タイトルはこれですねって5個ぐらい渡したんですよ。で、「なるほど、作ってみます」って作っていただいたのが、あの曲です。

――それが「タコですよ?」という(笑)。Outerでの「EaRtHwOrM」に続く触手シリーズといいますか。

KOTOKO そうですね、蛇とか芋虫とか、うねうねして気持ち悪いものがきっと好きなんですよね(笑)。さっき、曲が出てくる前に歌詞を作っちゃったって話しましたけど、それはこの曲なんですよ。1コーラスぐらい歌詞を書いていて、D.wattさんから曲が来たときに当てはめてみたら、ほぼほぼ全部使えました。それぐらい相性バッチリで、D.wattさんもレコーディングで会ったときに、「本当に『タコですよ?』になったんですね」って言われて(笑)。

――そして橋咲さんとの「ハピラキ☆ベジタボーイ」は、電波といいつつロッキンなサウンドになりましたね。

KOTOKO ロックも電波になるんだよっていうのをちゃんと聴かせたくて。私の楽曲で「Mighty Heart ~ある日のケンカ、いつもの恋心~」っていう曲があるんですけど、その曲もロックなんですけど、その要素で誰かに作っていただきたかったんですよね。solfaの橋咲さんとはI’veを卒業してからご一緒する機会も多くて、ロックがお得意なのは知っていたので、ロック電波は橋咲さんというのは決まっていました。

――繰り返しになりますが、なんでも電波にできると。

KOTOKO そうですそうです。ロック電波、和電波、○○電波が12曲ある感じです。

――そしてほかにもトピックとしては、電波が熱狂を迎えた2003年にリリースされたアンセム「巫女みこナース・愛のテーマ」のカバーですよね。

KOTOKO カバーではなく”こっとんちゃれんじばーじょん”というのがいちばんわかりやすいと思います。チャレンジさせていただきました!っていう。

――ちなみにこの曲がバズった当時、KOTOKOさんの耳にも入っていた?

KOTOKO もちろん入っていましたよ! 私の楽曲はニコニコにアップされてよく弾幕が流れていましたけど、そのなかで再生回数が多かったのって検索しなくても上がってくるんですよ。あと2ちゃんねるもエゴサしてよく見ていたんですけど(笑)、そのなかでも話題になっていたので、よく聴かせていただいていました。

――この曲といえば、後半の高速早口パートですが、やってみていかがでしたか?

KOTOKO うん、超絶難しいです。「全然ムリ!」って感じでした(笑)。ライブでちゃんと歌えるかどうかっていう企画です。

――なるほど、ライブまで含めての”ちゃれんじばーじょん”なんですね(笑)。

KOTOKO そうです、これからのライブでちゃんとできるかみなさんに見守っていただくわけですね(笑)。電波好きは知らない人がいないってぐらい名曲なので、それを歌わせていただけるのはすごく光栄ですし、電波の創世記をともに盛り上げてくださった方のコラボというのも、今回必要不可欠な感じで、お力をいただいた感じでありがたいですね。

桃井はること語り合った”今だからこその電波”

――そうしたあの時代とのコラボ、というと、やはり「ライブハウスの天気予報」を手がけた桃井はるこさんは欠かせないのかなと。

KOTOKO そうなんですよ。

――これもまた、KOTOKOさんからのオファーで実現したんですか?

KOTOKO そうです。私から西村プロデューサーに、今回こそは桃井さんとタッグを組みたいってお話を持っていって。普段はあまり自分からコラボを持ちかけることってないんですけど、今回は桃井さんなくして電波は語れないなって思っていて。私自身も電波のパイオニアだと思っているんですけど、それと同じぐらいリスペクトしている電波の創設者というか、作家さんとしても大尊敬していて、桃井さんを差し置いて電波の女王だって言えないなって思って、お願いしました。

――2000年代の萌えを代表するふたりの夢のタッグとなった今回ですが、楽曲制作はいかがでしたか?

KOTOKO まずオファーを受けてくださった段階で、ツイッターのDMで「ありがとうございます」ってご挨拶をさせていただいたんですよね。そこで結構熱いメッセージをいただいて。そのなかで書かれていたことは、「私は電波曲を作っているという気持ちは全然なく、普通にやっていたら電波と言われるようになったんです」と。「なので、私が普通に曲を書くと電波になるので」……って感じの文章をいただいて、「KOTOKOさんに大声で叫んでほしいものを形にします」って言ってくださって、「あ、それだけでもういい曲になるな」って予感があったんですよね。その桃井さんが言っている、私はやりたいことをやっているだけで、っていうのは私も思っていたことだったんですよ。

――なるほど。

KOTOKO 自分が好きだなって思うジャンルで「恋愛CHU!」っていう曲を作ったら、それが「いいね」ってなって、「さくらんぼキッス」みたいなオファーがあって。当時は電波っていう呼び方もなくて、私が「いいな」って思うことを入れていった結果、それをみんなが受け入れてくれて、話題にしてくれて、そうやって次第に電波ソングっていう言い方が出来ていった感じなんですね。なので電波ソングっていうものを作ろうと思ったのは私たちではなくて、聴き手のみなさんが「いいね」って思って作ってくれたジャンルなんですよ。そういう当時を知っている桃井さんの想いもすごく共感できましたし、そのやりたいことをやるっていうスタンスを今も貫いていて、それは私にも通づるものがあって、すごくシンパシーを感じながら曲を作ることができました。

――実にモモーイ的な楽曲になりましたが、そこでのKOTOKOさんのボーカルがその楽曲と波長が合うなと思いました。

KOTOKO あと、なぜこのタイミングで電波なのかというのもこの曲にはあって。電波アルバムというのはずっと構想していたのもあるんですけど、今っていろんな悲しいことも多い時代じゃないですか。コロナ禍もそうだし、こんな時代に戦争なんて、とか、ネット社会の悲しい出来事とか、なかなか心が晴れやかになるのが少ない時代に、エンターテインメントに何ができるかというと、気持ちを解放してあげる、楽しいことを楽しいって思える時間が必要なんじゃないかなって。この時代だからこそ電波ソングみたいなものってたくさん聴いてほしいものなんですよね。

――今の時代だからこそ電波が必要なんだと。

KOTOKO 構想的にはずっと温めてきたものなんですけど、この時期に出せるというのがすごく意味があると思って。私もそう思っていたんですけど、桃井さんからも同じ話をいただいたんですよ。こういう時代で悲しいことばっかりなんだけど、ライブハウスに行って曲を聴いて汗を流す時間ってキラキラしていて、忘れてほしくなくて、そういう想いをこの楽曲に入れたんだってお話していて、私もそこまで想定してお願いしたわけではないんですけど、まるで私のやりたいことをわかっていてくださったようなことをおっしゃっていたので、同じ時代に生きて音楽をずっと発信してきた者同士として、共通の想いを確認できた曲なんですよね。

――本作はそうした”今だからこその電波”という意味はこの曲に至るにつれてわかってくるような構成ですよね。それこそその次に続く「すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-」もまた、似たようなテーマを持つというか。

KOTOKO はい、そうです。

――それこそ後半の展開は、ここ数年で歓声を出せないファンと共にツアーをいち早く行ってきたKOTOKOさんならではの想いが込められているというか。

KOTOKO そうですね。みなさんに手拍子やストンプで参加していただくことで、声が出せなくても電波ソングを楽しんでいただける、そして声が出せるようになったあかつきには、もっともっと楽しんでいただけるような要素があるんだよっていう。この曲はアイリッシュダンスみたいな要素もあるので、腕を組んでくるくる踊るみたいな感じのダンスをしてほしい楽曲で、今回のツアーでそこまでできるかわからないんですけど、距離感とか気を遣って触れ合うことすらはばかられる時代なんですけど、もう一回みんなで手を取り合って、腕を組んで踊ったりとか、人間と人間のふれあいの楽しさというものをもう一回思い出してほしいというのがいちばんあります。

――この時代だからこそ、電波的なプリミティブさを取り戻そうよ、なんならいい意味でもう一回バカになろうよ、と。

KOTOKO そうです、真剣にバカになりました(笑)。

――本作をリリースしたあとの8月からは、恒例の全国ツアーが始まります。そんな感動的な光景が、全国各地で見られそうですね。

KOTOKO もう本当に、今は声出しできるかできないかは瀬戸際なんですけど、絶対に楽しくなります。というか楽しくします! それはもう断言できます。

――そうした楽しい現場のなかで、KOTOKOさんには”ちゃれんじ”が待っていますけど(笑)。

KOTOKO そうなんですよ!(笑)。早口言葉がいちばんドキドキするんですけどね。

――これだけのキャリアを積んでなお、まだ新しい挑戦が待っているんですね(笑)。

KOTOKO 人間日々成長なんですよね。慢心してはいけないので、自分に毎回ツアーごとに課題を作ったほうがいいと思っています。なので、今回は早口ですね(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一


●リリース情報
KOTOKO
『すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-』
6月22日発売

■mora
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【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:GNCA-1618
価格:¥4,400(税込)

【通常盤(CD)】

品番:GNCA-1619
価格:¥3,300(税込)

<CD>
01.さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~[2022mix]
作詞:KOTOKO、作曲:C.G mix、編曲:高瀬一矢
02.Alice in Joker?!
作詞:KOTOKO、作曲:井内舞子、編曲:井内舞子
03.バイきんぐの逆襲
作詞:KOTOKO、作曲:立秋、編曲:立秋
04.スマホの恋人~だって推しが強すぎるからずっと神って言ってる~
作詞:KOTOKO、作曲:C.G mix、編曲:C.G mix
05.INTERNET OVERDOSE
作詞:にゃるら、作曲:Aiobahn、編曲:Aiobahn 歌唱:Aiobahn feat. KOTOKO
06.桜舞乱心*いろは詩
作詞:KOTOKO、作曲:原田勝通(Angel Note)、編曲:原田勝通(Angel Note)
07.おじさんとマシュマロ
作詞:KOTOKO、作曲:Aiobahn、編曲:Aiobahn
08.巫女みこナース・愛のテーマ -こっとんちゃれんじばーじょん-
作詞:柏木るざりん、作曲:柏木るざりん、編曲:中沢伴行
09.ハピラキ☆ベジタボーイ
作詞:KOTOKO、作曲:橋咲透(solfa)、編曲:橋咲透(solfa)
10.タコですよ?
作詞:KOTOKO、作曲:D.watt(IOSYS)、編曲:D.watt(IOSYS)
11.ライブハウスの天気予報
作詞:桃井はるこ、作曲:桃井はるこ、編曲:Haraddy
12.すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-
作詞:KOTOKO、作曲:KOTOKO、編曲:C.G mix

<Blu-ray>
さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~[2022mix]MV

●ライブ情報
KOTOKO LIVE TOUR 2022 “すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-“
8月7日(日) 北海道・札幌 cube garden
8月20日(土) 大阪・TRAD
8月21日(日)香川・高松 Olive Hall
9月3日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK VJ-1 Kumagaya
9月4日(日)宮城・ 仙台 CLUB JUNK BOX
9月11日(日) 福岡・DRUM Be-1
9月17日(土) 愛知・名古屋 Electric Lady Land
9月18日(日)石川・金沢 AZ
9月23日(金・祝) 鳥取・米子 AZTiC laughs
9月24日(土) 広島・Second Crutch
10月01日(土) 東京・Toyosu PIT

関連リンク

KOTOKO OFFICIAL SITE「Mutant Dwarf」
https://www.kotoko.asia/

KOTOKO×NBCユニバーサル公式
http://nbcuni-music.com/kotoko/

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